*障害競馬回顧 2021/02/01-2021/02/07
以前もご紹介した海外競馬ニュースchにて、アイルランド在住のSatieさんとのコラボでイギリス・アイルランド障害競馬の基礎知識に関する配信をお送りしました。前編は主に競馬のシステム、後編は有力厩舎・騎手等に関するものです。両方とも50分前後とそれなりにボリュームはありますが、この2本を聴いておけばイギリス・アイルランド障害競馬に関する基本的な知識は十分得られると思われますので、是非覗いて頂ければ幸いです。個人的には、Satieさんから現地の雰囲気や具体的なエピソードをたくさん伺うことが出来たのが特に良かったなと。今やインターネットで表面的な情報はいくらでも手に入りますが、このラジオのメンバーのように、やはり実際に現地に足を運び、現場の雰囲気や空気感を直に感じ、ご自身の眼で観察できる人たちのお話というのは貴重なものですね。
2/6(土)
Musselburgh (UK) Soft
〇 Novices' Chase (C3) 2m4f68y (Replay)
1. Gaelik Coast J: Brian Hughes T: Donald McCain Jnr
人気になっていたGetaway Trumpが先に抜け出しを図るも、これを残り3障害辺りから前に出たGaelik Coastがそのまま押し切り勝利した。Getaway Trump自身はHurdleではChallow Novices’ Hurdle (G1)にでChampの2着のある実績馬なのだが、昨シーズンからChaseに転向するも勝ち星は上げられず、Novice Chaseはこれで2シーズン目となる。今シーズンはNovice Chaseで2勝を上げるも、前走のBerkshire Novices' Chase (G2)では大敗に終わっており、今回のレース運びを見ると障害飛越地点が障害に対して近すぎるためにスピードに乗り切れなかったりと、やはりChaseの飛越についてはまだ課題を残しているように見える。Gaelik Coastはフランス生産馬で、Chaseはこれで2勝目とした。やや障害飛越にミスはあったが、全体的に航行能力の高さを感じさせるスムーズな飛越が出来ていた。
〇 Scottish County Hurdle (C2) 1m7f124y (Replay)
1. Christopher Wood J: Angus Cheleda T: Paul Nicholls
ゆったりと逃げたVoix Du Reveを最終障害を越えて抜け出したChristopher Woodが突き放して勝利した。Voix Du Reveは元々アイルランドWillie Mullins厩舎にいた馬で、アイルランド時代にはRyanair Gold Cup Novice Chase (G1)勝ちのある実績馬である。ただし全体的に成績は安定せず、落馬や凡走も多く当てにならないところがあった。昨年の秋からイギリスに移籍し、さすがにFighting Fifth Hurdle (G1)ではEpatanteから12馬身離れた4着に終わっているのだが、今年からC2にクラスを落としてからはこれで2着2回と安定した成績を収めている。レース振りを見るとやはり全体的に行きたがって走ったり、いざ追い出されて見ると反応しきれなかったりとだいぶ乗り難しいところがあるようだが、11st12lbのトップハンデを背負って2着に入るあたり、やはり能力はあるのだろう。Christopher Woodは遡ればDoom Bar Annibersary 4YO Juvenile Hurdle (G1)にてPentland Hillsの3着がある馬なのだが、その後は重賞クラスでは厳しかったようで、主に条件戦を走っている。前走はクラス3のハンデ戦で11st13lbを背負って2着に入る辺り調子はいいようで、もしかするとどこかのListedクラスでまたこの馬を見ることが出来るかもしれない。
〇 Edinburgh National Handicap Chase (C2) 4m176y (Replay)
1. Mighty Thunder J: Blair Campbell T: Miss Lucinda Russell
スコットランド障害競走としては最長距離を誇る4マイル戦。前半からSaint Xavier、Le Breuilのハンデ上位馬2頭が引っ張るも、第18障害からMighty Thunderが先頭に。交代するLe Breuilを尻目にそのままリードを広げ、残り2障害で追いかけてきたStay Humbleが落馬するとそこからは独走状態。2着のDino Boyに20馬身差をつけて勝利した。
Softな馬場の4マイル戦ということで非常にタフなレースになっているのだが、さらに前半からSaint XavierとLe Breuilがそれなりのペースで引っ張っており、完全な消耗戦になっている。11頭出走して完走したのはたったの4頭であった。Mighty ThunderはNovice馬で、今シーズンからChaseに移行して4戦3勝という成績を挙げている。Hurdleでも主に24f戦を使ってきており、重賞クラスでの活躍はないのだが、Hurdleとしては珍しい26f戦の好走歴もあるようにこのような超長距離戦において強さを発揮するタイプと思われる。スピードよりもタフネスが勝ったタイプとしてこの路線で記憶すべき馬だろう。KelsoのScottish Borders Nationalを15馬身差で勝ってきたDino Boyが2着。前走から8lbの斤量増があったのだが頑張って2着に入った。昨年の勝ち馬Bob Mahlerが3着。トップハンデのLe Breuilは4着で、この馬の距離適性という面では疑いようがないのだが、やや前半から積極的に進め過ぎた感もある。
