にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

24/06/23 Weekly National Hunt / Jump Racing

 

6/20(木)

Belmont At The Big A (USA) Firm

Beverly R. Steinman Hurdle (G1)

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES A HURDLE HANDICAP FOR FOUR YEAR OLDS AND UPWARD. Two And Three Eighth Miles On The Hurdle $150,000 (Replay)

1. L'Imperator (FR) J: Jordan Gainford T: Archibald J. Kingsley, Jr.

元々はSaratogaで予定されていた競走だが、悪天候のため延期となっていた。レースはJamie BargaryのRampoldi Planが前に行くも馬群は密集して進行。途中からこれにZiggle Popsが絡んでいき、この2頭で後続を引き離す恰好となる。しかしこれにじわじわと接近していたL'Imperatorが最終コーナーを回ってこれらに並びかけると、抵抗するRampoldi Planを抑えて勝利した。3着にはZiggle Pops。4着以下は遅れた。

L'Imperatorは元々平地競争でG2競走勝ちのある馬で、昨年の段階でもHurdleを使いつつ平地重賞に参戦したりしている。昨年のLonesome Glory (G1)で2着、今年4月のCommonwealth Cup (G1)ではRampoldi Planの3着と結果を残しているが、Great Meadowと比べて障害の存在しない平地部分が長いBelmontのコースは与しやすかったものと思われる。夏のNYRAの大レースでは楽しみな存在となるだろう。そのRampoldi Planが2着に入り、どうにもSnap Decisionを除くと混戦模様のこの路線において新たな勢力として期待できそうな印象がある。Handicap戦線を勝ってきたZiggle Popsも積極的に運んでの3着で、G1クラスにていきなりこれだけやれれば大したものだろう。Jimmy P、Awakened、Freddy Flintshireなどはやや仕掛け遅れのある印象の敗戦となった。

 

6/22(土)

Pardubice (CZE) 3.2 (dobrá až pevná)

〇 Cena společnosti SEED SERVICE, s.r.o.

Proutky IV.kat. - 2800 m, cena, 3letí 66.000 Kč (Replay)

1. Roscoff (GER) J: ž. Jan Faltejsek T: Pavel Tůma

ハンガリーから参戦したGallileo Jagが元気に前に行くも、番手から追いかけたRoscoffが残り2障害手前まら先頭に立つと、そのままDolla Milan以下を突き放して勝利した。RoscoffはSilverwaveの産駒で、これで障害戦は1戦1勝とした。5月のWroclawの平地競争でデビューした馬で、現時点でここでは完勝の内容だろう。63kgの軽量の牝馬Dolla Milanが2着。フランスでは好調のGoliath Du Berlaisの産駒で、これがデビュー戦であることを考えれば上々の内容である。Karlovy VaryのI.kat.の平地競走で3着に入ったFrancinetteが3着で、この馬を物差しにすると上位勢はそれなりに期待できそうだ。ハンガリー調教馬のGalileo Jagが4着。前走はMeranoのSiepiを使っており、ここに出走してきた意図はよくわからないのだが、国外では珍しいハンガリー勢として頑張って欲しいところである。

 

〇 Pohár BICZ holding 2024

Steeplechase crosscountry II.kat. - 5200 m, cena, 5letí a starší 132.000 Kč (Replay)

1. Čáryjape (CZE) J: Adam Čmiel T: Martin Liška

白い馬体が目立つDerby Plusがやや後ろを引き離し気味に前に行く展開も、途中から番手にいたČáryjapeが追いかけてくる。Irish Bankにて人気のCoupstarが落馬。空壕障害の辺りで前に出たČáryjapeがそのまま引っ張ると、最後追い込んで来たString、Godsalinoを凌いで勝利した。Greek Dessertが4着。

Čáryjapeは昨年のCena Labeの2着馬で、今年は初戦にて勝利を挙げた。2023年に入ってからは4000メートル以上の距離を使われており、ここ4戦はいずれも5000メートルクラスの競走となる。Cena LabeではSexy Lordに対して完敗の内容であったが、とはいえこの馬もまた距離を伸ばして結果を残してきたタイプであり、父Age of Japeという血統的にも面白い存在である。ベテランStringが2着。3着には貴重なTimos産駒のGodsalinoが入り、やや格下の面々が上位に入った。実績馬Greek Dessertは終盤の障害で大きなミスがあり、そこから勝ち馬を追いかけるも4着まで。スイスからの移籍2戦目となるKap Oceanはあまりいいところなく8着。Registanaの産駒Regtimeはさっぱり走る気を見せず大敗。アイルランドからの移籍3戦目となるClondaw Hollowはおそらく鼻出血によると思われる競走中止となった。

