にげうまメモ

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23/08/13 Weekly National Hunt / Jump Racing

8/12(土)

Riccarton Park - Canterbury JC @ Riccarton Park (NZ) Heavy10

Hospitality NZ Canterbury 133rd Grand National Hurdles (PJR) OPN HDL 4200m (Replay)

1. Berry The Cash J: Portia Matthews T: Mark Oulaghan

今年のGrand National MeetingはHurdleとSteeplechaseが同日に行われることになったようだ。Grand National Hurdleは合計9頭の出走馬を集めたが、昨年は出走馬7頭のうちの大半をKevin Myers厩舎の馬が集めたのとは異なり、計6厩舎からの出走馬が集まった。レースは連覇を目指すHappy Starが前に行く展開で、これを追いかけてSuliman、Beau Gesteなど。Happy Starは少しずつペースを上げて逃げ込みを図るが、中段からじわじわと進出したBerry The Cashがこれを捉えると、最後はHappy Starに5馬身差をつけて勝利した。

Berry The CashはHDL自体はこれで2勝目だが、Wellington Hurdle (PJR)では勿体ない地点での落馬に終わっており、さらに前走のSydenham Hurdlesでは前に行ってペースを作ったHappy Starに対して、この馬は後方から脚を測るようなレースをしていた。Wellington Hurdleでは悔しい結果となったPortia Matthews騎手とのコンビによるビッグタイトルということで陣営の喜びもひとしおだろう。レースとしてはやはり距離が伸びてこそといったパフォーマンスで、4kg差があったとはいえ逃げたHappy Starを問題にしないのだから大したものである。70kgを背負ったHappy Starはさすがの能力の高さを見せての2着で、3着以下を完封してのレースであった。The CossackがSteeplechaseをメインに使っている現状、ニュージーランドHurdleでの大将格はこの馬であり、引き続きBerry The Cashも含めた好レースを期待したい。実績どころとしてはWellington Hurdleを勝ったSulimanも出走しており、I See Red Syndicateの持ち馬ということで事前にはニュース記事も出ていたのだが*1、今回は勝負所から脱落し途中棄権に終わった。

 

Racecourse Hotel Motor Lodge 148th Grand National Steeplechase (PJR) OPN STP 5600m (Replay)

1. West Coast J: Shaun Fannin T: Mark Oulaghan

Grand National Steeplechase連覇、さらにこの日のGrand National Hurdlesを勝利し、Grand National Doubleを狙うMark Oulaghan調教師のWest Coastが人気になっていた。レースはIzymydaadが前に行く展開も馬群は密集して進行。途中からCarnabyが先頭に立って引っ張ると、Izymydaadは徐々に後退。そのままCarnabyが後続を引き離して逃げ込みを図るも、これについてきたWest CoastがCarnabyを競り落とし、Prince Turboに6馬身半差をつけて快勝した。

West Coastは昨年のこのレースに続き連覇とした。今シーズンはHawke's Bay Steeplechase、Wellington SteeplechaseとPJRを勝利しており、まさにニュージーランドSteeplechaseの大将格として君臨している。前走のKoral SteeplechaseではPrince Turboに敗れていたが、どちらかというとスローペースと斤量により敗れたといったところで、やはりあまり悲観するものでもなかったようだ。今回は途中から前に行ったCarnabyを完全に競り落としての勝利ということで、72kgという他馬とは6kgの負担があったことを考えれば内容的には完勝だろう。どうやらGreat Northern SteeplechaseにThe Cossackが向かうようで、引き続きの再戦が期待される。前走のKoral Steeplechaseを勝利して人気を集めたPrince Turboは頑張っての2着で、どちらかというと上がり馬的な立ち位置であったがこの厳しいレースにも関わらず恰好を付けた。とはいえ積極的に勝負をかけていったCarnabyが最後完全に脚が上がっていたことを考えると、2~3着はあくまで展開次第といったところだろう。4着以下は大きく遅れたが、後方から脚を伸ばしたBlack Eyed Sueが4着を守ったようだ。

 

8/13(日)

Merano (ITA) Tempo Bello Terreno Buono

〇 Paolo Meandri

per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross Country - Condizionata - G.R. Ammazzoni-Fantini) Euro 11,000 TRIO 4100m (Replay)

1. White Wood J: Dominik Pastuszka T: Ilaria Saggiomo

Notti Magicheが前に行く展開もこれを制してBroughtonがハナに。Broughtonは淡々と引っ張るも、好位から進めたWhite WoodがGreek Dessert、Broughtonとの叩き合いを制して勝利した。

White Woodは前走のDiscendenteに続いて連勝とした。イタリアのCross Countryではかなり長い馬だが、ここにきて力をつけているようで今年はGrande Steeplechase Di Roma (G3)にてGap Pierjiの2着に入っている。今回は長期休養明けのBroughtonやCross Country初参戦のNotti MagicheやGreek Dessertが相手と、やや他の有力馬のコンディションには助けられた感もあるのだが、とはいえ71kgのトップハンデを背負っての安定したレースでの勝利というのは価値があるように思われる。地元イタリアの調教馬から有力馬が現れてくるのは喜ばしいことだろう。チェコの5歳馬Greek DessertはMeranoのCross Countryは初参戦であったが2着に頑張った。やはり飛越面ではやや苦労している場面も多かったようで、これらが改善すればもう少しやれるだろう。今年で13歳となったBroughtonは安定したレースで3着。これが1年ぶりのレースということで、この2年程はあまり順調にはレースに出走できていない。このコースでの経験値という点ではここでも随一のものを持っており、今回はフラットのスピードで遅れたとはいえ、なんとかもう一花咲かせてもらいたいところである。ポーランドのMinister Wojny、Steeplechaseでは近年のイタリアを代表する名馬となったNotti MagicheはいずれもMeranoのCross Countryは初参戦で、とりあえず飛越に苦労しつつもレースにはついて行ったが、最後は遅れての入線となった。

