にげうまメモ

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23/05/21 Weekly National Hunt / Jump Racing

5/18(木)

Lion D'Angers (FR) Bon Souple (3.4)

Anjou-Loire Challenge (Listed)

Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus. 7300m (Replay)

1. Shawinigan J: Jean-Stephane Lebrun T: Patrice Quinton

日本でも世界最長距離の競馬として有名な競争ではあるが、今年はFrance SireがスポンサーについたことでFrance Sire上では出走馬の紹介*1をはじめとする集中的な報道が行われた。2022年には15000人を集めたこの人気のある開催において、今年も市内でのパレードに加えてポニーレース、音楽ライブといった様々な催しが行われているようで、さながら祭典のような様相を呈しているそうだ*2。今年の入場者数はさらに増加して17000人を集めたそうで、France Sireの記事ではその華やかな場内の様子を見ることができる*3。レースはベテランButterfly Du Mouが淡々と逃げる展開も、3500メートルほど走ったところで走路のトラブルがあった関係でいったんレースは中断。再度同じような隊列でレースは再開し、そのままButterfly Du Mouが逃げるも、途中の障害で突っかかったようで騎手が落馬。そのまま先頭に立ったShawinganがEspoir以下を引き連れてレースを引っ張ると、追いかけてきたBingo De L'aunay以下を振り切って勝利した。

レースは途中でかなり長く中断しているのだが、どうやらこれは走路の誤りといったものではなく、本来走路となるべきルートの柵が取り除かれていなかったことが原因であったようで*4、運営会社側からは謝罪があったそうだ*5。レースは無効となることなく約8分間のインターバルののちにレースは再開している。France Galopの映像では再開後のみが確認することができるが、基本的には似たような隊列でレースは進行していたようだ。Shawiniganは今年で6歳となる若馬で、Cross Countryの経験は昨年のAgenからとあまり長くはないのだが結果を残した。PauのCross Countryでは一戦級相手にやや分が悪いところがあったようだが、前走のLion D'AngersのClasse2は73kgのトップハンデを背負って快勝しており、調子も良かったようだ。最後中段から追い上げてきたのがBingo De L'aunayで、こちらはLignieres En BerryのTNC第3戦の勝ち馬であった。ただ、今回はあまりCrystal Cupの常連やTNCの上位クラスの出走はなく、メンバー的なところは少し考えておいた方がいいだろう。ShawinganについていったEspoirは最後突き放されて3着。このレースではすっかりお馴染みとなった12歳馬Butterfly Du Mouもいたのだが、途中で障害に引っかかるような形で躓いて落馬に終わった。メンバー的にここではチャンスであったのだが、来年もこの馬の走りをこのコースで見ることができることを期待したい。

 

5/20(土)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.0)

Prix Sagan (G3)

Haies Pour pouliches de 3 ans 3500m (Replay)

1. Kargese J: Bertrand Lestrade T: Donatien Sourdeau De Beauregard

好位で進めたKargeseが直線抜け出しを図るも、これを制してTerra Bellaが先頭に。しかしここから盛り返してきたKargeseがTerra Bellaを交わして勝利した。KargeseはこれでHaiesは2勝目とした。前走のListedではFunny Berryから6馬身差の2着に敗れていたが、今回はそのFunny Berryが落馬に終わり、きっちりと結果を出したことになる。そのListedでは4着に入っていたTerra Bellaが2着に入った。まだ勝ち切れない馬のようだが、抜け出す際の脚はいいものを持っているようだ。Battle of Marengo産駒のKalaboumboumが3着に入った。

 

Grande Course De Haies D'Auteuil (G1)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5100m (Replay)