 

〇 Cena společnosti Tipsport – Červnová cross country Válečníka

Steeplechase crosscountry I.kat. - 3300 m, cena, 5letí a starší 165.000 Kč (Replay)

1. Nordstrand (GER) J: ž. Josef Bartoš T: Josef Váňa st.

例によってKing Heartが元気に前に行くも、これにAngkor Watが絡んでいく。水壕を越えたところから強気に出てきたMr Zuruが逃げ込みを図るも、これに接近したNordstrandがMr Zuruを抑えて勝利した。

Nordstrandは前走のIII.kat.から連勝とした。遡れば2021年にはドイツのListedクラスで2着、ドイツダービーにも挑戦した実力馬で、ここまで障害戦ではあまり目立った成績は残していないのだが、ここに来て力を付けているのであれば面白い存在であろう。スロバキアのMr Zuruは今回は積極的に立ち回ったが、最後は捕まって2着。人気のAngkor Watは積極的に動く気配もあったのだが、ややちぐはぐな飛越を見せていたのが勿体ないレースであった。この路線の強豪Mr Zuruを含め、全体的に上位勢としては3000メートルクラスにおいてはかなり期待できそうな面々で、今回の上位勢の動向には注目した方がいいだろう。今シーズンはWroclawを走っていたLianelは終盤脱落して途中棄権。全体的にレースを教えるような動き方に専念していたのがPrecious Rockで、着順は悪いのだがどこで化けてくるかは注意した方がいいかもしれない。

 

Zlatý pohár města Pardubic

Steeplechase NL - 3900 m, cena, 5letí a starší 300.000 Kč (Replay)

1. New Friend (CZE) J: ž. Jan Faltejsek T: Pavel Tůma 

Hola Que Talが前に行くも馬群は固まって進行。水壕障害でDouble Luckが落馬。途中からPerry Owensが前に出てくるも、その後ろから出てきたNew FriendがAnge Pitouとの叩き合いを制して勝利した。

New Friendは今年で5歳になる馬で、これで障害戦は4戦4勝とした。2022年にはGran Criterium D'Autunno (G1)を制した馬だがその後かなり長い休養を経ており、これが復帰2戦目であった。最近はフランスで結果を残していたAnge Pitouを下しての勝利ということで内容的にはかなり価値のあるもので、この路線を使うのか、それともPardubiceのCross Countryに移行するのか、いずれにせよこの世代屈指の素質馬の動向には注目したい。そのAnge Pitouが2着。Perry Owensは前2頭から11馬身差の3着で、この馬の持つ能力を考えれば上位勢のパフォーマンスはなかなか立派な内容だろう。遡ればMeranoでG1勝ちのあるSkins Rockはこれが約1年ぶりの復帰戦であったが、どうにもパッとしないレースで大敗。フランスからの移籍馬でSaddler Maker産駒のHola Que Talは1年ぶりの競走であったが、早々に脱落して途中棄権。元々はスイス平地競争でデビューした馬で、途中で落馬に終わったDouble Luckは残念な結果となったそうだ。

 

Pohár Slavia pojišťovny – II. kval. na 134. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou – Pocta mjr. Miloši Svobodovi

Steeplechase crosscountry NL - 5200 m, cena, 5letí a starší 1.000.000 Kč (Replay)

1. Korfu (FR) J: ž. Jan Faltejsek T: Pavel Tůma 

レースはベテランのPlayerが前に行くもゆったりとしたペースにより馬群は密集して進行。早々に牝馬Yaraが落馬。途中からAeneasが前に出てこれにPlayerが抵抗するも、終盤でPlayerを競り落としたAeneasが逃げ込みを図る。しかしこれに迫ったKorfuがAeneasを退けて勝利した。Santa Klaraが3着に入った。

Korfuはこのクラスでは5月の競走で11着と大敗に終わっていたが、今回は結果を残した。ただ今回は前に行ったPlayerがあまり元気がなく、全体的に余力を残したまま終盤に入ったというレース展開もあり、どうにもPardubiceのCross Countryだと信用しにくいAeneasが相手と、額面通りに受け取るのは難しいところである。品bなSanta KlaraもMeranoのCross Countryからの転戦で結果を残したが、本番ではやや距離的に不安が残ることもあり、加えて格下のHigh In The Skyがいきなり勝負圏内の4着に入っていることも踏まえると、どうにも全体的に信用しにくい競走というのが正直な内容だろう。13歳のStarは位置を上げるタイミングを逃して5着。Un Reve Dautomneも全体的にちぐはぐなレースで7着。12歳のPlayerは前々で運んだが、終盤のスパートについていけなくなり、直線はほぼ流すような恰好での入線となった。今年の成績的にはだいぶ年齢的な陰りが見えていると判断した方がいいだろう。12歳の牝馬Yaraは早々に落馬に終わったが、スタート直後の障害で大きなミスがあった。

 

〇 Cena společnosti Montáže Brož, s.r.o.

