にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

24/05/05 Weekly National Hunt / Jump Racing

4/30(火)

Punchestown (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

Champion Novice Hurdle (G1) 2m149y (Replay)

1. Mystical Power (IRE) J: Mark Walsh T: Willie Mullins

この日から始まったPunchestown Festival。レースはDanny MullinsのIle Atlantiqueがやや注文を付けて逃げるも、残り2障害辺りからFirefox、さらにSlade Steelが前に。しかし最終障害を越えて迫ったMystical PowerがFirefoxを抑えて勝利した。

Mystical PowerはこれでAintreeのTop Novices' Hurdle (G1)から連勝とした。Supreme Novices' Hurdle (G1)ではSlade Steelに敗れていたが、今回はその借りを返したことになる。どうにもトップスピードの持続性能の点で不安のある馬ではあるのだが、ただし今回はこれまでとは異なる良馬場で、かつ比較的だらだらとゴールまで雪崩れ込むことが可能なPunchestownのコース形態を生かしつつやや遅れて追い出したMark Walsh騎手の好騎乗による助けを考慮に入れた方が良いだろう。そのTop Novices' Hurdle (G1)で2着に入ったFirefoxがまたもや僅差の2着。Supreme Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬Slade Steelは3着に終わったが、このあたりはあくまで展開一つといったところのように思われる。4着以下は大きく遅れたが、比較的無欲の騎乗を見せたKing of Kingsfieldが入ったようだ。レース振りを見ているとどうにもこの馬は16fにこだわる理由がよくわからない。

 

Champion Chase (G1) 2m98y (Replay)

1. Banbridge (IRE) J: J J Slevin T: Joseph O'Brien

例によってDysart Dynamoが元気よく前に行くも、残り2障害辺りからCaptain Guinnessが先頭に。追いかけてきたDinoblueとのマッチレースかと思いきや、最終障害を越えて伸びてきたBanbrigdeがCaptain Guinnessを捉えて勝利した。

Banbridgeは昨シーズンのManifesto Novices' Chase (G1)の勝ち馬で、CheltenhamではRyanair Chase (G1)に出走するも大敗に終わっていた。今回は改めて16fに戻してきてのレースとなる。レースとしてはどちらかというと最後の最後で間に合わせてきたという印象の内容で、レース振りからすると20fの方が良さそうなのだが、とはいえ24fクラスの持久力を求められる20fのレースでは厳しそうな感もあり、ややレース選択としては難しいところになりそうだ。このクラスでは常連となったCaptain Guinnessがいつも通り善戦しての2着。Dinoblueもあまり差のない3着で、今回はEl FabioloがSandownに回ったことを踏まえると、上位馬にはあまり力量差はなさそうだ。4着以下は大きく遅れたが、ここでは実績的には格下のMaskadaが無欲の騎乗で4着に入ったようだ。

 

Dooley Insurance Group Champion Novice Chase (G1) 3m213y (Replay)

1. Spillane's Tower (IRE) J: Mark Walsh T: Jimmy Mangan

Sam EwingのThree Card Bragがゆったりしたペースで引っ張るも直線を向いて後続が殺到。ここから内を回って出てきたSpillane's TowerがMonty's Starを抑えて勝利した。

Spillane's TowerはFairyhouseのWillowWarm Gold Cup (G1)から連勝とした。今回は20fから24fへと距離を延長していたが、いきなり結果を残したことになる。ただし今回はThree Card Bragがゆったりとしたペースで運んだというNoviceの24f戦らしいレース内容で、Monty's Starが2着とはいえ、いきなり24fクラスの適性を見せたかと言われると微妙なところである。CheltenhamのBrown Advisory Novices' Chase (G1)でFact To Fileの2着に入ったMonty's Starが2着に入った。勝ち馬とは立ち回りの差と思われるが、この馬自身Cheltenhamの前はBeginners Chaseを勝ったばかりという臨戦過程でもあり、ひとまず今シーズンの24f Novice Chaseの代表格とはいえ、レース水準的な部分には注意した方がいいかもしれない。

 

Warrnambool (AUS) Soft6

〇 Unboolivable Maiden Hurdle

Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. 3200m (Replay)

1. Alakahan (IRE) J: William McCarthy T: Ciaron Maher

この日から始まったWarrnamboolのMay Carnival。先に抜け出したDubai MoonをAlakahanが捉えて勝利した。AlakahanはMotivatorの産駒で、元々はアイルランドでデビューした馬のようだが、オーストラリアの平地競争ではSydney CupなるG1をはじめ重賞競走への出走歴がある。Hurdleはこれが初参戦であったようだ。Motivatorの産駒はどちらかというと平地色が強いものの、最近ではフランス3歳Haies路線でJigmeが強い競馬を見せており、この日のメインレースを勝ったStern Idolも元々はAuteuilで走っていた馬であることを考えると意外なところで共通項があるものである。フランスにもしばしば平地色の強い血統背景の競争馬を導入する例も存在しており、欧州からの導入馬の背景には注意したい。Dubai Moonは強気に立ち回ったが2着まで。Maatsuykerがやや遅れた3着に入った。これが復帰初戦となったBraidon Small騎手のArassemは後方から脚を伸ばすも5着に終わった。元々はイギリスで平地重賞勝ちのあるExtra Elusiveはいいところなく6着まで。

 

〇 Ecycle Solutions Maiden Hurdle   

Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. 3200m (Replay)

