にげうまメモ

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22/02/27 Weekly National Hunt / Jump racing

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*週刊障害競馬回顧 2022/02/21-2022/02/27

2/22(火)

Navan (IRE) Heavy

Boyne Hurdle (G2) 2m5f (Replay)

1. Thedevilscoachman J: Mark Walsh T: Noel Meade

Ashdale Bobが非常にゆったりと逃げる展開も、最終障害を越えてこれに迫ったThedevilscoachmanがゴール直前でこれを捉えて勝利した。

Thedevilscoachmanは昨シーズンはNovice Hurdleを使っていた馬で、今シーズンはChaseに転向するも芽が出ず、これがHurdleに戻してのレースであった。初めての20fということもあったのだが、いきなり結果を残した。ただし全体的に叩き一走といった馬が多く、レースとしても非常に慎重なものであったことを踏まえると、ほぼ最後の瞬発力で浮上した結果と考えた方がいいだろう。Novice Hurdleの段階ではAppreciate It、Echoes In Rainといった一線級相手には敵わないことははっきりしており、どこまで本物だろうかといったところだろう。やはりChaseからの出戻り組のAshdale Bobが惜しい2着。Commander of Fleet、Grand Roi、Ronald Pump、Longhouse Poetらは遅れたが、レース展開を考えるとこのレース結果自体はさほど評価できるものではないだろう。

 

Ten Up Novice Chase (G2) 3m (Replay)

1. Farouk D'Alene J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

途中から先頭に行ったFarouk D'AleneとBeacon Edgeの叩き合いはFarouk D'Alenに軍配が上がった。

Farouk D'AlenはChaseはこれで2勝目とした。LimerickのFaugheen Novice Chase (G1)でMaster Mcsheeの2着に入ってきた馬で、さすがにここでは実績的に勝ち負けになるのは必然の流れであった。ただしMaster Mcshee自体、その後のLeopardstownのLadbrokes Novice Chase (G1)ではGalopin Des Champsから9馬身離れた2着に敗れており、ややこのレース自体のレース水準には疑問を持っておいた方がいいだろう。Drinmore Novice Chase (G1)を勝ったBeacon Edgeは惜しい2着だが、11st10lbとFarouk D'Alenに対して斤量を背負っていたことを考えると、どちらかというとこちらを上に取った方がいいかもしれない。この馬はLeopardstownのLadbrokes Novice Chase (G1)では落馬に終わっており、巻き返しが期待される。

 

2/24(木)

Thurles (IRE) Soft

Michael Purcell Memorial Novice Hurdle (G3) 2m4f146y (Replay)

1. The Goffer J: Jordan Gainford T: Gordon Elliott

好位から進めたThe Gofferが迫るCaptain Conbyを振り切ると、Berkshire Royalの追い上げを凌いで勝利した。The GofferはこれでHurdleは2勝目とした。Maidenを勝ったばかりでO'Kelly Brothers Demolition Hurdleに挑んでくる気合の入りっぷりだが、重賞はこれが初参戦であった。Hurdle初戦にいきなりSupreme Novices' Hurdle (G1)に挑んだBerkshire Royalは惜しい2着。母系がオセアニア血統というやや珍しい出自で、かなり平地競争でのキャリアが長い馬で、Hurdleはこれが3戦目となる。レース展開としてはThe Gofferに利があったと考えられる内容で、名門Willie Mullins厩舎ながらもやや変わった出自の馬であることを踏まえると、少し注意しておいた方がいいかもしれない。

 

2/26(土)

Kempton (UK) Good to Soft (Good in places)

Adonis Juvenile Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Knight Salute J: Paddy Brennan T: Michael Harris

前半からGraystoneが飛ばす展開も、じわじわと位置を上げてきたKnight SaluteがTeddy Blueを凌いで勝利した。

ex-Flat Horseが揃ったレースで、Kemptonの良馬場の2マイル戦ということで比較的平地のスピードが生きる展開となっている。Knight SaluteはこれでHurdleは5戦5勝とした。元々平地競争を使っていた馬だが、Hurdleに転向してその素質を開花させており、ひとまずJuvenile Hurdle路線におけるイギリス勢としては筆頭格の存在になりそうだ。フランスの平地競争を走っていたTeddy BlueはこれがHurdle2戦目で、勝負所で大きなミスがあり、これが最後の3馬身差という着差に響いた感がある。やはりHurdle5戦目の勝ち馬と比べると完成度の面で見劣ったようだが、伸びしろという意味では期待できるだろう。Graystoneも平地競争では長い馬で、序盤はこの時期の4歳馬にありがちな暴走気味のペースで飛ばしていたのだが、そこからしっかりと巻き返して形を作ってくる辺りは、さすがにHurdle6戦目という経験によるものだろう。前走MusselburghのScottish Triumph Hurdle (Listed)を快勝したImpulsive Oneは案外な結果に終わった。

 

