にげうまメモ

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19/09/28 Italy Racing / Crystal Cup

*Merano Tempo Bello - Terreno Morbido

Steeplechase D'Italia - Momorial Mario Argenton Euro 40.000 TRIO 3900m

per cavalli di 4 e 5 anni (Steeplechase - Gruppo II - Fantini)

http://webtv.awsteleippica.com/index.php/video/69409/corsa-01-galoppo-merano-280919#

前半から積極的にフランスのPessacが飛ばす展開だが、これを好位で追いかけたフランスのAthena Du Berlaisが最終障害を越えてこれを捉えると、最後はPessacに2馬身ほどの差をつけて勝利した。3着にはSternkranz。地元のLeonardo Da Vinciは大きく遅れた。

Athena Du BerlaisはフランスGuillaume Macaire調教師の管理馬で、昨年のMeranoでGran Criterium D'Autunno (G1)の勝利がある。さすがに母国でPrix Roger De Minvielle (Listed)にて2着のある実力はここでは上であった。MeranoのSteeplechaseは初参戦で、若干着地に手間取る場面はあったものの、ひとまず対応はできていた。身体の柔らかさと使い方の技術ではこの馬に一日の長があったような印象がある。同じくフランスからの参戦馬のPessacは積極的な競馬で見せ場を作った。3着以下はスピードで圧倒しており、このようなレースになると相手は同じくフランス調教馬に限られるということなのだろう。チェコからの参戦馬Sternkranzはやや遅れ3着。最近はフランスAuteuilで走っていた経験もあった馬で、前に二頭のペースに対応できたのはこの経験もあったかもしれない。イタリアのLeonardo Da Vinciは空馬に絡まれるシーンがあり、そこで大きく立ち遅れてしまった。ただしその前からもペースについていけていないような様子もあり、もう少しペースが落ち着いたところで瞬発力を生かすような展開の方が向くのだろう。チェコのAndoinsはMeranoのSteeplechaseではよくあるタイプの落馬で、この馬も最近はフランス参戦が続いていたが、その前にMeranoのSteeplechaseを使いたかった。ポーランドのNeboは、この世代としてはポーランドSteepleを代表する一頭が出てきたということもあり興味深い参戦であったのだが、残念ながらAndoinsと同様にMeranoのSteeplechaseに対応できない形の落馬に終わった。

 

Gran Corsa Siepi Di Merano - Quotidiano Alto Adige Euro 60.000 TRIO 4000m

per cavalli di 5 anni et oltre (Siepi - Gruppo I - Fantini)

http://webtv.awsteleippica.com/index.php/video/69423/corsa-04-galoppo-merano-280919

本日のメインレース。Siepiとしてはイタリア最大のもの。フランスのCandalexを中心に、チェコの上り馬Stuke、実績のあるPiton des Neiges、Champ de Bataille、さらにスロバキアのMeny Bayなどが人気になっていた。ドイツからもMax's Spiritが参戦し、非常に国際色豊かなレースとなった。ただし、イタリア調教馬の参戦はイギリスから移籍したばかりのCapitoulのみで、しかもブービー人気というのがなんとも寂しいところである。

例によってCandalexが出てくるも、これを制してDangerous Gleamがハナに。さらにこれにMax's Spiritが絡んでくる。好位からCandalex、Capitoulなど。コーナーで躓いたDangerous Gleamが落馬し、空馬状態となった形で逃げるMax's Spiritに絡んでいったためペースが上がり、馬群は非常に長くなる。当初は後方にいたFlower of Loveは徐々に位置を上げると、最終障害で逃げるMax's Spiritに並びかけ、後続を4馬身ほど突き放して勝利した。2着にはPiton des Neigesが上がったようだ。Max's Spirit、Champ de Bataille、Candalexと続いた。

Dangerous Gleamは映像を見てわかるようにやや汗をかいており、結果的にかなり引っかかり気味に前に行っている。気性的にこういうところのある馬なので仕方がないのだが、さらに空馬状態となることでドイツのMax's Spiritに絡んでいき、結果的には中盤もペースが緩まずに進行することになった。Flower of Loveはチェコからの参戦馬だが、重賞は初勝利とした。とはいえGran Corsa Siepi D'Italia (G1)ではStukeからはだいぶ差のある6着と、一線級と比較すると差があると思われる実績であったことからやや驚きの勝利である。このペースを後方から進めたLukas Matusky騎手の好騎乗もあったが、こういうペースに対応できる馬ということで注意しておかなければいけない存在である。

2着のPiton des Neigesはさすがに安定したレースを見せた。元々フランスからの移籍直後はSteeplechaseを走っていたのだが、その後Siepiに転向している。レース運びを見る限りではどちらでもこなせそうな印象だが、今後はどうするのだろうか。ドイツのMax's SpiritはDangerous Gleamに絡まれるシーンはあったものの3着まで踏ん張った。戦前は低評価であったものの、元をたどればフランスHaiesでの勝利もある実力馬であり、この走りは何ら不思議ではない。イタリアではG1を3勝している葦毛の実力馬Champ de Batailleも追い上げて4着まで来た。8歳とだいぶ年齢を重ねてきており、Steeplechaseという選択肢も出てくるかもしれない。フランスのCandalexは道中進路がなくなる場面があったりと、やや苦しい競馬であった。最後の直線では尾を振って気性の悪さを見せていたのも気がかり。

