にげうまメモ

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22/12/04 Weekly National Hunt / Jump Racing

12/2(金)

Sandown (UK) Soft

Ballymore Winter Novices' Hurdle (G2) 2m3f173y (Replay)

1. Henri The Second J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

Park This Oneが前に行くも途中からI'd Like To Knowが前に行く展開となる。レースはこの時期のNovice戦らしくゆったりと進むと、残り2障害辺りからHenry's Friendと並んで前に出てきたHenri The SecondがHenry's Friendとの叩き合いを制して勝利した。

Henri The SecondはこれでHurdleは2戦目にして初勝利とした。NHFではAscotでListed勝ちのある馬で、やはりSaddler Makerの産駒ということもあって重馬場となったことがこの馬には向いたのだろう。パワーのある航行能力の高さを見せており、レース条件にはやや注文は付きそうだが今後が楽しみな馬になりそうだ。前走のAintreeのNovice戦ではMan At Workの3着に敗れていたHenry's Friendが2着。そのMan At Workもいたのだが、勝負所で飛越をミスしてそのまま大敗に終わった。ここまでHurdleは2戦2勝で来ていたドイツ産馬Maximilianという馬もいたのだが、こちらはどうにも後方から足を伸ばすも前には届かず3着に終わった。

 

12/3(土)

Aintree (UK) Good to Soft

〇 BoyleSports Moneyback Meetings Everyday Fillies' Juvenile Hurdle (Listed) 2m209y (Replay)

1. Dixon Cove J: Harry Skelton T: Paul Nicholls

好位から進めたDixon CoveがCalico、Isaline De Chandouとの叩き合いを制して勝利した。Dixon Coveは元々フランスでデビューした馬で、イギリス移籍後これで2戦2勝とした。Prix Sagan (G3)でVilla Ricaの3着はあるのだが、Villa Ricaもその後はいまいちのようで、この世代のフランスにおけるトップクラスの馬とは言い難いところはある。Prix Cambaceres (G1)でSt Donatsの5着に入ったIsaline De Chandouがフランスから参戦しており、フランスでの実績的にはDixon Coveよりも格上なのだが、最後の叩き合いでわずかに遅れて3着に終わった。Martalineの産駒だが意外とピッチ走法のスパートを繰り出すタイプで、航行能力には優れる一方で使える脚はさほど長くはないようだ。11st5lbと他馬よりも5lbのハンデがあったことを考えると、実質的には勝ちに等しい内容と考えていいだろう。

 

Many Clouds Chase (G2) 3m210y (Replay)

1. Noble Yeats J: Sean Bowen T: Emmet Mullins

序盤の2障害をしょんぼりな飛越で突破したAhoy Senorが引っ張る展開で、これにDashel Drasherがついて行く。Dashel DrasherはAhoy Senorを上回る勢いでコーナーを回り、Ahoy Senorとの叩き合いに持ち込むも、外から伸びてきたNoble Yeatsがこれらを差し切り勝利した。

Noble YeatsはこれでWexfordのListedから連勝とした。昨シーズンの段階ではWetherbyのTowton Novices' Chase (G2)にてAhoy Senorに圧倒される程度の結果しか残せておらず、Grand National (G3)でも人気薄で、これが引退レースであったSam Weley-Cohen騎手とのコンビでの一発屋くらいの感すらあったのだが、今シーズンは昨シーズンの3月以前とは明らかに馬が変わってきている。Ahoy Senorがだいぶのんびりとしたペースで引っ張ったということはあるのだが、Aintreeの平坦なコースでこれだけの加速を見せることができたというのはやや驚きだろう。そこまではややもたつくシーンもあったのだが、とはいえレース自体ものんびりとしたもので、この仕草自体は自然なものだと思われる。どうやらKing George VI Chase (G1)やCheltenham Gold Cup (G1)というオプションもあるようで、思わぬところから24f Chase路線に向けた有力馬が現れてきたようだ。

2021年のAscot Chase (G1)を勝ったDashel Drasherはこれが初の24fであったが結果を残した。ここまではAscot専用のような使い方をしていたのだが、Aintreeの逆回りかつ平坦なコースで結果を残したことはこの馬にとってはプラスとなる材料である。Ascot Chase (G1)を勝った際はCyrnameの凡走やそもそもそれ以外のメンバーとしてはG1クラスとは程遠いというところもあったのだが、とはいえ24fでやれるというのは9歳となったこの馬にとっては新たな可能性を示すものであった。期待されたAhoy Senorはいまいちなレース振りで3着で、前走のCharlie Hall Chase (G2)でもいまいちだったのだが、結果を残したAintreeでも残念な走りということで今後に向けて不安の残る結果となってしまった。