1. Bazini (AUS) J: Aaron Kuru T: Symon Wilde

途中から強気に出ていったWilewinkを抑えてBaziniが勝利した。Baziniは2022年のJericho Cupにも参戦のあるステイヤーで、Hurdleはこれが初勝利とした。早めに動いたWilewinkを見ながら進めた利はあったようだが、元々平地競争で長い距離を走っていた馬であることを考えると、今後距離を伸ばした際の対応を含めて楽しみにしたい。Braidon Small騎手のWilewinkは惜しい2着。こちらもJericho Cupにも参戦のあった馬で、この2頭にはあまり差はないだろう。英愛のSt Legerでも結果を残した元平地馬Southern Franceが3着で、Maidenにしてはなかなか実績馬揃いの楽しみな上位勢となった。ここでは珍しいアメリカ生産馬Apache Thunderはやや遅れた5着に終わった。

 

〇 Choices Flooring Warrnambool Maiden Hurdle   

Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. 3200m (Replay)

1. Leaderboard (USA) J: Aaron Kuru T: Mark Walker

残り600メートルあたりから前に出たLeaderboardがGambu以下を抑えて勝利した。LeaderboardはニュージーランドMark Walker厩舎の所属で、前走のPakenhamからオーストラリアのHurdle路線を使っている。ニュージーランド平地競争ではWellington Cupなる3200メートルのG3競走の勝ち鞍がある馬で、既に9歳と年齢は重ねているようだが楽しみな勝利となった。ニュージーランドの名伯楽Mark Walker調教師にとってはこれが初のWarrnambool May Carnivalでの勝ち鞍のようで、同じくニュージーランド出身のAaron Kuru騎手とのコンビで嬉しい勝利となった。前走のWarrnamboolのMaidenで2着のあるIrish Butterflyが人気になっていたようだが、こちらは5着に敗れた。

 

3YB FM Scotty Stewart Brierly Steeplechase 

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. 3450m (Replay)

1. Stern Idol (IRE) J: William McCarthy T: Ciaron Maher

この日のメインレース。例によってStern Idolが前に行くも、Britannicus以下がぴったりとついて行く。そのままInstigator、Mighty OasisなどもStern Idolに接近するも、最後までついてきたInstigatorをStern Idolが振り切って勝利した。

Stern Idolは昨年はGrand Annual Steeplechaseに出走していたのだが、今年は距離が短いBrierly Steeplechaseに回っていた。600kg近い巨漢馬らしく*1あまり斤量が堪えるタイプではなさそうだが、一方でこれまではスピードで圧倒するか大敗するかといった極端なレースが目立っていた。今回はBritannicusなどにぴったりと付いて来られたものの、最後までInstigatorを等を相手に我慢し続けるというレースを見せた。ある程度道中ゆったりと運びつつ最後まで我慢ができるのであれば更なる可能性も広がりそうであるのだが、とはいえ3450メートルという短い距離、Soft6という良馬場を考えると、今回新たな一面を見せることが出来たと考えられるのかは注意したい。追いかけてきたInstigatorが惜しい2着。昨年は中山遠征の噂もあったBritannicusはStern Idolを追いかけるも3着。Mighty Oasisは4着に終わったが、この馬にとってはもう少し馬場が重くなった方がよさそうだ。

 

5/1(水)

Punchestown (IRE) Good to Yielding (Yielding in places)

Channor Real Estate Group Novice Hurdle (G1) 2m7f192y (Replay)

1. Dancing City (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

Punchestown Festival2日目。レースはBackmersackme、Stellar Storyなどが前に行く展開も、最終障害前からDancing Cityが先頭に。そのまま追いかけてきたHigh Class Heroを振り切って勝利した。

Dancing Cityはこれで今シーズンはG1は3勝目、AintreeのSefton Novices' Hurdle (G1)から連勝とした。CheltenhamのAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)ではThe Jukebox Manの逃げを捕まえきれずに3着に終わっているが、比較的重い馬場で行われたAintreeから良馬場でのスプリント勝負となったこのPunchestownと、大きく性質の異なるどちらの競争においてもしっかりと結果を残したことはやはり今後に向けて楽しみな内容だろう。Cheltenhamではさっぱりいいところのなかったイギリス生産馬High Class Heroが僅差の2着。CheltenhamではMartin Pipe Handicap Hurdle (Class 2)を勝ったBetter Days Aheadがやや離れた3着。Stellar Storyも出走していたがやや離れた4着で、Leopardstownの名前の長いG1での結果が示す通り、Dancing Cityに対してCheltenhamでは展開利があったと考えてよいだろう。

 

Punchestown Gold Cup (G1) 3m213y (Replay)

1. Fastorslow (FR) J: J J Slevin T: Martin Brassil

Galopin Des Champsを筆頭に、Fastorslow、Hewick、更にはCorach Ramblerといった面々の参戦で話題になっていた。レースはGalopin Des Champsが前に行くも、これを制してConflatedがやや強気に出てくる。これを追いかけてFastorslow、Galopin Des Champs。やや途中から左に斜飛し始めたConflatedを捉えて前に出たFastorslowがGalopin Des Champsを振り切って勝利した。Hewick、Gentlemansgame、Appreciate Itと続いた。

