にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

23/04/30 Weekly National Hunt / Jump Racing

4/26(火)

Punchestown (IRE) Yielding to Soft

Champion Novice Hurdle (G1) 2m100y (Replay)

1. Facile Vega J: Paul Townend T: Willie Mullins

この日から始まったPunchestown Festival。レースは序盤から元気よくDivergeが逃げる展開。スタート直後は後ろにいたIl Etait Tempsがするすると前に取り付いてくるも中盤で大きなミス。好位にいたFacile Vegaも大きなミスをするもそこから立て直し、逃げたDivergeを早々に競り潰すと、ついてきたIl Etait Tempsを振り切って勝利した。

Facile Vegaは貫録の勝利とした。LeopardstownではHigh Definitionに絡まれて大敗、Supreme Novices' Hurdle (G1)ではMarine Nationaleの2着に終わっていたが、今回はここまで決着済みのメンバー相手に順当な勝利を挙げた。とはいえ今回はかなり楽な展開における余裕のあるレースで、むしろ途中の大きなミスが気になるところでもある。Il Etait Tempsは前半こそFacile Vegaを早々に目標にして乗っているところもあったのだが、とはいえ途中の大きなミスでプランが狂った感もある。無欲の騎乗を見せたNo Looking Backが最後までついてきて3着に入った。Frankel産駒のDivergeは今回は積極的に運んだが、やはりこのメンバー相手に逃げて前で張り続けるのは厳しかったようだ。

 

Champion Chase (G1) 2m (Replay)

1. Energumene J: Paul Townend T: Willie Mullins

Queen Mother Champion Chaseを圧勝したEnergumeneが圧倒的人気を背負っていた。レースはRachael BlackmoreのMagic Dazeがかなり速いペースを作っていく展開で、好位からEnergumene、Gentleman De Mee。その後ろからChacun Pour Soi、Blue Lord。第4障害、残り3障害地点でEnergumeneは大きなミス。早々に後退したMagic Dazeを交わしてGentleman De Meeが前に出るも、じわじわと差を詰めてきたChacun Pour Soiが最終障害で先頭に。しかしこれに迫ったEnergumeneがゴール前でChacun Pour Soiを捉えて勝利した。

Energumeneは貫録の勝利とした。基本的に逃げなければどうしようもないタイプのMagic Dazeとは異なり速いペースでレースが進行してこの馬なりのスピードを妨げずに進められていればポジションにはこだわらないタイプで、内容的にはさすがに能力の高さを示すものであった。ただ、道中の大きなミスはどうにも気になる内容で、むしろリズムの悪さにも関わらずしっかりと格好をつけたことを褒めるべきかもしれない。11歳となったChacun Pour Soiは16fに戻って結果を残した。最近は本質的に合わない20~24fを試したことに加え、年齢的なところがかなり大きかったような感はあるのだが、とはいえやはりトップクラスの16f Chaserとしてのスピードは非常に優秀なものを持っている馬で、本来の16f Chaseのスピードが生きる展開であればまだこれだけやれるということかもしれない。Blue Lordは展開的にはやりやすかった馬なのだが前2頭には迫れず。Gentleman De Meeも最後は脱落して4着に終わった。Magic Dazeは気性的にかなり難しいところがあるようで、ここでは玉砕覚悟で前に行くしかないというのが現状だろう。

 

Champion Novice Chase (G1) 3m60y (Replay)

1. Feronily J: Donagh Myler T: Emmet Mullins

Feronilyを制してJourney With Meが前に出てくるも、途中から再度Fernilyが前に出て引っ張る。これにAppreciate It、James Du Berlaisなどが接近するも、これらを振り切ってFeronilyが勝利した。