Steeplechase crosscountry III.kat. - 3300 m, cena, 4letí 99.000 Kč (Replay)

1. George of Beaumont (IRE) ž. Jan Faltejsek T: Pavel Tůma 

淡々と引っ張ったGeorge of BeaumontがそのままParis of Tai Chi以下を振り切って勝利した。4歳限定競走だが、極端にレースに参加できていない馬は存在せず、全体的にある程度完成度のあるレースとなった。George of BeaumontはCross Countryは2戦1勝とした。既に昨年の時点からイタリア、フランスにてSiepiを走っており、前走のCross Countryデビュー戦ではDaliborの2着に入っている。その2着には前走大きく敗れていたParis of Tai Chi、3着にはClaudioが入っており、メンバー的には納得の勝利といったところだろう。イタリア生産馬で2月にはPisaのG2で2着のあるPoirotは積極的に運んだが、終盤遅れて4着まで。

 

Tokyo (JPN) Good

The Tokyo Jump Stakes (G3) 3110m (Replay)

1. ジューンベロシティ (JPN) J: 高田潤 T: 武英智

森一馬騎手とのコンビにより三木ホースランドJSを含む3連勝で挑んで来た上がり馬オールザワールドが人気になっていた。レースは内の3頭が主張して前に行く展開も、特に主張して出てきたホッコーメヴィウスが第2障害で躓いて落馬。そのままジューンベロシティが空馬と並走しつつ前に行く展開となる。トゥルボー、ブラックボイスが好位から。2周目からブラックボイスがするすると絡んできて前に出るも、ジューンベロシティがこれにじわじわと抵抗。コーナーを回って進出したロスコフとの叩き合いはジューンベロシティに軍配が上がった。

ジューンベロシティは昨年に引き続いての連覇とした。スタート直後から激しい先行争いに巻き込まれた挙句、道中では空馬やブラックボイスに絡まれたりとそれなりに苦しい展開であったが押し切るという強い競馬で、冬の大一番に向けても改めて楽しみな存在となりそうだ。昨年未勝利戦を勝ちあがったばかりのロスコフは収穫のある内容で、ジューンベロシティと比較すれば楽に運んだレースではあったが、中山GJで2着のある同馬に対してこれだけ迫ることが出来るのだから十分だろう。内を立ち回って追い込んで来たヴェイルネビュラが3着。小倉の春麗ジャンプステークスを含む3連勝で挑んで来たブラックボイスは積極的にジューンベロシティに絡んでいったが、最後は脱落しての4着で、休み明けの分と考えれば上積みに期待したい。

 

6/23(日)

Lyon Parilly (FR) Collant (4.4)

Grand Cross De Lyon #6 TNC Haras Du Lion (Classe 1)

Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus. 5200m (Replay)

1. Born To Be A Queen (FR) J: Kilian Dubourg T: Lageneste & Macaire

TNC第6戦。レースは芦毛のBorn To Be A Queenが前に行く展開で、Ivresse D'Estruvalなどがついて行く。Banquetteの辺りで4が並びに行き、Born To Be A Queenを制して前に出てくる。しかしその後の急カーブにて4の騎手が落馬。再度前に出てきたBorn To Be A Queenがそのまま先頭を進むと、追いかけてきたGo'n Winを振り切って勝利した。

Born To Be A Queenは昨年のこのレースの勝ち馬で、TNCではすっかりお馴染みの一頭である。昨年はVichyやPompadourのGrand Crossを勝利したものの、Craon及びCompiegneではそれぞれ2、3着に敗れており、その雪辱が期待される。ただしこれ以上距離が延びるとやや微妙な感もあり、9歳の牝馬ということを考えると、引き続き同様のパフォーマンスを見せることが出来るかは注意した方がいいだろう。前走このコースのClasse2を勝ったGo'n Winが2着。ただしLignieresのGrand Crossでは大きく敗れていたように力量的にどこまでということは気を付けておきたい。後方から進めたIlbao、好位を進んだIvresse D'Estuvalと続いた。Legolas産駒のGazee De Bedonは大きく遅れての入線となった。

 

Merano (ITA) Tempo Vario Terreno L. Pesante

〇 Courtier Du Val Euro 12,000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Cross Country - Condizionata - G.R.-Ammazoni-Fantini) 4100m (Replay)