Fastorslowはこのレース自体は昨年から連覇とした。Conflatedはある程度強気に前に出ており隊列は長くなっているのだが、とはいえ良馬場も相まってか最後諦めて脱落したConflatedより前の5着馬までは殆ど着差が付いておらず、基本的には24fを走り切るための持久力よりもある程度トップスピードが要求されるレースが展開されている。人気を集めていたGalopin Des ChampsはWillie Mullins調教師の敗戦の弁のとおりどうにも全体的に加速が掛かり切らないというレース振りで、Punchestown自体は2022年にJohn Durkan Memorial (G1)の勝ち鞍はあるのだが、もしかすると複雑な起伏が存在するPunchestownはコース形態の問題であまり得意とするコースではなく、かつ良馬場により他馬がスピードを生かすことが可能であった条件が不利に働いた可能性はありそうだ。一方のFastorslowはGalopin Des Champsがもたついているところをスムーズに運んでの勝利であったが、LeopardstownのIrish Gold Cup (G1)では完敗に終わっており、その後Wind Surgeryを経ていたことも踏まえると引き続きこの2頭の力関係は注意しておきたいところである。Hewick、Gentlamansgame、Appriciate Itは比較的良馬場が向いたのかGalopin Des Champsからあまり差のないレースとなった。Hewickはもう少しタフなレースになってもよさそうな印象はある。Conflatedは強気に運んだが途中から飛越にモタついて脱落。イギリスからの参戦で話題になっていたCorach Ramblerはさっぱりペースについて行けず、残り2障害地点で途中棄権となった。

 

Lysá nad Labem (CZE) stav dráhy: 2.8 (dobrá až pevná / Good to Firm)

Prvomájová steeplechase města Lysá nad Labem

Steeplechase crosscountry I.kat. - 4200 m, cena, 5letí a starší 165.000 Kč (Replay)

1. Aeneas (IRE) J: ž. Lukáš Matuský T: Josef Váňa st. 

スロバキアから参戦したEnjeu D'ArthelがHoola Hoopを制して前に行く展開。Irish Bankのあとの急カーブでOcean Lifeの騎手が落馬。そのままEnjeu D'Arthelは軽快に逃げるも、2連続障害のあたりからAeneasが進出。向こう正面で前に出たAeneasがEnjeu D'Arthelを振り切って勝利した。

Aeneasは今年で10歳になるGalileo産駒の牡馬で、このレースは昨年に続き連覇とした。Lysá nad LabemのCross Countryは得意としているようで安定した結果を残しているが、一方でPardubiceのCross Countryでは2021年にCena Labeの勝ち鞍があるもののどうにも戦績が安定していないようで、その動向には注意したい。スロバキアの10歳馬Enjeu D'Arthelは積極的なレースを見せての2着。ただしレース振りからするとあまり小回りの利くタイプではなさそうな印象もあり、血統面からしても馬場はもう少し渋った方がよさそうだ。AuteuilのG1クラスで走っていた馬がこのあたりに移籍してくることは珍しく、その動向が楽しみな一頭だろう。3着にはKorfu、4着にはStormmyと続いた。2023年のGran Premio Merano (G1)で2着に入ったOcean Lifeはなぜここに出走してきたのかはよくわからないのだが、コーナーで騎手が落馬し競走中止となった。

 

Warrnambool (AUS) Soft7

Sovereign Resort Galleywood Hurdle 

Set Weights plus Penalties. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3200m (Replay)

1. Chains of Honour (AUS) J: Luca Remondet T: Ciaron Maher

レースは例によってFabalotが前に行く展開も後続がぴったりとついてくる。最終障害を越えてRising Renownが先頭に立つも外からChains of Honourが抜け出しにかかる。内を回ってPort Guillaumeが追い込んでくるも、これを振り切ってChains of Honourが勝利した。

今年からオーストラリアで騎乗しているフランス出身のLuca Remondet騎手にとっては嬉しい勝利となった。Chains of Honourは昨年の7月にMaiden Hurdleを勝った馬で、平地競争ではMullins Grand Prix StakesなるEagle FarmのG3競走の勝利もある。昨年はMaiden勝ちのあとはあまりHurdle戦線ではうまくいかなかったようだが、改めて期待したい一頭だろう。フランス生産馬のPort Guillaumeが2着。この馬は昨年の春にHurdle戦線に参戦していたようだが、その後は再度平地競争に戻していたようだ。この馬も平地競争ではメルボルンカップ等への出走のある実績馬である。El Diezは例によって後方から押し上げるも3着まで。67kgという斤量を考えれば十分な内容だろう。Mark Walker陣営のThe Mighty Sparは好位から進めるもやや離れた4着に終わった。

 

5/2(木)

Punchestown (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

La Touche Cup Cross Country Chase 4m1f11y (Replay)

1. Singing Banjo (IRE) J: Mr Barry John Walsh T: Barry Walsh

今年はCheltenham FestivalのGlenfarclas Cross Countryが中止となった影響でCrystal Cupの一環として実施された。Crystal Cupの発足当時はこのレースもメンバーであったそうで、この機に復帰してもらいたいところである。レースはCoko Beach、Vital Island、Singing Banjoなどが前に行くも、途中からA Ratedがやや引っかかり気味に前に行く。A Ratedは第20障害のDropにて落馬し、空馬の煽りを食らったSinging BanjoやEl Pasa Wood等が外に膨れた一方でCoko Beachが内から先頭に。そのままVital Island、Birchdale等を引き連れてCoko Beachが引っ張るも、これにSinging Banjo、Three By Twoと接近。最後は脱落したCoko Beachを残したSinging BanjoとThree By Twoの叩き合いはSinging Banjoに軍配が上がった。

