にげうまメモ

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22/02/13 Weekly National Hunt / Jump racing

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*週刊障害競馬回顧 2022/02/07-2022/02/13

2/12(土)

Newbury (UK) Good to Soft (Good in places)

〇 Novices' Limited Handicap Chase (C3) 2m7f86y (Replay)

1. Bravemansgame J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

のんびりと先頭を走ったBravemansgameがそのまま勝利した。Bravemansgameは昨年のKauto Star Novices' Chase (G1)の勝ち馬で、これでChaseは4戦無敗とした。良馬場で一頭飛びぬけたトップハンデを背負っていたことから着差は付かなかったのだが、それでも一頭だけ体幹の強さと筋肉のしなやかさは目立っており、さすがに貫禄の勝利だろう。とりあえずCheltenhamに向けて視界良好の内容であった。

 

Denman Chase (G2) 2m7f86y (Replay)

1. Eldorado Allen J: Brendan Powell T: Colin Tizzard

途中から押してImperial Auraが前に出ていくも、残り4障害でミスをして後退。好位で進んでいたEldorado Allenが抜け出すと、そのままRoyale Pagailleに2馬身差をつけて勝利した。

Eldorado Allenは今年のHaldon Gold Cup (G2)の勝ち馬で、24f戦は初めての挑戦であった。ここのところはどちらかというと距離が足りないような負け方を見せていたことから、今回は距離延長がハマったような印象がある。Newburyのようなダラダラと走るようなコースもワンペース型のこの馬向きであるのだろう。24f戦の厳しい消耗戦になった際の対応力は不明だが、いずれにせよここまでの一介の善戦マンとしての立ち位置から新たな可能性を示したことは間違いない。Royale Pagailleはじわじわと伸びての2着で、ひとまず今シーズンの調子の良さを見せる結果となった。昨年のCheltenham Gold Cup (G1)ではやや壁を感じさせる負け方を見せていただけに、どうやらCheltenham Gold Cupに向かうようだが、相手関係的にどうだろうか。人気のClan Des Obeauxはどうにもちぐはぐな競馬で3着に終わった。Newbury競馬場自体には適性はありそうなのだが、やや残念な内容であった。

 

Game Spirit Chase (G2) 2m92y (Replay)

1. Funambule Sivola J: Charlie Deutsch T: Miss Venetia Williams

逃げたFunambule Sivolaがそのまま勝利した。Charlie Deutsch騎手とVenetia Williams調教師のコンビは今シーズン絶好調で、ここまでVenetia Williams調教師の46勝のうち、37勝をCharlie Deutsch騎手で上げているようだ。その中にはScilly Isles Novices' Chase (G1)やLadbrokes Trophy (G3)も含まれている。Funambule Sivolaはこれが重賞初勝利で、昨年はMaghull Novices' Chase (G1)で2着に入るなど力のある馬だが、ひとまずこの馬なりに力をつけているようだ。ただしQueen Mother Champion Chase (G1)では非常に強力なメンバーが揃っているだけに、今回のメンバーでG1クラスでどうとういうメンバーはいなかったことを踏まえると、やや苦しい戦いになることが想定される。古豪Sceau Royalは善戦しての2着で、勝負所でのミスがやや痛かった。勝ち馬とは6lbの斤量差があることを考えると、実質的には勝ちに等しい内容だろう。

 

Warwick (UK) Good to Soft

Kingmaker Novices' Chase (G2) 2m54y (Replay)

1. Edwardstone J: Tom Cannon T: Alan King

For Pleasureが例によって引っかかり気味に引っ張るも、早々に捕まり後退。代わって出てきたEdwardstoneがそのままThird Time Luckiを振り切り勝利した。EdwardstoneはこれでChaseは4連勝。その中にはHenry VIII Novices' Chase (G1)での勝利も含まれており、実質的にイギリス16f Novice Chase路線の代表格と言っていいだろう。当時3着だったThird Time Luckiにも今回再度決着をつけたということで、この2頭の順列は決まったと考えてよいだろう。Third Time LuckiはDoncasterのLightning Novices' Chase (G2)を圧勝して挑んだが、再度Edwardstoneの前に敗戦となった。いずれにせよ、この2頭はおそらくArkle Challenge Trophy (G1)に向けてイギリス勢として中心的な存在になりそうだ。

