にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

23/09/17 Weekly National Hunt / Jump Racing

9/12(火)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.1)

〇 Prix Finot (Listed)

Haies Pour poulains entiers et hongres de 3 ans, n'ayant pas couru. 3600m (Replay)

1. Kingland J: Kevin Nabet T: Francois Nicolle

Karafon、Kalca Momeなどが前に行く展開も、じわじわと押し上げてきたKinglandがMilan Tinoを振り切って勝利した。

フランスAuteuilの競争としては珍しくアイルランド生産馬が上位を占めた。Kinglandは半兄にFigueroがいるという良血で、父はCokorikoとなる。平地のステイヤーであるYeatsからフランスHaiesで2勝を挙げたCokorikoに代わってどうかというところはあるのだが、ひとまずデビュー戦では強い競馬を見せた。母父にはSaint Des Saintsというなんともフランス障害競馬らしい血統の馬で、残念ながら既に去勢されているようだが、AQPSとして今後の活躍が楽しみである。Milanの産駒のMilan Tinoが2着。2020年生まれの産駒がちらほらと走り始めているBeaumec De Houelle産駒のKing Ericが4着に入った。Beaumec De HouelleはPrix Cambaceres (G1)にてL'Autonomieを下した能力馬で、同レースを勝利したのちに引退、種牡馬入りしている。分類上は"Cheval de selle"となるKalca Momeは全体的に積極的な飛越を見せていたが、直線に入って脱落、やや離れた5着に終わった。"Cheval de selle"は2009年以降は"Origine Constatée"となるとされているようで*1、なぜこの馬が"Cheval de selle"にとされているのかはよくわからない。Lignieresの平地を勝ってきたMasked Marvel産駒の牡馬Zephyr De Beaumontはいいところなく8着に終わった。

 

〇 Prix Meli Melo (Classe 2)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans, n'ayant pas, cette année, reçu 30.000 en steeple-chase (victoires et places). 3500m (Replay)

1. Il Est Francais J: James Reveley T: Noel George & Amanda Zetterholm

ゆるゆる先頭を走ったIl Est FrancaisがそのままKamchatka以下を振り切って勝利した。Il Est Francaisは昨年のPrix Renaud Du Vivier (G1)の勝ち馬で、Steeplechaseは初勝利とした。今年の春は上の世代とのHaiesを走っていたのだがうまくいかなかったようで、早々にSteeplechaseに切り替えてきたようだ。初のSteeplechaseであったが飛越は特段問題はなく、おそらくこのままSteeplechase路線を歩むのであればかなり楽しみな存在になりそうだ。NancyのClasse 1を勝っているKamchatkaが2着。70kgという斤量を考えれば頑張った方だろう。

 

9/14(木)

Belmont at the Big A (USA) Good

Lonesome Glory Handicap Stakes (G1)

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES A HURDLE HANDICAP FOR FOUR-YEAR-OLDS AND UPWARD. HURDLE STAKES. Two And One Half Miles On The Hurdle $150,000 (Replay)

1. Merry Maker J: Parker Hendriks T: Archibald J. Kingsley, Jr.

レースは人気を背負ったSnap Decisionがかなりゆったりとしたペースで逃げる展開で、最終周になって馬群が密集。ここからじわじわとSnap Decisionがペースを上げにかかるも、ここからL'Imperatorが前に出てくる。しかし大外を回って出てきたMerry Makerが前の馬群を差し切り勝利した。

Merry Makerは元々アイルランドPtP出身の馬なのだが、アイルランドでのキャリアは殆どなく2021年にはアメリカに移籍している。ここまでGreat MeadowのAllowanceを勝った程度で、前走のJonathan Sheppard Handicap (G1)ではAwakenedから7馬身程度の4着に敗れていたのだが、今回は結果を残した。とはいえ内容的にはほぼ最終障害の地点までは最後方に近い位置を走っており、そこから大外を回して追い込んできた内容といったところで、あくまでフラットの瞬発力で大外をスムーズに回った利は否めないだろう。最終障害からゴールまでかなりの距離があるアメリカHurdleの主要競争では特有のコース形態というのもあるのだが、とはいえその勝ち方には注意した方がよさそうだ。そのJonathan Sheppard Handicap (G1)で3着のL'Imperatorが2着。元々はアイルランドで平地競争を走っていたBarbadosが3着に入った。2020年のIrish St Legerでは4着もある実力馬で、アメリカ移籍後は平地競争も走っているようだが、フラットの能力という点ではこの路線でもやれていいだろう。この中では飛びぬけた実績のあるSnap Decisionは一頭だけ他馬と比べて20lb近く重い斤量を背負っており、前々で運ぶも最後は捕まって4着に終わった。

