にげうまメモ

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23/12/17 Weekly National Hunt / Jump Racing

12/12(火)

Punchestown (IRE) Heavy (Soft to Heavy in places)

〇 William Hill Lengthen Your Odds Hurdle 2m170y (Replay)

1. Elixir D'Ainay (FR) (AQPS) J: Mark Walsh T: Willie Mullins

4歳馬Tactical Affairを制して前に行ったElixir D'AinayがWhimsyを振り切って勝利した。Elixir D'Ainayは2020年のLawlor's of Naas Novice Hurdle (G1)でEnvoi Allenの2着に入った馬で、同年のSupreme Novices' Hurdle (G1)からこれが1372日ぶりのレースであった。どうやら故障があったようだが、少なくとも同シーズンのNovice Hurdleでは高い能力を示していた馬で、今年で既に9歳とかなり年齢は重ねてはいるが、無事に走ることができれば楽しみな存在になりそうだ。Charming Thoughtの産駒である4歳牝馬Whimsyが2着に入った。未勝利もまだ勝てていない馬だが、メンバー的には十分頑張った内容だろう。Maidenを勝ってきたTactical Affairは最後遅れて3着に終わった。

 

Fontainebleau (FR) Lourd (4.8)

〇 Prix Pierre Debroise

Haies Handicap Pour tous poulains et pouliches de 3 ans, n'ayant pas, en course à obstacles, été classés dans les deux premiers d'une course de dotation totale de 61.000.
Seront qualifiés dans cette épreuve les poulains et pouliches auxquels le handicapeur aura attribué une valeur inférieure ou égale à 59 k. 3550m (Replay)

1. Caio (ITA) J: Luigi Maceli T: Luigi Maceli

やや後続を引き離して逃げたCaioがBlissimo以下を振り切って勝利した。Caioは近年はめっきり珍しくなったイタリア生産馬で、Affaire Solitaireの産駒となる。Haiesはこれが4戦目での初勝利とした。ここまで4戦ともHaiesを使っているのだが、現時点では未去勢のようで、イタリア産の牡馬というのは欧州障害競馬としてはなかなか珍しい存在だろう。トップハンデを背負ったBlissimoが2着に入った。

 

〇 Prix Richard D'Ayguevives (Classe 3)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 3 ans, n'ayant pas, en course à obstacles, couru trois fois. 3550m (Replay)

2. Kako (FR) (AQPS) J: Nathan Howie T: Mickaël Seror

Gemix産駒の牡馬Kakoが出走していたが、All In Youに対して僅差の2着に敗れた。KakoはこれでHaiesは3戦して2着1回、3着2回という成績となった。フランスHaiesで活躍したGemixの残された産駒の一頭で、アラブ血量として1.570%を有するAQPSの牡馬と、血統的にはなかなか面白い存在である。半兄にはPolicy Maker産駒のForzaという馬が存在し、ここまでAuteuilのHandicapを含む3勝を挙げている活躍馬のようだ。

 

12/15(金)

Cheltenham (UK) Soft (Heavy in places)

Glenfarclas Crystal Cup Cross Country Handicap Chase (Class 2) 3m5f56y (Replay)

1. Latenightpass (GB) J: Miss Gina Andrews T: Dan Skelton

Minella Indoの参戦で話題になっていた。レースはVolcano、Wick Green、Didero Vallisなどが前に行くも馬群は密集して進行。残り2障害辺りから前に出てきたLatenightpassが付いてきたFrancky Du Berlaisを振り切って勝利した。Fameafterglory、Minella Indoと続いた。

LatenightpassはこのCheltenhamのCross Countryは2戦目となるが、Dan Skelton厩舎への移籍初戦となった前走のCross CountryにてFoxy Jacksの2着に入っていた。それまではAintreeのNational Fenceを含むHunters' Chase及びPoint-to-Point路線を走って来た馬のようで、全体的にゆったりとしたペースで進む中、するするとポジションを確保しに行ったGina Andrews騎手の好騎乗はあったとはいえ、飛越の上手さと長距離への適性という点ではなかなか面白い馬だろう。どうやら陣営としては最終的にAintreeのGrand Nationalを目指すプランもあるようで、この路線のNationalへの外挿性を考えればレーティング的な問題さえクリアできれば楽しみである。この路線ではすっかりお馴染みとなったFrancky Du Berlaisが2着。Market RasenのSummer Plate (G3)で結果を残してきた馬で、あまり馬場は重くない方が良さそうなのだがよくわからない。障害では未勝利のFameaftergloryは序盤はさっぱりな飛越を見せていたが、その後追い込んできて3着に入ったようだ。Maiden Hurdleでは惜敗ばかりのようで、条件さえそろえば勝てそうだ。Cheltenham Gold Cup (G1)を勝ったMinella Indoは後方から押し上げての4着で、12st0lbという斤量と展開を考えれば十分だろう。Galvin、Fury Roadといった実績馬はいいところなし。気の毒であったのがGesskilleで、Birch Island Fenceの着地地点にて故障を発症、そのまま途中棄権となった。

 

12/16(土)

Cheltenham (UK) Soft

December Gold Cup (Premier Handicap) 2m4f127y (Replay)