途中で空馬が外からぶつかってきてStumptownが落馬していたりとeventfulなレースなのだが、それ以上に最後はCoko Beachがいっぱいになったり、最終コーナーまでは先頭集団に取り付いていたBirchdaleやVital Islandが疲労で途中棄権したりと、なかなかにタフなレースが展開されていたようだ。Singing Banjoは14歳馬で、2021年に続きこのレースは2勝目とした。PunchestownのBank Courseは得意とする馬で、2021年にはKildare Hunt Club Fr Sean Breen Memorial Chase for the Ladies Perpetual CupからLa Touche Cupと中2日の連勝劇を飾っている。どうやら良馬場の条件が良かったようで、2022年にこのレースを勝利した15歳馬Ballyboker Bridgeが存在することを踏まえると、またこの舞台で見てみたい一頭だろう。オーナー兼調教師兼騎手のBarry Walshにとっても嬉しい勝利となった。つい先日のLadies Perpetual Cupで4着に入ったThree By Twoも健闘しての2着。Coko Beachは12st7lbという現代競馬では稀に見る斤量を背負って3着に来た。勝ったSinging Banjoが11st0lbであることを考えるとこのレース振りは驚異的であろう。Fameafterglory、Enjoy D'Allen、Bodhisattvaと、道中は先頭集団から置いて行かれた馬が3~6着に入り、完走は計6頭となった。

 

Barberstown Castle Novice Chase (G1) 2m75y (Replay)

1. Il Etait Temps (FR) (AQPS) J: Danny Mullins T: Willie Mullins

Gaelic Warrior、Il Etait Temps、Hercule Du SeuilのWillie Mullins陣営の3頭の他はMount Frisco一頭と、トップクラスの馬が出走してきたとはいえ出走頭数としてはやや寂しい面々となった。レースはHercule Du Seuilが淡々と前に行く展開で、これに番手からGaelic Warriorが迫るも、さらに外から伸びてきたIl Etait Tempsがこれを差し切って勝利した。

Il Etait Tempsはこれで今シーズンのG1は3勝目となった。CheltenhamのArkle Challenge Trophy (G1)ではGaelic Warriorから13馬身差の3着に敗れているが、今回はその雪辱を晴らしたことになる。ただしやはりNovice Hurdle時代から見せていたように基本的にはJukebox Jury産駒らしい小回りの利く瞬発力を武器にするタイプで、今回もHercule Du Seuilが全体的にのんびりと立ち回ったという展開利はありそうだ。CheltenhamのArkleのようなスピードの持続性能を問われるレースではやや分が悪いことははっきりしており、基本的に戦術としては展開待ちといったところだろう。そのGaelic Warriorは脚を掬われるような形で2着。夏場に連勝して結果を残してきたHercule Du Seuilはあまり差のない3着だが、Saddler Maker産駒であることを考えるともう少し渋った馬場でのレースを見てみたいところである。ここでは格下のMount Friscoは残り3障害くらいまでは頑張って先頭集団について行ったようだが、そこから脱落して4着に終わった。前走はFairyhouseのNovice HandicapのListed競走で2着に入った馬で、昨年6月のRoscommonのNHFに出走してからは全く休みなく走り続けているタフな馬である。このメンバー相手にとりあえず残り3障害くらいまではついて行ったというのは立派な内容だが、もう少し出走馬の所属厩舎や出走頭数の観点でcompetitiveなレースが展開されて欲しいものである。

 

Champion Stayers Hurdle (G1) 2m7f110y (Replay)

1. Teahupoo (FR) J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

TeahupooのCheltenham - PunchestownのStayers' Hurdle両制覇が期待された一戦。レースは12歳馬Summerville Boyが前に行き、これをMonkfishが追いかけるも勝負所から馬群は一気に密集。外から抜けてきたTeahupooが一気に後続に差をつけると、2着を6馬身ほど突き放して勝利した。Asterion Forlonge、Home By The Leeと続いた。

Teahupooは今シーズンは3戦無敗、G1競走はHatton's Grace Hurdle (G1)も含めて3勝目とした。CheltenhamのStayers' Hurdle (G1)も含めて文句なしに24f Hurdle路線のチャンピオンといったところで、レース内容としては全く危なげがないものであった。AintreeのLiverpool Hurdle (G1)で頭角を現したStrong Leaderにも期待されるが、今回は同レースで2着のBuddy Oneを寄せ付けない強い競馬で、内容的にはやはりこの路線の総大将としての活躍が期待される。Teahupooを追いかける形でスパートをかけたAsterion Forlongeが2着。できればTeahupooに対しては前で運びたかったものと思われるが、道中緩んだところでポジションを前に出したJack Kennedy騎手の好騎乗もあった。Home By The Leeが最後追い込んで3着。Monkfish、Summerville Boyは勝負所から脱落して大敗。12歳のベテランSire Du Berlaisはいつものように後方から追っ付けながら進めたが、終盤で故障を発生、残念な結果となったそうだ。

 

Warrnambool (AUS) Soft6

Hammonds Paints Champion Novice Hurdle   

Set Weights plus Penalties. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3200m (Replay)

1. Affluential (NZ) J: Will Gordon T: John Leek

WarrnamboolのMay Carnival3日目。逃げたCustom of the Seaを捉えて途中から前に出たFrankenstarが逃げ込みを図るも、外から伸びてきたAffluentialがこれを差し切って勝利した。