Emmet Mullins調教師はこれが嬉しいG1初勝利のようだ。FeronilyはChaseは2戦目、今シーズンから障害戦を使い始めた馬で、昨年11月にPtPのMaidenでデビュー、そこからNHFを2戦、Hurdleを2戦、そしてChaseを2戦という驚くべきステップアップに成功している。それもHurdle及びChaseでは転向初戦から重賞にぶつけてくるというやや驚きのレース選択で、このステップアップに成功したこの馬のポテンシャルは来年以降なかなか楽しみなものになりそうだ。やや行きたがって走る面はあったのだが、ミスを連発していた人気馬Journey With MeやSir Gerhardと比べて飛越面でも安定しており、この飛越で安定して24fを走り切るというのは大したものである。これが初の24fとなるAppreciate Itは見せ場十分の2着で、元々16fで結果を残してきた馬とはいえ、距離的なところでは問題はないようだ。James Du Berlaisはリズムよく運んだが最後は突き放されての3着。Sir Gerhardは早々にミスを連発し、そこからリズムを崩したのか脱落して途中棄権に終わった。

 

〇 Kildare Hunt Club Cross Country Chase For The Ladies Perpetual Cup 3m1f (Replay)

1. Three By Two J: Mr. Power Roche T: Dermot Murphy

マチュア騎手限定Cross Country。War CallとLesssaidthrebetterが後続を大きく引き離して引っ張るも、じわじわと後続が接近。途中から前に出てきたVital IslandがSubsetを振り切って逃げ込みを図るも、最終障害で並びかけたThree By Twoがこれを捉えて勝利した。Three By TwoはいわゆるPointerで、今年の3月にBorris HouseのMaidenを勝利している。これが初のCross Countryと思われるが、10st7lbの軽量と調子の良さもあったようだ。飛越は前半こそ怪しいところもあったが後半には改善が見られていた。この路線では長くなったVital Islandは安定したレースで2着。昨年もこのレースを勝利しているほか、今年もKnockanardのOpen競走(Banks Course)を勝利している。

 

4/26(水)

Punchestown (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

Irish Mirror Novice Hurdle (G1) 2m7f180y (Replay)

1. Gaelic Warrior J: Paul Townend T: Willie Mullins

Punchestown Festival2日目。レースはFavori De Champdouがゆったりと逃げる展開で、馬群は比較的密集し進行。ここから馬群をひらすら縫って出てきたGaelic Warriorが最終障害あたりで抜け出すと、そのままAffordale Furyに10馬身差をつけて勝利した。

Gaelic WarriorはBallymore Novices' Hurdle (G1)の2着馬で、G1自体はこれが初勝利とした。フランスからの移籍後すぐにBoodles Juvenile Hurdle (G3)でBrazilの2着に入るなど高い能力を示してきた馬だが、なぜかその後はハンデ戦を使われるなど別路線を歩むようなところがあった。上記Ballymoreでもやや穴人気的な立ち位置に収まっていたが、やはり持っている能力自体は一線級で、今回は初の24f戦であったが内容的には完勝だろう。Paul Townend騎手がやたらと馬群を抜けてくることにこだわっていた理由はよくわからないが、少なくともFavori De Champdouのスローペースでレースが進行する中、馬群の狭いところをきっちりと抜けてくるあたり、ここでは能力は違っていたものと思われる。Albert Bartlett Novices' Hurdle (G1)でStay Away Fayの2着のあるAffordale Furyは恰好はつけたが、内容的には勝ち馬を褒めるべきだろう。

 

Punchestown Gold Cup (G1) 3m30y (Replay)

1. Fastorslow J: J J Slevin T: Martin Brassil

BravemansgameとGalopin Des Champsの再戦ということで注目が集まっていた。レースはそのBravemansgameがゆったりと引っ張る展開で、好位からFastorslow、Envoi Allen。Galopin Des Champsはその後ろから。Galopin Des Champsはじわじわと進出し、レース終盤にかけて前のBravemansgameに並んでいくが、好位から出てきたFastorslowが逃げるBravemansgameを競り落として勝利した。2着には盛り返してきたGalopin Des Champsが入った。