 

Becher Handicap Chaes (Premier Handicap) 3m1f188y (National) (Replay)

1. Ashtown Lad J: Harry Skelton T: Dan Skelton

Grand Sefton Chaseは11月に移動しているのだが、Becher Chaseは以前と同じく12月に行われている。レースはDr Kanangaが引っ張る展開で、好位からCloth Cap、Snow Leopardess、Ashtown Ladなど。終盤からCloth Capが前に出てくるも、さらにこれを捉えてAshtown Ladが先頭に。Ashtown LadはそのままHesskilleを振り切って勝利した。

Ashtown Ladは今シーズンはNovice上がりとなる馬で、Chaseでは2勝目とした。あまりNoviceクラスではうまくいかなかったようで、AyrのScottish Grand National (G3)でのWin My Wingsの5着が目立つ程度である。今回は初のNational Fenceであったが飛越自体は上手くできており、かなりDr Kanangaが積極的に引っ張るところを好位で追走し、11st5lbを背負って後続を振り切るのだから大したものだろう。まだ8歳と若く、持っているレーティング的にもGrand Nationalへの出走が楽しみになる結果となった。フランスからの移籍馬GesskilleはGrand Sefton Chaseでの2着に続いての惜敗で、Grand Seftonでは10st2lbの軽量での好走であったが、今回は11st4lbでの好走ということで力のあるところを見せてくれた。レース運びとしてはスタートからかなり後方に下げて押し上げてから押し上げていくという極端なレースであったが、まだ6歳と若く、今後に期待したい。フランスではAuteuilのListed Steeplechaseを勝利している実績馬で、このような馬をClass2のGrand Seftonで10st2lbを割り当てるイギリスのレーティングシステムは早々にAIかなにかに取って代わられた方がいいのではないだろうか。

最後後ろから追い上げてきたPercussion、Fortescue、Five Star Getawayが3着以降に続いた。前に行ったCloth Capは最後遅れての6着。10歳牝馬Snow Leopardessは好位から元気に進めたのだが、最後は苦しくなって8着。やはり馬場は速すぎたようで、飛越自体は安定していたことを踏まえると、重馬場になって改めて期待したい。De Rasher Counter、Francky Du Berlaisのトップハンデの2頭はさっぱり良いところなく終わった。

 

Sandown (UK) Soft

〇 Pertemps Network Handicap Hurdle (Class 2) 2m7f98y (Replay)

1. Dolphin Square J: Mr David Maxwell T: Phillip Hobbs

Call Me Lord、Wilde About Oscarとの叩き合いを制して勝利したのはDolphin Squareなのだが、どうやらCall Me LordのBen Bromley騎手がゴールポストを勘違いしたらしく、一つ目のゴールポスト(Chaseコースのゴール板)を先頭で通過するも、そこで手綱を緩めたことでDolphin Squareに前に出られ、結果的に二つ目のゴールポスト(Hurdleコースのゴール板)は2位で入線したようだ。Call Me LordのBen Bromley騎手はこれで制裁を受けているようだが*1、むしろこれはSandownのコース形態に問題があるように思う。勝ったDolphin Squareはこれで昨シーズンのHunter Chaseを含めて3連勝で、今年の1月の段階でClass2のHurdle戦で勝利しているように力はあるようだが、もしかすると再度Hunter Chaseを使ってくる可能性もありそうだ。

 

Henry VIII Novices' Chase (G1) 1m7f119y (Replay)

1. Jonbon J: Aidan Coleman T: Nicky Henderson

圧倒的人気を背負ったJonbonがゆるゆると進めると、あっさりBoothill以下を振り切って勝利した。JonbonはこれでChaseは2戦2勝とした。全体的に行きたがって走るところは相変わらずなのだが、とはいえ流石のスピードと身体能力の高さを見せており、文句なしにArkleに向けた最有力候補の一頭だろう。メンバー的にも極端に弱い相手であったということもなく、見た目通りに評価できるレースとなりそうだ。前走AscotのClass2を勝ってきたBoothillが2着で、勝ち馬によくついていったのだが最後は流石に突き放されてしまった。HurdleではClass2勝ちのあるUnexpected Party、Hurdleでは計4勝を挙げたHonneur D'Ajoncはいずれもレースに参加できずに終わった。

