にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

23/08/27 Weekly National Hunt / Jump Racing

8/22(火)

Newton Abbot (UK) Good (Good to Firm in places)

〇 Novices' Limited Handicap Chase (C3) 2m75y (Replay)

1. Stepney Causeway J: Harry Reed T: Milton Harris

かなりゆったりとしたスタートを切ったStepney Causewayが徐々に位置をあげると、Calentino Dancerとの叩き合いを制して勝利した。Stepney CausewayはSt. MoritzのSkikjöringrennenにも参戦したことのある馬だが、その後はChaseを使っているようだ。どうやらこのようにだいぶゆったりとしたスタートからまくり上げていくのが芸風のようで、ここのところは概ねそのような競馬に徹している。ひとまずChaseは6月のWorcesterのClass4に続いて2勝目とした。あくまで夏場の良馬場でといったタイプのようで、ここからどうこうということはなさそうだが、とはいえなかなか面白い経歴と面白い個性をもった馬のようで、引き続き頑張って欲しいところである。

 

Rotorua & Bay of Plenty Hunt @ Arawa Park (NZ) Heavy10

〇 Team Wealleans Hurdle OPN HDL 3000m (Replay)

1. Jakama Krystal J: Stephan Karnicnik T: Peter & Jessica Brosnan

もともとRotoruaの開催は先週日曜日に予定されていたのだが、順延になったようだ。Verry Flash、English Gamblerといった強力なメンバーが取り消したこのレースはElusive Aceが先頭を伺うも、途中からJakama Krystalが先頭に。そのままJakama Krystalは軽快に引っ張ると、2番手争いを繰り広げるTahuroa Height以下を振り切って勝利した。

Jakama KrystalはHurdleはMaidenに続き2勝目とした。ただしその後Hawke's Bay Hurdles (PJR)では最下位、0-1 WIN HDLでも落馬といまいちな結果で、ここにきて一気に馬が変わってきたのかと言われるとやや微妙なところがある。とりあえず調教師によれば重馬場は得意だそうだが、2着のTahuroa HeightもPJRクラスでどうこうという強力な馬ではなく、全体的にレースの水準には疑問符が付きそうだ。人気になっていたのは5月にMaidenを勝ったKevin Myers厩舎のEscaladeだが、勝ち馬からは離れた5着に終わった。

 

〇 Greenlight Insurance Brokers Limited & Rotorua Bop Hunt Cup OPN STP 3500m (Replay)

1. Hey Happy J: Hamish McNeill T: Kevin Myers

同厩舎のHey HappyやBak Da Masterを制してCarnabyが先頭に行く展開で、やや後方に置かれたPythagorasが離される場面がありつつも淡々とレースは進行。向こう正面からHey Happyが前に出てくると、そのまま後続に大差をつけて圧勝した。

途中でShackeltons Edgeが落馬しているのだが、その場面が大きくカットされており、Hey Happyが出てきたところがよくわからなくなっている。Hey Happyは元々ニュージーランドにいた馬だが、その後オーストラリアに移籍、2022年はオーストラリアでMaiden Hurdleを勝っている。その後は出戻りのような形でニュージーランドに移籍しているが結果は出ず、2023年はこれが初めての障害戦であった。Steeplechaseは初めてであったが、Awara Parkの比較的難易度の低い障害には十分対応していたようで、CarnabyやBak Da Masterなど、比較的ここまで積極的にレースを使ってきた相手に対して強い競馬を見せていた。ただし今回比較的フレッシュな状態で挑んだのはこの馬くらいなもので、Awara Parkの障害の形態を考えるともう少し注意してみた方がよさそうだ。2021年のWellington Steeplechaseで2着に入ったShackeltons Edgeは今年2年近い休養を経て復帰していたが途中で落馬、残念ながら助からなかったようだ。

 

8/23(水)

Saratoga (USA) Firm

Jonathan Sheppard Stakes (G1)