スロバキアのMeny BayはFlower of Loveと同様の位置取りから進めるも、どうにも進出できずに後方のままレースを終えた。イギリスのGrand National (G3)を勝ったLeighton Aspellが騎乗しておりここの勝負気配は高かったようだが、もともとは前向きな気性を生かして積極的な競馬を見せる馬。今日のレースを見る限りでは全盛期の勢いはなさそうだ。フランスのSaint Julian、チェコのLe Grandは見せ場を作れず。前に行ってかえって苦しくなったパターンだろう。人気を背負っていたチェコのStukeは道中で大きなミスがあり、そこから飛越のリズムを崩した。地元のCapitoulは着地でのミスで落馬。それまではこのペースにも対応できており、最後まで見たかった一頭。Dangerous Gleamはもったいない落馬だが、それよりも何かとイレ込む気性の方が心配である。

 

Premio Delle Nazioni - Memorial Marco Rocca Euro 40.000 TRIO 6000m

per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross-Country - Gruppo II - G.R. -Amazzoni-Fantini)

http://webtv.awsteleippica.com/index.php/video/69434/corsa-06-galoppo-merano-280919

欧州Cross Country SeriesであるCrystal Cupの一環として行われるレース。人気はチェコのKubaliから。

レースはBroughtonが出てくる展開だが、これを制してPower Zarがハナに。途中のOxer GrandeでKubaliは落馬。しかし第25障害の3連続生垣障害(Doppia Gabbia di Siepi)でPower Zar、Pareto、Burrows Lane、Reki、Broughtonの5頭が落馬。さらに後方にいたSilver Tangoが飛越拒否と、残っていた全馬にアクシデント。唯一障害手前で残っていたSilver Tangoが再チャレンジしてこの障害を越えると、そのまま一頭ゆっくりとコースを走り、最後の直線はDominik Pastuszka騎手がひたすらガッツポーズを繰り返すという余裕っぷりを見せつけ勝利した。他の5頭はコースを走り回っていた馬を捕まえて騎手が再騎乗、その後仲良く完走したようだ。

Doppia Gabbia di SiepiはMeranoのCross Countryでは5000m、5500m、及びこの6000mのコースで使用される障害なのだが、そもそもMeranoのCross Countryはそれ以下の短い距離で通常のSteeplechaseすら含まないような平易な障害を使用するレースが多く(概ねアマチュア騎手を含んだレースである)、長距離Cross Countryのレースは多くない。MeranoのCross Countryと一概にいっても、その性質は距離によって大きく異なっており、結果的に長距離Cross Countryで使用される障害の難易度を相対的に引き上げている。Doppia Gabbia di Siepiはその典型例で、他の競馬場では見られない特殊な技術を要するという障害の性質も相まって、ここのところは毎回のようにこの障害で何かしらのアクシデントが発生している。Merano競馬場はコース幅が狭く、長距離Cross Countryは比較的馬群が密集して進行することもあり、慣れない障害も相まって、この障害において重複落馬が発生しやすくなっている。Merano競馬場にしか存在しない名物障害であり、これを機に使用を取りやめるとかいう話にならないことを願うばかりである。要するにこのような特殊な障害を使う機会が少ないことが問題であるだけの話なのだが。

Silver Tangoは地元の馬で、前走はAssociazione Arma Di CavalleriaというMeranoの5000mのCross CountryでBrunch Royalの3着に入っていた。Meranoの長距離Cross Countryには比較的経験のある馬で、目の前でアクシデントが続いたということもあり、馬が飛越拒否したことで、結果的に再度レースを開始する際のロスが少なかったのが勝因であった。BroughtonはもともとイタリアのSteeplechaseで実績を残してきた馬で、ここのところはMeranoの比較的短い距離のCross Countryを走っている。Grande Steeplechase di Roma (G3)を勝利したように能力は高いのだが、Doppia Gabbia di Siepiに対応できない形の落馬で、さすがに一気の障害難易度の上昇は厳しかった。Paretoはチェコの12歳馬で、比較的小型の競馬場での機動力を武器に戦ってきた馬。コースが広いPardubiceのCross Countryよりはこちらの方がよさそうで、このレースは2013年に完走歴はあるのだが、今回はアクシデントに巻き込まれる形の落馬。Wielka Wrocławskaを勝ったRekiは果敢にここに参戦してきたが、同じように残念ながら落馬に終わった。Wielka Wrocławska自体、人気どころが落馬したりとどうにも恵まれた感は否めなかったところもあり、今回なんとかパフォーマンスを上げてきて欲しかったのだが、今回もどうにも飛越にもたつく場面があったりと、やや強調しずらいパフォーマンスであった。Kubaliは他の馬とは異なり唯一Oxer Grandeでの落馬であり、これはどちらかというとMeranoのSteeplechaseに対する経験不足によるものであると思われる。