 

Tingle Creek Chase (G1) 1m7f119y (Replay)

1. Edwardstone J: Tom Cannon T: Alan King

Shishkinの今シーズン始動戦ということで注目が集まっていた。レースはアイルランドのGentleman De Meeが引っ張る展開で、これにFunambule Sivola、Dunvegan、Greaneteenなどがついて行く。Shishkinはその後ろから。Gentleman De Meeは軽快に引っ張るも、残り3障害辺りからGreaneteenが先頭に。しかし後ろから上がってきたEdwardstoneがこれを捉えて先頭に立つと、そのまま後続を9馬身ほど突き放して勝利した。Shishkinは3着に終わった。

EdwardstoneはNovice上がりの馬で、今シーズンはこれが始動戦であった。Arkle Challenge Trophy (G1)ではGabynako以下を4馬身突き放す強い競馬を見せていたが、AintreeのMughull Novices' Chase (G1)ではGentlmena De Meeに逃げ切りを許しており、その雪辱を晴らしたことになる。スピードに優れた小柄なGentleman De Meeと比べるとKayf Taraの産駒らしくパワーと加速力に優れたタイプで、AintreeよりもSandownのような坂のあるコースを駆け上がるレースを得意としているように見える。Sandownは比較的得意とするGreaneteen以下を圧倒した走りはやはり高く評価しなければいけないものであり、馬の性質的にCheltenhamは合うだろうと思われることを踏まえると、今後の16f Chase路線において中心的な役割を担うことが期待されそうだ。

連覇を狙ったGreaneteenが2着。今シーズンはHaldon Gold Cup (G2)を快勝していたように調子もよく、元々Sandownのコースも得意とすることもあって結果を残した。昨年のDesert Orchid Chase (G2)やDublin Chase (G1)ではさっぱり良いところがなかったりとつかみどころのないタイプではあるのだが、とはいえ今回はこの馬の守備範囲であったようで、こればかりは勝ち馬を褒めるしかないだろう。Queen Mother Champion Chase (G1)での凡走のあとの初出走となったShishkinはあまりいいリズムで運んでいなかったようで、どうやら調教師によればQueen Mother Champion ChaseではなくGold Cupに向かう可能性もあるようだ*2。シンプルにGentleman De Meeのスピードについていけなかったという可能性もありそうだが、レース前に他馬に蹴られたという情報もありそうで、この馬の動向には注意しておきたい。軽快にレースを引っ張ったGentleman De Meeは最後苦しくなっての4着で、そもそも前走も凡走していたように馬の調子としてもやや微妙なところもあり、Sandownの坂のあるコースはいまいちのようだ。

 

〇 London National Handicap Chase (Class 2) 3m4f166y (Replay)

1. Quick Wave J: Charlie Deutsch T: Miss Venetia Williams

One More Fleurieを制して前に行ったLilly Pinchin騎手のAlmazahr Gardeが後続に大きなリードを取って派手な大逃げを打つ展開も、さすがに苦しくなったようで残り3障害で後退。代わって出てきたQuick Waveがそのまま殆ど追うことなく勝利した。

Quick Waveはこれで前走のLudlowの25f戦から連勝とした。どうやら今年の春に行ったWind Surgeryが効果的であったようで、次走はChepstowのWelsh Grand National (G3)を予定しているようだ。ここまで牝馬限定を使ってきた馬だけにペース的な課題はありそうだが、とはいえ11st12lbを背負っての勝利は大したものだろう。後続は最後Quick Waveが完全に緩めたことを利して伸びてきたもので、10st5lbのPlanned Paradise、10st4lbのEclair De Guyeと軽量馬が続いた。

 

Fairyhouse (IRE) Yielding

〇 Beginners Chase 2m5f50y (Replay)

1. Minella Crooner J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

前に行ったMinella CroonerがI Am Maximusとの叩き合いを制して勝利した。Minella CroonerはChaseは2戦目で初勝利とした。HurdleではMinella Cocoonerの2着のある実績馬で、前走はいきなりFlorida Pearl Novice Chase (G2)で2着に入っていた。前走と比べるとだいぶ飛越は良くなってきていたようで、I Am MuximusもBallymore Novices' Chase (G1)で4着のある馬だけに、これは価値のある勝利だろう。またMinella Cocoonerとの対戦も楽しみにしたい。I Am Muximusは元々Nicky Henderson厩舎にいた馬なのだが、今シーズンからWillie Mullins厩舎に移籍したようだ。この経緯は不明だが、初のChase戦でもいい競馬を見せており、なかなか将来性のありそうな馬である。