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES A HURDLE HANDICAP FOR FOUR YEAR OLDS AND UPWARD. Two And Three Eighth Miles On The Hurdle $150,000 (Replay)

1. Awakened J: Thomas Garner T: Jack Fisher

West Newtonが逃げる展開も馬群は例によって密集して進行。最終周の向こう正面からJimmy P、Noah And The Arkなどが殺到しWest Newtonは後退。そのまま出てきたJimmy PがMcTigueを引き連れて逃げ込みを図るも、内から抜けてきたAwakenedがJimmy Pを捉えて勝利した。

AwakenedはCurlinの産駒のアメリカ生産馬で、Saratogaでは前走のJonathan Kiser Novice StakesにてMcTigueの2着に入っている。当時は3馬身差とMcTigueにやや水をあけられての敗戦であったが、今回は斤量的にも有利になったことでその借りを返すことに成功した。レースとしては内でじっと構えつつ最終障害を越えてからの瞬発力勝負でこじ開けてくるといったもので、うまく空いたスペースを突いてきたThomas Garner騎手の手腕もありそうだ。前走はPercy Warnerのハンデ戦を勝ったJimmy Pが2着で、どちらかというと展開の綾のようなレース展開にはなったのだが、アメリカ生産馬の新興勢力的な立ち位置の馬が上位を占めたのは喜ばしいことだろう。アイルランドからの移籍馬でフランスにて重賞勝ちのあるMcTigueは人気になっていたようだが、やや前2頭と比べるとロスの多い競馬が目立った。

 

8/26(土)

Waikato Thoroughbred Racing @ Te Rapa (NZ) Soft7

〇 Bridges Insurance Services Hurdle OPN HDL 3200m (Replay)

1. English Gambler J: Hamish McNeill T: Lauren Brennan

例によってEnglish Gamblerが元気よく後続を引き離して逃げる展開も、2周目に入る辺りから後続が接近。しかしそこから再度English Gamblerがリードを開くと、ついてきたTaika以下を振り切って勝利した。

English GamblerはHurdleはこれで3勝目とした。Waikato Hurdle (PJR)では早々に絡まれて途中棄権に終わっているのだが、あくまで気分よく逃げることができればといったところだろう。例によって引っかかり気味に走るのはいつものことで、距離的な限界はどうしてもありそうな感がある。前走はOpen HurdleでTahuroa Height、Odysseusなどを下してきたTaikaが2着。トップハンデのNedwinは好位から進めたが、そこから足を伸ばし切れず3着。連覇を狙ったGrand National Hurdles (PJR)ではBerry The Cashの2着に入ったHappy Stayは中段から進めて4着に終わったが、基本的にここはあくまでプレップレースといった位置づけであることを考えればこれでよさそうだ。

 

CLC Pakuranga Hunt Cup (PJR) OPN STP 4800m (Replay)

1. The Cossack J: Aaron Kuru T: Paul Nelson & Corrina McDougal

Ellerslie時代からGreat Northern Steeplechaseの前哨戦的な位置づけとなる。レースはDes De Jeu、Locally Sauced、The Cossackなどが出てくるが、そのままDes De Jeu、Locally Saucedがゆったりと引っ張る展開となる。しかし2周目の途中から好位の内にいたThe Cossackが前に出てくると、そのまま2着争いを続ける後続を尻目に快勝した。

The Cossackは今シーズンはWaikato Steeplechaseに続くPJR2勝目とした。Hurdleではもはや言うまでもなく希代のチャンピオンとして君臨した馬だが、Steeplechaseでもその高い能力を示している。Wellington Steeplechaseでは落馬の影響でWest Coastの後塵を拝すことになったが、Great Northern Steeplechaseに向けて視界良好といったところだろう。後方から進めたDonardoが最後追い込んで2着。前走RST OPN STPを勝ったRaucous、上がり馬のHey Happyと続いたが、基本歴にレースとしてはThe Cossackのスパートと持久力についていける馬は居なかったといった格好の内容で、The Cossackの強さばかりが目立つものとなった。