Abreedが終盤なにかに躓いて騎手が落馬しているのだが、空馬状態で直線において内からコースに進入してきた同馬を馬に騎乗した係員が内側に誘導している。レースの勝負所において一歩間違えればレースの妨げにもなった可能性もあるのだが、特段レースに大きな支障はなく、空馬による影響も防ぐことができた卓越した技術を示したアクションであるのだが、とはいえこの判断にはそれなりに議論を呼んでいるようだ*2*3。AffluentialはVerry Elleegantの全弟で、これでMaiden Hurdleから平地のMaidenも含めて3連勝とした。平地ではかなり長くMaidenを使っていたものの上手くは行かなかったようで、元々の血統的背景とここに来て馬が良くなってきた可能性を考えれば楽しみな一頭だろう。ニュージーランド生産馬で、ニュージーランドでは3200メートルのG3競走の勝利もあるLincoln Kingが2着。前々で積極的に運んだFrankenstarが3着。この馬は昨年のGrand National Hurdleにも出走のある経験馬で、この馬を物差しにすれば上位2頭の将来性には期待したいところである。

 

Brandt Grand Annual Steeplechase 

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 5500m (Replay)

1. Count Zero (NZ) J: Darryl Horner T: Symon Wilde

5500メートルというオーストラリアでは最長距離を誇る競走で、飛越する障害数は33と、数だけであればあのAintreeのGrand Nationalさえも上回る。このレースはWarrnambool競馬場の丘に登った大観衆が見守る後継で有名なWarrnamboolのMay Carnivalのメインレースである。レースはRockstar Ronnieが積極的に引っ張る展開も、馬場がいいのか比較的馬群は固まって進行。途中で落馬したRudimentalが馬群に合流するアクシデントもあるが大きな影響は生じず。Rockstar Ronnieは勝負所から後退すると、代わって出てきたBell Ex OneとCount Zeroの叩き合いは内のCount Zeroが凌いで勝利した。

Count Zeroは2020年のJericho Cupの勝ち馬で、その後2022年にHurdleで頭角を現し、2023年のGrand National Hurdleでは2着に入っている。ただしSteeplechaseは2023年の3月にTerangのBM120 Steeplechaseを勝った程度で、前走のBrierly Steeplechaseでは大敗に終わっていた。どうにもBrierly Steeplechaseとは異なりある程度前々で積極的に運んだことがこの馬のパフォーマンスを上げてきた可能性が考えられるそうで*4、戦術の変更が奏功したものと思われるが、今回は良馬場でRockstar Ronnieが淡々とレースを進めたという展開面は考慮しておきたい。外から迫ったBell Ex Oneが2着。元々はイギリスやアイルランド障害競走の経験のある馬で、昨年のGrand national Steeplechaseでも2着の実績がある。67kgという斤量的なところを考えればこちらを上に取るべきだろう。つい前日のBM120 Steeplechaseを勝ったTom Fooleryが追い込んでの3着で、連日の出走にも関わらず気を吐いた。やや惜しかったのがVanguardで、内に切れ込んで来たCount ZeroとBell Ex Oneを避けるために外に切り返す不利があった。Crosshill、InstigatorのAaron Purcell陣営の2頭は勝負圏内には加われず5、6着。Brungle Bertieは後方から進めるもどうにも元気なく7着に終わった。

 

5/3(金)

Punchestown (IRE) Yielding

Boodles Champion Hurdle (G1) 2m45y (Replay)

1. State Man (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

Jack KennedyのIrish Pointが元気に逃げるも直線に入ってState Manが接近。そのまま前に出たState Manが最終障害を越えて前に出ると、Irish Pointを2馬身ほど突き放して勝利した。

State Manは今シーズンはこれで5戦無敗、G1は計5勝目とした。ここまでHurdleでは2022年2月のMaidenからChampion Hurdle (G1)にてConstitution Hillに敗れた以外は無敗という素晴らしい成績を収めており、今回も改めて盤石の強さを示す内容であった。そのIrish PointはまたしてもState Man相手の敗戦で、Cheltenhamではだいぶ展開的な助けがあったにも関わらず2着に敗れているように、現時点での力量差ははっきりしていると言えるだろう。ただしIrish Point自身は24fにも適性があるものと考えられそうで、同厩舎のTeahupooとの兼ね合いでこちらに回ってきたものと思われるが、引き続きレース選択には注意しておきたいところである。

 

Alanna Homes Champion Novice Hurdle (G1) 2m4f140y (Replay)

1. Ballyburn (IRE) J: Paul Townend T: Willie Mullins

Mirazur Westがのんびりと逃げる展開も、コーナーを回って出てきたBallyburnがJetara以下を振り切って勝利した。

BallyburnはこれでLeopardstownのTattersalls Ireland 50th Derby Sale Novice Hurdle (G1)から3連勝とした。Cheltenhamではかなり強い競馬を見せていた一方で今回はやや騎手が手を動かして出していくようなレースとなったが、おそらくこれは馬場やコース形態、及び展開の違いによるもので、あまり気にする必要はないだろう。FairyhouseのHoneysuckle Mares Novice Hurdle (G1)からの参戦となった牝馬Jetaraが2着。ここでは比較的レース経験の多い馬であるが、牡馬・セン馬相手に2着という結果は今後牝馬戦線を歩むのであればそれなりに強調できる内容となりそうだ。Predators Goldは外を立ち回って進出したがその後脱落して離れた3着。マイペースで進めたMirazur West、Jimmy Du Seuilといずれもだいぶ離された入線で、上位勢とは力量差がありそうだ。

 

5/4(土)

Punchestown (IRE) Soft

〇 Donohue Marquees Cross Country Chase 3m90y (Replay)