1. Theleme J: Gaetan Masure T: Arnaud Chaille-Chaille

Hermes Baie、ThelemeといったフランスHaiesのトップホースの出走があったが、今年のGrande Course De Haies D'Auteuilにおいて特徴的であったのはアイルランド勢の多いさで、Klassical Dream、Hewick、Feronily、Haut En Couleurs、Flooring Porter、Asterion Forlonge、Kilcruitと、出走馬のうち実に半数近くをアイルランド勢(しかもその多数がWillie Mullins勢)が占めることになった。そのアイルランド勢も非常に強力で、Klassical Dream、Flooring Porterといった24f Hurdle路線のトップホースが参戦していたうえに、Galway Plate (Grede A)等に加えてAmerican Grand National (G1)を制したHewickの参戦もあったように実に豪華なメンバーが出走し、さながらフランス対アイルランドのHurdle対決という様相を呈していた。

レースは例によってフランスFelix De Giles騎乗のGoa Lilが飛ばしていく展開だが、これにアイルランドのFeronily、Kilcruitなどが執拗に絡んでいく。特にGoa Lilに対してFeronilyがしつこく絡んでいき、途中から先頭を奪って後続にリードを取ってレースを進める。しかしじわじわと後続が殺到すると、ここから抜け出してきたThelemeがHermes Baieを2馬身ほど振り切って勝利した。アイルランド勢はKlassical Dreamの3着が最優先となるも、3~5着はそれぞれKlassical Dream、Hewick、Feronilyとアイルランド勢が独占した。

Thelemeは昨年のこのレースこそHermes Baieの4着に終わっていたが、秋には調子を上げてGrand Prix D'Automne (G1)ではHermes Baieを5馬身ほど突き放して快勝している。前走のPrix Leon Rambaud (G2)では絶妙な逃げを打ったGoa Lilに逃げ切りを許していたが、今回はフランスHaiesの最強馬としての地位を再度不動のものとするパフォーマンスを見せた。特に今回はGoa Lilに対してアイルランドのFeronilyが真っ向から喧嘩を売りに行く激しい消耗戦が繰り広げられていたが、その中でHermes Baie及び強力なアイルランド勢を完封するのだから大したものだろう。対するHermes Baieは昨年のこのレースの勝ち馬だが、どうにもその後は案外な内容で、前走のPrix Leon Rambaud (G2)でも勝ったGoa Lilからだいぶ離れた4着に終わっていた。しかし今回のような激しい消耗戦において改めてこの馬の力を見せてくれたことを喜びたい。Thelemeに対して最近はやや分が悪いところもあるのだが、とはいえその力量差はわずかである。

アイルランド勢はKlassical Dreamが最先着となった。中段からじわじわと追いかけていくレース運びは最近はすっかり板についたもので、Auteuilのようなシンプルなスピードの持続性能が生きるコースもこの馬には向いたようだ。なにかと人気者のHewickは大健闘の4着。基本的には良馬場の方がいい馬だが、とはいえ今回の馬場もTres Souple (4.0)と極端なものではなく、この日のレースを見てもだいぶスピードも出ていたように馬場も向いたのだろう。PunchestownでNovice ChaseのG1を勝ったFeronilyはかなりレース振りからすると若いところがありそうだが、とはいえこの大舞台でここまで強気の競馬をしながらあそこまで抵抗したことは大したものである。馬がさらに成長すれば更なる大仕事をやってのける可能性もありそうだ。

Haut En Coulers、Kilcruitは特に勝負には参加せず大敗。Asterion Forlongeはどうにも飛越がいまいちなところがあったようで、こちらも勝負に加われず大敗に終わった。Flooring Porterは中段からのレースで、特になにもせず回ってきただけに終わった。どうにもなにがしたかったのかわからない。前哨戦で大仕事をやってのけたGoa Lilはさすがにあそこまで絡まれると厳しかったようで、中盤から脱落して途中棄権。Folson Prisonは例によって後方からのレースで、そこから例によってものすごい手ごたえで進出してきているのだが、例によって直線を向くと別馬のように失速し大敗に終わった。

 

Pardubice (CZE) Stav dráhy: 3.1 (dobrá až pevná)