 

Kokura / 小倉 (JPN) Good

Kokura Summer Jump (G3) 3390m (Replay)

1. テーオーソクラテス J: 小坂忠士 T: 奥村豊

この日もレース順としては第4レース、発走は日本時間で11時25分となった。レースは5歳牝馬のナギサが積極的に前に出ていく展開で、ホッコーメヴィウス、アサクサゲンキなどはその後ろに控える。ややペースが落ち着いた辺りでシングンジョーイが後方から一気に押し上げるが前には至らず。2周目からポルトラーノがスパートをかけて前に出てくるも、ナギサがここから抵抗。そのまま脱落したポルトラーノを振り切ったナギサが逃げ込みを図るも、外から追い込んだテーオーソクラテスがこれらを捉えて勝利した。

テーオーソクラテスは中山GJ (G1)にて4着に入った馬だが、そこまで小倉を含めて3連勝を飾っていた。内容的にはよくわからない動きを見せる各馬を見ながらじっくりと中段で進めつつ、最後捉え切るといったもので、最終障害の向けた飛越面も含めて完勝だろう。距離的にはもう少しあった方がよさそうなパフォーマンスであったことも好ましい材料で、暮れの大一番において中心的な一頭となることを期待したい。やや驚いたのが5歳牝馬のナギサで、ここまでオープン戦は2勝、牛若丸JSでテーオーソクラテスの3着という実績はあったのだが、ここ3戦は大敗続きであっただけに人気薄での激走となった。自分のペースで淡々と運んだ利に加え、実績のある森騎手とのコンビに戻ったことによるプラスもあったかもしれない。小野寺騎手のマイネルヴァッサーは後方から忍び寄っての3着。現役生活の大半を障害戦で過ごしたベテランで、こういう馬はどこかでいいことがあって欲しいものである。3連覇を狙ったアサクサゲンキは4着に終わったが、レース運びとしては特段問題があるものではなかったような感がある。ホッコーメヴィウスはややメンタル面で心配になる大敗。良血馬ポルトラーノは積極的なレースを見せたが、そもそも途中から馬のコントロールができておらず、そのままの勢いで強引に前に出ていったというレース内容で、結局終盤失速したのも仕方がないことのように思える。

 

8/27(日)

Vittel (FR) Souple (3.6)

〇 Prix Le Courageux Combat D'Antoine

Haies Classe 4 Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, en course à obstacles, reçu 12.000 (victoires et places). 3800m (Replay)

3. L'Estran J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

チェコのL'Estranが出走しており、序盤から先頭を走ったが3着に敗れた。L'Estranは言うまでもなくイタリアSteeplechaseのトップホースで、Gran Premio Merano (G1)は今年で5連覇がかかっている。一方で2023年はここまで5月のListedを一走したのみで、先週も出走を予定していたのだが取り消していた。ここに回ってきた理由は不明だが、10歳馬にとって良馬場のHaiesで比較的若い馬が相手ということで、とりあえずまともに走れていたということでプレップレースとしては十分な内容だろう。ただし今年はFirst of Allの台頭もあり、Gran Premio Merano (G1)でもかなり強力なメンバーを相手にすることになりそうだ。勝ったのはClayというイギリス生産馬で、もともとイギリスで走っていた馬のようだが、これでフランスではClairefontaineのClaimingから2連勝とした。

 

Merano (ITA) Tempo Coperto Terreno L. Pesante

〇 Associaz. Arma Di Cavalleria - Mem. Colonnello Luca Baiona Euro 13,000

per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross Country - Condizionata - G.R. - Ammazzioni - Fantini) 5000m (Replay)