 

〇 Maiden Hurdle 2m (Replay)

1. Facile Vega J: Paul Townend T: Willie Mullins

おそらく今シーズンのNovice Hurdleにおいて最もHurdleデビュー戦が期待されたと思われるFacile Vegaが終始先頭で走ると、そのまま後続に14馬身差をつける快勝とした。Facile Vegaは名牝Quevegaの産駒で、National Hunt FlatではG1を2勝している。全体的にかなりゆったりとしたペースで運んだというのはあるのだが、ペースアップしてからの加速力は圧巻の一言で、飛越もMaiden Hurdleとしては十二分に合格点だろう。これがHurdleは2戦目となるex-pointerのAn Mhiが2着に入った。

 

Auteuil (FR) Lourd (4.6)

Prix Andre Michel (G3)

Haies Pour juments de 4 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, en courses à obstacles, reçu une allocation de 100.000. 3600m (Replay)

1. Hotesse Du Chenet J: Ludovic Philipperon T: Marcel Rolland

好位から抜けてきたHotesse Du ChenetがLa Danza及びLadyvilleを抑えて勝利した。Hotesse Du Chenetは今年で5歳となる牝馬で、ここまで重賞は複数の勝利を挙げている実績馬である。ただ、今年の秋はPrix Carmarthen (G3)でThelemeやHermes Baie、L'Autonomieにはさっぱり敵わずに5着に敗れると、その後はG1戦線を避けて回っていたようだ。母はPrix Cambaceres (G1)を勝ったTanais Du Chenetという良血なのだが、どこまで現役を続けるかは少々微妙なところがありそうだ。これが久しぶりのHaiesとなったLa Danzaが2着。春にはPrix Hournaliste (G3)を勝っていたのだが、その後はやや尻すぼみな成績に終わっており、今回はHurdleに戻した結果となる。やはりHaiesへの出戻り組となるLadyvilleが3着に入った。前走はSteeplechaseのPrix Sytaj (G3)を快勝したAstadameもいたのだが、こちらは直線伸びずに5着に終わった。

 

Prix Leon Olry Roederer (G2)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4300m (Replay)

1. Henri Le Farceur J: James Reveley T: Hugo Merienne

レース前の返し馬でHermes Baieが落馬するアクシデント。馬は無事であったようだが残念ながら出走取消となってしまった。レースは前に行ったHenri Le Farceurがそのまま勝利した。Henri Le Farceurは春にGrande Course De Haies De Printemps (G3)を勝利しているが、その後のG1路線では勝負に加われずに終わっており、あくまでこのHaies路線においては二番手といった立ち位置になりそうだ。11歳のAnouma Freedomが2着に入った。G1戦線でどうこうということはないのだが、前走のAuteuilのPrix Count Schomberg (Listed)を勝利するなど元気一杯で、11歳になってもこれだけ走れるのだから大したものである。Folsom Prisonは例によって勝負所までは圧倒的な手応えの良さで進めたのだが、例によってそこからはいまいちな伸び脚で、前からは脱落して4着に終わった。

 

Prix Georges Courtois (G2)

 Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4400m (Replay)

1. Gran Diose J: James Reveley T: Louisa Carberry

じわじわと進出してきたGran Dioseが直線に入って先頭に立つと、ひたすら抵抗を続けたEddy De Balmeとの叩き合いを制して勝利した。Gran Dioseは今年はCompiegneのSteeplechaseを使っており、重賞2勝と結果を残していた。今回は久しぶりのAuteuilであったが結果を残した。全体的に良質な航行能力を見せる馬で、最後はEddy de Balmeに詰め寄られたが、とはいえ斤量差もあることから十分な内容だろう。Eddy De Balmeはここ2戦は落馬に終わっていたが、今回は久しぶりにまともに走っての2着で、普通に走れば重賞クラスでは実力上位であるところを見せてくれた。アイルランドからはFranco De Portが参戦していたが、今回は重馬場に手を焼いているようなレース運びで、最後は伸びきれず5着に終わった。