 

9/16(土)

Hanshin / 阪神 (JPN) Good to Firm

The Hanshin Jump Stakes / 阪神ジャンプステークス (G3) 3140m (Replay)

1. ジューンベロシティ J: 西谷誠 T: 武英智

ホッコーメヴィウスがかなり主張して前に行く展開も、一度はこれにマヤノグリッターズが主張して絡んでいき一時的には前に出てくる。しかしさらに主張したホッコーメヴィウスが結局はハナを奪うと、そのまま後続に大きなリードを取って逃げる展開となる。しかしながら番手にいたジューンベロシティがじわじわと差を詰めてくると、最終障害を越えてホッコーメヴィウスを競り落として勝利した。3着には好位にいたネビーイームが入った。

ジューンベロシティはこれで東京ジャンプステークスから重賞は連勝とした。中山グランドジャンプ東京ジャンプステークスとは異なり好位からの競馬を見せており、この競馬ができるのであればかなり戦術には幅が広がるだろう。中山では珍しい重馬場ということもあったのだが、とはいえここにきて暮れに向けて楽しみな馬が出てきたと考えてよさそうだ。ホッコーメヴィウスは積極的な競馬で逃げ粘っての2着。どうにも今年に入ってはパッとしない競馬が続いていたのだが、やはりスピードを生かして前に行った方がこの馬らしい競馬ができるように思われる。オープン戦を使ってきたネビーイームは重賞初挑戦ながら3着に入った。未勝利、オープンと連勝してきた4歳馬エコロデュエルは後方から位置取りを上げることができず、そのまま大敗に終わった。平地重賞での好走歴もあるアドマイヤアルバもいたのだが、途中で大きなミスもあったようで、勝ち馬から約10秒ほど離れた最下位に終わった。

 

9/17(日)

Aarau (SWI)

Preis Les Amis.Club Aarau

Jagdrennen ca. 3600 m, leichte Bahn, für 4-jährige und ältere Fr. 8000 (Replay)

1. Impetrant Lord J: Werder Pablo T: Karin Suter

年に4回行われるAarau競馬場の開催の中でも最大のもので、Grosser Preis der Schweiz und Showblockとされている。映像を見るとなかなか大歓声が上がっており盛り上がっているようだ。レースはトップハンデのHitechが淡々と逃げる展開で、チェコのRas El Hanoutがぴったりとついて行く。HitechはRas El Hanoutを振り切って逃げ込みを図るも、これに迫ったImpetrant LordがHitechとの叩き合いを制して勝利した。

Impetrant Lordはフランス出身のAQPSで、2022年からスイスに移籍している。スイス移籍後は今年の5月にAarauのSteeplechaseで初勝利を挙げているのだが、前走のAarauのSteeplechaseでは4着に敗れていたようだ。今回はHitechの72kgに対してImpetrant Lordが65kgとだいぶ斤量的には恵まれていた感がある。トップハンデのHitechは積極的な競馬で見せ場を作った。昨年のMaienfeldのGrosser Preis Des Cross-Club Maienfeldを勝ったKap Oceanはやや仕掛け遅れの感がある敗戦。チェコのRas El Hanoutは積極的について行ったが、最後は遅れての入線となった。チェコでも未勝利の馬で、ややここでは厳しかった感がある。

 

75. Grosser Preis der Schweiz – Grand Prix Les Amis.Club Aarau, CoffeeB und Hans Hassler AG Aarau

Jagdrennen ca. 4200 m, Hasse-Kurs, für 4-jährige und ältere Pferd Fr. 35000 (Replay)