Bravemansgame及びGalopin Des Champsはいずれもフランス生産馬で、どちらかというと身体能力の高さから繰り出される高いスピードの持続性能とパワーを武器とするタイプであり、これは重馬場のCheltenham Gold Cup (G1)においてAhoy Senorのような強力な先行馬がかなり強気にペースを作っていくところを涼しい顔で追走し、さらにそこから坂の起伏を利して加速していくというレースを可能にしている。一方で今回はそのような先行馬は不在であり、BravemansgameとしてはCheltenhamの最後の上り坂で置いていかれたGalopin Des Champsを警戒してだいぶのんびりとしたペースを作っている。加えて、Galopin Des Champsに騎乗したPaul Townend騎手としては前走のCheltenhamにおいて意図的に馬群に入れて馬を抑えつつ走らせた成功体験が尾を引いているようで、この馬の持ったままのペースでは前を交わせないと騎手が認識するまで無理することなく追走している。Fastorslowは昨年12月のJohn Durkan Memorial Punchestown Chase (G1)ではGalopin Des Champsから21馬身差の大敗に終わっていた馬で、どうやら24fが向いたらしくUltima Handicap Chase (Premier Handicap)ではCorach Ramblerの2着に入っていたものの、実績的には普通に考えればここでは足りない馬である。英愛Chaseとしてはこれが4戦目ということを考えるとかなり上がり目があった馬という考え方もできそうで、前走も11st9lbを背負っての2着というのは素晴らしい結果ではあるのだが、とはいえ展開的にはCheltenhamとはまるで違ったものとなっていることもまた事実であり、この走りが本物であるかは次のシーズン以降注意したい。Martin Brassil調教師はHandicapではほぼトップハンデを背負うことになるためこちらに回ってきたという話をしているようで、近年イギリス・アイルランドのG2~G1では小頭数の競争が問題となっているが、このクラスのレースを使ったことによって引き起こされるハンデキャップ上の問題は考慮されるべきだろう。このクラスでは勝負にならず、かといってHandicap戦では厳しい斤量を背負わされて難しい状況に置かれている馬が一定数存在するように思われる。

Galopin Des Champsはじわじわ差を詰めて2着に入った。Cheltenhamでは脚の上がったBravemansgame以下を尻目に一頭最後までスプリントを掛けることに成功しており、24fの距離自体にも問題があるとは思えないことから、より強気に立ち回った方が良かったかもしれない。ただし、一方で今シーズンは既にかなり厳しいレースを消化してきたという経緯もあり、そろそろ疲労面での問題もありそうだ。Bravemansgameも同様だろう。Ryanair Chase (G1)を勝ってきたEnvoi Allenはやや遅れての4着。遅れたとはいってもBravemansgameに14馬身差であり、本来このメンバー相手にどうこうということはなさそうであることを考えると、やはり展開面での助けがあったような感もある。Fury Roadはどうにも前半から飛越がいまいちで、特にレースには参加できず大敗に終わった。

 

4/27(木)

Punchestown (IRE) Good to Yielding

La Touche Cup Cross Country Chase 4m2f (Replay)

1. Vital Island J: Mr. Benny Walsh T: Richie O'Keeffe

Punchestown Festival恒例のCross Country競走。レースはThe Red MenaceやMichael's Pickなどが前に行く展開も馬群は密集して進行。少しずつ前に出てきたVital IslandがStealthy Tomを引き連れて残り2障害あたりから先頭に立つと、最後盛り返してきたStealthy Tomを振り切って勝利した。

Vital Islandは今年で11歳になるBank Course Specialistで、今年のPunchestown Festivalでは2走目となる。1戦目でも安定した飛越を武器に2着に踏ん張っていたが、今回も変わらず安定したレースを見せた。Stealthy Tomに対しては7lbの斤量差があったが、残り2障害地点の飛越で前に出たことで最後までぎりぎり凌ぎ切ることに成功したと言えよう。今年のP.P Hogan Memorialを勝ったStealthy Tomは惜しい2着で、こちらも安定したレースで前に迫った。Michael's Pick、Blast of Koeman、Midnight Maestroと続いた。

 

Champion Stayers Hurdle (G1) 2m7f130y (Replay)

1. Klassical Dream J: Paul Townend T: Willie Mullins

Rachael BlackmoreのSummerville Boyが積極的に前に行くも、早々にペースは落ち着いてレースは進行。好位から進めたAsterion Forlongeがじわじわと追い上げてきたSire Du Berlaisを引き連れて抜け出しを図るも、さらに外に切り替えて追い込んできたKlassical Dreamがこれらとの叩き合いを制して勝利した。Teahupooは4着に終わった。