Sandown (UK) Heavy (Soft in places)
〇 Scilly Isles Novices' Chase (G1) 2m4f10y (Replay)
1. Sporting John J: Richard Johnson T: Phillip Hobbs
前評判としてはHitmanとShan Blueの実績馬2頭が人気を分け合う形となっていた。レースはFergal O'Brien先生のPaint The Dreamが引っ張る展開も、これにぴったりとHitman、Shan Blueがついて行く。全体的に飛越に勝っていたShan Blueが第9障害で先頭に立つ。第12障害でHitmanが着地に失敗する形で落馬し、これにぶつかったDame De Compagnieも落馬。そのままShan Blueが逃げ込みを図るも、後方からじわじわと上がってきたSporting JohnがShan Blueを抑えて勝利した。
この日のSandownは馬場がHeavyとかなり重い状態で行われている。さらに前半からShan Blue、Hitmanの2頭が競り合う形の消耗戦となっており、前半後方に位置し、飛越がおぼつかずこれに付き合わなかったSporting Johnが浮上する結果となった。Sporting JohnはChase2戦目での勝利としたが、やや今回は展開の助けもあった感があり、HurdleではBallymore Novices’ Hurdle (G1)にてEnvoi Allenから大きく離れた7着に終わっていることも考えると、いきなりここからCheltenhamでの本命クラスと考えるのは微妙かもしれない。レース前半にて怪しかった飛越はレース後半には改善されており、修正能力の高さは伺わせる内容であった。Kauto Star Novices' Chase (G1)の勝ち馬Shan Blueが2着で、この馬もBallymore Novices’ Hurdle (G1)にてEnvoi Allenから離れた6着であることを考えると、全体的に目標はRSA Chase (G1)の方がいいのかもしれない。Dipper Novices' Chase (G2)を勝ってきたMessire Des Obeauxは途中から追走できなくなり4着。ここまで緩いペースを運動神経の高さを生かして勝ってきたばかりに、いきなりの厳しいレースに戸惑った感もある。期待されたHitmanは落馬に終わったが、内容としては凡ミスといったところで次に期待したい。
〇 Cotswold Chase (G2) 3m37y (Replay)
1. Native River J: Richard Johnson T: Colin Tizzard
本来はCheltenhamのFestival Trial Meetingで行われるレースなのだが、同開催が中止になったためこちらに回ってきた。レースはYala Enkiが相当主張して引っ張る展開も、第17障害辺りからNative Riverが前に出る。これを追いかけてきたのがBristol De Maiだが、これを突き放したNative Riverが9馬身差の勝利とした。
Native Riverは2018年のCheltenham Gold Cup (G1)の勝ち馬。元々バネのような弾力のある馬体から繰り出される躍動感のある飛越と強靭なタフネスを武器に逃げて勝ってきたタイプの馬で、特に前者についてはYala Enkiを一気に置き去りにした第17障害辺りの飛越に見られているように、その能力は11歳となった現在も健在である。以前からもズブさを見せるタイプではあったが、今回も深いブリンカーをつけているように相当馬がズブくなってきているようで、Richard Johnson騎手がかなり促して走らせる場面が目立った。主張して引っ張ったYala Enki、Bristol De Maiとのマッチレースにおいて、この馬らしいレースを見ることが出来た好レースであった。おそらくこのままCheltenham Gold Cup (G1)に向かうものと思われるが、展開の鍵を握る馬としても注意しなければならない。一方のBristol De Maiは得意のHaydockではないとはいえ、比較的Sandownは好走歴のある競馬場であり、Heavyの馬場も決して悪くはないのだが、やはりスピード能力という面ではNative Riverに分があった。昨年のCheltenham Gold Cup (G1)の2着馬Santiniは勝負に加わず3着。終盤の障害がオミットされた影響でほぼ平地競争のようなレースになったMany Clouds Chase (G2)はともかくとしても、今シーズンはどうにもぱっとしないレースが続いている。Yala Enkiはこの馬のレースをしたのだが、やはり身体能力の面でここに入ると厳しいようだ。
