にげうまメモ

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21/10/31 Weekly National Hunt / Jump racing

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*週刊障害競馬回顧 2021/10/25-2021/10/31

10/28(木)

Slušovice (CZE) 2.5 (pevná / Firm)

〇 Cena Flower of Love

Proutky I.kat. - 3200 m, cena, 4letí a starší 150.000 Kč (Replay)

1. Faliraki J: ž. Jan Faltejsek T: Tůma Pavel

最後の直線でNic Mountainを交わして先頭に立ったFalirakiがFalcon Babyを抑えて勝利した。FalirakiはこれでHurdleは3連勝とした。平地では2020年のチェコオークスで3着のある実績馬で、4歳となった今年から障害競走に参戦している。飛越としては全体的に若く、若干こまごまとしたミスもあったのだが許容範囲だろう。2019年にチェコオークススロバキアオークスを勝利したFalcon Babyが2着。勝ち馬とはあくまで斤量差と展開の差といった印象で、こちらも平地で高い能力を示した一頭として期待したい。

 

〇 Cena senátora Tomáše Goláňe

Steeplechase I.kat. - 4200 m, cena, 4letí 150.000 Kč (Replay)

1. Joshco J: ž. Jan Kratochvíl T: Urbánek Luboš

レースは最終障害を越えてDumon Roclayを競り落としたJoshcoが勝利した。Joshocoはこれでチェコ移籍後初勝利。元々フランスで3歳時から走っていた馬で、フランスでは未勝利に終わったものの、今年の9月にはイタリアでPremio Steeplechase D'Italia (G2)への参戦歴もある。とりあえず大きくメンバーが弱化したここでは結果を残したが、メンバーとしてはSlušoviceで結果を残してきた面々が大半を占めていただけに、ここからイタリア重賞クラスでどうこうというのはまだ早いかもしれない。

 

〇 Cena Sergeanta Thundera

Steeplechase I.kat. - 3200 m, cena, 4letí a starší 150.000 Kč (Replay)

1. Lianel J: Jakub Kocman T: Popelka Stanislav

早々にコーナーでKing Heartが滑って転倒、さらにそれに躓いたPiton Des Neigesも落馬。残った2頭のレースはLianelが勝利した。Lianel自身はここまでSteeplechaseの下級条件戦勝ちがある程度の実績の馬で、今年からはCross Countryにも参戦している。前走はPoplerův memoriál skupiny Profireal Groupにも参戦しているが、Lad Inのペースについていけず4着に終わっている。とりあえず今回は強力なメンバーがアクシデントで離脱した関係で格好はつけたが、相手がそろそろだいぶ力落ちのあるKifaayaということを考えると、内容的にはやや微妙なところだろう。2017年にはGran Corsa Siepi Di Merano (G1)を勝利したKifaayaは大きく離れた2着で、今年はBrnoで下級条件戦の勝ち鞍はあるのだが、それ以外はさっぱりな内容で、すでにMeranoの重賞クラスは勿論、チェコのSteeplechase又はCross Countryの上位クラスでも戦える能力は残っていないようだ。

 

38. Velká slušovická steeplechase společnosti K-K METAL a.s.

Steeplechase crosscountry I.kat. - 5200 m, cena, 5letí a starší 150.000 Kč (Replay)

1. Sztorm J: ž. Pavel Složil ml.  T: Wroblewski Grzegorz

Wotanがゆったりと逃げるも、それにぴったりとついて行ったSztormが直線手前で先頭に立つと、そのまま後続を8馬身ほど突き放して勝利した。Sztormは実に2018年のWielka Wroclawska以来の勝利とした。2018年の段階ではポーランドSteeplechaseで無敵を誇っていた馬で、2019年以降はチェコのCross Countryに参戦していたのだが、それなりにVelka PardubickaのQualification Raceで良績を残すも勝ち星を挙げることはできていなかった。今年で12歳となる大ベテランだが、今年も5月のQualification Raceで2着に入るなどそれなりに元気なようで、未だにチェコポーランド障害競走の一線級で善戦を繰り返している。10月のVelka Pardubickaでは空馬の影響で競争中止に終わるなど勿体ない結果に終わっていたが、ここでは結果を残した。元来小回りのコースで機動力を生かすレースを武器にしていた馬で、さすがに全盛期の迫力こそは見られないものの、やはりSlušoviceのようなコースは合うのだろう。WotanはCross Countryで未勝利の馬だが、ペースを作って結果を残した。入着が多い馬のようで、こういうタイプは距離が伸びた方がいい感もある。前走スロバキアのVeľká starohájska steeplechase spoločnosti BRUDAを勝ってきたFort Ryanは途中棄権。遡れば2018年のCena Labeの勝ち鞍のあるMahonyもいたのだが、それ以降は実際のところさっぱりで、今回も特に何もせず大敗に終わった。