 

Prix Morgex (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. La Manigance J: Angelo Zuliani T: Francois Nicholle

途中からChoeur Du Nord産駒のImprenableが前に行くも、直線に入って伸びてきたLa ManiganceがIkorikoを振り切って勝利した。La ManiganceはこれでSteeplechaseの重賞は2勝目とした。11月のPrix Maurice Gillois (G1)では悲しみの落馬に終わっていたのだが、今回は実力上位であるところを見せてくれた。どうにもG1戦線では不幸な結果に終わっているのだが、この世代のSteeplechaseにおいて実力上位であることは間違いないようで、来年以降の活躍に期待したい。同じく牝馬のIkorikoが2着に入った。

 

12/4(日)

Huntingdon (UK) Good

Peterborough Chase (G2) 2m3f189y (Replay)

1. Pic D'Orhy J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

前半から軽快に引っ張ったPic D'OrhyがMillers Bankを振り切って勝利した。Pic D'OrhyはNovice上がりの馬で、今シーズンはClass2から連勝とした。NoviceのG1戦線ではノドの問題もあったのかうまくいかなかったのだが、Wind Surgeryを経て今シーズンは結果を残している。とはいえ今回はPic D'Orhyにとってはいつもの相手となるMillers Bankが2着とNovice戦からあまり変わり映えのしないメンバーであったことは事実で、Huntingdonのスピードが生きるコースで軽快に引っ張った利もあったことを考えると、おそらく次が正念場となるだろう。2021年にはClarence House Chase (G1)を勝ったFirst Flowもいたのだが、とはいえ本来の16fのトップクラス相手には厳しいことははっきりしており、おそらく距離を伸ばしてくるものと思われる。

 

Fairyhouse (IRE) Yielding to Soft (Soft in places)

Bar One Racing Price Boost Juvenile Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Lossiemouth J: Danny Mullins T: Willie Mullins

Aghaboyが1馬身ほどの差を取って逃げる展開も、最終コーナーからCoommon Practice、さらに外からLossiemouthが接近。そこから抜けてきたLossiemouthが抜け出すと、内から出てきたZarak The Braveを振り切って勝利した。

Lossiemouthは元々フランスでデビューした馬で、これがアイルランドデビュー戦となる。Auteuilでは非常にいい勝ち方を見せていたのだが、アイルランドでも強い競馬を見せた。Great Pretenderらしいスピードの持続能力に優れたタイプで、どうにもex-flat horseが多いJuvenile Hurdleではややらしからぬ本格的なフランス障害競馬のバックボーンを持った馬である。前走アイルランドのMaiden Hurdleを勝ったZarak The Braveが2着。Joseph O'Brien厩舎のChurchill産駒であるComgort Zoneが3着に入った。平地ではRoscommonのMaidenを勝った実績があるようで、前走はNavanのMaiden Hurdleを勝っている。Joseph O'Brien厩舎のex-flat horseの一員として引き続き注意したい。Galileo産駒の牡馬Sundialもいたのだが、早々に脱落し大敗に終わった。

 

Royal Bond Novice Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. Marine Nationale J: Michael O'Sullivan T: Barry Connell

前半からWillie Mullins厩舎のHercule Du Seuilが前に行くも、飛越をミスしてPrairie Dancerが前に出てくる。さらにChamp Kielyが前に行くも、最終コーナーからIrish Pointが先頭に。そのままIrish Pointが逃げ込みを図るも、最終障害を飛越して伸びてきたMarine Nationlaeがこれを捉えて勝利した。

Marine NationlaeはHurdleは2戦2勝とした。NHFでは特にG1クラスで走ったということはないのだが、今回はWillie Mullins厩舎の素質馬を多数含むレースを制したということで、今後が楽しみになる結果となった。最終障害でのミスはあるのだが、とはいえそこからの伸び脚はかなりしっかりしたもので、全体的にレースとしてはかなり前掛かりなものであったことを考えると、極端なスローペースからの上り勝負を制したというわけではないことは評価できる材料だろう。Joshua Tree産駒のIrish Pointは惜しい2着まで。フランスではその後Prix Renaud Du Vivier (G1)を制すIl Est Francaisに先着していた実力馬である。Willie Mullins厩舎のChamp Kielyは人気になっていたが、全体的に前掛かりのレースに巻き込まれるようなレースとなった。

 

Drinmore Novice Chase (G1) 2m3f165y (Replay)