Klassical Dreamはこのレースは3連覇とした。どうやら今年はCheltenhamに向けての準備があまりよくなかったようで、Cheltenhamでの大敗は無視してよかったということだろう。この年になってもやや前向きに走るきらいはあるのだが、基本的には高いスピードの持続性能を武器とするタイプの馬で、今回はSummerville Boyがあまり強力なペースを作らない中、意外にも真面目に走ったSire Du Berlaisがある程度強気に前に出ていったことで結果的にこの馬のロングスパート能力が生きる格好となった。2着のAsterion Forlongeは見せ場十分の2着で、ある程度Sire Du Berlaisに絡まれたとはいえ、最後はこれを退けたというのは十分な内容だろう。Sire Du Berlaisはやはりここまでゆったりとしたペースだとこの馬本来のしぶとさは生かせないようで、ある程度自身で前に出ていったとはいえ、できればもう少しペースは上がって欲しかったものと思われる。

 

Berverstown Castle Novice Chase (G1) 2m (Replay)

1. El Fabiolo J: Paul Townend T: Willie Mullins

El Fabioloが圧倒的な人気を集めていた。レースは例によってDysart Dynamoが元気に前に行く展開も、好位からEl Fabioloが余裕をもって追走。そのまま最終障害前で先頭に出てきたEl FabioloがDysart Dynamo以下をあっさりと突き放して勝利した。

El FabioloはこれでChaseは4戦無敗とした。今シーズンの16f Novice Chaseには快速馬Dysart DynamoやJonbonがいるのだが、これらの馬が作り出すハイペースを悠然と追走し、そこからしっかりと脚を伸ばし切るレースは正に強力な16fの馬といったところで、次のシーズンにおいて大いに期待が持てる内容だろう。飛越自体にもと特段問題はなく、この時期のNovice馬として十分な完成度を有するようだ。Dysart Dynamoは例によって元気に進めたが、最後はEl Fabioloから突き放されての敗戦に終わった。この馬の持っている素質もいいものがあるのだが、とはいえEl Fabiolo相手では厳しいというのが現状だろう。基本的にはスピードを生かして逃げの一手という戦術しかないようで、この力量差をひっくり返すにはもう一工夫欲しいのだが、なかなか採れる戦術が少ないところが難しいところである。

 

 4/28(金)

Punchestown (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

Champion Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. State Man J: Paul Townend T: Willie Mullins

淡々と逃げたState Manがそのまま追いかけてきたVauban以下をあっさり振り切って勝利した。State Manはこれで今シーズンのHurdle路線ではG1を4勝とした。Champion Hurdle (G1)にて圧倒的なレースを見せたConstitution Hill相手にはやや分が悪かったようだが、とはいえ今シーズンで引退したHoneysuckle、Vauban、Sharjah相手には完全に決着をつけたといった内容のレースで、現状16f Hurdleのアイルランド代表は完全にこの馬といってよいだろう。今シーズンの16f Novice HurdleにはMarine NationaleやFacile Vegaをはじめ有力な馬もいるのだが、このあたりの馬がState Manにどこまで迫ることができるかが来シーズンの焦点となるだろう。Juvenile Hurdle上がりのVaubanは前に迫ることはできずの2着で、やはりState Manが相手では分が悪いようだ。人気薄のColonel Mustardはひたすらインでじっとして3着に来た。State Manを負かしに行ったというよりはState Manを外から追いかけた結果苦しくなった馬を交わしたという内容のレースで、この馬の実績を考えればこれで十分だろう。

 

Champion Novice Hurdle (G1) 2m3f80y (Replay)

1. Impaire Et Passe J: Paul Townend T: Willie Mullins

Champi Kielyがやや積極的に逃げる展開も、好位にいたHigh Definitionがやや執拗に絡んでいく。積極的に前に出ようとしたHigh Definitionは一旦は先頭に立つが、外から迫ったImpaire Et PasseはHigh Definitionを振り切って勝利した。