 

10/29(金)

Down Royal (NI) Soft

Irish Stallion Farms EBF Mares Novice Hurdle (G3) 2m190y (Replay)

1. Impervious J: Brian Hayes T: Colm murphy

Annie Gがやや距離を取って逃げるも残り3障害辺りから失速。代わってImpervious、Sit Down Lucy、Glan、Part Centralが出てくるも、ここから抜け出したImperviousがSit Down Lucy以下を5馬身突き放して勝利した。

ImperviousはこれでHurdleは3戦3勝とした。8月のMaidenを勝利した際は単勝21倍と低評価であったようだが、今回も内容的には完勝で、序盤にやや口向きの悪さを見せた以外は特段の問題は見られなかった。2着のSit Down Lucyはここではかなり経験豊富な馬で、外々から被せていくレース運びで浮上してきたが、これをあっさり突き放すあたりImperviousの力量が一枚上手であったと考えるべきだろう。人気のParty Centralは残り2障害で挟まれた辺りで脱落し、大きく離れた4着に終わったが、そこまでのレース振りはスムーズだっただけにレース運び次第で巻き返しもあるかもしれない。

 

WKD Hurdle (G2) 2m190y (Replay)

1. Zanahiyr J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

レースはゆったりと逃げたZanahiyrがそのままCask Mateを突き放し勝利した。レースの内容としては5頭立て、しかも出走馬にかなりの力量差があるという、しばしばイギリス・アイルランドの重賞で見られる様相である。Zanahiyrは昨シーズンのJuvenile Hurdle路線で活躍した馬で、アイルランドで重賞を2勝、JCB Triumph Hurdle (G1)ではQuilixiosの4着に入っている。シーズン初戦となったここは快勝したが、ややズブいところがあるような仕草も見せており、レース運びには注意した方がいいかもしれない。昨シーズンのNovice戦線ではRoyal Bond Novice Hurdle (G1)にてBallyadamの2着のあるCask Mateが2着だが、フラットのスピードという意味では勝ち馬とはだいぶ差があるように感じられる。走法から考えるとかなり馬場が渋った方がいいタイプだろう。

 

10/30(土)

Ascot (UK) Soft (Good to Soft in places)

London Gold Cup Handicap Chase (G3) 2m7f180y (Replay)

1. Larry J: Jamie Moore T: Gary Moore

前半からJerrysback、Johnbbが落馬、大きく斜飛した人気のVinndicationが途中棄権するなど荒れたレースの幕開けとなる。ここからハナに行ったGlen Forsaが後続を大きく突き放していゲルも、残り3障害辺りから後続が接近。最終障害手前で先頭に代わったLarryがCheckintoutを6馬身突き放して勝利した。

Larryは重賞はこれが初勝利とした。ここまでChaseの勝ち鞍は2019年4月にSandownのClass2のNovice戦がある程度で、昨シーズンは主にG3のハンデ戦を使うも目立った成績を残していなかった。今回は10st0lbと一気に斤量が軽くなった利もありそうで、前半やや行きたがって走っていたところを考えると、どうにも信頼感に欠けるというのが現状だろう。やはり軽量のCheckitoutが2着。13歳馬でAscot競馬場に来るとなぜか別馬のように張り切るRegal Encoreは最後じわじわと伸びて3着で、11st3lbを背負っていたことを考えると頑張ったといえよう。

 

Wetherby (UK) Good to Soft

bet365 Hurdle (G2) 3m26y (Replay)

1. Indefatigable J: Darryl Jacob T: Paul Webber

Paisley Parkの復帰戦ということで話題になっていたが、同馬自身はどうにも勝負所から動きが重く、最後までじわじわと伸びて3着。勝ったのは外を回ってスムーズに進出してきたIndefatigableで、2着のProschemaに2馬身差をつける快勝であった。Indefatigable自身は重賞はこれがNovice及び牝馬限定戦のListed競走に次ぐ3勝目とした。昨シーズンの段階では、牡馬・セン馬相手だとやや分が悪く、牝馬相手だとG1戦線ではやや足りないといった立ち位置のようだが、今シーズンは前走Pontefractの平地未勝利戦を勝って調子がいいようだ。全体的に休み明けでここを目標としていなかった馬が多いことを差し引くと、おそらく次がこの馬にとって試金石となるだろう。昨シーズンクラス2で活躍したProschemaは距離延長で結果を残した。人気のPaisley Parkはどうにも近年ズブさが目立っており、今回もじわじわとは伸びているのだが、例によってこのような緩いペースからのスピード勝負だと分が悪い感がある。

 

Charlie Hall Chase (G2) 3m45y (Replay)