1. Stumptown (IRE) J: Sean Flanagan T: Gavin Cromwell

Punchestown Festival最終日。A Rated、Foxy Jacksなどがやや飛ばしていくも早々に脱落。第19障害の前から先頭に立ったStumptownがFameaftertheglory以下を振り切って勝利した。Stumptownはつい先日のLa Touche Cupにて空馬にぶつかられて落馬していた馬だが、今回は結果を残した。元々はCheltenhamのKim Muir Challenge CupにてAngels Dawnの2着など長い距離のHandicap Chaseにて実績のある馬で、前走からBank Courseに参戦していた。どうしてもPtPの出身馬等はレーティング的に格下評価されるため12st7lbの斤量を背負っていたがしっかりとしたレース振りで、まだ7歳と楽しみな馬になりそうだ。昨年からCross Countryに参戦している同厩舎のFameafterthegloryが2着。Saddler Maker産駒のGenoisが3着に入った。

 

Irish EBF Mares Champion Hurdle (G1) 2m4f118y (Replay)

1. Lossiemouth (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

Rachael BlackmoreのTelmesomethinggirlがやや後続を引き離して逃げるも、残り3障害辺りで早々に脱落。代わって前に出てきたLossiemouthがそのままGala Marceauを突き放して勝利した。

Lossiemouthはこれで今シーズンは3戦無敗、アイルランドでは2023年のDublin Festivalにて馬群の中に閉じ込められてGala Marceauに敗れた以外は無敗とした。元々牝馬戦線か16f Hurdle戦線かという動向で注目された馬で、期待通り牝馬戦線では圧倒的な強さを見せている。次のシーズンの目標はおそらくChampion Hurdleだろういうということで、その走りは引き続き楽しみにしたい。Gala Marceauはこれまでにも散々Lossiemouthに敗れているとおりアイルランドでの力量差ははっきりしており、今回も同様のレースであった。昨年はこのあとAuteuilのPrix Alain Du Breiul (G1)にてLosange Bleuを下して勝利しており、フランスに遠征するのであれば期待したいところである。

 

Champion Four Year Old Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. Kargese (FR) (AQPS) J: Paul Townend T: Willie Mullins

Joseph O'Brien陣営のNurburgringが前を伺うも、これを制してEastern Legendが先頭に立つ展開となる。しかし再度前に出たNurburgring、さらにこれをBottler'secretが追いかけるも、さらに大外から伸びてきたKargeseがこれらを差し切って勝利した。

KargeseはCheltenham、Aintreeといずれも僅差の2着に敗れていたが、今回はようやく結果を残した。ここまで比較的前目で積極的に運ぶレースを見せていたが、今回は一転して後方で我慢するレースであった。最後の直線では平地競争のようなポジションからの差し切り勝ちを見せており、コントロールさえできればこのくらいのトップスピードは持っているということなのだろう。フランスではGoliath Du Berlaisを筆頭に後継種牡馬争いが激化するSaint Des Saintsの産駒としてアイルランドに移動したJeu St Eloiの産駒として頑張って欲しいところである。重賞2連勝で挑んで来たBottler'secretが善戦して2着。ex-flat horseのNurburgringが3着、やはり元々は平地競争でデビューしたStorm Heartと続いた。

 

Auteuil (FR) Collant (4.3)

〇 Prix Du Vivarais (Classe 2)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, en courses de haies, depuis le 1er janvier de l'année dernière inclus, couru trois fois. 3600m (Replay)

1. Jeu De Thaix (FR) (AQPS) J: James Reveley T: Mme Daniela Mele

淡々と前に行ったJeu De ThaixがJeune Roi Bleu以下を振り切って勝利した。Jeu De ThaixはこれでHaiesは3連勝とした。元々はPrix De CraonというAQPS限定の平地G1競走を勝利した馬で、昨年秋から転向したHaiesでは破天荒なレース振りでの圧勝劇で話題を集めていた。今回はそのような素振りはあまりなく、比較的落ち着いて走ることが出来ていたことは今後に向けて楽しみな内容だろう。2022年にListed競走を1走したのみのJeune Roi Bleuは2年近い休養からの復帰戦であったが、Jeu De Thaixに食らいついての2着。まだ5歳と若い馬で、無事にレースに出走することが出来るのであれば楽しみな存在になりそうだ。10歳馬Echo De Champdouxが3着。平地競争ではPrix Michel HouyvetというListed競走の勝利もあり、7歳になるまで比較的長い距離の平地重賞で活躍したMeasure of TimeはこれがHaies初戦で、後方から脚を伸ばして4着に入った。ex-flat horseにありがちな口向きの悪さのようなところはあまりなく、ベテランらしい落ち着きのあるレースをしていたことは好感が持てる内容だろう。

 

Waikato Thoroughbred Racing @ Te Rapa (NZ) Soft7

〇 Modern Transport Group Hurdle RST OPN HDL SWP 2800m $30,000 (Replay)

1. English Gambler (AUS) J: Hamish McNeill T: Lauren Brennan

例によって後続を大きく突き放してEnglish Gamblerが大逃げを打つ展開も、2周目から後続が接近。しかしここから再度加速したEnglish GamblerがMont Ventoux以下を振り切って勝利した。

English GamblerはHurdleはこれで4勝目とした。基本的にかなり前向きな気性でスピードを生かした軽快な逃げを武器にしている馬だが、一方で後続が殺到してくるとあっさり苦しくなるようなところがあり、成績的には大敗と快勝を繰り返しているようなところがある。今回はSoft7と比較的軽い馬場も味方したものと思われるが、道中でやや息を入れることに成功しており、このようなレースができるのであればもう一段階上に行ける可能性もあるのだが、どうだろうか。未勝利馬Mont Ventouxが66kgの軽量を生かして2着に来た。昨年Maidenを勝ったLochwinnochが3着。昨年のGreat Northern Hurdle (PJR)で2着のあるベテランTahuroa Hightは4着に終わったが、シーズン初戦としてはこれで十分な内容だろう。