1. Zubiena J: Ondrej Velek T: Christian Ghiotti

途中には3連続障害も使用するMeranoのCross Country。レースは積極的にAlmost Humanが逃げる展開で、これをBroughtonが追いかける。しかし飛越に何度かミスのあったBroughtonは脱落し、そのままAlmost Humanが逃げ込みを図るも、最後Zubienaがこれを捉えて勝利した。

Zubiena自身はこのCross Countryでは長い馬だが、勝ち星としては2021年の3500メートルの競争が最後となる。Grand Steeplechase Di Roma (G3)でも途中で落馬に終わるなどぱっとしたところはなかったのだが、今回は比較的長距離が設定されたMeranoのCross Countryに目途をつけるレースとなった。8歳の牝馬がここにきてパフォーマンスを上げた理由はよくわからないのだが、とはいえ長いことこのCross Countryを使ってきた馬がここにきて結果を残したことは喜ばしいことだろう。この路線ではすっかり常連となったAlmost Humanが2着で、昨年はBrunch Royalの前に2着に終わったPremio Delle Nazioni (G2)に向けて視界良好といったところだろう。最近好調のWhite Woodは途中から遅れ3着まで。13歳のベテランBroughtonは好位から進めたが、飛び乗り台のところで細かいミスが何度かあり、途中から脱落して離れた4着に終わった。

 

Piero E Franco Richard Euro 30,000

per cavalli di 4 e 5 anni (Steeplechase - Gruppo III - Fantini) 3800m (Replay)

1. Lady In The Lake J: Ondrej Velek T: Josef Vana

レースは人気を背負った地元のVelo Dipintoが引っ張る展開で、一時はやや後続にリードをつけて引っ張る形となる。しかしじわじわとLady In The Lakeがこれに接近すると、最終障害を越えてVelo Dipintoとの叩き合いを制して勝利した。

Lady In The LakeはPremio Ezio Vanoni (G2)ではRamuntchoの2着もある馬だが、とはいえ勝ち星には恵まれておらず、ここでは人気の盲点になっていたようだ。Velo Dipintoが相手ということでメンバー的には揃っていたものの、年齢による斤量的な恩恵もあったとはいえ、さすがに斤量面で有利な状況は否めず、この勝利が本物であるかは注意しておきたい。前走のCondizionataでPretty King、Ramuntchoを下してきたVelo Dipintoが2着で、71kgを背負っての2着であれば上出来だろう。地元の牝馬ということで引き続き期待したい。フランスからの移籍初戦となったVezzanaは終盤で落馬に終わった。

 

Ballarat (AUS) Soft6

〇 Ian Larkin Memorial Maiden Hurdle

Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. 3250m (Replay)

1. South Pacific J: Lee Horner T: Amy McDonald

フランスからの輸入馬Second Actが人気になっていたが、どうにも好位の外をふらふら走って飛越がおぼつかない。勝負所からSecond Actが脱落すると、これをめがけて前に出たBottiが逃げ込みを図るが、最後追い込んできたSouth Pacificがこれを捉えて勝利した。South Pacificは元々イギリス・オーストラリアでG1への出走経験のある馬で、今年の7月からHurdleを使っていたようだ。Hurdleは3戦目で初勝利とした。すでに8歳と平地からの転向馬らしくそれなりに年齢は重ねているようで、既に平地ではほぼ頭打ち状態になっているようだが、もともとの能力馬が完全に終わったわけではなさそうであることは喜ばしいことだろう。BottiはSecond Actをめがけて前に出たが、結果的にはやや早仕掛けになった格好の2着。Second ActはStern Idolの下ということで人気になっていたようだが、どうにも気性の難しさをのぞかせての敗戦で、とりあえずこれがオーストラリア障害での初戦ということで来年に期待したい。

 

〇 Ciaron Maher Racing Maiden Hurdle

Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. 3400m (Replay)

