にげうまメモ

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21/02/28 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2021/02/22-2021/02/28

2/25(木)

Huntingdon (UK) Soft

〇 Handicap Chase (C4) 2m3f189y (Replay)

1. Go Steady J: Harry Skelton T: Dan Skelton

後方から進めたGo Steadyが最終障害から抜け出して勝利した。Go Steadyというと日本ではトニービン産駒の逃げ馬で、秋の天皇賞で鞍上の因縁もあったのかローエングリンと熾烈な先行争いを演じた馬が思い出されるのだが、こちらはGo Steadyとしては三代目で、二代目としてアメリカ産の牝馬がいる。三代目Go Steady自身はこれまで重賞クラスの勝ち鞍はなく、今シーズンはNovice上りのシーズンとなる。Novice上りの今シーズンの序盤はやや苦労していたが、4戦目でようやく勝利を挙げた。重馬場の20f程度の距離で良績を上げており、C3くらいまでなら太刀打ちはできるだろう。

 

Thurles (IRE) Heavy

〇 Hunters Chase 3m201y (Replay)

1. Jury Duty J: Mr Jamie Codd T: Gordon Elliott

中段から進めたJury DutyがStand Up And Fightを抑えて勝利した。Jury Duty自身は2019年のGrand National Hurdle (G1)の勝ち馬で、アイルランドではPunchestownのFlorida Pearl Novice Chase (G2)の勝利がある。基本的には24fの重賞戦線で勝機のある馬だが、昨シーズンははやや精彩を欠いており、昨年の10月にPtPを使ったのち、これがHunter Chaseとしては初参戦であった。アメリカ遠征が難しい現状も踏まえて、おそらく年齢的なものを考慮してこちらに回ってきたものと思われる。

 

2/27(土)

Kempton (UK) Good (Good to Soft in places)

Pendil Novices' Chase (G2) 2m4f110y (Replay)

1. Tamaroc Du Mathan J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

Ga Lawがゆったりと引っ張る展開を見ながら進めたTamaroc Du Mathanが直線抜け出して勝利した。Tamaroc Du Mathan自身はこれでChaseは2勝目となる。前走はこのKemptonのWayward Lad Novices' Chase (G2)にてShishkinから13馬身離れた2着に終わっていたが、ここでは力を見せた。おそらくShishkin相手には分が悪く、おそらくこのままだと20f路線に進むことになるだろうが、全体的にG2クラスまでならといったメンバー相手の勝利であり、G1クラスでいきなり太刀打ちできるかは微妙なところ。WincantonのRising Stars Novices' Chase (G2)を圧勝したGa Lowはその後はいまいちで、今回はKemptonのスピードが生きる競馬場ということもありこの馬向きな感もあったのだが、全体的に飛越がいまいちでやや案外な内容に終わった。もう少しこの馬のリズムで自由に走らせた方がいいのかもしれない。10歳のNovice馬Coole Codyもいたのだが、前とは大きく離された3着に終わった。

 

Adonis Juvenile Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Tritonic J: Adrian Heskin T: Alan King

中段から進めたTritonicが残り2障害辺りから抜け出し10馬身差の圧勝とした。Tritonicは平地で比較的実績のある馬で、Irish Stallion Farms EBF Glasgow Stakes (Listed)にて2着に入った実績もある。Hurdleはこれが2戦目であったがここまで2戦2勝と結果を残している。ただし比較的平地のスピードが生きやすいKempton競馬場のJuvenile Hurdleということで、これがCheltenhamなど他の競馬場に外挿できるかと言うとやや微妙なところで、今後は平地・障害兼用馬として使われる可能性もあるだろう。

 

Dovecote Novices' Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Cape Gentleman J: Jonjo O'Neill Jr T: Emmet Mullins

人気を背負ったAtholl Streetが逃げるも早々に後退。好位から進めたCape GentlemanとCalicoの叩き合いはCape Gentlemanに軍配が上がった。Cape Gentlemanはアイルランド調教馬で、前走はLeopardstown Dublin Festivalの名前の長いNovice HurdleのG1競走(Nathaniel Lacy & Partners Solicitors '50k Cheltenham Bonus For Stable Staff' Novice Hurdle)に出走するも途中棄権に終わっていた。おそらく本調子ではなかったとのことで、イギリス遠征で結果を残したことはこの馬にとって今後に向けた大きな収穫になるだろう。ただし人気のAtholl Streetが凡走したという点で、レースレベルにはやや疑問が残る。もともとドイツでキャリアをスタートさせたCalicoはこれがHurdle2戦目であったが、頑張って2着に来た。