Impaire Et PasseはこれでHurdleは4戦無敗、G1はBallymore Novices' Hurdle (G1)に続く2勝目とした。当時6馬身ほど突き放したGaelic Warriorはその後Punchestownの24f Novice G1を勝利しており、この馬の能力はもはや疑いようがないところである。20fで勝ってきた馬であることを考えるとこの馬の取り得る選択肢はなかなかに多く、来シーズンのレース選択には注目したい。有力なex-flat horseということでシーズン前には話題を集めたHigh Definitionは見せ場を作っての2着。最初は全くできていなかった飛越面もかなり良くなっているようだが、一方でどうにも引っかかったりズブいところを見せているのは気性的なところもあるかもしれない。Champ Kielyは積極的に運んでの3着だが、High Definitionにも先着されたのはやや案外で、これは前2頭を褒めるべき内容だろう。

 

4/29(土)

Sandown (UK) Good to Soft (Good in places)

Celebration Chase (G1) 1m7f99y (Replay)

1. Jonbon J: Aidan Coleman T: Nicky Henderson

Jonbonの参戦で話題になっていた。レースはEditeur Du Giteが無理をせず、Jonbon及びGreaneteenが先頭に行く展開。向こう正面でややミスをしたJonbonに変わりGreaneteenが目に行き、さらに第8障害から前に出たCaptain Guinnessがそのまま逃げ込みを図るも、これについていったJonbonがCaptain Guinnessを振り切って勝利した。

Jonbonは今シーズンのNovice 16f Chaseのイギリス勢においては筆頭格の馬で、CheltenhamのArkle Challenge Trophy (G1)こそEl Fabioloに敗れていたが、その後のMughull Novices' Chase (G1)では番手にいた馬の落馬もあって43馬身差の圧勝を決めている。今回は初の経験馬相手であったが結果を残した。どうにもGreaneteenが前に入ってきた段階でミスがあったりとまだ怪しいところはありそうだが、とはいえ持っているスピードはここでは桁違いで、来シーズンは大いに期待してよさそうだ。Captain Guinnessは実績馬の意地を見せての2着。この馬も持っている能力的には一線級で、今回は積極的に前に出ていくRachael Blackmoreの騎乗も良かったようだ。Greanetteen、Editeur Du Gite、Funambule Sivolaはいずれも途中から脱落して離れた入線に終わった。

 

bet365 Gold Cup (Premier Handicap) 3m4f146y (Replay)

1. Kitty's Light J: Jack Tudor T: Christian Williams

Kitty's Lightの参戦で話題を集めていた。レースは11歳で12st0lbのトップハンデを背負うFrodonが引っ張る展開も距離を警戒してやや抑えたのか馬群は密集して進行。好位からRed Happy、D'Jango。ここからMoroderが抜け出しを図るも、馬群を縫って出てきたKitty's Lightがこれを捉えて勝利した。

Kitty's Lightはつい先日のScottish Grand National (Premier Handicap)の勝ち馬で、なんと中7日でここに挑んで勝利を挙げたことになる。タフな32f戦、さらにタフな28f戦を連続して勝利するタフネスは恐れ入るものであり、このレースは3度目の挑戦で比較的相性もいいということを考えても大した馬である。Eider Chaseでの好走も考えるとやはり良馬場の30f程度の超長距離戦で強いタイプのようで、まだ7歳ということを考えると引き続き楽しみにしたい馬であろう。DoncasterのClass2を勝ってきたMoroderが2着。どうやら春先に調子を上げるタイプのようで、このまま夏場の重賞クラスを走ってきても面白そうだ。

 

Oaksey Chase (G2) 2m6f164y (Replay)

1. Hewick J: Rachael Blackmore T: John Hanlon

Punchestown Gold Cupに出るとかでないとかいった話もあったHewickだが、結局こちらに回ってきたようだ。レースはHewickが逃げる展開も飛越をミスしてFirst Flowが先頭に。そのままFirst Flowが引っ張るも、再度差を詰めてきたHewickがFirst Flowを振り切って勝利した。