1. Mighty Potter J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

Shadow Riderがするすると逃げる展開も途中で飛越をミスして後退。代わってMighty Potterが前に出てくるも、最終コーナーからAdamantly Chosen、Gaillard Du Mesnilなどが接近。Gaillard Du Mesnilは最終障害前では一旦は先頭に立つ勢いを見せるが、そこから再度加速したMighty Potterが前に出て勝利した。

Mighty PotterはChaseは2勝目とした。昨シーズンの16f Novice HurdleでG1を複数勝利した実績馬で、今シーズンは最初から20f路線というのは何かしらの意図がありそうだ。どうにも飛越面では踏み切り位置が安定しなかったりと若さがあるのだが、とはいえ明らかに経験値で勝るGaillard Du Mesnilを振り切ったのだから大したものだろう。そのGaillard Du Mesnilはやはりレース運びの面でここでは明らかに一枚上手で、Irish Grand National (Grade A)でも3着に入った能力の高さを見せてくれた。今回は時期的に2m4f戦ということもあるのだが、24f戦であればこの馬の経験値がより生きるだろう。Three Stripe Lifeは飛越のミスでアブミを落としてそのまま途中棄権で、今回の敗戦は度外視した方がよさそうだ。

 

Hatton's Grace Hurdle (G1) 2m3f130y (Replay)

1. Teahupoo J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott

3. Honeysuckle J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

このレースは4連覇を目指すHoneysuckleの復帰戦ということで注目が集まっていた。レースは前半からAshdale Bobがやや後続を引き離して逃げる展開で、好位からDarver Star、Saldier。その後ろからHoneysuckleで、Klassical DreamはHoneysuckleを見る位置から進める。じわじわとHoneysuckleは進出すると残り2障害辺りから先頭に。しかし外からKlassical Dream、さらにはTeahupooが伸びてくると、TeahupooがKlassical Dreamを退けて勝利した。Honeysuckleは3着まで。

ここまで無敗記録を更新し続けていたHoneysuckleはこれが初の敗戦となった。どうやらJack Kennedy騎手は派手に喜んでいた一方で、Fairyhouseは異様な沈黙に包まれたようで*3、これもHoneysuckleのこれまでに成し遂げてきた偉業を物語るものだろう。Fairyhouseは起伏は多いもののこの馬にとっては慣れたコースで、Ashdale Bobのペースも極端な展開ではなく、Softの馬場を特別不得意とする馬でもないだけに、この敗戦は案外なものだろう。調教師をはじめとする陣営からも理由らしき理由が上がっていないようで、ひとまず次走の巻き返しに期待したい。

Teahupooは大仕事をやってのけたが、ここまではJuvenile Hurdle上がりの馬やどちらかというと空き巣重賞ばかりを勝ってきた馬で、昨シーズンはChampion Hurdle (G1)に挑戦しているがHoneysuckleからは大きく離れた大敗に終わっている。まだ5歳とフレッシュな馬で、全体的に今シーズンの始動戦ということで有力どころが本気ムードではなかったところを突いてきた可能性はあるのだが、単なる一発屋で終わらないことを期待しておきたい。Klassical Dreamは久しぶりの20f戦であったが結果を残した。おそらく今後は24f戦に向かうものと考えられるが、いまいち走ったり走らなかったりを繰り返していた昨シーズンからレース運びが安定してくることを期待しておきたい。

 

その他

Reserve system for Randox Grand National scrapped with immediate effect (Racing Post)

2000年に導入されたGrand NationalのReserve Systemが2023年から廃止されるそうだ。これまでは最大4頭の"Reserve"が割り当てられ、上位馬が取り消しになった場合には出走可能になるのだが、このシステムは来年から廃止される。どうやらこれは安全性上の問題ではなくレースカードの作成やブックメーカー側の都合等の理由のようである。個人的には、レーティングが当落ラインぎりぎりの馬がなんとか滑り込むシステムとして残して欲しかったのだが...。

£280 in February, £3,600 in March: Cheltenham Festival hotel prices soar (Racing Post)

Cheltenham Festival期間中のCheltenhamのホテル価格が高騰しているそうだ。£3,600とは2022年12月3日現在で日本円に直せば約60万円であり、さすがに宿泊料だけでこの値段というのは頂けない。なお、当ブログの管理人が2017年に遠征した際の宿泊料は合計で18万円であった。