にげうまメモ

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24/02/11 Weekly National Hunt / Jump Racing

2/5(月)

Punchestown (IRE) Soft to Heavy

P.P. Hogan Memorial Cross Country Chase 3m130y (Replay)

1. Coko Beach (FR) J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

人気薄のKnockiel Syngeが前に行くも馬群は固まって進行。残り5障害辺りから前に出てきたCoko Beachがそのまま後続を引き離すと、Genoisに6馬身差をつけて勝利した。

Coko Beachはアイルランド24f超のHandicap Chaseではお馴染みの存在で、2年連続でAintreeのGrand National (Premier Handicap)にも参戦している。今シーズンは11月にTroytown Chase (G3)を制しているが、今回は目先を変えてCross Countryに向かってきたようだ。初のBank Courseであったが飛越自体は問題なくできており、全体的に前向きなレースが目立つ内容であった。12st0lbを背負ってのこの勝ち方は立派だろう。どうしても馬場が渋ってある程度ペースが落ち着く必要はあるようだが、Cross Country路線に目途をつけることができたということは9歳となったこの馬にとっては大きな収穫である。初のBank CourseとなるGenoisが2着だが、名門Enda Bolger厩舎の馬らしくしっかりとこのコースへの対応は準備されていたようだ。12st0lbのStattlerは全体的にもたもたと走るところが目立ち、勝ち馬からはだいぶ遅れた4着。12歳馬Vital Island、この路線ではお馴染みのEnjoy D'Allenはいいところなし。チェコポーランド帰りのJet Fighterも飛越自体は問題なくレースを進めていたが、さすがに勝負所から脱落して離れた8着に終わった。

 

2/10(土)

Newbury (UK) Heavy (Soft in places)

Denman Chase (G2) 2m7f86y (Replay)

1. Shishkin (IRE) J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

King George VI Chase (G1)では惜しくも落馬に終わったShishkinの参戦で話題が集まっていた。レースはProtektoratが前に行く展開で、特に問題なくスタートを切ったShishkinやVeterans' Chase Series Finalを制したSam Brownが番手から。そのままProtektoratが軽快に逃げるも、直線を向いて前に出てきたShishkinがHitman以下を振り切って勝利した。

今シーズンは1965 Chase (G2)での発馬拒否やKing George VI Chase (G1)での落馬となにかとお騒がせなShishkinだが、今回はまともに走って勝利を収めた。元々16f Chase路線でも優れたスピードを武器に戦ってきた馬だが、どうやらSholokhovの産駒として追ってからしぶとく加速し続けるエンジン性能を武器としているようで、改めてKing George VI Chase (G1)での落馬が惜しまれる結果となった。Cheltenhamの上り坂を考えるとこのエンジン性能は大きな武器になるものと思われるが、一方で飛越に課題がある馬でもあり、Cheltenhamの下り坂での対応がカギとなるだろう。今年はWind Surgery明けとなるHitmanが2着で、昨シーズンではRyanair Chase (G1)での3着がある馬だけにそろそろ重賞制覇を期待したい。Protektoratは前向きに走っての3着で、24fで結果を残してきた馬とはいえ、もしかすると気性的にはもう少し距離は短くてもいいかもしれない。12歳のSam Brownは途中から手ごたえが怪しくなるも、そこから諦めずに走ってProtektoratから5馬身差の4着に入った。一時は完全に不振に陥っていた高齢馬が前走のVeterans' Chase Series Finalでの快走も含めてここまで復活するということは驚異的なことで、不振が続く高齢馬に対して頻繁に湧き上がる安直な引退論を笑い飛ばすような走りとなった。

 

Game Spirit Chase (G2) 2m92y (Replay)

1. Edwardstone (GB) J: Tom Cannon T: Alan King

16fに戻してきたEdwardstoneが軽快に前を走る展開だが、そのまま後続のAmarillo Skyを引き離し隊列は長くなる。そのままEdwardstoneは軽快に逃げると、残り2障害地点で落馬したBoothillを尻目にFunambule Sivolaに40馬身差をつけて勝利した。

Edwardstoneは前走はSilviniaco Conti Chase (G2)で20fに挑戦していたが、引っかかってお話にならず大敗に終わっていた。今回は16fに戻してのレースであるが、これまでの控える競馬から打って変わって軽快な逃走劇を見せた。Kayf Taraの16f Chaseでの先行馬としてやはり記憶に残るのが高齢になるまでその前向きな気性とスピードを武器に戦ったSpecial Tiaraであり、同馬がQueen Mother Champion Chase (G1)において見せたCheltenhamの起伏を味方にした絶妙な逃走劇は鮮烈であったが、Edwardstoneはどうだろうか。現在の16f ChaseはJonbon、El Fabioloとフランス出身の快速馬が有力な候補だが、一方でイギリス血統の同馬はこれらの馬とはやや性質的に異なるようで、この馬のQueen Mother Champion Chase (G1)での戦術を考えるうえでは非常に興味深いレースとなった。