 

Naas (IRE) Soft

〇 Novice Hurdle 1m7f131y (Replay)

1. Brazil J: Mark Walsh T: Padraig Roche

好位から抜け出したBrazilがそのまま快勝。Brazilはアイルランドダービー勝ち馬Capriの全弟で、これがHurdleは4戦目での勝ち上がりとなる。平地ではAidan O'Brien厩舎に所属していたようだが、Maiden勝ちのみとあまりうまくいかなかったようで、その後Padraig Roche厩舎に所属しHurdle競走を使っていた。Padraig Roche厩舎はどちらかというと障害中心の厩舎のようだが、さほど大きなレースでの勝ち星はない。現時点で未去勢であることを考えると種牡馬入りの可能性も残っているようで、どこまでHurdleでのキャリアを積むことになるのかは注意しておきたい。

 

2/13(日)

Exeter (UK) Soft

〇 Virgin Bet Mares' Chase (Listed) 3m54y (Replay)

1. Snow Leopardess J: Jonathan Burke T: Charlie Longsdon

好位から抜け出したSnow Leopardessがそのまま12馬身差の勝利。Snow Leopardessは今シーズンはこれでBecher Chase (G3)を含む3連勝とした。一度出産を経験している10歳の牝馬だが、今シーズンはここに来てキャリアハイの勢いを見せており、春のGrand National (G3)にも登録がある。とりあえず今年の4月及び11月に牝馬限定Listed競走を2勝しているChilli Filliを始め、さほどメンバーが格下というわけでもなかったことを考えると、いくら牝馬限定Listed競走とはいえ、この馬の調子の良さを評価した方が良いレースだろう。Grand National (G3)に向けてはここと比べると非常にメンバーが強力になることが想定され、決して楽な勝負にはならないことが予想されるが、なんとか本番でも頑張って欲しい一頭である。

 

Punchestown (IRE) Heavy

〇 P.P. Hogan Memorial Cross Country Chase 3m1f (Replay)

1. Midnight Maestro J: Mark Walsh T: Enda Bolger

全体的に勝負所まで馬群が密集して進行するも、この中から抜け出してきたMidnight MaestroがShady Operatorとの叩き合いを制して勝利した。Midnight Maestroは元々イギリスでクラス3辺りをうろうろしていた馬だが、2020年にEnda Bolger厩舎に移籍、昨年11月からCross Countryに挑戦している。Cheltenhamではあまりうまくいかなかったようだが、ひとまず昨年のShady Operatorに対してRisk of Thunder Chaseでの借りを返す結果となった。連覇を狙ったShady Operatorが2着で、ひとまずこのEnda Bolger厩舎の2頭はアイルランドCross Countryにおいて中心的な役割を果たすことが期待される。遡ればTroytown Chase (Grade B)などの勝ち鞍のある実績馬Tout Est Permisはこれが初めてのCross Countryで、どうにも飛越をミスしたりと道中スムーズさを欠いていたのだが、勝負所から追い上げて3着に入った。近走は大敗続きだったが、飛越にさえ慣れてくればこの路線でもやれるだろう。昨年のSean Breen Memorial ChaseでSinging Banjoの2着に入ったVital Islandは全く人気がなかったのだが、コース巧者ぶりを見せる4着に入った。

 

Grand National Trial Handicap Chase (Grade B) 3m4f40y (Replay)

1. Death Duty J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

Coko Beach、Notice To Closeなどが引っ張るも、好位から進めたDeath Dutyが残り2障害辺りから抜け出すと、Champagne Platinum以下を振り切って勝利した。Death Dutyは2017年のDrinmore Novice Chase (G1)以来の勝利とした。元々Novice Hurdle、Novice Chaseでは素質を高く評価されていた馬だが、その後大きな故障もあり758日間の休養を経て復帰、その後はChaseの平場戦での2着が最高で、これが復帰後初めての勝利となる。もともと不良馬場を得意とする馬だけあり、今回はおそらく条件も向いたのだろう。故障や11歳という年齢により、おそらく全盛期のスピードは既にないようで、やはりこのような不良馬場の超長距離戦が主戦場になると思われる。どこまで現役生活を続けるかは不明だが、なんとか無事に走り切って欲しいところ。Champagne Platinumが2着に入ったが、元々イギリスNicky Henderson厩舎所属時代にはScilly Isles Novices' Chase (G1)の3着もある馬。今シーズンようやくBeginners Chaseを勝利したりと、実は未だにNoviceの出走権を有しており、レース選択には注目しておきたい。