 

〇 Ken Roger Browne Memorial RST OPN STP SWP 3900m $30,000 (Replay)

1. Hey Happy (AUS) J: Dean Parker T: Kevin Myers

トップハンデのRaucousとHey Happyが並んで引っ張るも、最終コーナーを回るところからHey Happyが先頭に。そのままHey Happyが後続を振り切ると、Torque Timeに19馬身差をつけて快勝した。Raucousが2着に入った。

Hey HappyはSteeplechaseは昨シーズンのOPN STPに続く2勝目とした。シーズン初戦のRST OPN STPではAfterallthistimeの3着に敗れているが、しっかりとした生垣障害を使用するTe Rapaにてパフォーマンスを上げてきたことで今シーズンのSteeplechase路線の有力候補の一頭として楽しみな存在となったと言えるだろう。そのAfterallthistimeの2着に入ったTorque Timeがまたしても2着。この中では比較的実績のあるRaucousが3着に入った。Renegade Fighterは前半からやや飛越等に苦労するところがあったようだが、頑張ってあまり差のない4着と完走したようだ。飛越等が向上して来れば楽しみな存在となるだろう。

 

Great Meadow (USA) Good

Commonwealth Cup Stakes (G1)

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES PURSE $150,000. Handicap Hurdle for Four Year Olds and Upward. Two And One Eighth Miles On The Hurdle (Replay)

1. Rampoldi Plan (USA) J: Jamie Bargary T: Leslie Young

今年から新設されたGreat MeadowのG1競走。レースはブリンカーを付けたWest Newtonがやや後続にリードを取って積極的に引っ張るも、じわじわと後続が接近。向こう正面から前に出てきたRampoldi PlanがそのままWest Newton以下を振り切ると、追いかけてきたWelshmanを凌いで勝利した。

起伏のあるGreat Meadowの美しいコースを使用した競走で、2マイル戦とはいえなかなかタフな競走が展開されている。個人的には単調なSaratogaのコースよりもこちらの方が好みであるが、どうだろうか。Rampoldi Plan自身はHard Spun産駒のアメリカ生産馬だが、元々はイギリスの平地競争でデビューしている。2023年からアメリカに移籍し、昨年のこの開催でMaiden Hurdleを勝っていたようだ。その後はAllowanceを使うも勝ち星は挙げられず、今回はやや低評価での勝利となった。昨年のこのレースの前身となるDavid Semmes Memorial (G2)を勝ったWelshmanが2着だが、その後はあまりいいところはなく終わっており、どうしてもメンバーの水準的なところには気を付けた方がいいかもしれない。L'Imperatorがいつも通り後方から押し上げての3着。Awakened、West Newtonと続いた。

 

Virginia Gold Cup Stakes

FOR FIVE YEAR OLDS AND UPWARD. Four Miles On The Timber $75,000 (Replay)

1. Schoodic (USA) J: Graham Watters T: Jack Fisher

レースはBogey's Imageがのんびりと引っ張る展開で、これにSchoodicがついて行く。第17障害から前に出たSchoodicをめがけて後方からAwesome Adrianが進出し、一時は前に出てくるも、最終障害を越えて再度差し返してきたSchoodicがこれを捉えて勝利した。

Schoodicは今年で14歳となるベテランで、このレースは2021年に続き2勝目とした。全体的に難易度の高いTimberの障害にも関わらず長年の経験に裏打ちされたスムーズな飛越を見せており、その技術はここでも卓越したものを見せていたが、それ以上にこれだけの高齢馬が4マイルの距離を前向きに走り、先に抜け出したAwesome Adrianを差し返すだけの持久力と精神力を有しているということは驚異的なパフォーマンスであろう。前走Grand National Timberを勝利したAwesome Adrianは一気の距離延長を気にしてか慎重に進めたが、最後は差し返されての2着。とはいえこの馬もSchoodic相手にここまで立ち回ることが可能であることを示した収穫のあるレースであった。Grand NationalのAllowanceを勝ってきた上がり馬Bogey's Imageは積極的に運んでの3着に入った。

 

Speedy Smithwick Memorial Stakes

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES FOR FOUR YEARS OLD. 148 lbs. Winners, other than claiming, Two And One Eighth Miles On The Hurdle $50,000 (Replay)

1. Clifton Down (IRE) J: Jamie Bargary T: Leslie Young

前半から大きな飛越を繰り返して前に行ったLightning Ridgeがやや後続にリードを取って引っ張るも、Waterを越えた辺りから後続が接近。最終コーナーの前から前に出たClifton DownがHaint Blue以下を振り切って勝利した。

Clifton Downはアメリカ移籍後これが初勝利とした。元々はフランスの平地競争でデビューした馬のようだがアメリカ移籍後はHurdle戦に参戦し、昨年のCharlestonのAston Cup StakesでLightning Ridgeの2着に入っている。前走Maidenを勝ったばかりのHaint Blueが2着。そのAston Cup Stakesを勝ってきたアメリカ生産馬Lightning Ridgeはやや前半から飛ばし過ぎた感のある3着で、雨が降って馬場が重くなっていた可能性も考えられることを踏まえると、このあたりの力関係はもう少し慎重に見た方がいいかもしれない。

 

5/5(日)

Merano (ITA) Tempo Bello Terreno Morbido

Lunedi' Di Pentecoste - Memorial Ludovica Albertoni Euro 25,000

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeplechase - Listed - Fantini) 3900m (Replay)

