にげうまメモ

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16/04/09 National Hunt Racing - Grand National Meeting -

*Aintree Soft (Good to Soft in Places)

Grand National Meeting3日目、Grand National Day。ここではメインのCrabbie's Grand National以外のレースを振り返る。なお途中から強い雨が降ってきて、馬場がSoftまで悪化していたことに注意。

 

Gaskells Waste Management Handicap Hurdle (G3) 3m149y

Rock the KasbahとUrban Hymnが先頭をうかがう構えも、Urban Hymnがいきなり第一障害で落馬。やや遠い踏み切りで、前脚での着地にミスした格好であった。湿った馬場も影響したかもしれない。そんなわけで逃げるのはRock the Kasbah。これを好位で追うのがAt Fishers Cross、Murrayana、Silsolなど。Ubakは中段の内。Tiger RollやMydorは中段の外。人気のIf In Doubtは後方から。ペースは長距離戦らしく淡々と流れる。2周目から徐々にペースアップし、最終コーナーを周って直線に向くところで馬群が開けるいつもの展開。その中から抜け出してきたUbakがIf In Doubtの追撃を抑えて勝利した。3着にはSilsol。

Ubakは中距離戦で結果を残してきた馬だが、ここでは見事な勝利を挙げた。今シーズンはChaseに転向するも結果を残せず、Hurdleに戻して中距離重賞で好走してきた。調子も良かっただろうしハンデも11st0lbといつもどおりのものだった。平坦で走りやすいAintree競馬場も味方しただろう。Pertemps Network Final (Listed)では残り2障害で大きな不利を受けて3着に負けてしまったIf In Doubtは後方から脚を伸ばすも2着まで。さほど勝ち馬とは差はないと思うが、後方から動く馬だけにこのような不利を受ける可能性は今後も考えておいたほうが良いだろう。元々は長距離HurdleのG1路線で活躍が見込まれたAt Fishers Crossは5着まで。久々の好走となったが、おそらく好位で気分良く飛べたのが良かったのではないか。比較的飛越もスムーズであるように見えた。

なお第9障害の前で競争中止したKings Palaceは予後不良とのこと。素質を高く評価されていた馬だが、残念な結果に終わってしまった。同馬のご冥福を祈る。

 

Mersey Novices' Hurdle (G1) 2m4f

Yorkhillが圧倒的な人気を背負っていたレース。逃げるのはThe Dutchman。Yorkhillは後方からレースを進めようと試みるも、かなり引っ掛かりながら少しずつ前に行く。何とか鞍上は押さえ込もうとするも、馬は反抗。2周目辺りからThe Dutchmanがペースを上げるが、この辺りで外に出てしまったYorkhillがそのまま先頭に代わり、レースを引っ張る。Le Prezien、Flying Angel、Bello Contiなどがこれを追ってくるも、なんとかこれらを凌ぎきりYorkhillが勝利。

YorkhillはこれでHurdleは4戦4勝。Neptune Investment Novices' Hurdle (G1)でYanworthを下してきた実力馬である。道中延々と引っ掛かっての勝利、ここでは力が抜けているが、さすがにこのような競馬では上のクラスに上がっては厳しい。鞍上がRuby WalshからP Townendに代わった影響もあるかもしれないが、やや心配な面を覗かせてしまった。

2~4着はほとんど差はないだろう。Le Prezienは前走KelsoのG2を勝ってきた別路線組。Flying AngelはMartin Pipe Conditional Jockey's Handicap Hurdle (C2)で11st6lbを背負いながらIbis Du Rheuの2着に入った馬。これらをモノサシにするとやはりYorkhillの素質は一流馬のそれであるが...。

 

Maghull Novices' Chase (G1) 1m7f176y

CheltenhamのArkle Challenge Trophy (G1)を勝利したDouvanが圧倒的人気を背負っていたレース。

逃げるのはAlisier D'irlande。やや斜めに飛んだり、踏み切り位置が安定しなかったりと、この馬にしてはオーバーペースで逃げる。ペースとしてはミドル程度だろう。Douvanはこれを番手で追いかけるが、さほど飛越は安定しない。第1障害、第3障害では飛越にスムーズさを書いた。残り4障害でミスをしたAlisier D'irlandeはこの辺りで一杯になり、Douvanが先頭に代わる。そのまま追いかけてきたThe Game Changerを突き放し、14馬身差の快勝。

DouvanはこれでHurdle4戦4勝、Chase5戦5勝。そのいずれもが圧勝と、非常に将来楽しみな馬である。その素質はアイルランドのトップトレーナーW. Mullins師も高く評価している。今回はやや手薄なメンバー相手に危なげない勝利を見せた。しかしここまでスローの上がり勝負で強い競馬をしてきた馬、ややペースが上がった際に飛越に乱れが見られたのは不安材料である。

 

Liverpool Stayers' Hurdle (G1) 3m149y

この辺りから強い雨が降り出し、観客が屋内に避難するほどになっていた。馬場も前レースに比してかなり悪くなっていたようだ。

レースは圧倒的人気のThistlecrackが逃げる展開。Different Gravey、フランスからの参戦馬Serienschockがこれを追う。Shaneshill、Aqualim、Prince of Scarsは後方から。Thistlecrackは少しずつペースアップを試みるも、中々後続は頑張って付いてくる。早々にAqualimの手ごたえは悪くなっていたが。残り2障害でThistlecrackはミス。これをShaneshillが追う。しかしここからThistlecrackがShaneshillを付き離し、最後は7馬身差の快勝。

Thistlecrackは今シーズンLong Walk hurdle (G1)、World Hurdle (G1)に続きまたしてもビッグタイトルを手に入れることになった。現状長距離Hurdleのトップホースと言っても差し支えないだろう。ただし今回のパフォーマンスはやや前回のそれに比して物足りないもの。他の長距離Hurdleの有力馬が不在の中、格下のShaneshillに残り2障害辺りまで苦労させられた。最後はトップスピードの違いで突き放したが、Softで7馬身差というのはさほど着差が付いたほうではない。もっとも、かなり楽な展開に持ち込んだということもあるだろうが。

Shaneshillは大健闘の2着。Supreme Novices' Hurdle (G1)でDouvanの2着、RSA Chase (G1)でBlaklionの2着がある馬である。実力は未知数ながら、強敵相手に抵抗した。3連勝で挑んだPrince of Scarsはやや力負けの印象。