〇 Pohár BICZ holding 2023

Steeplechase crosscountry III.kat. - 4400 m, cena, 5letí a starší 90.000 Kč (Replay)

1. Westernerka J: ž. Jan Kratochvíl T: Vocásková Helena

Christianoなどが前を伺うも早々に後退。途中から抜けてきたWesternerkaがFrench Chardonnay以下を振り切って勝利した。Westernerkaはその名前の通りWesternerの産駒で、今年で7歳となる牝馬である。Cross Countryはこれが初戦であったが結果を残した。French Chardonnayなどそれなりにメンバーが揃っていたのだがややここでは驚きの勝利で、この勝利が本物であるかは引き続き注意したい。ポーランドで結果を残してきたFrench ChardonnayはこれがPardubiceにおいては初のCross Countryであったが結果を残しての2着。とはいえ勝ち馬の実績を考えるとここは勝ちたかった感もある。StukeはこれがCross Country2戦目であったが、どうにも押し上げ切れず4着。長期休養明けのChristianoはどうにも動きがいまいちで早々に後退して大敗。ポーランドからMinister Wojnyが参戦していたが、こちらも早々についていけなくなり途中棄権に終わった。

 

〇 Cena společnosti Tipsport

Steeplechase crosscountry II.kat. - 3300 m, cena, 5letí a starší 120.000 Kč (Replay)

1. Quart De Garde J: ž. Jan Faltejsek T: Török Dalibor

3000メートルクラスCross Countryの有力馬が集まった一戦。前半からKing's ShillingとLianelが元気よく引っ張るも、どうにもちぐはぐな飛越もあり馬群は凝縮。ここから前に出てきたQuart De GardeがMr Zuruを抑えて勝利した。

Quart De Gardeはチェコ移籍後のCross Countryはいきなりデビュー戦で初勝利とした。フランスではSteeplechaseを使っていたKapgardeの産駒だが、このコースに比較的慣れた馬がスピードをつけてレースを進めるこのクラスでいきなり結果を残したことは評価できる材料で、68kgと斤量的には若干楽なところもあったのだが、とはいえ今後の可能性が広がる結果となった。スロバキアのMr Zuruが2着。昨年のこの路線のチャンピオンLianelはやや遅れての3着に入った。

 

Cena města Pardubic – I. kval. na 133. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou

Steeplechase crosscountry NL - 5800 m, cena, 5letí a starší 500.000 Kč (Replay)

1. Chelmsford J: ž. Jan Kratochvíl T: Váňa st. Josef

今年最初のQualification Raceとなる。今年で7歳となるChelmsfordが人気の中心になっていた。レースは早々に12歳馬Lombarginiが落馬する展開で、これにつり出される格好でPlayerも落馬。Chelmsfordが比較的淡々と引っ張る展開で、これにぴったりとParis Eiffel、Dulcar De Sivolaなどがついていく。しかしそのままペースを上げたChelmsfordがGodfreyを振り切って勝利した。3着にはArganoが入った。

Chelmsfordは今年7歳となる馬で、2021年のCena Vltavyの勝ち馬である。昨年はどうにも同世代のNight Moonに完敗に終わったり、なぜか3000メートルクラスを使ったりとどうにもいまいちな感もあったのだが、とはいえ今年はようやく待望のQualification Raceへの出走が叶い、ひとまず内容としては完勝の結果を残したことは収穫だろう。昨年の段階ではNight Moonにやや水をあけられた感もあるのだが、とはいえこの世代ではトップクラスを走ってきた馬で、若い素質馬がようやくここにきて本格的な路線へと参戦してくれたことはやはり楽しみな内容であった。同世代のGodfreyは強敵相手に頑張っての2着で、昨年のQualification Raceではいいところなく途中棄権に終わった馬がここにきて力をつけていることは喜ばしいことであろう。比較的若い馬が上位を占めたのだが、メンバー的にはMr Spexなどの離脱により若干楽になった感もありそうで、どこまで今回のメンバーが本物かは注意した方がいいかもしれない。Arganoは後方から押し上げての3着だが、最後はやや前に水をあけられたことは気になった。スロバキアのKaiserwalzer、Paris Eiffelは特に勝負には参加できず。このあたりのメンバーは本番でも力関係的には若干微妙なところは既に明らかであった。なお、今年からQualification Systemに若干の変更が加わったのだが、ひとまずこのレースではこの変更に伴って権利の獲得に失敗した馬は発生せず、勝ち馬から約16秒ほど遅れて入線した最下位のDulcar De Sivolaまで無事に権利は獲得できたようだ。

