にげうまメモ

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21/10/10 Weekly National Hunt / Jump racing

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*週刊障害競馬回顧 2021/10/04-2021/10/10

10/8(金)

Chepstow (UK) Good

Persian War Novices' Hurdle (G2) 2m3f100y (Replay)

1. Camprond J: Aidan Coleman T: Phillip Hobbs

残り2障害辺りから抜けてきたCamprondがそのままLuttrell Ladを5馬身ほど突き放して勝利した。CamprondはHurdle自体は2020年の11月から使っていた馬で、今年の3月にMaiden勝ちを収めていることからまもなくNoviceの資格は切れることになる。内容的には良馬場でのスピードタイプといった印象が強く、馬場が悪くなってからの対応が課題だろう。人気を背負っていたLutterell Ladが2着で、Hurdle2戦目で経験馬相手にこれだけ戦えたのは上出来だろう。

 

10/9(土)

Pardubice (CZE) Stav dráhy: 3.4 (dobrá)

〇 Zlatá spona tříletých BICZ holding 2021

Proutky I.kat. - 3200 m, cena, 3letí 150.000 Kč (Replay)

1. Giannina J: ž. Jan Kratochvíl T: Vocásková Helena

3歳馬限定Hurdle競走。Jan FaltejsekのNathalea Greatがゆるゆると引っ張るも、残り2障害辺りから抜けてきたGianninaがKmotrを抑えて勝利した。GianninaはSir Percy産駒の牝馬。平地ではそれなりの実績がある馬のようで、これでHurdleでは2戦2勝とした。道中かなりゆったりと構えてはいたが、そこから抜け出してきたときのスピードはさすがのものであった。アイルランド産馬Kmotrが2着。こちらも平地ではそれなりに実績があるようだが、Hurdleはこれで2戦して2着2回と堅実なところを見せており、いまのところ未去勢ということでその動向には注意したい。Meranoで勝ち鞍のあるQuartiusは最終障害手前で馬が外側に逃避し、騎手が落馬して競争中止に終わった。

 

Křišťálový pohár města Pardubic

Proutky NL - 3400 m, cena, 4letí a starší 200.000 Kč (Repaly)

1. Roncal J: ž. Jan Faltejsek T: Tůma Pavel

やや気の悪さを見せつつ逃げたHo My Godが早々に後退すると、代わってAztekが先頭に。しかし最終障害で派手にミスをしたRoncalがこれに迫ると、Aztekとの叩き合いを制して勝利した。3着以下はやや離れた。

Roncalはこれで昨年の10月からHurdleは6連勝とした。イタリアSiepiにおける現4歳世代では頭一つ抜けた実力を持つ馬で、ここまでMeranoのSiepiの重賞戦線においては強い勝ち方を見せている。今回Meranoではなく明らかに賞金額で落ちるこちらに回ってきた経緯は不明だが、いずれにせよここで古馬相手に勝ち切ったことはこの馬の将来を占ううえで重要なことだろう。特に最終障害で大きなミスがあったにもかかわらず、イタリアSiepiでも上位クラスの能力を持つAztekを抑えきったことは大きい。前走ポーランドのWielka Partynickaを勝ってきたAztekはさすがのレースを見せたが、今回は勝ち馬を褒めるべきだろう。10歳になっても堅実に頑張っており、かつての勢いという意味ではやや微妙なところではあるのだが、10歳でこれだけ一線級で戦うことが出来るのは素晴らしいことである。

 

10/10(日)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.1)

Prix Noiro (Listed)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 3 ans 3500m (Replay)

1. Latino Des Isles J: Pierre Dubourg T: Arnaud Chaille-Chaille

前半からRoyale Margauxが元気に引っ張るも、残り3障害のBull Finchの辺りで一杯に。代わって出てきたLatino Des IslesがCoup De Coeurに4馬身半をつけて勝利した。Latino Des IslesはSteeplechaseは3戦目で初勝利とした。Haiesでは重賞戦線で好走してきた馬で、3歳馬のSteeplechaseということもあって飛越が怪しい馬が多い中、この馬の飛越は比較的安定していた。Steeplechase2戦目で未勝利馬のCoup De Coeurが2着で、そのうちどこかでチャンスはあるだろう。前走AuteuilのSteeplechaseで勝利をあげているRoyale Margauxは積極的に逃げるも早々に脚色が一杯になっての途中棄権で、さすがにレースを見るとやや飛ばし過ぎた感もある。どうにも落馬又は途中棄権と好走とが極端な馬のようで、若干信用しにくいところがありそうだ。