1. Laldann (FR) J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

例によってAlmost Humanが元気に前に行くも、これにぴったりとNormandy Dela Vegaがついて行く。さらにZubienaが残り3障害辺りから前に出るも、これを追いかけたLaldannがYounesを凌いで勝利した。

全体的に前目に有力馬がいたせいか前掛かりな展開となった。Laldannは前走のGrande Steeplechase Di Roma (G3)では落馬に終わっているのだが、それを除けばTrevisoのCross Countryから3連勝とした。遡ればCorsa Siepi Dei 4 Anni (G2)勝ちのある実力馬で、まだ9歳とそれなりに若い馬がこの路線に参戦してくることは楽しみな材料だが、フランスでも結果を残しているGap Pierjeの存在など、それなりに強力な面々との力関係には注意すべきだろう。Younesは展開を利して追い込んでの2着。Prince D'Orageはいまいちいいところなく4着。Almost Human、Normandy Dela Vegaはやや前掛かりに運び過ぎた感もあり、そこから諦めての入線だけに着差としてはあまり芳しくはないが、それまではそれなりに元気にレースを進めていたようで、引き続き期待したい。

 

〇 Tempo D'Or Euro 14,000 TRIO

per cavalli di 4 anni ed oltre (Siepi - Maiden Novices - Fantini) 3300m (Replay)

1. Magic (POL) J: Rostislav Bens T: Grezegorz Witold Wroblewski

Stop Lossが前に行くも、途中からこれを制して前に出てきたMagicがそのままSuperius以下を突き放して勝利した。Magic自身はSiepiはこれが3戦目にして初勝利とした。元々はポーランド平地競争で計4勝を挙げている馬だが、今年から現厩舎にてMeranoのSiepiに参戦している。だいぶ口向きの悪いところはありそうで信頼しにくい印象もあるのだが、とはいえ2着のSuperiusは平地競争の実績馬で、これに対して8馬身差というのは大したものだろう。前走Maidens od a Vendereを快勝したSuperiusが2着。ドイツのListedで3着のあるHelmet産駒の馬で、このような馬がイタリア調教馬として頑張ってくれればよいのだが。後方から追い込んだハンガリー生産馬のSic Et Simpliciterが3着に入った。

 

Warrnambool (AUS) Soft6

〇 Coastal Wholesalers Hurdle   

Handicap. Three-Years-Old and Upwards, No sex restriction. No class restriction. Apprentices can claim. 3200m (Replay)

1. Fabalot (GER) J: Will Gordon T: Symon Wilde

例によって道中から大きなリードを取って逃げたFabalotがそのままPrismatic以下を振り切って勝利した。

Fabalotはこの路線ではすっかりおなじみになったドイツ出身の逃げ馬で、昨年はこの戦法でJJ Houlahan Hurdleを勝利している。今回は73.5kgとかなり斤量的には厳しかったのだが、とはいえ上手く道中で息を入れて逃げることが出来たようで、こればかりはあくまで展開待ちといったところだろう。Mark Walker陣営で前走Maidenを快勝して挑んで来たPrismaticは2着までで、今回に関しては勝った馬を褒めるしかなさそうだ。アイルランド生産馬で平地での実績があるAlakahanが3着。Rider In The Snowはどうにも前半いまいちな飛越を見せていたが、4着まで追い込んで来たようだ。

 

Michelin Service Centre Warrnambool BM120 Steeplechase

Handicap. Three-Years-Old and Upwards, No sex restriction. BenchMark 120. Apprentices can claim. 3450m (Replay)

1. Leaderboard (USA) J: Aaron Kuru T: Mark Walker

レースは人気のLeaderboardが淡々と前に行く展開で、好位からMr Coyne等がついて行く。途中でTolemac、Custom of the Seaと落馬。そのまま逃げたLeaderboardがBlood And Sand、Mustang Harry以下を凌いで勝利した。

LeaderboardはこれがSteeplechaseは初参戦であったが結果を残した。前走はMark Walker陣営の一角としてAustralian Hurdleに参戦し、勝ったPort Guillaumeから3馬身差の2着に入っていた。障害馬としてあまり経験がある馬ではないのだが、既に9歳とかなり年齢を重ねており、いきなりWarrnamboolのSteeplechaseに対応できるのだから大したものだろう。この路線ではお馴染みのBlood And Sandが2着。Steeplechaseについてはやや久しぶりの参戦となったMustang Harryが3着。この辺りは上のクラスではやや格下感のある馬だが、Leaderboard自身あまり派手なパフォーマンスをするタイプではなさそうで、着差自体はあまり気にしなくてよさそうな印象がある。