Hewickは昨年のbet365 Gold CupやGalway Plateを勝っている馬で、能力的には順当な勝利とした。ただしKerry National及びCheltenham Gold Cupはいずれも落馬に終わっており、今回もどうにも飛越にミスがあったりと怪しいところがあった。Rachael Blackmoreが早々に前に立って進めたのは飛越のリズムをつかんでいこうという意図があったものと思われるが、どうにも内容的にはまだ飛越面での不安が残る結果となった。11歳馬のFirst Flowは遡ればClarence House Chase (G1)勝ちのある馬だが、ひとまずこの馬なりに元気なようで、積極的に運んで2着に入った。

 

Select Hurdle (G2) 2m5f110y (Replay)

1. Knappers Hill J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

Theatre Gloryがかなりゆったりとしたペースで逃げる展開も、早々に外から追い出したKnappers Hillが先頭に立つと、そのままGoshen以下を振り切って勝利した。

Knappers Hillは今シーズンはElite Hurdle (G2)に続き重賞クラスは2勝目とした。Theatre Gloryがかなりのんびりとしたペースで運びつつ、全体もなかなか追い出しを開始しない中で早々に加速を掛けて最後までしのぎ切ったBryony Frost騎手の強気の騎乗が実を結んだ内容で、どちらかというと決着の仕方としては平地競馬に近いようなニュアンスすらあるレースであった。Goshenはロスなく立ち回って2着。Theatre Gloryは最後まで盛り返して3着、Thyme Hill、Call Me Lordも差のない入線で、あまりこのレースの着順は気にしなくてもよさそうだろう。

 

Punchestown (IRE) Good to Yielding (Yielding in places)

〇 Donohue Solutions Cross Country Chase 3m1f (Replay)

1. Subset J: Mr. Barry Stone T: Peter Maher

Punchestown FestivalのCross Countryとしては3戦目となる。1戦目及び2戦目に出走した馬が多数出走していたが、3全てに出走した馬は今年はいなかったようだ。レースはThree By Two、Blast of Koemanとの叩き合いをSubsetが制して勝利した。Subsetは"Under Rules"ではさっぱりいいところはなく、その後はPtPに戻っていたようだ。3月にはLigstownのBanks Courseでも大敗していたのだが、なぜか前走のLadies Perpetual CupではThree By Twoの3着に入っていた。ここにきて調子を上げてきた理由は不明で、昨年11月のRisk of Thunder Chaseでも落馬に終わっていた馬だけに、なんとも不思議な構想ではある。この路線の常連であるBlast of Koeman、上記Ladies Perpetual Cupを勝ったThree By Twoはいずれも厳しいローテーションであったが頑張って2、3着まで来た。

 

Irish EBF Mares Champion Hurdle (G1) 2m3f20y (Replay)

1. Echoes In Rain J: Paul Townend T: Willie Mullins

Shewearsitwellがやや積極的に引っ張る展開も、早々にBrandy Love、Love Envoiなどが接近。しかし馬群を抜けてきたEchoes In Rainが持ったままでShewearsitwellに接近すると、そのまま余裕残しで後続を突き放して圧勝した。2着にはAnna Buninaが入った。

Echoes In Rainは今シーズンはLimestone Lad Hurdle (G3)に続き重賞は2勝目とした。やはりいいスピードを含めて能力的には確かなところがあるのだが、一方でどうにも行きたがって走るところがあったりと戦術的にはかなり制限がかかるのが現状で、これが今年のCheltenhamのMares' Hurdle (G1)での凡走に繋がっていたりもする。改めてこの馬のできることとできないことが浮き彫りになったレースと言えよう。どちらかというとこの中では格下という評価を受けていたAnna Buninaが頑張って2着に来た。イギリスのLove EnvoiはBrandy Loveが外に膨れるふりを受けて大敗。Epatanteもさっぱりで、そもそも20fが本質的に向く馬ではないことを考えるといくら牝馬相手とはいえややこのレース選択は気の毒である。

 

Champion Four Year Old Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. Lossiemouth J: Paul Townend T: Willie Mullins

人気薄のYour Honorが頑張って逃げるも残り3障害あたりで後続が殺到。ここから抜けてきたGala Marceauを目標に追い出したLossiemouthがZarak The Braveを振り切って勝利した。