 

Prix Orcada (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans 4400m (Replay)

1. L'Aubonniere J: Gaetan Masure T: Francois Nicolle

かなりゆったりとしたペースでHistorienが逃げる展開も、最終コーナーの辺りで馬群は密集。外から伸びてきたL'AubonniereがYoutwo Glassを交わして勝利した。L'Aubonniere自身は重賞は初勝利だが、秋のPrix Ferdinand Dufaure (G1)ではLe Listracの2着に頑張っていた馬で、どうにもここまで惜敗続きではあったものの、その能力は4歳世代の中ではトップクラスと考えてよいのだろう。Historienがゆったりとしたペースを作ったため、レースの内容としてはあくまで終盤のスプリント能力が重要となったレースのような感もあり、64kgと斤量にも恵まれたことを踏まえると、やや内容的には差し引いて考えた方がよさそうだ。Youtwo Glassが2着だが、この馬もまた66kgと斤量には恵まれた。上位勢の中でやはり最も評価できるのは3着のLe Listracで、70kgという斤量を考えればこのパフォーマンスは悲観すべき内容ではないだろう。

 

Prix Carmarthen (G3)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 3900m (Replay)

1. L'Autonomie J: Angelo Zuliani T: Francois Nicolle

例によってゆるゆると逃げたL'Autonomieがそのまま2着に4馬身半をつけて快勝した。L'Autonomieはこれで今年3月からの連勝を5に伸ばすことになった。牝馬ながら70kgというトップハンデを背負い、Paul's Saga、Galop Marinといった有力馬が明らかにL'Autonomieをマークして騎乗しているにも関わらず、これらを一切相手にしないレース振りはこの路線における地位を改めて不動のものにする内容であった。案外頑張ったのが2着のFolsom Prisonで、前走のPrix De Compiegne (G3)では離れた4着に終わっているのだが、今回は全体がL'Autonomieをマークして騎乗する中、ややワンテンポ遅れて抜けてくるJeremy Da Silva騎手の視野の広さが2着という好成績に繋がった。

 

Prix Heros XII (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 4400m (Replay)

1. Le Berry J: Kevin Nabet T: David Cottin

前半からFelix De Giles騎手のGeneral En Chefが後続をやや大きく引き離して逃げるも、最終コーナーからLe Berry、Carriacouが接近。そこからやや脱落したCarriacouを残して、General En ChefとLe Berryとの叩き合いはLe berryがGeneral En Chefを3馬身ほど突き放して勝利した。

Le Berryは今年5歳となる若馬で、今年の5月のGrand Steeplechase De Paris (G1)で5着に敗れるまでは破竹の8連勝を続けていた。Grand Steeplechase De Paris (G1)ではやや距離の壁もあって失速していたのだが、今回は実績のある距離に戻って結果を残した。Grand Steeplechase De Paris (G1)を連覇中のDocteur De Ballonがこの秋は全休することが発表されている以上、秋の大一番に向けてこの馬が再度の距離延長に耐えられるかが大きな焦点となる。Grand Steeplechase De Paris (G1)ではFelix De Giles騎手の技ありの騎乗で4着に踏ん張ったGeneral En Chefが2着で、当時は上り馬という位置づけではあったものの、今回はそのパフォーマンスがフロックではないことを示した。今年のGrand Steeplechase De Paris (G1)の2着馬で、再度の復権を狙うCarriacouは最後遅れての3着だが、秋の復帰戦としてはこれで十分だろう。やや気になったのがFeu Folletで、どうにももたもたと飛越する場面が目立ち、早々についていけなくなり大きく離れた7着に終わった。

 

Pardubice (CZE) Stav dráhy: 3.4 (dobrá)

〇 Stříbrná trofej – Cena pivovarů Staropramen

Steeplechase I.kat. - 4400 m, cena, 5letí a starší 150.000 Kč (Replay)

1. Foudre D'Allier J: ž. Jan Kratochvíl T: Urbánek Luboš

最終障害手前で人気を背負ったDominiqueが抜け出してくるも、最終障害でまさかの落馬。そのまま残ったFoudre D'AllierがArlingtonを抑えて勝利した。