1. What Revolution J: Ross O'Sullivan T: Ali Brook

前半からゆるゆると逃げたWhat Revolutionが勝負所からRaise Your Sightsを以下を振り切ると、そのままDr Colinに5馬身差をつけて快勝した。What Revolutionは平地ではさっぱり実績のない馬で、今年の5月からHurdleを使っていた。Hurdleでも最高でMaidenで3着という結果はあるのだが、とはいえ勝ち馬からは大きく離された敗戦で、上記South Pacificのような平地の実績馬がいる中では軽視されていたようだ。今回も最低人気と前評判は高くなかったようだが、驚きのレースを見せた。全体的に飛越が高すぎるなど未熟な面はありそうだが、とはいえ貴重なSA州の障害馬ということで来年の活躍には期待したい。Ali Brook調教師はOakbankに拠点を置くBarry Brook調教師から引き継いでの初勝利となった。SA州の現状を考えるとSA州で障害馬を育成すること自体が非常に苦しい状況であったことが推測できるが、その努力が実る嬉しい勝利となった。SA州の障害競馬が廃止されて以降、VIC州にて初のSA州調教馬の勝利ということで、SA州とVIC州の状況を比較すると非常に価値のある勝利となった。

 

Marshman Painting Gotta Take Care Hurdle

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices can claim. 3600m (Replay)

1. El Diez J: Darryl Horner T: Eric Musgrove

Laybuyが逃げる転嫁も、途中から人気のPlatinum Spiritが内から前に出てくる。しかし早々に苦しくなると、最終コーナーから先頭に立ったEl DiezがそのままThat's Incranibull以下を振り切って勝利した。

El Diezは障害では既に長い経歴のある馬で、今シーズンはSaleの0-114 Hurdleで勝利している。ただGrand National Hurdleでは大敗するなど一線級相手では苦しいようで、あくまで経験の長さを生かした立ち回りの上手さを武器に戦うことになりそうだ。Maiden勝ちのみがあるThat's Incranibullが2着で、このあたりはあくまで立ち回りの違いといったところもありそうだ。Aaron Kuru騎手は前日はニュージーランドで騎乗しており、ニュージーランドのトップジョッキーとしてその精力的な活躍は見事である。Rising Renown、Jekyll'n'hydeと続いた。人気のRider In The Snow、Platinum Spiritはどうにもパッとせず大敗に終わった。

 

〇  E Cycle Solutions - JJ Houlahan Hurdle

Set Weights plus Penalties. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3250m (Replay)

1. Fabalot J: Chris McCarthy T: Symon Wilde

前半から派手なリードを取って逃げたFabalotが付いてきたDashing Willoughbyなどを振り切ると、そのままField of Lightsに12馬身差をつけて快勝した。

Fabalotは昨年のこの開催でMaidenを勝利し、今年はCastertonのOpen Hurdleを勝ってきた馬だが、大きなタイトルはこれが初とした。実況中でも言われているとおり先日のEnglish Gamblerを彷彿とさせるような大逃げであったが、逆についてきたDashing WilloughbyやRaise You Tenなどは完全に失速している辺り、これがこの馬の持ち味として大きな武器になりそうだ。上がり馬Field of Lightsは後方から押し上げて2着。Heir to the Throneが4着。先日Maidenを勝ったDashing Willoughbyは好位から進めたが、最後は勝ち馬に突き放されての4着。Bedford、Blandford Ladなどもいたのだが、後方から押し上げを図るも失速しての大敗で、勝ち馬の積極的な大逃げが光るレース内容となった。

 

E Cycle Solutions Grand National Steeplechase

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 4500m (Replay)