 

Betfair Hurdle (Premier Handicap) 2m69y (Replay)

1. Iberico Lord (FR) (AQPS) J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

21頭立てのハンデ戦。レースはConditional JockeyであるTristan Durrellが騎乗したKnickerbockergloryが前に行くも馬群は密集して進行。Go Dante、Faivoirなどを振り切って前にでたL'Eau Du Sudがそのまま逃げ込みを図るも、内から出てきたIberico Lordがこれを捉えて勝利した。

勝ったIberico Lordは直線を向くあたりではそれなりに絶望的な位置にいるのだが、レースとは面白いものである。Iberico Lordは名前から想像できるとおりCokorikoの産駒で、今シーズンはGreatwood Hurdle (Premier Handicap)から重賞は2勝目とした。人気を背負ったAscotのBetfair Exchange Trophy (Premier Handicap)では大敗しているようだが、重馬場に戻って改めて結果を残した。母父にはVoix Du NordがいるAQPSで、いわゆるフランスの障害血統といったところで、ある程度渋った馬場において小回りの利くスピードを武器としているようだ。今回は11st8lbと斤量的にもそれなりに厳しかったようだが結果を残した。まだ6歳と若い馬だが、このままHandicap路線だと斤量的には厳しくなりそうで、どこかでChaseへの転向もあり得るだろう。Wind Surgery明け2戦目のL'Eau Du Sudが2着。フランスAuteuilではListed勝ちもあった馬だが、イギリスではまだ未勝利に留まっている。

 

2/12(日)

Navan (IRE) Heavy (Soft in places)

Boyne Hurdle (G2) 2m5f (Replay)

1. Hiddenvalley Lake (IRE) J: Darragh O'Keeffe T: Henry de Bromhead

レースはBeacon Edgeがかなりゆったりとしたペースで運ぶ展開で、好位からDa Capo Glory、Hiddenvalley Lakeなど。最終コーナーからAshdale Bobが前に出るも、更にそこから前に出たHiddenvalley LakeがBeacon Edge以下を振り切って勝利した。

Hiddenvalley LakeはNovice上がりの馬で、昨シーズンはCorkのStayers Novice Hurdle (G3)を制している。ただしCheltenhamではうまくいかず、今シーズンは年末にBeginners Chaseを1戦するも落馬に終わっていた。Hurdleへの出戻りで結果を残したことになるが、とはいえレースとしては最終コーナー辺りからの瞬発力勝負といったところで、あまりステイヤー資質を問うレースではないことに留意したい。今シーズンはNoel Meade厩舎からGordon Elliott厩舎に移籍したBeacon Edgeが最後復活して2着。Galvin、Delta WorkといったCross Country Specialistは明らかに一叩きといったところでこれでいいだろう。Sire Du Berlaisはさっぱりいいところなしだが、この馬は本番でやる気になるかどうかだけであろう。案外だったのが昨年の勝ち馬Blazing Khalで、勝負所から早々に遅れ途中棄権となった。

 

Ten Up Novice Chase (G2) 3m (Replay)

1. American Mike (IRE) J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

Favori De Champdou、Senecia、Minella Cocoonerが前に行く展開も3m戦らしくペースはゆったりと流れる。しかし2周目の途中から手ごたえ良く前に行ったAmerican Mikeが先頭に代わると、最後追いかけてきたNick Rockettを振り切って勝利した。

American MikeはMahlerの産駒で、NHFでは立派な成績を収めて期待されたのだが、Hurdleでは大いに人気を集めたMonksfield Novice Hurdle (G3)で敗れると、そのままNovice Hurdle路線ではいいところなく終わっていた。今シーズンはChaseに転向しており、Faugheen Novice Chase (G1)ではGaelic Warriorから25馬身差の4着に終わっていたが、今回は距離を延長して結果を残した。どうしても緩慢に動きがちなMahlerの産駒らしく瞬間的なスピード能力に欠けるところはあるようだが、一方でスピードの持続性能と航行能力という点ではいいものを持っており、このような馬はやはり24fのような長い距離でといったところだろう。ただし飛越にはミスが何度か目だったのは今後の改善に期待したいところである。前走FairyhouseのBeginners Chaseを勝ったNick Rockettが最後差を詰めて2着。Hurdle時代にはPaddy Kehoe Suspended Ceilings Novice Hurdle (G2)を含め3戦3勝という結果を残したWillie Mullinsの秘密兵器的な馬で、できればAmerican Mikeは交わし切りたかった感もある。