1. Swinging Thomas J: Pavel Slozil T: Pavel Tuma

Steeplechaseとしてはスイスで最大のもの。チェコからMolly Power、Swinging Thomasの2頭を迎えて行われた。レースはBaraclaasが淡々と逃げる展開も馬群は密集して進行。後方から押し上げてきたFandangoがこれに絡んでいくと途中から先頭に。そのままFandangoは逃げ込みを図るも、Swinging Thomasがゴール直前でこれを捉えて勝利した。

Swinging Thomasはこれで2022年のBratislavaのSteeplechaseから7連勝とした。前走はLysá nad LabemのMemoriál Evy Palyzové o pohár hejtmanky Středočeského krajeを勝利しており、チェコにおいて今後非常に可能性のある6歳馬である。コーナーが多く馬群が密集して進行しやすいAarauのSteeplechaseにおいても機動力を生かして勝負所でよいポジションを確保することに成功しており、これが結果的に勝利に繋がった。ただしここまでMostやWroclaw、前述のLysá nad Labemといった小回りのコースで結果を残しているようで、その適正面では注意した方がよさそうだ。地元のFandangoは積極的に運んでの2着。フランス出身のAQPSで、デビューした直後はフランスAuteuilのListed競走で2着の実績もある。スイス移籍後はあまり結果が出ていなかったのだが、浮上のきっかけをつかめればよいのだが。Grosser Preis Des Kantons Aargauを制したFou De Reveは勝負所で出しどころがないような感があり、やや仕掛け遅れての3着に敗れた。前に行ったBaraclaas、チェコのMolly Power、On Your Mark、Garde Royaleは遅れての入線となった。

 

Preis der Meiko Heimtierbedarf Villmergen, «SPAGI by Marcello» Aarau und B & S Treuhand AG Aarau

Cross Country ca. 4800 m, für 4-jährige und ältere Pferd Fr. 8000 (Replay)

1. Daniar J: Ondrej Velek T: Andreas Schärer

合計で36の障害を飛越するCross Countryであるが、そのコースの複雑さは特筆すべきものがある。レースプログラムにはそのコースの見取り図が記載されているが*2、さっぱり訳が分からない。しかし馬術競技並みに幅員の狭い障害で数頭がひしめき合った状態で加速をかけて飛越したりと、なかなか見ごたえのある競走が展開されている。レースはDaniarがGuardamarを引き連れて逃げる展開で、これにGrand Frisson、さらにはEtoile Des Vernesが接近するも、Daniarがこれを振り切って勝利した。

Daniarはどうやら今年の9月に現厩舎に移籍していたようだが、昨年MaienfeldのCrossを走った際はフランスからの参戦馬として参加していたようだ。フランスではClunyやVittelのClasse3~4辺りのCross Countryを走っていた馬で、SaumurのGrand Crossでは途中棄権と上のクラスでは厳しかったようだが、よりテクニカルでスピードを求められないAarauのCross Countryではスムーズな飛越を見せていた。ディープインパクトが参戦した凱旋門賞の勝ち馬であるRail Linkの産駒がこのようなテクニカルなレースを制すというのも面白いものである。フランス出身のAQPSの牝馬で、前走Preis Der Stadt Aarauという同じくAarauのCross Countryを勝ってきた地元のEtoile Des Vernesが2着。スイスでのCross Countryはこれが初となるGrand Frissonが3着に入った。2022-2023はPauのCross Countryを使っていた馬で、AarauのコースであればSteeplechaseよりはCross Country向きな感がある。

 

Bro Park (SWE) Steeplechase god, Häckbana god

H. M. Drottingens Pris

häck För 4-åriga och äldre hästar som vid viktdatum fullföljt minst en steeplechase eller häcklöpning 130.000 kr 3800m (Replay)

1. Monsieur Vic J: Kevin Parkin T: Sigyn Dysell

この日のBro ParkはStockholm Cupが行われるということもあり、Lanfranco DettoriやHollie Doyleといった平地競争の名手も参戦していたようだ。レースはイギリスから参戦したThrone Hallが前に行く展開で、Latour、Sankt Pederなどがこれを追いかける。早々に鐙を落としたSuspicious Boyは天神乗りの格好になるがそのままついて行く。Throne Hallはそのまま逃げ込みを図るが、後方から追い上げたMonsieur VicがThrone Hallとの叩き合いを制して勝利した。