1. Fugitif (FR) (AQPS) J: Gavin Sheehan T: Richard Hobson

レースはBryony FrostのIl RidotoとCharlie DeutschのFrero Banbouが後続を大きく引き離して逃げる展開。Frero Banbouを振り切ったIl Ridotoが逃げ込みを図るが、これに迫ったFugitifがゴール直前でこれを捉えて勝利した。

Fugitifは重賞は初勝利とした。昨シーズンはCheltenhamのPremier Handicapを転戦し、4月にはMarsh Chase (G1)にも挑戦しているがPic D'orhyから大きく離れての入線に終わっている。1月のPaddy Power Cheltenham Countdown Podcast Handicap Chase (Premier Handicap)といういまいちありがたみのない名前のレースではIl Ridotoの2着に終わっていたが、今回はその借りを返す結果となった。そのIl Ridotoが2着で、Frero Banbouに絡まれてややペースが上がったとはいえ、上手くレースを運ぶことができただけに惜しい敗戦となった。トップハンデのFakir D'Oudairiesは後方から脚を伸ばすも5着までで、さすがにここまで前の馬が上手くレースを運んだところを後ろから追い上げるというのは厳しかったような感がある。出走馬12頭中8頭を占めたフランス生産馬のうち、途中で落馬したSo Scottishを除けば1~7着をフランス生産馬が占めるというのはやや思うところがあるレースとなった。

 

Favourite From The Sun Now Daily Handicap Chase (Premier Handicap) 3m2f (Replay)

1. Broadway Boy (IRE) J: Sam Twiston-Davies T: Nigel Twiston-Davies

レースはリズムよく逃げたBroadway BoyにThreeunderthrufive、Protektoratなどが迫るも、Broadway Boyがしぶとくこれを退けて勝利した。

Broadway BoyはこれでChaseは4戦3勝とした。現時点でもNovice馬のようで前走はNoviceのListed競走を快勝している。リズムよく運ぶことができた展開利や10st9lbという斤量もあったようなところはあるが、5歳という年齢を考えるとこのあたりを差し引いても今後に期待したい一頭だろう。10st13lbのThreeunderthrufiveが2着。Handicapへの参戦ということで期待されたProtektoratは道中やや引っかかり気味に走るところがあり、それを気にしてか騎手が終始馬群の中に入れるようなところが目立った。最後はさすがに伸びてはいるのだが、12stを背負って10st台の馬相手にスプリント勝負で差し切るというのはさすがに無理があったように思われる。

 

Albert Bartlett Novices' Hurdle (G2) 2m7f213y (Replay)

1. Shanagh Bob (IRE) J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

Moon D'orangeが逃げる展開も馬群は密集して進行。最後前に出てきたDestroytheevidenceに対して内に切り替えたShanagh Bobがこれを差し切り勝利した。

Shanagh BobはこれでHurdleは2戦無敗とした。どうにも道中細かいミスはあるのだが、Mahlerの産駒らしく航行能力の高さのようなところをうかがわせるレース運びであった。一方でとはいえ航行能力の高さとは裏腹にスプリントを掛けると微妙なところがあるのもまたMahlerの産駒の特徴で、そのあたりは引き続き注意はしておきたい。面白いのがDavid Bassが騎乗したDestroytheevidenceで、この馬は5月からHurdleを使っているKayf Taraの産駒だが、これでHurdleは6戦3勝、2着3回という結果とした。その名前の通り力強い大柄な馬体の持ち主のようで、パワーのあるステイヤー資質がありそうな一頭として注意しておいてもいいかもしれない。

 

12/17(日)

Pau (FR) Collant (4.4)

〇 Prix Hubert De Navailles (Classe 1)

Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 4700m (Replay)

1. Saint Godfroy (FR) J: Felix De Giles T: Patrice Quinton

レースはRiskmanが前に行く展開も早々にミスをして後退。代わって前に行ったSaint Godfroyがそのまま持ったままでHarmonie Roque以下を退けて勝利した。

Saint Godfroyが2021~2022年12月に掛けてPauのCross Countryで7連勝を達成した馬だが、2023年の1月のPrix Mortimer De LassenceではGalcoflaurに敗れると、PauのGrand Crossでは落馬に終わっていた。このシーズンはこれが復帰戦であったが強い競馬を見せた。近年を代表するPauのCross Country Specialistで、無事に復帰してくれたことがなによりも喜ばしいことだろう。今年のPauのGrand Crossで3着に入ったHarmonie Roqueが2着。同レースを勝利したHip Hop Contiもいたが、今回は後方から脚を伸ばすも離れた3着に終わった。CompiegneのGrand Crossで結果を残し、今年はLyon ParillyのCross Countryを連勝してきたEtonnantもいたが、こちらは4着まで。PauのCross Countryは難易度が高く、これがこのコースでの初戦ということを考えると上がり目に期待したい。Le PertreのGrand Crossを勝ったVif ArdentやStrasbourgのGrand Crossを勝ったIvresse D'Estruvalといった新勢力は中段から進めるも勝ち負けには参加できず。昨年のPauの開催でアラブ馬限定のSteeplechaseを勝ったAnglo-ArabianのLouis MalpicはこれがCross Country初参戦であったが、レースには参加できず離れた最下位に終わった。フランスCross Country路線に中でも異色の存在となるPauのCross Country Specialistが相手と相当なステップアップが必要なレースで、さすがに今回は苦しかったようだ。