Leopardstown (IRE) Soft to Heavy
〇 Nathaniel Lacy & Partners Solicitors '50k Cheltenham Bonus For Stable Staff' Novice Hurdle (G1) 2m6f33y (Replay)
1. Gaillard Du Mesnil J: Paul Townend T: Willie Mullins
LeopardstownのDublin Festivalの1日目。レースはWillie Mullins厩舎のStattlerがゆるゆると逃げる展開で、残り2障害辺りから後続を突き放して一気に押し切りを図るも、これについて行ったGaillard Du Mesnilがこれを捉えて勝利した。Gaillard Du MesnilはこれでHurdleは3戦2勝とした。フランスではPrix De L'Avenir (G3)の2着のある能力馬で、アイルランド初戦こそ2着に敗れたものの、その後のMaidenは圧勝している。レースとしてもこの時期のNovice馬とは思えないほど成熟したもので、やはり24fを走る馬としての完成度は非常に高いものを持っているだろう。前走Maidenで21馬身差の圧勝を見せたGentlemansgameが2着。やはりMaidenを勝ってきたStattlerが3着で、全体的に上り馬が上位を占める結果となった。BetVictor Make Your Best Bet Novice Hurdle (G2)勝ちのあるAshadale Bobは大敗、2着のFakieraが4着で、実績馬の中ではFakieraが再先着となった。
〇 Dublin Chase (G1) 2m1f57y (Replay)
1. Chacun Pour Soi J: Paul Townend T: Willie Mullins
Minが例によって引っ張るかと思いきや、これを煽るくらいの気合で出ていったのがRachael BlackmoreのNotebook。残り3障害辺りからこれについて行ったFakir D'Oudariesが先頭に立つと思いきや、これに忍び寄ってきたChacun Pour Soiが一気に抜け出して快勝した。
Chacun Pour SoiはこれでChaseは8戦6勝、アイルランドに限れば7戦6勝とした。なぜ一昨年のChristmas FestivalでA Plus Tardに負けたのかよくわからないのだが、今シーズンんはこれで3戦3勝、そのいずれもが圧勝と素晴らしい成績を残している。Minを煽るくらいの勢いで引っ張ったNotebookが作る厳しい流れを楽々と追走し、頑張って抜け出してきたFakir D'oudariesを一瞬で置き去りにする瞬発力はまさに理想的な16f Chaserのそれであり、もはやアイルランドに敵なしといったところだろう。Queen Mother Champion Chase (G1)での走りが楽しみである。昨シーズンのDrinmore Novice Chase (G1)の勝ち馬Fakir D'Oudariesは見せ場を作った。同レースはSamcroが落馬したことによる棚ぼたのようなところもあったのだが、その後もG1路線で2着も多く、単なる棚ぼたG1馬ではないところを見せている。前走はなぜかいきなり24fのSavills Chase (G1)に挑戦し、さすがに途中棄権に終わったのだが、やはり16fのきついペースを頑張って追走する方がこの馬には合っているようだ。昨シーズンArkle Novice Chase (G1)を始めG1を2勝したNotebookは渾身の逃げを打つも最後苦しくなり3着に終わった。ここまでCheltenhamを除けばコンスタントに走るタイプなのだが、この馬がここまでバタバタになるような展開を楽々勝利するChacun Pour Soiはやはりバケモノである。Minは序盤から飛越のリズムを崩し途中棄権に終わった。とりあえずなにもなかったとのことで、この馬はRyanair Chase (G1)にて期待したい。
〇 Patrick Ward & Co. Solicitors Irish Arkle Novice Chase (G1) 2m1f57y (Replay)
1. Energumene J: Paul Townend T: Willie Mullins
人気を背負ったEnergumeneがするすると逃げると、そのまま後続を突き放し10馬身差の圧勝。Willie Mullins厩舎のフランス生産馬はここまでDublin FestivalのG1競走を3連勝とした。Energumeneはここまで重賞競走での出走歴はないのだが、National Hunt Flatの初戦で負けた以外はここまで6戦5勝。特に障害競走はそのいずれもが圧勝という圧倒的な成績を挙げている。この路線はイギリスのShishkinが強いと思われていたのだが、この馬の出現によってShishkinとEnergumeneの対決という構図と思われているようだ。そのEnergumeneに前走2着であったCaptain Guinessは途中まで頑張ってついて行ったが、残り2障害でもったいない落馬に終わった。次見直すとしたらこの馬か。Racing Post Novice Chase (G1)の勝ち馬Franco De Portは後方から押し上げるも離れた2着まで。前走Energumeneからはるか後方の3着に終わったBlackbowまで3着に入り、いかにEnergumeneのNovice Chaseのレベルが高かったか、又はこの時期のNovice馬にとって強い馬に頑張ってついて行くことが大切であるかということを示す競走となった。