Monsieur Vicはこれで2023年のスウェーデンHurdle競走では4戦無敗とした。Svenskt Champion Hurdleでは残念ながら出走取り消しとなっているが、文句なしにスウェーデンHurdle路線のトップホースと言っていいだろう。今回もイギリスからのThrone Hallを下しての勝利で、昨年は同じくイギリスのAl Zaraqaanに敗れた地元勢に喜びを齎すことになった。イギリスのThrone Hallは2着に入った。Kingman産駒の平地兼用馬で、Class2のハンデ戦でも2着の実績がある。小回りのBro Parkということでイギリスの広いコースとはだいぶ勝手が違うような感もあるが、とはいえスウェーデンと比べると遥かに巨大な障害競馬大国であるイギリスの意地を見せてくれた。デンマーク生産馬のSuspicious Boyは頑張ってついて行ったが、さすがに天神乗りではどうしようもないだろう。Christopher Roberts騎手としては馬を止めることも試みていたようだ。元々はデンマークのOlsen Bent厩舎に所属していたSankt Pederは終盤で落馬に終わった。

 

H. M. Konungens Pris

Steeplechase För 4-åriga och äldre hästar som vid viktdatum fullföljt minst en steeplechase. 130.000kr 4200m (Replay)

1. Liars Corner J: Kevin Parkin T: Engblom Henrik

レースは途中からLiars Cornerが逃げる展開で、Three Is Company、Last Referenceと途中から押し上げを図るも、これを振り切ったLiars CornerがそのままLast Reference以下を振り切って快勝した。

Liars Cornerはこれで前走のGyllene Hästenから連勝とした。当時の相手も今回と同じくLast Reference、Three Is Companyといったところだが、とはいえ今回のレース内容としては完勝のもので、Steeplechaseの経験としてはあまり多くはないだけに来年が楽しみになりそうな馬だろう。今年のStrömsholmは馬場を嫌って取り消していたようで、来年はSvenskt Grand Nationalへの参戦が期待されるところである。昨年唯一のノルウェーの障害競争となったHurdle戦を制したLast ReferenceはSteeplechaseはこれが2戦目で、前走と同じくLiars Cornerの前に屈することになったのだが、とはいえ勢いがある馬としてLiars Cornerに迫る走りを見せた。常連のThree Is Companyは最後失速して3着。Grey Baron SteeplechaseでLiars Cornerを下してきたBeatthebulletはどうにもズブさを見せて大敗。Sea Moonsterは途中棄権となった。昨年はHurdleで頭角を現してきた馬だが、Steeplechaseへの挑戦はどうにもうまくいっていない感がある。

 

Waikato Thoroughbred Racing @ Te Rapa (NZ) Soft5

Peter Kelly - Bayleys Great Northern Hurdle (PJR) OPN HDL 4200m (Replay)

1. Nedwin J: Aaron Kuru T: Paul Nelson & Corrina McDougal

Hurdle競走のPrestige Jumping Raceとしてはニュージーランド最大の競争となる。レースは例によってEnglish Gamblerが積極的に逃げる展開で、一時は後続にやや大きなリードを取って逃げる格好となる。しかし最終周に入って後続が接近すると、そこからTweedledeeがEnglish Gamblerに積極的に絡んでいく。さらにTaika、Nedwinと接近し、スパートをかけたところで落馬したTaikaを競り落としてNedwinが前に出てくる。English Gambler、Tweedledeeなどは後退。そのままNedwinが付いてきたTahuroa Heightを振り切って勝利した。3着以下は大きく離れた。