 

5/21(日)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.0)

Prix Aguado (G3)

Haies Pour poulains entiers et hongres de 3 ans. 3500m (Replay)

1. Jigme J: Ludovic Philipperon T: Marcel Rolland

3歳限定Hurdle競走。レースは前半から積極的に前に行ったJigmeがそのままLeopn Du Berlaisを振り切って勝利した。JigmeはこれでHaiesはListedを含めた3戦3勝とした。Motivatorの産駒だが現時点で未去勢となっており、どこまで現役生活を続けるのかは不明だが種牡馬としてのポテンシャルを含めて楽しみな一頭である。ここでも69kgとトップハンデを背負っていたのだが、内容的には完勝の一言で、Tres Soupleの良馬場でも良質なスピードを見せることができたことは喜ばしいことだろう。Authorized産駒のLeon Du Berlaisが2着に入った。こちらも未去勢の牡馬だが母方には大種牡馬Cadoudalが入っているようで、なかなか血統的にも面白そうな馬である。

 

Grand Steeplechase De Paris (G1)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 6000m (Replay)

1. Rosario Baron J: Johnny Charron T: Mlle Daniele Mele

昨日のGrande Course de Haies D'Auteuilでも大挙出走していたアイルランド勢がここにも複数出走しており、すっかりフランスSteeplechaseではお馴染みになったFranco De Portに加え、同じくWillie Mullins厩舎のCarefully Selected、さらにEmmet Mullins厩舎のNoble Yeatsも参戦し話題を集めていた。一方のフランス勢はDocteur De Ballonが直前で回避、前哨戦を勝ってきたGexやMetasequoiaなどが人気を集めていた。久しぶりにチェコからはSuriotが参戦していたがあまり人気にはなっていなかったようだ。

レースは前半からFelix De GilesのGeneral En Chefが主張して前に行く展開。好位からDoctor Squeeze、Suriot、Poly Grandchampなど。Noble Yeatsは前に行くも早々に後退。General En Chefは淡々と引っ張るも、Rail Ditch and Fenceの辺りからGexが先頭に代わりレースを引っ張る。これを追いかけてRosario Baron。さらにCarriacou、Starlet Du Mesnilなどがこれを追いかける。Gexはそのまま後続を振り切り逃げ込みを図るが、これにぴったりとついてきたRosario BaronがGexとの叩き合いを制して勝利した。

Rosario Baronは3月のPrix Troytown (G3)でFiguero以下を下して勝利してきた馬だが、とはいえここまであまりAuteuilでの実績は多くはなく、当時もどちらかというと66.5kgの軽量が恵まれた感もあった。前走もCompiegneのPrix Du Mont-DoreというKalashnikovも出走していたことで話題を集めたHaiesのListed競走を制しており、あまりここに向かうローテーションとしては一般的ではなかったのだが、とはいえ内容としては立派なものを見せた。まだ6歳と若い馬で、ここにきて急激に力をつけていることを考えるとなかなか今後の将来性も楽しみな馬だろう。昨年の2着馬Gexは意地を見せての2着で、この馬もまだ7歳と若く、このあたりの世代でフランスSteeplechaseを引っ張っていって欲しいものである。