1. Gangster De Coddes (FR) J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

早々にBurschiとGracieux Du Logisがスタンド前の大障害で落馬。淡々と逃げたGangster De Coddesがそのまま逃げ切り勝利した。終盤の生垣障害で後方のLady In The Lakeも落馬していたようだ。

Gangster De Coddesは2023年のGrande Steeplechase D'Europa (G1)にてFirst of Allの2着など実績のある馬で、今年も同レースに向けて有力候補の一頭として期待される馬である。かつてはやや暴走気味に飛ばすこともあったのだが、8歳となった今年初戦においてそのような口向きの悪さはなく、淡々とレースを運んでいたことは好ましい材料だろう。Raffaele Romano陣営のBallinscoは強敵相手に健闘しての2着。昨年のSteeplechase D'Italia (G2)を勝ったBurschi、昨年フランスから移籍したGracieux Du Logisはいずれも早々に落馬に終わり、出走馬5頭中3頭が落馬と、完走率の面からはやや残念なレースとなった。

 

Dielsdorf (SWI)

109. GROSSER PREIS DER STADT ZÜRICH

CHF 20'000 - Jagdrennen - 4300 Meter - 4jährige und ältere Pferde (Replay)

1. Fandango (FR) (AQPS) J: Carina Schneider T: Jürg Langmeier

チェコからSwinging Thomasを迎えて行われた。レースは芦毛のGuardamarが前に行く展開で、Hitech、Fou De Reveと追走。途中の生垣障害からHitechが前に出てくると、一時はやや後続にリードを取って引っ張る。しかし後方から進出したFandangoが最終コーナーの辺りからHitechに並んでいくと、これを僅差凌いで勝利した。Fou De Reveが3着。

Fandangoはスイス移籍後の障害戦では初勝利とした。昨年のこのレースでは3着、Grosser Preis Des Kantons Aargauでも3着、Grosser Preis Der Schweizでは2着と頑張っていたようだが、ようやくここに来て結果を残したことになる。昨年はTrevisoにも遠征しSteeplechase Di Trevisoに出走するも勿体ない落馬に終わっており、今年はいいことがあって欲しいものである。昨年のPreis Der Freunde Des Hindernissportsを勝ったHitechが積極的に運んで2着。この路線ではすっかり常連でSt MoritzのSkikjöringにも出走していたFou De Reveが3着で、このあたりは立ち回りの差だろう。チェコから遠征した実績馬Swinging Thomasは案外な敗戦で、やや道中追走に苦労していたような仕草を見せており、今回は比較的器用さが要求されるスイスSteeplechaseには珍しくHitechが早いペースで運んだような展開となったものと思われる。

 

Bro Park (SWE) Steeplechase god, Häckbana god,

SWARTLINGS MEMORIAL 54.000 kr

För 4-åriga och äldre hästar. 3450 hä (Replay)

1. Impact of Bloom (SWE) J: Henrik Engblom T: Henrik Engblom

この日から始まったスウェーデンの障害競馬シーズンであるが、今年からATGが障害競馬に関する中継及び馬券の発売を提供しないことが決まっていたため、その代替としてHindersport - Svensk GaloppのYoutubeチャンネルにて競馬中継及びレース映像の提供が開始されたようだ。是非チャンネル登録されたい。中継はドローンも使用したもののようで、過去のレース映像は比較的単調でどうにもレースの見栄えの面でいまいちだったのだが、今回はなかなかその質もよさそうで、ATGの愚策が競馬開催にあまり影響が出ないことを願いたい。

レースは芦毛のLatourが前に行く展開で、Impact of Bloom、Duesenbergなどが好位から。そのままLatourが先頭で最終コーナーを回るも、外から迫ったImpact of Bloomがこれを捉えて勝利した。

Impact of BloomはBarocci (JPN)の産駒で、Hurdle自体は2022年から参戦している。昨年のNovice競走を勝利したことに引き続いての2勝目だが、今回はどうにも馬場が重かったようで、その中を好位で立ち回った利はありそうだ。昨年11月のSorrento National Hunt Flatを勝ったLatourが上手く逃げての2着。スウェーデンのHurdleチャンピオンMonsieur Vicは外に切り替えてじわじわと追いかけたが僅差の3着まで、74kgのトップハンデの分を考えれば十分な内容だろう。

 

TRUCKERS GLORY MEMORIAL 45.000 kr

För 5-åriga och äldre hästar som ej segrat mer än 2 gånger. 3500 st (Replay)

1. Don Diablo (IRE) J: Elliot Öhgren T: Lars-Åke Enström 

スタート直後から前に出てきたLast Referenceがやや元気に引っ張る形となるも、番手にいたFrench Warriorなどが早々に接近。Beatthebulletは早々に遅れる。そのままLast Referenceに並んでいったDon Diabloが最終コーナーから前に出ると、そのままLast Referenceを振り切って勝利した。

Don Diabloは元々アイルランドで走っていた馬だが、スウェーデンではこれが初勝利とした。元々はGordon Elliott陣営にいた馬であまりアイルランドでの目立った実績はなく、スウェーデン移籍直後もあまり順調には行かなかったようだが、ここにきて軌道に乗ってきたのであれば楽しみな存在になるだろう。アイルランドWillie Mullins厩舎にてPunchestown FestivalのNHFのG1にも騎乗したElliot Öhgren騎手にとっては嬉しいシーズン初勝利となった。積極的に逃げたLast Referenceが2着。French Warrior、Leo The Lionはやや遅れた。