4200メートルという距離はニュージーランドHurdleとしてはかなり長い部類で通常は慎重なレースになることが多いのだが、今回はSoft5と馬場が良く、さらにある程度気分よく逃げなければならないEnglish Gamblerが前に行ったことで珍しくハイペースのレースとなっている。結果的にTweedledeeなどEnglish Gamblerに絡んでいった組は早々に苦しくなり、後方にいたTaguroa Heightが浮上している。Nedwinはこの中で71.5kgのトップハンデを背負いながらも前々で積極的に運んで強い競馬を見せた。昨年のこのレースはAbu Dhabiから遅れての4着であったが、今年のレース内容としては前でEnglish Gamblerを潰しに行った組としては唯一そのまま残るというもので、2着と2馬身半差とはいえそれ以上の力量差を感じさせるものであった。ただしGrand National Hurdleの上位組はここには出走しておらず、実績馬としてはこのNedwinただ1頭であったことは注意しておいた方がいいだろう。

0-1 WIN HDLを勝ったのみのベテランTahuroa Heightは見せ場を作った。これがHurdleでは20戦目となるベテランで、力量的にははっきりしていただけに人気を落としていたのだが、とはいえ距離延長で結果を残したのは今後に向けて面白い材料だろう。単勝人気としても圧倒的最低人気であったようだが、その前評判を覆す快走であった。OpenクラスではさっぱりであったIma Wonderが3着に入り、馬券的にはかなり荒れた結果となった。English Gamblerはやはり4200メートルという距離は苦しかったようで途中棄権。Jack Power騎手が騎乗したTaikaもいい位置にいたのだが、肝心の地点で落馬、競争中止に終わった。

 

Ben & Ryan Foote Racing Great Northern Steeplechase (PJR) OPN STP 6500m (Replay)

1. West Coast J: Shaun Fannin T: Mark Oulaghan

The CossackとWest Coastの対決ということで注目が集まっていた。Hurdle路線では圧倒的な強さを見せPrestige Jumping Raceを総なめしたThe Cossackと、2023年のWellington Steeplechase及びGrand National Steeplechaseを制し、ニュージーランドSteeplechase三大競争完全制覇がかかるWest Coastのマッチレースと考えればその重要性は一目瞭然であろう。加えて興味深いことに、二頭とも73kgという同一の斤量で挑むことができるのは非常に楽しみなところであった。レースはWest Coastが前に出て着るも、これにぴったりとThe Cossackがついて行く。途中からThe Cossackが先頭に代わると、人気薄のFlyingwithoutwingsがこれに絡んでいく。しかしこれをThe Cossackが振り切るも、ここにWest Coastが接近。最後後ろから追い込んできたCaptains Runを振り切ってWest Coastが勝利した。The Cossackは僅差の3着に入った。

West Coastはこれで2023年のWellington Steeplechase、Grand National Steeplechase、Great Northern Steeplechaseを勝利し、ニュージーランドSteeplechaseの三大競争を完全制覇を成し遂げた。これは1948年のBrookby Song以来初の快挙だそうで*3、その価値は言うまでもないだろう。レースとしては早々にハナに立ってリラックスして走りつつ、絡んできたThe Cossackを射程圏内に捉えながらレースを運ぶというもので、Flyingwithoutwingsに絡まれたりとやや強気に立ち回らざるを得なくなったThe Cossackに対して有利なものであった。全体的にThe Cossackが緩めず運んだことで前々で張り続けた組としてはかなりきつくなる展開であったが、それでも後ろから追い込んできた軽量馬のCaptains Runをしのぎ切るのだから大したものであろう。一方のThe CossackはWest Coastに対してプレッシャーを長く受けざるを得ない立ち回りであった。それでも最後は再度West Coastに対して迫るだけの脚を見せており、West Coastが今年8歳、The Cossackが今年で10歳と年齢的には障害馬として円熟期を迎えていることを考えると、来年以降もこの2頭のレースを楽しみにしたいところである。

前々からライバル関係が報道されてたこの2頭に割って入ったのがMaidenを勝ったばかりのCaptains Runで、Hurdleでは未勝利、Steeplechaseでは6戦目でようやく勝ち星を挙げた馬だけに今後が楽しみになるものであった。ただし前々で延々と張り続けた2頭に対しての展開利は否めず、このレースがどこまで本物かは注意しておきたいところである。Grand National SteeplechaseではWest Coastの2着に入ったPrince Turboは前からだいぶ遅れての4着。上がり馬Raucousは途中で落馬、昨年Wellington Steeplechaseで大穴をあけた牝馬Tittletattleは特にいいところはなく途中棄権となった。