 

Pisa (ITA) Tempo Coperto - Terreno Buono

Neni Da Zara Euro 33.000 TRIO

per cavalli di 4 anni (Steeple-Chase -  GRUPPO III  - FANTINI) 3500m (Replay)

1. Illico Clermont J: Pavel Slozil T: Josef Vana Jr

途中から人気のNathalea Greatが前に出るも、残り2障害辺りから再度先頭に立ったIllico Clermontがそのまま勝利した。Illico ClermontはMaidenから2勝目とした。PisaのSteeplechase自体はこれが2戦目であり、前走はCallistemonの4着に終わっていたのだが、今回は進境を見せるレースであった。そのCalistemonが3着で、この馬自身3歳Siepi路線では重賞クラスで戦っていた馬だが、Gran Criterium D'Autunno (G1)では大敗しており、メンバー的にどこまでという疑問は残る。昨年ポーランドチェコで計2勝を上げていたNathalea Greatが人気になっていたが、追ってからは案外で、やや離れた4着に終わった。

 

Criterium D'Inverno Euro 50.050 TRIO

per cavalli di 4 anni (Siepi -  GRUPPO II  - FANTINI) 3500m (Replay)

1. Vale Of Tof J: Gauvain Faivre-picon T: Davide Satalia

レースを引っ張ったVale of Tofが内をついて伸びてきたPride of Englandを凌いで勝利した。Vale of Tofはフランス調教馬で、フランスではHaies及びSteeplchaseで計2勝を上げている。今回はDavide Satalia厩舎への転厩初戦で、PisaのHaiesは初めてだったようだが結果を残した。前走Corsa Siepi Dei 4 Anni (Listed)を勝ってきたPride of Englandが2着。名前の割に地元の馬だが、やや道中馬群から離してレースを進めていたのが気になった。同2着のBoboalenaが3着で、基本的にCorsa Siepi Dei 4 Anni (Listed)の上位馬がそのまま上位に来る結果となった。

 

Gran Corsa Siepi Nazionale Euro 60.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi -  GRUPPO I  - FANTINI) 4000m (Replay)

1. Mauricius J: Pavel Slozil T: Josef Vana Jr

フランスのPaoloが後続を大きく引き離して逃げるも、最終周から後続が殺到。最終コーナーで前に出たMauriciusがそのままZaniniを突き放して勝利した。

Mauriciusはこれでイタリア初戦となったPisaのCondizionataから連勝とした。もともとフランスで走っていた馬で、フランスではPrix Noiro (Listed)にてDream Wishの3着もある。重賞クラスではやや苦しかったようだが、ひとまずイタリアSiepiにおいては新たな主役級の一頭として期待できるだろう。ただし対抗角と思われたZaniniに対して早めに前に出たことによる利も否めない。昨年のGran Corsa Siepi Di Merano (G1)ではLive Your Lifeの2着のあるZaniniはまたもやG1勝ちはお預けとなった。遡れば2016年のDeutsches Derby (G1)にもいた馬だが、ここのところはイタリアSiepiの安定勢力として頑張っている。チェコのDominiqueはどうにもペースに戸惑ったような大敗。地元勢はBig Cityの6着、Makitoの7着と、さっぱり勝負に加われない結果となった。

 

その他

Racing SA slams ‘disgraceful’ legal action against Oakbank (Racenet)

Racing SA側がORCに対して、障害競走の中止と引き換えに資金提供を約束していたことが明らかになっているのだが、この文書を公開するよう求めた法的措置に対するRacing SA側の言い訳。上記文書の詳細は先週の記事を参照のこと。

Crisis in Ukrainian horse breeding caused by illegal lease of land of stud farms - association. (UAZMI)

ロシアとの開戦危機が報じられているウクライナだが、探してみると昨年9月にウクライナ国内の馬産に関する報道があったので紹介まで。