にげうまメモ

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24/09/15 Weekly National Hunt / Jump Racing

 

9/10(火)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.1)

Prix Des Platanes (Listed)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 3 ans, n'ayant pas, en courses de haies, été classés dans les trois premiers d'une Listed. 3600m (Replay)

1. Apollon Du Luy (FR) J: Johnny Charron T: Joël Boisnard

秋のAuteuil開催初日となる。この日のAuteuilはなぜかFalse Startが多く、このレースでも例によってFalse Startを繰り返してから始まった。最初から行きたがる仕草を見せていたGemix産駒のTramontaneが前に行くも、直線を向いて後続が殺到。番手にいたApollon Du Luyがそのまま抜けてくると、Sain D'Esprit以下を振り切って勝利した。

Appolon Du Luyはこれで5月のAuteuilのClasse3から連勝とした。春はBdx Le Bouscatで2走するも勝ち星を挙げられず、5月のAuteuilで初勝利を飾っていた。ただしレース展開としては後方の内から抜けてきたSain D'Espritに対して上手く立ち回った感は拭えず、1kgの斤量の恩恵もあったものと思われる。Cokoriko産駒のSain D'Espritは4月のAuteuilのClasse1を勝ったばかりの馬で、秋初戦としては立派な内容だろう。Beaumec De Houelle産駒の牡馬Lovemec De Houelleは後方で延々とうろうろしていた挙句、ようやく加速してきた段階ではすでに時遅しといった内容のレース展開で、この中で最も上がり目があるのはこの馬であると思われる。好調Cokoriko産駒の経験馬L'Amiral D'Ainayが4着。Gemix産駒の牝馬Tramontaneは終盤後続が殺到してからは脱落して6着に終わったが、Gemix産駒の特色を考えるとあまり悲観するような着順ではないように思われる。Pastorius産駒の牡馬Shine Silentlyも出走していたが、こちらはいいところなく大敗に終わった。

 

Prix Melanos (Listed)

Haies Handicap Pour tous poulains et pouliches de 4 ans 3600m (Replay)

1. Kandy Park (FR) (AQ) J: Johnny Charron T: Mlle Daniela Mele

途中から前に行ったトップハンデのKandy ParkがZarflightの追い上げを凌いで勝利した。Kandy Parkは6月のPrix Auestarabad (G3)の勝ち馬で、これでHaiesは2連勝とした。ただしここまで世代の重賞戦線を使っていたわけではなく、今年の春は主にSteeplechaseに参戦するなど、同世代のHaiesのトップクラスに対しての力量は未知数なところがある。Zarak産駒のZarflightが最後追い込んで2着に入ったが、こちらも春はPrix Ferdinand Dufaure (G1)に参戦するなどSteeplechase路線を使ってきた馬で、今回の上位勢がそのままHaiesの重賞戦線でといわれると微妙なところがありそうだ。3着以下はやや離れたが、Celty Du Kalon、HandicapperのGrandbatと続いた。この辺りの面々を鑑みると、あまりHaiesの重賞クラスでどうこうという感でもないだろう。Voiladenuo産駒のKiffeurはPauのClasse1を勝っての参戦であったが、長期の休養明けもあってか最後は息切れし最下位に終わった。Voiladenuo産駒の成長力を考えれば今後に期待したいところである。

 

9/11(水)

Compiegne (FR) Tres Souple (4.1)

Prix The Stomp (Listed)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 3800m (Replay)

1. Milanne (FR) J: Leo-Paul Brechet T: Gabriel Leenders

Scatarが前に行きこれをSpes Militurfが外から追走するも馬群は固まって進行。そのまま逃げ込みを図ったScatarをMilanneが差し切って勝利した。