1. Fusil Raffles J: Darryl Jacob T: Nicky Henderson

Cyrnameの復帰戦ということで注目が集まっていた。そのCyrnameが前半からやや引っかかり気味に飛ばすも、最終コーナーを回ったあたりから好位にいたShan Blueが物凄い手ごたえで前に出てくると、そのまま一気に後続を突き放す。しかし残り3障害でまさかの落馬。残った面々でのバテ合いはFusil RafflesがKitty's Lightを4馬身ほど突き放して勝利した。Cyrnameは残り2障害で途中棄権に終わった。

Shan Blueは昨シーズンのKauto Star Novices' Chase (G1)の勝ち馬。ただしその後はなぜか20fを試したり、CheltenhamのMarsh Novices' Chase (G1)では途中で謎のロングスパートを掛けてみたりとどうにも順調ではなく、AintreeのMildmay Novices' Chase (G1)ではChantry Houseから32馬身離された2着に終わっていた。Cyrnameのペースに付いて行き、そこから手ごたえ十分で抜け出す際のパフォーマンスを明らかにここでは抜けており、目下絶不調のCyrnameを除けば2着以下のG1戦線でどうこうという馬はいなかったものの、とりあえず次走に期待したい。Fusil RafflesはそのMarsh Novices' Chase (G1)でChantry Houseの2着に食い下がった馬だが、内容的には2着以下のバテ合いを制したといった形で、24fでこれだけ我慢ができたこと自体は収穫だろう。Cyrnameはこれで3戦連続となる途中棄権で、どうにも本来気性面・能力面を鑑みると24fは長いのと、これだけWind Surgeryを繰り返しているだけあって健康面の方でも不安が残る結果となってしまった。

 

Down Royal (NI) Soft

Ladbrokes Champion Chase (G1) 3m (Replay)


1. Frodon J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

2021-2022シーズンにおいて最初のG1競走である。昨シーズンのCheltenham Gold Cupの勝ち馬Minella Indoの始動戦であること、さらにイギリスからFrodonが参戦したことで話題になっていた。レースはそのFrodonがハイペースで飛ばし、これにMinella Indoがついて行く。Galvin、Delta Workはその後ろから。Revenhillは早々にはるか後方に遅れる。最終コーナー辺りから前4頭一団になるも、ここからFrodonがもう一伸びすると、最後までついてきたGalvinを抑えて勝利した。Minella Indoはやや遅れた。

Bryony Frostという騎手は相当に強気な乗り役で、純粋な腕力というよりは馬をある程度前に促して出して行き、そのままリズムよくレースを運ぶことを最大の武器とする。スピードの持続性能と航行能力に優れたNicknameの産駒はこの騎手にとって長所を引き出しやすいパートナーであり、そういう意味でもこのFrodonという航行能力とスピードの持続性能に優れた馬とのコンビは結果を残しているのだろう。Down Royalのコースもこの馬向きであった。わざわざこの時期からアイルランドに遠征するPaul Nicholls調教師の判断もあり、かなり勝負気配としては高かったように思われる。

2着のGalvinはここまで6連勝できた馬だが、その実G1競走への参戦は2019年のBallymore Novices' Hurdle (G1)以来であった。昨シーズンもNoviceのG1競走を使うことなく、前半はややペースに戸惑うような飛越も見せていたのだが、いきなり自身のレースを完遂したFrodon相手にここまで迫ったことは大きい。7歳とかなり若く、今シーズンは楽しみな一頭だろう。Minella Indoは最後やや遅れての3着で、Cheltenham Gold Cup (G1)ではJack Kennedyが相当上手く乗ったような感もあった。Gordon Elliottが事前に評価していたDelta WorkはMinella Indoに対して僅差の4着と、アイルランドの実績馬はいずれもやや遅れての入線で、結果的にFrodonの強さとGalvinの想定以上の走りが目立つ結果となってしまった。

 

Join Racing TV Chase (G2) 2m3f120y (Replay)

1. Envoi Allen J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

ゆるゆると先頭を走ったEnvoi Allenがそのまま22馬身差の楽勝。Envoi Allenは今年の1月まで12戦無敗という圧倒的な成績を収めていた馬で、Gordon Elliott厩舎のごたごたに巻き込まれてHenry de Bromhead厩舎に移籍、その後の2戦は落馬に途中棄権と、どうにも結果を残していなかった。とりあえずメンバー的には明らかに格下ではあったのだが、この馬の強い姿を見ることが出来たのは大変喜ばしいことである。2着にはここまで未勝利、単勝200倍の牝馬Echoes of Familyが入った。最近はハンデ戦で入着を繰り返すなどこの馬なりに調子はいいようで、そのうちいいことがあって欲しい。