 

〇 Saverio Lembo

per cavalli di 4 anni (Siepi - Condizionata - Fantini) Euro 17,600 TRIO 3300m (Replay)

1. Zain Master J: Gabriele Agus T: Ilaria Saggiomo

地元のZain Masterが軽快に逃げると、そのままついてきたCosta Rica以下を振り切って勝利した。Zain MasterはこれでMaidenから連勝とした。ここまで4歳の重賞路線を使ってきた馬ではなく、どちらかというと新興勢力といったところではあるのだが、とはいえCriterium Di Primavera (G2)にて3着のあるCosta Ricaを寄せ付けなかった走りはなかなか大したもので、地元イタリア勢の一頭として期待できそうな感がある。そのCosta Ricaは途中からZain Masterのスピードに置いていかれ気味の3着。ポーランドからはEt Tu Bruteが参戦していたが、早々についていけなくなり大きく遅れての4着となった。Criterium Di Primavera (G2)の2着馬Aslanoも出走していたが、途中でトラブルがあったのか途中棄権に終わった。

 

Coleraine (AUS) Soft5

〇 Adam Lindsay Gordon BM120 Coleraine Hurdle  

Handicap. Three-Years-Old and Upwards, No sex restriction. BenchMark 120. Apprentices can claim. 3300m (Replay)

1. Heir To The Throne J: Will Gordon T: Andrea Leek

ColeraineのGreat Western Steeplechase Day。レースはベテランMr Coyneがゆったりと引っ張る展開も、2周目から後続が殺到。ここから抜けてきたField of Lightsがそのまま逃げ込みを図るも、後ろから追い込んできたHeir To The Throneがこれを捉えて勝利した。

Heir To The Throneはこのレースは昨年に続き連覇となる。ただし、BM120 Hurdleを制して挑んだ昨年とは異なり、今年はHurdleをここまで3戦するもいいところなく敗れていた。ここにきて急にパフォーマンスを上げた理由は不明だが、Course Specialistという可能性もありそうで、来年以降の動向には注意した方がいいだろう。Grand National Hurdleへの参戦も含めて今シーズンも精力的に障害競争への出走を続けたEl Diezが2着に入った。Hurdleではかなり経歴の長い馬だが、Eric Musgrove厩舎の馬ということも踏まえるとSteeplechaseという選択肢もありそうだ。積極的に立ち回ったField of Lightsは最後捕まって3着。現在はSA州の調教馬となっているMr Coyneはこれが2年ぶりの障害競争への出走であったが、後半脱落して離れた6着に終わった。11歳という年齢を考えると次のシーズン中にどこまでといったところだろう。休養前はSteeplechaseで可能性を示していた馬だけに今回はあくまで叩き台といったレースであったが、シーズンの残る開催が1つのみというのは残念である。

 

Ecycle Solutions Great Western Steeplechase

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3600m (Replay)

1. Nelson J: Aaron Kuru T: Declan Maher

現存する障害競争としてオーストラリアでは最も古いレースとなる。Crisp Steeplechase及びGrand National Steeplechaseの狭間の開催で、賞金額的にも一線級のメンバーが集まりにくいという難点はあるのだが、とはいえEric Musgrove調教師のインタビューにもあったとおり、素晴らしい雰囲気の中で行われる伝統のある開催である。レースは葦毛のTwin Spinnerが淡々と引っ張る展開で、Johnny Buccaneer、Capellani、Coleridgeの人気薄の3頭を残して馬群は密集して進行。その中からCastrofrancaruが飛び出して逃げ込みを図るも、これを追いかけてきたNelsonがこれを捉えて勝利した。

Nelsonは先日Grand National Hurdleを勝利したSan Remoと同じくFrankelの産駒で、もともとAidan O'Brien厩舎にいたアイルランド時代には2歳及び3歳重賞を勝利しているほか、日本のクリンチャーが遠征した2018年の凱旋門賞にも参戦している。その後はオーストラリアに移籍するも平地ではいいところがなく、今年から障害競争に参戦していた。Hurdleではあまりいいところはなかったようだが、前走のPakenhamのMaiden Steeplechaseでは2着に入っており、これがSteeplechase初勝利となる。9歳とそれなりに年齢は重ねており、今回もメンバー的にはさほど強力ではなく67kgの斤量に恵まれた感もあるのだが、とはいえ元々持っている能力を考えれば来年以降楽しみな存在だろう。今シーズンはEulong Steeplechaseを勝っているCastrofrancaruが惜しい2着。トップハンデのMighty Oasisはやはり良馬場が堪えたのかいいところはなし。昨年の勝ち馬Roland Garrosは勝負所から脱落し途中棄権に終わった。