 

Pisa (ITA) Tempo Vario Terreno Pesante

Neni Da Zara Euro 33,000 TRIO

per cavalli di 4 anni (Steeplechase - Gruppo III - Fantini) 3500m (Replay)

1. Sopran Leger (IRE) J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

早々にフランスのKerry Du Ribが生垣障害で落馬。Raffaele Romano陣営のTonkが前に行く展開も、これを追いかけてSopran Legerが並走し、途中から先頭に。そのままTonkを振り切ったSopran LegerがPan De Azucarに10馬身差をつけて勝利した。

Sopran LegerはMake Believe産駒のアイルランド生産馬で、イタリア障害戦線ではSiepiのMaidenに続き2勝目とした。前走のSiepiのCondizionataではApexから2馬身差の2着に敗れており、今回は初のSteeplechaseであったが、実績馬Tonkを競り潰す強い競馬を見せた。Churchill産駒の同じくアイルランド生産馬であるPan De Azucarが離れた2着。昨年のGran Criterium D'Autunno (G1)で3着の実績のある馬で、比較的コンスタントに上位に顔を出しているようだが、とはいえ全体的に前からはやや離された敗戦が多く、今回も例に漏れずといったレースとなった。前走Ascendenteを勝利してきたTonkは積極的に前に行くも、早々にSopran Legerに来られて苦しくなり、最後は4着に終わったようだ。

 

Criterium D'Inverno Euro 50,050 TRIO

per cavalli di 4 anni (Siepi - Gruppo II - Fantini) 3500m (Replay)

1. First Polar (FR) J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

レースは青いシャドーロールを付けたPoirotが前に行く展開も、番手にいたKensington Squareが並んでいくなどややペースは落ち着いて進行。しかし途中から一気に前に出てきたFirst PolarがPoirotに並んでいくと、直線を向いてこれを突き放し、終わってみれば11馬身差の快勝とした。

First Polarは元々フランスでデビューした馬で、これがイタリアでの2戦目となる。イタリアデビュー戦となった前走はApexから僅差の2着に敗れていたが、今回は強い競馬を見せた。前走の時点でApexに対して3kgの不利があり、定量戦に戻ればといったところだろうか。イタリア生産馬のPoirotは人気がなかったが積極的に運んでの2着。イタリア勢で最先着を果たしたのがNational Defense産駒のPolicastaとなった。ただ前走のCorsa Siepi Dei Quattro Anniの時点でApex及びFirst Polarから2馬身差の3着に終わっており、今回はさらに着差を広げられる結果となった。イタリアPaolo Favero陣営のApexは案外な4着に終わった。

 

Gran Corsa Siepi Nazionale Euro 60,000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi - Gruppo I - Fantini) 4000m (Replay)

1. Mauricius (FR) J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

レースはMachinosがVolkov Jeloisを制して逃げる展開で、人気のMauriciusはその後ろから進める。そのままMachinosがVolkov Jelois、Mauriciusを引き連れて後続を引き離すも、最終コーナー辺りからVolkov Jeloisがこれに並んでいく。しかし内から出てきたMauriciusがVolkov Jeloisとの叩き合いを制して勝利した。

Mauriciusは昨年来からのイタリアSiepiの最強馬で、これで連勝街道を8に伸ばす結果となった。とはいえ前走はのGran Corsa Siepi Di Pisa (G3)では14馬身後ろにいたVolkov Jeloisにだいぶ苦労をさせられたといった印象で、距離的なところを鑑みて後ろから進めたものと思われるが、見た目の成績の良さほどの盤石さはなさそうだという印象がある。Volkov Jeloisは元々フランスにいた馬だが、移籍したのちも殆どがフランスでのキャリアを積んでおり、前走が初めてのPisaでのレースであった。内容的にはここまでMauriciusに迫ることが出来たということは大きな収穫で、今年のイタリアSiepi路線では楽しみな存在になりそうだ。Machinosは昨年11月に復帰してからはどうにもいまいちな競馬が続いていたのだが、今回は久しぶりに見せ場を作っての3着。フランスからのMagnetoとMagnoliaはいずれもいいところなし。イタリアのDirham Emiratiもさっぱり勝負には加われず、離れた5着の入線となった。