Lossiemouthはこれでアイルランド移籍後はHurdleでは5戦4勝、唯一Gala Marceauに敗れたLeopardstownでは道中で大きな不利を受けたことによるものという素晴らしい成績を残した。内容的には明らかに今年のJuvenile Hurdleにおいては一番手の馬であり、むしろ来シーズン以降は相手関係が課題になりそうだ。むしろ頑張ったのが2着のZarak The Braveで、まだHurdleは3戦目とあまり経験のある馬ではないのだが、Lossiemouth、Gala Marceauという今シーズンのJuvenile Hurdleで覇権を争った2頭に割って入ってきた存在ということで期待してよさそうだ。Gala MarceauはやはりLossiemouth相手でとやや分が悪いようで、今回も3馬身ほど遅れた3着に終わった。

 

Auteuil (FR) Collant

Prix Go Ahead (Listed)

Haies Pour poulains entiers et hongres de 3 ans. 3000m (Replay)

1. Jigme J: Ludovic Philipperon T: Marcell Rolland

ゆるゆると先頭を走ったJigmeがそのまま持ったままで後続に12馬身差をつけて圧勝した。JigmeはHaiesはこれで2戦2勝とした。兄弟には平地重賞の勝ち馬がいる血統で、Motivator産駒ということでこの馬をなぜ障害でデビューさせたのかはよくわからないのだが、とはいえ飛越についても特段の問題はなく、内容的にも完全に格上のもので楽しみが広がりそうだ。現時点では未去勢ということも踏まえると種牡馬入りの可能性もありそうで、Motivatorの産駒としてはPrix Alain Du Breil (G1)の勝ち馬For Funが既に種牡馬入りしていることを考えるとなかなかに将来性のありそうな馬である。

 

Prix Amadou (G2)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3900m (Replay)

1. Losange Bleu J: Jeremy Da Silva T: Dominique Bressou

前に行ったLosange Bleuが付いてきたJonca De Thaixを振り切ると、そのままAuthoryty Sevenに4馬身差をつけて勝利した。Losange BleuはこれでHaiesは7戦5勝とした。4歳Haies路線では完全にトップクラスの1頭であり、ここでも能力的には抜けたものを示しているのだが、一方で前走のPrix De Pepinvast (G3)ではSt Donatsを捉え切れずに2着に終わっており、おそらくそのSt Donatsが当面の相手になりそうだ。ここまで善戦を続けているAuthoryty Sevenがまたもや2着。5戦して未勝利の馬だがどうにも不気味な存在で引き続き注意したい。Cokoriko産駒のAQPSであるJonca De Thaixは頑張ってLosange Bleuについていって3着に入った。AuteuilのClasse3~2を連勝した馬だが、やはりLosange Bleu相手にはやや能力的に格下のようで、この馬のできることはやり切った内容だろう。

 

Prix Ingre (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4400m (Replay)

1. Poly Grandchamp J: Bertrand Lestrade T: Francois Nicolle

アイルランドからFranco De Portが参戦していた。レースはPoly Grandchampが引っ張る展開で、Gran Diose、Spes Militurfといった人気どころは後ろから。Poly Grandchampは淡々とレースを進めると、頑張ってついてきたDream Wish、最後追い込んできたFranco De Portを振り切って勝利した。

Poly Grandchampはもはやこの路線ではお馴染みとなった馬で、今年で11歳となる。なにかとこの路線では安定したレースで入着を繰り返しているが、2021年にはPrix La Haye Jousselin (G1)にてCarriacou、Le Berryなどを尻目に勝利した実績もあり、まだ大仕事をやってのける力はあるということで引き続き注目したい。昨年のGrand Steeplechase de Paris (G1)以来となるDream Wishは見せ場十分の2着で、1年ぶりのレースであることを考えれば十分だろう。アイルランドのFranco De Portは飛越にミスはあったが最後盛り返して3着。ここまでしつこくフランスSteeplechaseにチャレンジしてくるアイルランド調教馬はやや珍しく、どうにも不気味な存在である。人気のGran Dioseは案外。このメンバー相手に恰好を付けられれば本番も楽しみな存在となったのだが、前からはやや離れた4着と残念な内容であった。Spes Militurfはどうも飛越にミスが多く、好位から手ごたえ良く進めたのだがそこから脱落して5着に終わった。