〇 Chanelle Pharma Irish Champion Hurdle (G1) 2m (Replay)
1. Honeysuckle J: Racheal Blackmore T: Henry de Bromhead
例によってPetit Mouchoirが逃げる展開だが、これにぴったりとSaldier、Honeysuckleがついて行く。しかしSaldierは徐々に後退すると、残り4障害辺りからHoneysuckleが先頭に立ち後続を突き放す。後方からはAbacadabrasが追ってくるも差は詰まらず、そのままHoneysuckleが10馬身差の圧勝とした。
Honeysuckleはこれで10戦10勝とした。うちG1は6勝と、文句なしにアイルランドの名牝である。今シーズンはHatton’s Grace Hurdle (G1)から始動し、Ronbald Pumpを抑えて勝利を挙げていたのだが、内容としてはスローの展開をこの馬の武器である瞬発力を生かして後続を抑えきるというものであった。今回は16fに距離を短縮し、自らPetit Mouchoirを抑えて前に出ていく積極的な騎乗での勝利であり、前走とは違ったこの馬の一面を見せる勝利であった。このレースは昨年も勝利しているが、さほど強いメンバーがいたわけではなく、可能性としてはCheltenham Festivalの16fのChampion Hurdle (G1)に挑むにあたって、早いペースでのレースへの適性を試したような印象もある。Mares' Hurdle (G1)でも当然本命視される馬だが、やはりChampion Hurdle (G1)にてイギリスの名牝Epatanteとの対決を見てみたいところである。
今シーズンはMorgiana Hurdle (G1)を勝利し、一躍16f Hurdleの中心へと躍り出たAbacadabrasが2着。やはりレースを見ているとHoneysuckleとはだいぶ一瞬のスピード能力の面で差があるようで、最後も脚色が同じになってしまった。Matheson Hurdle (G1)で強いレースをしたSharjahは今日は走らない日だったようで3着。Morgiana Hurdle (G1)で前が思いっきり詰まっていたSait Roiは前走に引き続いての凡走で、きついペースへの追走能力や、ロングスパート能力という点では微妙なところがありそうだ。10歳となったPetit Mouchoirは早々にHoneysuckleに潰され5着。Saldierは長期休養明けの2戦目であったが、どうもレース振りを見ているとこの馬本来の姿にはないようだ。
2/7(日)
Leopardstown (IRE) Soft to Heavy
〇 Tattersalls Ireland Spring Juvenile Hurdle (G1) 2m (Replay)
1. Quilixios J: Jack Kennedy T: Gordon Elliott
Willie Mullins厩舎のSaint Samがするすると逃げるも、最終障害手前でこれを捉えたQuilixiosがこれを5馬身差突き放す快勝。Quilixiosはもともとフランス調教馬で、フランスではCompiegneのHurdle競走を一度使っているのだが、アイルランド移籍後を含めてここまでHurdleは4戦4勝、そのいずれもが楽勝という結果を残している。Juvenile Hurdleに向けては同厩舎のZanahiyrもここまでアイルランドで3戦3勝という結果を残しており、同馬はQuilixiosと異なりG1勝ちはないものの、鞍上のJack Kennedyがどちらを選ぶか注目されるところだろう。そのZanahiyrから前走6馬身差の2着に入っていたSaint Samが2着。フランスでListed勝ちのあるJoseph O'Brien厩舎のBusseltonが3着に入り、Willie Mullins厩舎とGordon Elliott厩舎の上位2頭に迫る結果を残した。
〇 Chanelle Pharma Novice Hurdle (G1) 2m (Replay)
1. Appreciate It J: Paul Townend T: Willie Mullins
内々でレースを引っ張ったAppreciate Itがそのまま迫るBallyadamを抑えて勝利した。Appreciate ItはこれでHurdleは3戦3勝とした。昨シーズンのChampion Bumper (G1)でも1番人気に押され、Ferny Hollowの2着に入った素質馬であり、ここまでは期待通りに素晴らしい走りを見せている。現時点でSupreme Novices’ Hurdle (G1)に向けて一番人気に押されているようで、悲願のCheltenham Festivalでの勝利に向けて視界良好となるレースであった。前走のFuture Champions Novice Hurdle (G1)ではAppreciate Itから15馬身離れた4着に終わったBallyadamは前走と比較すればAppreciate Itには迫ったが、まだ実力差はありそうな印象。Lawlor's of Naas Novice Hurdle (G1)から距離を短縮してきたBlue Lordが3着に入り、4着のHook Upと合わせてほぼWillie Mullins厩舎が上位を独占する結果となった。