6歳牝馬Starlet Du Mesnilは積極的に運んだが、最後は苦しくなって突き放されての3着。なかなか勝ち切れないレースが続いており、この路線の上位勢相手には厳しいようだが、そのうちいいことがあって欲しいものである。驚いたのは4着のImperilで、Prix Du President De La Republique (G3)の勝ち馬なのだがその後のPrix Ingre (G3)では大敗しており、今回いきなりパフォーマンスを上げてきた理由は不明である。とはいえ内容的には前を追いかけて苦しくなったCarriacou、Franco De Portなどを交わしたといったもので、道中の飛越にもミスが多くこの着順がどこまで本物かはよくわからない。この路線では展開を作ることでお馴染みGeneral En Chefは今回は馬場が速すぎたようで途中棄権。Spes Militurf、Metasequoiaはいずれも落馬に終わった。

アイルランド勢として最先着を果たしたのはNoble Yeatsだが、どうにも飛越が云々よいうよりはズブさを見せていたことが気になった。昨シーズンの始動戦ではAuteuilを選択し相当に飛越をミスして途中棄権に終わっていたのだが、今回もややもたもたと飛越するところが目立っていた。最後は追い上げているところはこの馬らしいところではある。この路線ではお馴染みFranco De Portはやはりワンパンチ足りないようで、最後は苦しくなってNoble Yeatsらに差されて終わった。Carefully Selectedは戦前に調教師が話していたとおり馬場が速すぎたようで、早々に脱落して途中棄権に終わった。驚いたのがチェコのSuriotで、Tres Soupleという良馬場は本来この馬には速すぎるのだが、とはいえGeneral En Chefの逃げを好位で立ち回り、Gexなどが抜け出した勝負所では一旦は先頭集団から置かれるものの、そこからNoble Yeatsらとともに盛り返して5着まで来た。スタンド前の水壕障害でややミスはあったものの全体的に飛越は許容範囲で、馬場が重くなればさらに上位を目指すことができたのではという走りであった。チェコとフランスではその賞金額や競走規模にはとてつもなく大きな差異が存在しており、フランスと並ぶ障害競馬大国のアイルランドのトップホースすら苦労するこのAuteuilの大舞台で、競馬開催国としては遥かに小規模なはずのチェコの馬がここまで勝負圏内に入ったということがどれほど素晴らしいことであるかは言うまでもない。歴史的な快挙といってもいいだろう。近年はチェコ国外での存在感を益々強めるチェコ競馬関係者に大きな勇気を与える走りであり、この馬を含めたチェコ調教馬の更なる挑戦を楽しみにしたいところである。

 

Prix Alain Du Breil (G1)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3900m (Replay)

1. Gala Marceau J: Daniel Mullins T: Willie Mullins

アイルランドからは例によってGala MarceauとZarak The Brave、さらにEnjoy The Dreamの3頭が元気に出走していたレース。レースは人気を背負ったLosange Bleuが伸びやかな飛越で飛ばしていく展開も、これについていったGala Marceauがこれを捕まえに行くと、そのままLosange Bleuを7馬身ほど突き放して勝利した。

Gala Marceauは昨シーズンのJuvenile Hurdleで活躍した馬だが、基本的にはLossiemouthの2番手争いといったところで、LeopardstownのDublin Festivalでは完全に馬群に閉じ込められたLossiemouthのミスを利してG1を制しているが、とはいえ立場的には格下といった立ち位置が定着していた。とはいえフランスのこの路線のトップホースであるLosange Bleuをこれだけ突き放した走りは圧巻で、昨日から大挙して遠征してきたわりにどうにもいいところがないアイルランド勢の鬱憤を晴らすような走りであった。人気のLosange BleuはMartaline産駒らしい伸びやかな飛越で飛ばしていったが、とはいえここは勝ち馬を褒めるしかないだろう。馬場がもう少し悪くなればというところはありそうで、引き続き期待したい。Paul Townend騎乗のZarak The Braveは後方から足を伸ばしたが、Losange Bleuの逃げを後方から捕まえに行くというのはあまり賢い選択ではなかった感がある。