 

Close Brothers Handicap Chase (G3) 3m (Replay)

1. Clondaw Castle J: Jonathan Burke T: Tom George

中段から進めたClondaw CastleがErick Le Rouge以下を抑えて勝利した。Clondaw Castleは重賞は初勝利だが、今シーズンはSilviniaco Conti Chase (G2)にてMaster Tommytuckerの2着など重賞戦線でも活躍があり、ここに来てめっきり力をつけている一頭である。今回はこれが初の24f戦であったが、11st8lbを背負って結果を残した。10st2lbの軽量を生かして浮上したのが2着のErick Le Rougeで、ここまでC3勝ちのみの馬だが、昨年末のWind Surgeryを経てパフォーマンスが上向いていたことを期待したい。2017年のKauto Star Novices' Chase (G1)勝ちのあるBlack Cortonもいたのだが、さっぱり良いところなく途中棄権。ここのところはさっぱり良いところがないレースを続けており、これで引退とのことだが、どうやら主戦騎手Bryony Frostが引き取ることになったらしい。落馬したSouthfield Stoneは残念ながら助からなかったとのこと。

 

Fairyhouse (IRE) Soft (Soft to Heavy in places)

Norman Colfer Winning Fair Juvenile Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Teahupoo J: Robbie Power T: Gordon Elliott

終始先頭ですすめたTeahupooがそのまま快勝。Teahupoo自身はこれでフランスAuteuilでの1戦も含めてHurdleは3戦3勝とした。前走のアイルランド初戦となったITM Virtual Stallion Trail Hurdleも楽勝しており、底を見せていない馬として楽しみである。ドイツ産馬Tax For Maxが2着だが、前半からかなり引っかかるところがあり、これが解消されればもう少しやれるだろう。

 

Red Mills Trial Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Jason The Militant J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhedad

するすると逃げたJason The Militantがそのまま押し切り勝利した。Jason The Militantは今シーズンではNovice上りの馬で、PunchestownのMorgiana Hurdle (G1)ではAbacadabrasに対して僅差の3着がある。Chanelle Pharma Novice Hurdle (G1)においてAsterion Forlongeにさっぱり敵わなかった昨シーズンから比べればかなりレベルアップしていると思われるが、Abacadabra自身G1のトップクラスでは若干微妙なところがあるだけに、やや相手関係には注意した方がいいだろう。今回も快勝とはいえメンバー的にはG1では力関係的には格落ちとなるクラスである。ベテランのPetit Mouchoirが2着に入った。

 

Bobbyjo Chase (G3) 3m1f110y (Replay)

1. Acapella Bourgeois J: Danny Mullins T: Willie Mullins

のんびりと逃げたAcapella Bourgeoisが詰め寄ってきたBurrows Saintを凌いで勝利した。Acapella Bourgeoisはこれが11歳となるベテランで、このレースは昨シーズンに引き続き連覇とした。現時点でGrand Nationalにも登録があり、出走順17番目とほぼこのままであれば出走は確実だろう。比較的重い馬場でゆったりとワンペースで走るタイプの馬で、自身のペース以上のスピードを要求されると厳しいのだが、このような展開であれば例によってしぶとさを発揮する。かつてRSA Chase (G1)で気性的な難しさを見せていた馬が、その後色々な紆余曲折はありながらここまで大人びたレースが出来るようになることには素直に驚嘆する。同じくWillie Mullins厩舎のBurrows Saintが2着に入った。同馬はGrand Nationalの出走順15番目で、2019年のIrish Grand National (Grade A)勝ち馬ということで期待されているのだが、同レース勝利後はあきらかな叩き台のHurdleを1勝したのみとなっている。11歳のベテランAnibale Flyもいたのだが、こちらは見せ場なし。Grand Nationalの出走順は18番目で、出走自体は可能だろう。展開が厳しくなればなるほど異様なまでのしぶとさを生かして浮上してくるタイプの馬で、休み明けのこのようなレースで特に見せ場がないのもいつも通りである。

 

2/28(日)

Fontwell (UK) Good to Soft (Soft in places)

National Spirit Hurdle (G2) 2m3f49y (Replay)