Foudre D'AllierはSteeplechaseは5戦目で初勝利となる。元々はフランスで走っていた馬のようで、その後現厩舎に移籍、2020年の段階では主にMeranoのSteeplechaseを使っていたようだ。今年の夏からチェコSteeplechaseを使うようになり、ようやく結果を残してきたといった経緯の持ち主のようで、ここまで落馬か大敗続きだった馬がここにきてようやく調子を上げてきたということで、陣営にとっては嬉しい勝利だろう。今年の前半フランスで走っていたようで、今後は再度のフランス又はイタリア遠征となりそうだ。前走ポーランドで結果を残したArlingtonが2着。4月のGran Corsa Siepi Di Milano (G1)のDominiqueはどうにも全体的に飛越がちぐはぐで、最後も踏み切り位置を間違えたまま飛越したことによる落馬であった。能力的にここでは格上なのだが、やや今後に向けて不安を残す内容となってしまった。

 

〇 Cena společnosti VCES a.s. - Cena Laty Brandisové

Steeplechase crosscountry I.kat. - 4200 m, cena, 4letí a starší - klisny 150.000 Kč (Replay)

1. Ztracenka J: ž. Jaroslav Myška T: Popelka Stanislav

Nikeandnemesisがゆるゆると逃げる展開も、これを好位で追いかけたZtracenkaが最終障害を越えてこれを捉えて勝利した。ZtracenkaはSteeplechase Cross Countryはこれで2勝目とした。今年の6月にCena společnosti Falcon security s.r.o. (Stcc III.kat.)にてNikeandnemesisを退けて初勝利を飾っており、結果的に同レースに1、2着が上位を占めたことになる。とはいえ全体的にあくまで牝馬限定戦ならではと言ったメンバーで、上位2頭はまだ5歳と若く、今後の進捗に期待したいところ。この中では比較的実績のあったのがPop Rock産駒のAlegoriaだが、上位2頭から4馬身差の3着に終わった。

 

〇 Cena Kudy z nudy – Cena ČASCH

Steeplechase crosscountry I.kat. - 4200 m, cena, 4letí 150.000 Kč (Replay)

1. Gatsby J: ž. Jan Faltejsek T: Tůma Pavel

最終コーナー手前から一気にGiorgioneが加速を掛け、そのまま後続を突き放すも、そこからじわじわと差を詰めてきたGatsbyがこれを捉えて勝利した。Gatsbyはこれでs障害競走5戦4勝とした。Cross Countryはこれで2戦2勝だが、今回距離を伸ばしたにも関わらず、一瞬の脚色で加速を掛けたGiorgioneをじわじわと加速して捉えきったことは、この馬のステイヤーとしての将来を占ううえで非常に重要な勝ち方となるだろう。一方で、この距離で実績のあったGiorgioneはこの馬のレースをしたのだが、最後は脚が上がって勝ち馬に屈する形での2着に終わった。

 

Cena hejtmana Pardubického kraje – Cena Vltavy

Steeplechase crosscountry NL - 4500 m, cena, 5letí a starší 300.000 Kč (Replay)

1. Chelmsford J: ž. Josef Bartoš T: Váňa st. Josef

レースは前半からDajuka、Chelmsfordが引っ張る展開。コーナーでPopinjay、さらにTiep De L'Estが転倒した辺りから隊列は長くなり、唯一ついてきたChicname De Cotteが最終コーナー前で脱落すると、レースはそのまま2頭のマッチレースに。Dajukaとの接戦を半馬身ほどChelmsfordが前に出て勝利した。3着以下は大きく遅れた。

ChelmsfordはこれでCross Countryは4戦4勝とした。前走は明らかに叩き台のPlayer以下に16馬身差をつけて圧勝しているのだが、その実Dajukaの落馬があったりと内容的にはかなり恵まれた点は否めなかった。今回改めて一線級のメンバー相手に結果を残したことになる。Dajukaは本来3000メートルクラスのスピードにも対抗できるだけの高いスピード能力を持った馬で、この馬が作り出すペースに付いていき、この4500メートルの距離でDajukaを抑えきったことは、この5歳馬の持つ高い能力を示す内容であった。Cross Country4戦目でこのレースができるとは驚きである。牝馬Dajukaは今回は無事に真っ向勝負を挑むも、最後はChelmsfordに対して惜しい2着に終わった。とはいえこの馬にとって、4500メートルの距離に目途をつけたという点でも収穫は大きく、来年以降はより距離を伸ばしても対応できる可能性がある。これが2年ぶりのレースとなったChicname De Cotteは想像以上の走りで、このChelmsford、Dajuka相手にこれだけ戦えたことはこの馬にとって大きなプラス材料だろう。本来はVelka Pardubickaでも好勝負できるだけの能力を持つ馬で、来年こそは無事にレースに使えることを願いたい。