 

Prix Ferdinand Dufaure (G1)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. Juntos Ganamos J: Felix De Giles T: David Cottin

Jazzy Senamがふらふらと引っ張るも途中で落馬。代わって先頭に立ったJuntos GanamosがそのままLa Marche Bleue以下を振り切って勝利した。

Juntos GanamosはこれでSteeplechaseは4戦4勝とした。現4歳世代Steeplechaseでは名実ともに一枚抜けた立ち位置となった馬で、今回はMartaline産駒のAQPSにとってはやや馬場が速すぎる感もあったのだが、とはいえ飛越の安定感とレース振りからしてここでは明らか抜けた力を持っていたようだ。前走Classe3でSteeplechase初勝利を飾ったLa Marche Bleueは強敵相手に頑張っての2着。Nom De D'La産駒のAQPSであるJazz Manoucheが3着に入った。

 

Ladbrokes Park Lakeside (AUS) Soft7

Australian Steeplechase

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3900m $150,000 (Replay)

1. Tolemac J: Will Gordon T: Symon Wilde

Warrnamboolの後という時期的な問題はあるのだが、オーストラリアSteeplechaseにおける主要競争となる。レースはRiding Highがゆったりと逃げる展開で、好位からTolemac、Britannicusなど。ここから抜け出してきたTolemacがそのままリードを開くと、逃げ粘るRiding Highに12馬身差をつけて快勝した。3着にはBee Tee Juniorが入った。

TolemacはSteeplechaseでは比較的経歴が浅い馬で、前走のWarrnamboolのBM120 SteeplechaseでUnder the Bridge、Rorand Garrosなどを下してSteeplechase初戦を飾っていた。ひとまずメンバーが揃ったここでいきなり結果を残したことは歓迎材料だが、とはいえWarrnamboolから転戦してきた組が多かったこと、65kgという軽量に恵まれたこと、Riding Highがゆったりと逃げるところを好位で進めたことなど、条件的にはだいぶ向いたような感はありそうだ。遡れば2021年にこのレースを制しているRiding Highが2着だが、とはいえ当時もメンバー的な問題もありそうで、やや展開に恵まれた感もありそうだ。Bee Tee Juniorは前走からとりあえずは進境のある3着で、やはりさらに馬場が悪くならないと厳しそうだ。Flying Agent、Britannicus、Valacといった実績馬はあまりいいところなく大敗に終わった。

 

Australian Hurdle

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3900m $150,000 (Replay)

1. Circle The Sun J: Cambell Rawiller T: Eric Musgrove

オーストラリアHurdleのチャンピオンSaunter Boyの参戦があったが、レースは淡々とCircle The Sunが逃げる展開。これにSaunter Boyがじわじわと接近するも、Circle The Sunの手ごたえは衰えず。むしろ手ごたえの悪くなったSaunter BoyをCircle The Sunが振り切ると、San Remo、Blandford Ladなどの追い上げを尻目にCircle The Sunがそのまま快勝した。Saunter Boyは4着に終わった。

Circle The SunはこれでHurdleは3戦3勝とした。近年増えている平地での実績馬というわけではなく、ニュージーランドを含む他国からの移籍馬というわけでもないのだが、とはいえここまでいいレースを見せている。PakenhamのMaidenでは人気薄であった馬がここまでの活躍を見せるとは驚きだろう。ここのところ絶好調のCambell Rawiller騎手にもビッグタイトルをもたらした。Karasiでお馴染みのEric Musgrove厩舎も久々のビッグタイトルのようで、なかなか今後が楽しみな結果となった。Frankel産駒でこの路線の常連のSan Remoが2着。とはいえBlandford LadともにSaunter Boyが前を追いかけた結果苦しくなったことを利して出てきたといった印象である。Saunter Boyは73kgを背負っていたということもあるのだが、とはいえさすがに今年で10歳と年齢も重ねており、そろそろSteeplechaseという選択肢もあってもよさそうではある。