Milanneは今年6月のAuteuilのPrix Des Drags (G2)でJojo Lapinの2着に入った馬で、2022年から2024年にかけて計5連勝と結果を残してきた実績がある。2022年の9月から2024年の3月までかなり長い休養を経ており、すでに7歳とそれなりに年齢を重ねているのだが、とはいえ能力がある馬であることは確かなようで、ようやくここに来てListedクラスで勝ち切ったことは喜ばしい内容であろう。Prix Des Drags (G2)ではSpes Militurfなどの実績馬が落馬したということはあるのだが、DieppeやLyon ParillyのListedを連勝してきたScaterが相手と、メンバー的にはなかなかいいものがあったと思われる。その好調のScaterが2着。4月にはPrix Journaliste (G3)を勝ったUncheckbleが3着、Prix Romati (G3)でSpes Militurfの2着に入ったWhymperが4着、さらにSpes Militurfも5着と、このコースで実績のある馬もあまり差のない入線となった。AuteuilのPrix Ingre (G2)を勝利するもその後連続で落馬に終わったToscana Du Berlaisはコース替わりでの参戦となったがいいところはなく、Prix Des Drags (G2)を勝ったJojo Lapinも大敗と、Auteuilで比較的実績のある組はいずれも下位での入線となった。

 

〇 Prix Summit (Classe 3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 4 et 5 ans, les 5 ans n'ayant pas, en steeple-chase, été classés dans les cinq premiers d'une course de dotation totale de 26.000. 3450m (Replay)

1. Ella Duchic (FR) J: Baptiste Le Clerc T: Florian Bellemere

前半から元気よく飛ばしたElla Duchicが最後迫ったKajaを振り切って勝利した。Ella Duchicはこの形で4月のCompiegneのListed競走を勝ってきた馬で、今回はSteeplechaseは初参戦であったが結果を残した。とはいえ例によって出し抜けのような逃げ切り勝ちというレースであり、どうしても展開待ちというところは残りそうだ。4歳限定戦等で比較的全体がゆったりと進むレースであればハマる可能性はありそうだが、AuteuilよりはCompiegneの方が与しやすいかもしれない。The Grey Gatsbyの産駒でex-flat horseであるKajaもまたSteeplechase初参戦であったが最後迫って2着。Haiesの重賞クラスでは力量的に跳ね返されて終わっており、Steeplechase替わりでどこまでやれるだろうか。

 

9/14(土)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.0)

〇 Prix Finot (Inédits)

Haies Pour poulains entiers et hongres de 3 ans, n'ayant pas couru. 3600m (Replay)

4. Lebandacarl (FR) J: Leo-Paul Brechet T: Gabriel Leenders

Lebandacarlのデビュー戦であり、後方から進めるも伸びを欠き4着に終わった。LebandacarlはBandeの産駒だが、半兄には2022年の4歳Steeplechase路線で複数の重賞勝ちをあげ、Prix Maurice Gillois (G1)では2着に入ったDiamond Carlがいる良血馬である。Lebandacarlとしてはまだ全体的にもたもたとした仕草が目立っており、飛越にもミスがあったりと完成度の点ではだいぶまだまだこれからの馬のようだ。今年からフランスで産駒がデビューしたBandeの産駒はちらほらと走っているが、まだ全体的に緩い馬が多くこれからに期待したい。勝ったのはKurasso BlueというMasked Marvelの産駒。2着にはAlmanzor産駒でこれまで平地競争を使ってきた牡馬Trefle Volantが入った。

 

〇 Prix Kerym (Classe 2)

Haies Pour pouliches de 3 ans, n'ayant pas, en course de haies, reçu une allocation de 25.000. 3500m (Replay)

1. Layla Lux (FR) (AQ) J: Felix De Giles T: Gabriel Leenders

後ろから進めたLayla Luxが前で抜け出したMiss Altea Blueを差し切って勝利した。Layla Luxはフランスやアイルランドで活躍し、2018年にはAintreeのGrand National (G3)にも参戦したBaie Des Ilesの初仔で、今回はこれがデビュー戦であった。やや後ろからゆったりと前を見ながら進めるというのはデビュー戦の馬としてはよくある進め方だが、そこから経験馬を相手に差し切るのだから大したものだろう。Great Pretenderの産駒でこれがHaies4戦目となるMiss Altea Blueが2着。Compiegneのデビュー戦で2着に入り、これがHaies2戦目となるMamisuz De Houelleが3着に入った。Beaumec De Houelleの産駒には終盤の加速力に優れた馬がそれなりにいる印象があるが、Mamisuz De Houelleと同じような位置から抜けてきたLayla Luxの勝ち方が目立つ内容となった。