 

Glyndon (USA) Soft

Maryland Hunt Cup Timber Stakes

FOR FIVE YEAR OLDS AND UPWARD. Four Miles On The Timber $100,000 (Replay)

1. Withoutmoreado J: Conor Tierney T: Katherine Neilson

2021年は96馬身、2022年は54馬身差でこのレースを圧勝し、このレースは3連覇がかかる14歳馬Vintage Vinnieの参戦で注目が集まっていた。レースは例によってそのVintage Vinnieが引っ張るも、今年はWithoutmoreado、Royal Ruseの2頭がついていく。第18障害までは前を走ったVintage Vinnieはいっぱいになって途中腱。代わって前に出たWithoutmoreadoがRoyal Ruseを振り切って勝利した。

WithoutmoreadoはTimberの経験自体は長い馬で、昨年のWillowdale SteeplechaseではAndi'amuの2着に入っている。ただし昨年のInternational Gold Cup、今年のGrand Nationalではいずれも大敗に終わっており、ここではやや意外な勝利となった。ここ2年程の良馬場と異なり今年は馬場が重かった影響もありそうで、難易度の高い障害を用いる4マイル戦というアメリカの中でも特異な条件での勝利がどこまで本物であるかは引き続き注目したい。Hat Trick産駒のRoyal Ruseは見せ場十分の2着だが、2021年のMaryland Hunt CupではVintage Vinnieの遥か後方を走っていたことを考えると、どうにも馬場条件というところもありそうだ。3連覇を狙ったVintage Vinnieは14歳馬とは思えないレースを見せた。ただし2020年のAllowanceではSoftの馬場でRoyal Ruseに大敗していたりというところはありそうで、14歳という年齢的なことを考えると、この馬の土光にはしばらく注意しておきたい。

 

その他

Package of changes agreed to help strengthen performance of British Jump racing (BHA)

BHAは2023/24シーズンにおける重賞及びListed競走に関する変更について発表した。Tolworth HurdleがAintreeに移動するほか、複数のNovice重賞の削除、シーズン終わりにおける16f HurdleのG1の将来的な導入等が提示されている。

'His legend will live on' - tributes paid as fairytale Welsh Grand National winner Dream Alliance dies aged 22 (Racing Post)

Welsh Nationalの勝ち馬で映画「ドリーム・ホース」「ダークホース」のモデルにもなったDream Allianceが22歳で亡くなったそうだ。前者は日本でも上映され、競馬ファンを中心に一定の話題を集めたようだ。

'He filled our world with love and we'll never forget him' - Lucinda Russell leads Mighty Thunder tributes (Racing Post)

2021年のScottish Grand Nationalの勝ち馬で、今年の同レースののちに動脈瘤で亡くなったMighty Thunderに関する記事。

Jumps Racing Returns Today! (Youtube)

この週のHawera開催からニュージーランド障害競馬シーズンが始まった。近年は苦境が続くニュージーランド障害競馬だが、少なくともYoutube上では積極的にプロモーションも行っているようで、なんとか浮上のきっかけを掴んでほしいところである。

Racing: Mark Walker jumps at opportunity to go racing over the winter season (nzherald.co.nz)

今シーズンは計172勝を挙げ、賞金額・勝利数の両方でニュージーランドリーディングを独走するMark Walker調教師はどうやら障害競馬に本格的に参入することを計画しているようで、最大10頭の障害馬を用意しているそうだ。ニュージーランド障害競馬はその殆どがKevin Myers及びPaul Nelsonの2厩舎のみによって支えられている状況で、Mark Walker厩舎のような大厩舎の参戦は障害競馬において非常に明るい話題といっていいだろう。

オンラインカジノで賭博疑い 京都府警30代男性巡査書類送検 (NHK)

内容についてはタイトルの通り。当ブログでは再三注意喚起しているが、海外競馬関連情報サイトによってはブックメーカーの利用を推奨するものもあり、SNS等にはおそらく国内から利用していると思われる個人も見かける。くれぐれも注意されたい。