〇 Flogas Novice Chase (G1) 2m5f93y (Replay)
1. Monkfish J: Paul Townend T: Willie Mullins
するすると逃げたMonkfishがそのまま後続を寄せ付けず、終わってみれば11馬身差の圧勝。Monkfishは昨シーズンのAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬で、これでChaseに転向した今シーズンは3戦3勝とした。飛越技術はしっかりしており、今後20fか24fかどこを使うのかは不明だが、いずれにせよNoviceクラスで出走してくれば本命視される一頭だろう。Cheltenham Gold Cup (G1)でも良いではないかという意見も散見される。上記Albert Bartlett Novices' Hurdle (G1)でMonkfishに僅差の2着まで迫ったLatest Exhibitionは2着に入ったが、前走のNeville Hotels Novice Chase (G1)の内容も踏まえると、ChaseではややMonkfish相手に分が悪いような印象もある。Chaseにて2戦連続で落馬に終わっていたAsterion Forlongeはとりあえず完走して4着に入ったが、まだ飛越技術の面で改善が必要な部分がありそうだ。
〇 Irish Gold Cup (G1) 3m107y (Replay)
1. Kemboy J: Danny Mullins T: Willie Mullins
今年は5頭立てとややメンバーとしては揃わなかったのだが、明らかにノーチャンスのような馬の出走はなく、どの馬も勝利するシナリオが想定される非常にレベルの高いメンバーが揃った。レースはするするとKemboyが引っ張る展開で、これを好位からMinella Indoが追いかけるも、最終障害手前からMinella Indoが苦しくなると、そのまま浮上してきたThe StorytellerをKemboyが凌いで勝利した。
鞍上のDanny Mullins、というかMullins一族については上記ラジオの後編でSatieさんがお話してくださっており、幸いタイムリーな勝利となった。Kemboy自身は2019年のPunchestown Gold Cup (G1)以来の勝利だが、2018-19辺りではアイルランド24f Chase路線で目覚ましい活躍を見せていた馬である。前走のSavills Chase (G1)ではごーす前強襲してきたA Plus Tardの2着に敗れていたが、やや前向きにするするとマイペースで気ままに逃げるこの馬の本来のレース運びを見せていた。Cheltenhamでは落馬に終わったり、案外な凡走を見せたりとあまり良績がないのだが、アイルランド代表として楽しみな一頭だろう。ただしこの馬は自身のリズムで走ることが重要であるような印象もあり、Cheltenhamらしい緩急のついた独特のリズムを有するレースの流れに乗り切れるかという不安もある。
今シーズン初頭のChampion Chase (G1)を勝利したThe Storytellerは、なぜかLeopardstown Christmas FestivalはChristmas Hurdle (G1)を使っていたのだが、ここでも頑張って2着に来た。明らかにタイプとしては長距離のロングスパート型であり、ここでも脚が上がる他馬に比べ、最後までスプリントを掛ける姿が印象的であった。Grand Nationalという可能性もあるようだが、案外Cheltenhamは合うのではないだろうか。連覇を狙ったDelta Workが3着で、とりあえず無念の落馬に終わった前走のSavills Chase (G1)の影響はなさそうだが、昨シーズンの勢いにあるかと言われると微妙なところがある。馬のタイプとしてはCheltenhamよりもPunchestownで期待したいところ。案外だったのがMinella Indoで、落馬に終わったSavills Chaseはともかくとしても、この一線級に入って最後根負けして4着というのは少々頂けない。前走Savills Chaseで見せ場を作ったMelonは後方から進めて見せ場なし。大きく遅れているわけではないのだが、もう少し前目で積極的に進めても良かったかもしれない。
Pau (FR) Tres Lourd (5.4)
〇 Prix Guy Lefrant 4100m (Replay)
Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus, n'ayant pas, depuis le 1er mars de l'année dernière inclus, reçu en steeple-chase une allocation de 10.000.