1. Brungle Bertie J: Henry Dwyer T: Lee Horner

2023年のオーストラリア障害競馬としてはこれが今年の最後のレースとなる。2023年はSA州の障害競馬が正式に廃止されて以降初めての年となったが、一方でGrand Annual Steeplechaseを中心としたWarrnamboolの祭典の大成功や平地・欧州障害競馬を含む多数の実績馬の参入、さらには新たな若手騎手の台頭といった多くの明るい話題があり、引き続きVIC州の障害競馬としては飛躍の年となった。加えて、この年の最後の開催において、SA州調教馬がVIC州の障害競馬で勝利を挙げたこともまた象徴的な出来事だろう。The Greensとの共謀と障害競馬の廃止という愚行によりその汚名を歴史に刻んだRacing SAやORCをはじめとするSA州の関係者は、このVIC州の成功や、SA州の苦境にも諦めずVIC州にまで馬を遠征させて勝利を掴んだ陣営を見てなにを思うのだろうか。

レースはCrisp Steeplechase等を圧勝してきたStern Idolが圧倒的な人気を集めていた。そのStern Idolがゆるゆると引っ張る展開も、Count Zeroを中心にこれについて行く。さらに2周目からはTolemacがこれに絡んでいき、一時は前に出る構えすら見せる。Stern IdolはTolemacに抵抗するも勝負所から脱落し、代わってTolemacを交わして前に出てきたBrungle BertieがBell Ex Oneを振り切って勝利した。

Stern Idolは圧倒的なスピードでここまで圧勝に次ぐ圧勝を見せてきた馬だが、一方でGrand Annual Steeplechaseではあっさり脱落して途中棄権に終わっており、どうにも気性的な脆さを抱えた馬でもある。今回は例によって前に行ったのだが、Count Zero、Tolemacの2頭が積極的に絡んでくることであっさり苦しくなったようだ。おそらくGrand Annual Steeplechaseは距離が長すぎるうえにWarrnamboolのタフなコースもこの馬にとってはビハインドであり、さらにここまでの実績面から斤量的にも苦しくなること等を踏まえると、来年以降はやや難しい立ち回りが要求されることが想定される。

一方の勝ったBrungle Bertieはここまで目立った実績があった馬ではなく、昨年はこの開催のBM120 Steeplechaseを勝利していた。Crisp Steeplechaseでは前から大きく離れた4着に終わっていたのだが、今回は結果を残した。Stern Idolの脱落もあってレースの水準的には微妙な面もあるのだが、とはいえ今回浮上してきた馬の性質に基づくとある程度緩いペースを追走するタイプのステイヤーであると想定されることを踏まえると、むしろステイヤータイプにとってチャンスが生まれるであろう来年のGrand Annual Steeplechaseでも期待ができそうだ。直前のGrand National Hurdlesで4着に入ったBell Ex Oneは初のSteeplechaseであったが見せ場十分の2着に入ったが、終いはやはりSteeplechaseの経験値の差だろう。この馬は欧州障害競馬の出身馬であり、そのステイヤー資質は高いものを持っていることが期待されることを考えると、来年以降はやはりSteeplechaseにてその走りを見たいところである。

Great Western Steeplechaseでトップハンデを背負っていたCastrofrancaruが3着。今シーズンの序盤で旋風を巻き起こしたCampbell Rawillerが騎乗したTolemacは積極的に立ち回っての4着で、この馬のできることはやり切った内容だろう。Campbell Rawillerはシーズン後半はあまり目立った活躍は見せていないが、とはいえここでもStern Idolを競り潰しに行くという意図を持った積極的な騎乗を見せており、その内容は高く評価できるものである。Grand National Doubleを狙ったSan Remoは途中から脱落して途中棄権で、もともとのSteeplechaseでの実績を考えればここでは苦しかったものと思われる。欧州障害競馬の出身馬としてはCrosshillもいたのだが、おそらくスタート直後に何かしらトラブルがあったことが原因で途中棄権となった。Crisp Steeplechaseでは大敗に終わっているが、Grand Annual Steeplechaseでは3着に踏ん張っており、今回のレースの性質を考えると浮上のチャンスはあったと考えられるだけに残念な結果となった。