Pendil Novices' Chase (G2) 2m4f110y (Replay)

1. Pic D'Orhy J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

人気のMinella DramaとPic D'Orhyが並んで引っ張る展開も、途中でMinella Dramaが飛越でミス。ここからPic D'Orhyが抜け出すと、追いかけてきたMillers Bankを凌いで勝利した。

Pic D'OrhyはChaseは3勝目とした。ひとまず重賞はAscotのNoel Novices' Chase (G2)に続き2勝目だが、Scilly Isles Novices' Chase (G1)ではL'homme Presseに27馬身差をつけられての敗戦を喫しており、現時点でそれなりに完成度が高い馬であることを踏まえると、やや巻き返しという面では苦しいかもしれない。2度の落馬とWind Surgeryを経てきたMillers Bankはようやく形を作っての2着。HurdleではAintree Hurdle (G1)でAbacadabrasの3着のある馬で、Pic D'Orhyとの斤量差を考えると現時点では勝ち馬に分があったものと思われるが、ようやく素質馬がChaseでその能力を発揮できるようになったということで楽しみにしておきたい。

 

Dovecote Novices' Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Aucunrisque J: Tom Cannon T: Chris Gordon

途中から先頭に立ったAucunrisqueがそのまま勝利した。AncunrisqueはこれでHurdleは3連勝とした。Plumpton、Wincantonの下級条件戦を勝利していたことからここではShallwehaveonemoreの影に隠れるような人気になっていたが、蓋を開けてみればここまでで強い勝ち方を見せていたことを裏付けるような走りであった。昨年11月までNHFを使っており、早々にHurdleに転向した経緯は不明なのだが、とはいえNHFではListedクラスでの3着もある実績馬のようで、今後の動向に注意したい。前走派手な勝ち方を見せたShallwehaveonemoreはどうにも全体的にリズムが悪く、最後は勝ち馬を捉えきれずに2着に終わった。持っている能力は高いようだが、例によって操縦性が悪いタイプで、Authorized産駒のGary Moore厩舎となればこの辺りはもはやお察しといったところである。

 

Coral Trophy Handicap Chase (G3) 3m (Replay)

1. Cap Du Nord J: Jack Tudor T: Christian Williams

後方にいたCap Du Nordがじわじわと位置を上げると、外から迫ってきたKitty's Lightを振り切って勝利した。Christian Williams厩舎の2頭が1、2着を占める結果となった。Cap Du Nordはこの路線のハンデ戦ではかなり経緯が長い馬で、重賞は初勝利となる。どちらかというと良馬場に良績が偏っているようで、今シーズンは前走のSky Bet Handicap Chase (Listed)でも3着に入り調子もよかったのだろう。Kitty's Lightは勝負所でのミスが痛かったが、昨年のbet365 Gold Cup (G3)でも2着があるように本来このクラスであれば能力は上位の馬である。戦績的にはどちらかというと暖かい時期の方がよさそうで、今シーズンはこれが6戦目と数を使っているようだがここから期待したい。

 

Newcastle (UK) Good to Soft (Good in places)

〇 Eider Handicap Chase (C2) 4m1f56y (Replay)

1. Win My Wings J: Ryan Mania T: Christian Williams

Newcastleの4マイル戦。Court Master、Danilo D'Airyなどが前に行くも、途中からEclair Surfが引っ張る展開に。これにInnisfree Ladなどが迫るが、残り3障害地点から抜け出したWin My Wingsが再度抵抗するEclair Surfを退けて勝利した。

Win My WingsはこれでExeterのC3から連勝とした。ここまで重賞でどうこうというタイプの馬ではなく、昨年12月にBetVictor Mares' Chase (Listed)に挑戦するも途中棄権に終わっている。ひとまず比較的馬場の良い超長距離戦であれば期待できそうだが、ある程度ペースは落ち着く必要がありそうだ。9歳という年齢を考えると、牝馬だけにどこまで現役を続けるかは不明である。前走Classic Chase (G3)を勝ったEclair Surfはトップハンデの11st11lbを背負っての奮闘で、やはりここから面白い一頭としてはこちらだろう。

 

Fairyhouse (IRE) Soft

Norman Colfer Winning Fair Juvenile Hurdle (G3) 2m110y (Replay)

1. Icare Allen J: Mark Walsh T: Willie Mullins

好位から抜け出したIcare Allenが後続に7馬身差をつけて快勝した。Icare Allenは前走のSpring Juvenile Hurdle (G1)の5着馬。前走と比べると全体的にメンバーが数段落ちるここでは貫禄の勝利を見せた。Spring Juvenile Hurdle (G1)では現時点でのアイルランドJuvenile Hurdle路線の有力馬が勢揃いしており、そこから9馬身離れたとはいえ5着に踏ん張ったのはやはり能力的には上なのだろう。未勝利馬Prairie Dancerが頑張って2着。

 