1. Vif Ardent J: Mr Thomas Guineheux T: Jean-Luc Guillochon
ゆったりとChampi De Bersyが逃げる展開も、最終障害手前から抜け出したVif ArdentがBranle Basを抑えて勝利した。Vif Ardent自身はCross Countryは初勝利とした。さほどCross Countryの経歴は長くなく、今回もPassage De Routeにて大きなミスがあり、鞍上が頑張ってしがみついて事なきを得るなどもう少し飛越技術には向上が必要なようなだが、7歳とまだ若く今後が楽しみな馬だろう。ベテランBranle Basが惜しい2着。人気のAlpha Riskは前々で運びたいような意図もあったのだが、やや全体的にミスが多く見られた。2017年のGrand Cross De Pau (Listed)では2着もあるベテランPapy Mamyもいたのだが、65kgと斤量はかなり楽であったにも関わらず前半からあまり勝負に加われず途中棄権に終わった。今年2戦はいまいちな結果に終わっており、12歳とかなり年齢を重ねていることを考えると、さすがにそろそろお年かもしれない。
〇 Grand Cross de Pau Reverdy (Listed) 6300m (Replay)
Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus, ayant reçu 12.000 en steeple-chase (victoires et places).
1. Uniketat J: Felix de Giles T: Lageneste & Macaire
Crystal Cupの2021年の第1戦。昨年はコロナウイルス感染症の影響でCrystal Cup自体が中止となってしまったのだが、今年は無事完走して欲しいところである。フランスCross Country最強馬で、Grand Nationalにも登録のあるEasyslandが出走するという話だったのだが、結局出走登録はなかったようだ。レースはDenalie Bellevueが逃げる展開だが、これにDisco D'Authie、Bomariなどが絡んでいく。さらにUniketatが絡んで行き、途中から先頭に。Uniketatは軽快に馬群を引っ張ると、追いかけてきたBomariがPassage de Routeで落馬すると独走状態。最終障害を越えて猛然と後方からLucky Net Loveが追いかけてくるも、これを退けて勝利した。
UniketatはこれでCross Countryだけに限れば2020年の1月から6連勝とした。昨年の段階では4000メートルクラスのCross Countryのみを使っていたのだが、ここにきて距離延長を試みており、きっちりと結果を出している。Easyslandとは異なり、全体的に飛越技術と航行性能に優れた典型的なフランス障害馬といったところで、今回の超のつく不良馬場への適性も見せていた。今回は久々のFelix De Giles騎手とのコンビであったが、さすがの障害飛越技術高さを見せており、レース運びとしては完璧なものであった。Easyslandと当たる可能性は低いのだが、直接対決が実現すれば面白いレースになるだろう。前走Prix John Henry WrightにてBomariの2着に入ったLucky Net Loveは惜しい2着。最終障害を越えてからの一気の脚力は見どころのあるのであったが、やはりそこまでにもう少し位置を上げておきたかった。同競走において失格となったBlason D'Orもさすがの能力の高さを見せ3着に入った。Bomariは勿体ない地点での落馬で、落馬がなければ確実に好勝負していただけに悔やまれる結果となってしまった。大ベテランDisco D'Authieは途中から徐々に位置を下げ、途中で落馬に終わった。さすがのベテランもこのレースは年々着順を下げており、さすがにそろそろ12歳という年齢的な問題もあるかもしれない。
その他
〇 Tiger Roll tops 106 entries for 2021 Randox Health Grand National at Aintree (Racing TV)
今年のGrand Nationalの登録馬が発表された。Grand National3勝目を目指すTiger Rollを筆頭に、計106頭の登録があった。フランスからはDavid Cottin調教師がAjas及びEasyslandを登録している。
〇 IHRB issues unreserved apology following controversial start at Naas (Racing TV)
IHRB(Irish Horseracing Regulatory Board)は先週のNaasのControversialなスタートについて、関係者への謝罪を行うそうだ。当該スタートに関しては、Racing TVの解説陣からはFalse Startであると厳しいコメントが飛んでいた。
〇 【中山グランドジャンプ】(中山)海外から1頭が予備登録 [News] (ラジオNIKKEI)
中山グランドジャンプにフランスからTenerife Seaの予備登録があった。同レースは2013年のBlackstairmountain以来外国馬の参戦はなく、予備登録があるのも2016年のArctic Fire、Dicosimo、Yelix Yonger、Urban Explorer、Thubiaan以来となる。