 

Cena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice a.s. - Cena Labe

Steeplechase crosscountry L - 5200 m, cena, 6letí a starší 400.000 Kč (Replay)

1. Aeneas J: ž. Josef Bartoš T: Váňa st. Josef

例によってBrigdeurが逃げると思いきや、特に何かするわけでもなく中段からレースを進める。フランスのBorn to be a Queenが淡々と引っ張ると、そのまま後続を徐々に振り切りにかかる。しかし最終障害でまさかの落馬。代わって番手にいたAeneasが先頭に代わると、そのままZataroに12馬身差をつけて勝利した。

Born To Be A QueenはフランスのCross Country馬で、今年に入ってからは4戦3勝、特に前走のStrasbourgではGrand Steeplechase Cross Country Du Pinの2着馬Fayasと接戦を演じている。本来フランスのCross Countryという舞台においてはここでは格上の馬で、内容的にも高い航行能力により完勝の構えであった。最終障害での落馬はほぼ凡ミスといったところだろう。やはりこのクラスの馬が遠征してくるとレースとしての水準が一段階上のものになる。来年もまたこの舞台に来て欲しいところ。勝ったAeneasはLysá nad LabemのSpecialistで、前走のQualification RaceではLombargini以下に全く歯が立たずに終わっていたのだが、今回は格好をつけた。Born To Be A Queenのペースに最後まで食らいついて行ったのはこの馬だけであり、完全に棚ぼたの勝利とは言え、それなりに収穫のあった内容と考えてよいだろう。2着にはここではあまり実績がなく人気薄のZataroが入ったが、あまり順調に使えていない馬だけあって、順調に使うことができればもう少しやれるかもしれない。

 

Poplerův memoriál skupiny Profireal Group

Steeplechase crosscountry NL - 3300 m, cena, 5letí a starší 200.000 Kč (Replay)

1. Chrystal Cross J: ž. Jaroslav Myška T: Myšková Štěpánka

途中からやや後続を大きく突き放してLad Inが逃げるも、これについて行ったChrystal Crossが最終障害を越えてこれを捉えると、そのまま10馬身差をつけて勝利した。Chrystal Crossはこの路線の常連で、このレースは実に4年連続の出走になる。本来この路線では力上位の馬だが、Dajukaが他に回ったことで若干メンバーが手薄となっていた。Lad Inのペースに付いて行ったのは結局この馬だけであり、内容的には完勝だが、やはりメンバー的なところには注意した方がいいかもしれない。Lad Inは道中からかなり汗をかいていたように、ある程度前向きな気性でスピードに任せて走った方がいいような印象がある。Cross Countryは1勝のみと、なかなか勝ち星には恵まれていないが、展開次第ではチャンスはあるだろう。

 

その他

No Jumpers In SA? Depends Who You Ask (RSN)

Racing SAは南オーストラリア州の障害馬は10頭未満であり、十分な障害騎手が存在しない等の主張をしていたようだが、それに対する反論記事。このリストによると、Racing SAの主張よりも遥かに多くの参加者が存在することが示されている。

Racing SA confirms Jumps Call (Racing.com)

Racing SA Rejects Oakbank Salvage Offer (RSN)

一方で、Racing SAは諸々の抗議や提案にも関わらず、2022年において南オーストラリア州で障害競馬を開催しないことを決定した。Australian Jump Racing AssociationからGreat Eastern Steeplechase及びHarry D Young Hurdleのための50万ドルの資金提供の申し出があったのだが、これも却下された。EasterのJump Festivalをビクトリア州のいずれかの競馬場で実施することが検討されている。

Message to our Members Regarding Jump Racing SA Announcement (AJRA)

上記決定を受け、Australian Jump Racing Associationは上記の声明を発表した。この中にはRacing Victoriaと協力して、ビクトリア州の障害競馬プログラムを強化する趣旨の内容も含まれている。