1. Brewin'upastorm J: Aidan Coleman T: Olly Murphy

残り2障害辺りから抜け出したBrewin’upastormがそのまま5馬身差の快勝。Brewin’upastormはもともとHurdleのNovice戦線でG1は勝てないながらもMersey Novice' Hurdle (G1)の2着など活躍した馬だが、Chaseに挑戦した昨シーズンは下級条件戦のみの勝利に留まり、Novice上りとなった今シーズンのChase2戦はいずれも最下位に終わっていた。これがHurdle復帰2戦目となるが、そのいずれでも快勝しているようにやはりChaseよりHurdleの方がいいのだろう。今後はChaseに戻ることはなく、Hurdleで頑張るとのこと。Relkeel Hurdle (G2)の勝ち馬Mcfabulousが2着で、この馬自身の力は見せている。20fくらいの距離が良い馬なのだが、Cheltenham Festivalでは適距離がないのが難しいところ。前走はPaul’s Sagaを下し、3連勝で挑んできた上り馬Molly Ollys Wishesは3着に終わった。今回はさすがに相手が強かった。

 

Naas (IRE) Soft

WhatsOddsPaddy Chase (G3) 2m (Replay)

1. Cilaos Emery J: Paul Townend T: Willie Mullins

ゆるゆると逃げたCilos Emeryがそのまま快勝。Cilos EmeryはこれでChase重賞は3勝目とした。HurdleではPunchestownのChampion Novice Hurdle (G1)勝ちを始め、Champion Hurdle (G1)にてEpatanteの4着がある実力馬で、やはりそのChaseでの期待も大きいのだが、ChaseではDublin Chase (G1)の落馬などいまいち実力を発揮することが出来ていない。今後はQueen Mother Champion Chaseに向かうとのことで、Willie Mullins厩舎の秘密兵器的な立ち位置となると思われるが、その走りに期待したい。ただし今回はメンバー的にはかなり楽ではあった。

 

Paddy Power Betting Shop Novice Hurdle (G2) 1m7f101Y (Replay)

1. Echos In Rain J: Paul Townend T: Willie Mullins

Belfast BanterとEchos In Rainが抜け出しを図るが、最終障害を越えてリードを開いたEchos In Rainがそのまま快勝した。Echos In RainはHurdle重賞は初勝利とした。もともとフランス平地競争でキャリアをスタートさせた馬で、いきなりKnight Frank Juvenile Hurdle (G2)にチャレンジさせた辺り、素質は期待されているものと思われる。同レースでは結果的に大敗に終わるものの、仕切り直しとなった今シーズンは3戦2勝と結果を残している。ただしやはりCheltenham Festivalも近いということもあって、メンバー的にはかなり手薄だったことに注意したい。これがHurdle14戦目と経験のあるBelfast Banterが2着に入った。この自身、重賞クラスではやや厳しいことがはっきりしており、このレースの水準という意味でも微妙だろう。

 

その他

Patrick Mullins faces licence battle as he ponders turning pro for Cheltenham (Racing Post)

今年のCheltenham Festivalにおいてアマチュア騎手は残念ながら騎乗が不可となったのだが、アイルランドのアマチュア騎手として大成功を収めているPatrick Mullins騎手はプロ騎手への転向を考えているようだ。ただしプロ転向において幾つかの問題があることが記載されている。

Point-to-points on hold until April 5 at the earliest in Ireland (Racing Post)

アイルランドPoint-to-Pointは新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から現在開催休止中だが、少なくとも4月5日まで継続されることとなったらしい。

'He was a fairytale' - Bryony Frost hails impact of Black Corton on her career (Racing Post)

上記Black Cortonに関する記事。主戦を務めたBryony Frost騎手の発言が多く引用されている。今後はBryony Frost騎手が面倒を見るそうだ。

Inches away from paralysis to winning the Eider - Henry Brooke's fairytale win (Racing Post)

非常に危険な箇所の首の怪我から復帰したHenry Brook騎手がNewcastle競馬場の名物4ハロン戦Eider ChaseをSam's Adventureで勝利したことに関する記事。

FEI cancels European mainland events due to EHV-1 (neurological form) (Federation Equestre Internationale)

ヨーロッパで馬ヘルペスが流行しているそうで、ヨーロッパでの馬術競技が中止となったそうだ。3月のCheltenham Festivalが無事に開催されれば良いのだが。