Bobbyjo Chase (G3) 3m1f110y (Replay)

1. Any Second Now J: Mark Walsh T: Ted Walsh

Coko Beachがゆったりと引っ張るも、馬群は密集して進行。残り3障害辺りから抜け出してきたEscaria Tenをゴール直前でAny Second Nowが捉えて勝利した。

Any Second Nowは昨年のGrand National (G3)の3着馬。飛越でミスを連発しながらも最後まで脚を伸ばしての3着であり、巻き返しを期して今シーズンはHurdleのみを使ってGrand Nationalに備えている。これが今シーズンにおけるChase初戦であったが、やや飛越にミスが多く認められたのが気になった。とはいえとりあえず馬の調子は良さそうで、現時点で11st2lbの出走順10番目につけていることを考えると、出走については確実で本番も楽しみな存在になるだろう。Novice上がりのEscaria Tenもフレッシュな馬らしいパフォーマンスで、National Hunt Challenge Cup (G2)で3着があるように本来超長距離戦は得意としている。この馬も現時点で出走順は10st9lbの25番目と確実で、伸びしろのある馬として期待しておきたい。昨年のAintree Nationalの4着馬Burrows Saintはやや勝ち馬から遅れての3着だが、ひとまずこの馬の調子はいいようだ。本来航行性能は高い馬だが、どうにもGrand National (G3)でも最後脱落していたように、苦しくなるとぱたっと止まるところがあるようで、本番でのレース運びには注意しておきたい。ひとまず現時点で10st13lbの17番目と、出走はほぼ確実である。Coko Beachも最後遅れての4着。10st7lbの32番目と、現時点で条件的には恵まれているのだが、やはりこの馬は不良馬場においてゆったりとしたペースを刻むことで強さを発揮する馬。飛越自体は非常に安定している馬だが、本番のレース条件には注意した方が良いだろう。

 

2/27(日)

Fontwell (UK) Good to Soft (Good in places)

National Spirit Hurdle (G2) 2m3f49y (Replay)

1. Botox Has J: Joshua Moore T: Gary Moore

なんとも立ち位置の微妙なFontwellの名物競走。残り2障害前から先頭に立ったBrewin'upastormがそのまま逃げ込みを図るが、内で抵抗したBotox Hasが最後これを交わして勝利した。

Botox Hasは元々Juvenile Hurdle路線で期待されていた馬なのだが、結局重賞路線で活躍することはできず、その後はやや頭打ち気味のレースを続けていた。とはいえ錯塩の12月辺りからClass2で好走しており、ようやく調子を上げてきたようだ。比較的G2としてはそれなりのメンバーが揃ったここでの好走は嬉しい誤算だろう。連覇を狙ったBrewin'upastormは惜しい2着。とはいえこの馬自身調子はいいようで、おそらくここからG1路線に参戦することが想定されるが、ノドの状態さえよければもう少し期待してもいいだろう。昨年のDoom Bar Anniversary Juvenile 4YO Hurdle (G1)の勝ち馬Monmiralもいたのだが、どうにも勝負所から脱落して4着に終わった。今シーズン2戦はいずれもやや壁に当たるような負け方であり、Juvenile Hurdle上がりの馬としてはよくあるパターンなのだが、少々注意した方がいいかもしれない。Allmankindは例によってハナに行ったが、残り3障害でミス、そこから脱落して途中棄権に終わった。

 

Naas (IRE) Soft

BetVictor Chase (G3) 2m (Replay)

1. Captain Guinness J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

3頭立てと寂しいレースになったが、人気のCaptain GuinnessがBlackbow、Cash BackのWillie Mullins厩舎の2頭を退けて勝利した。Captain Guinnessは重賞はこれで2勝目とした。昨シーズンから精力的に16f ChaseのG1戦線に参戦しているが、Dublin Chase (G1)ではChacun Pour Soiから16馬身離れた3着と、やや勝ち負けをするには現時点では一枚足りないことがそろそろはっきりしている。今回は格下相手に勝ち切ったが、やはりメンバー強化でどこまでやれるかというと微妙なところだろう。Dan & Joan Moore Memorial (Grade A)で2着と頑張ったBlackbowが2着だが、この馬はどちらかというとハンデ戦に向かうことになるだろう。

 

BetVictor Novice Handicap Chase (Grade B) 2m4f90y (Replay)

4. Gevrey J: Jordan Gainford T: Gordon Elliott

中山グランドジャンプに予備登録のあるGevreyが出走しており、好位からスムーズに進めたが、直線では前を捉えきれず4着に終わった。Gevreyにとってはこれが初めての重賞競走ということで、斤量的には10st10lbとそこまで極端に恵まれたわけではなかったが、とりあえず格好はつけた。とはいえやはり重馬場巧者で瞬間的なスピード能力に長けたタイプというわけではなさそうで、日本の馬場に対応できるかと言われるとかなり微妙なところだろう。

 

その他

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