 

〇 Prix Ucello II (Classe 3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant, cette année, en steeple-chase, ni couru trois fois, ni reçu deux allocations. 3500m (Replay)

1. Diamond Carl (FR) J: Angelo Zulliani T: Francois Nicolle

途中からKapteenなどを制して前に出てきたDiamond Carlがそのまま勝利した。Diamond Carlは上記の通り2022年の4歳Steeplechase路線で活躍した馬だが、Prix Maurice Gillois (G1)で2着に敗れてからかなり長い休養を経ていた。今回はこれが復帰戦となったが、全体的に前向きな走りを見せており、復帰戦としては上々の内容だろう。見るからにCokorikoの産駒であることがよくわかるIkorikoが2着に入った。この馬も2022年12月のPrix Morgex (G3)以来のレースであったが結果を残した。ClairefontaineやAinx-Les-Baisを連勝してきた好調のGemix産駒James's Passionが3着で、この馬の走ってきたレース水準としてはやや疑問が残るものの、長期休養明けとなる上位2頭のレースはなかなか立派な内容であったと思われる。

 

〇 Prix De L'Orleanais (Classe 2)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, en course de haies, cette année, couru trois fois. 3600m (Replay)

1. Saint Sam (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

Gallipoliを制して前々で運んだSaint SamがそのままGallipoliとの叩き合いを制して勝利した。Saint Sam自身はアイルランド調教馬で、2020年にフランスでデビューした馬だがその後はWillie Mullins厩舎で主に重賞戦線を戦っている。ここまでAn Riocht Chase (G3)など重賞クラスでの結果は出ているのだが、一方でG1クラスとなると少々荷が重いようで、今年は夏場に2走してからフランスに矛先を向けてきたことになる。基本的に2m~2m5f程度の距離でスピードを生かして先行するタイプで、今回はAuteuilの秋シーズンとしては序盤ということもあって結果を残した。春のGrand Steeplechase Mastersの緒戦で結果を残したGallipoliが2着だが、この馬の場合は4000メートル程度の距離の方がよさそうで、あまり距離延長となるとやや微妙なところが悩みどころである。

 

9/15(日)

Bro Park (SWE) Steeplechase god, Häckbana god,

H.M.DROTTNINGENS PRIS

För 4-åriga och äldre hästar som vid viktdatum fullföljt minst en steeplechase eller häcklöpning 117.000 kr 3800m hä (Replay)

1. Throne Hall (GB) J: Brodie Hampson T: Archie Watson

イギリスのThrone Hallを迎えて行われた。レースはそのThrone Hallが淡々と引っ張る形で、これを追いかけてLatour、Monsieur Vic。外からLatourが、内からMonsieur Vicがこれに迫るも、Throne Hallがこれらを振り切って勝利した。

Throne Hallはイギリスのdual purpose horseで、このレースには昨年も遠征しMonsiuer Vicの2着に入っている。今回は淡々とこの馬のリズムを刻んで逃げることで雪辱を果たすことに成功した。母国では2022年にClass2のHandicap勝ちもあるのだが、ここのところはどうにも不振気味でClass4でも結果が出ず、近走は平地競争の比較的長い距離のレースを使っていたようだ。地元のMonsieur Vic、Latourとあまり差のない入線となったが、これはペース的なところもありそうだ。Duesenberg、Aviationの2頭が取り消して3頭立てとなったことはやや残念な内容であった。

 

H.M.KONUNGENS PRIS

För 4-åriga och äldre hästar som vid viktdatum fullföljt minst en steeplechase. 117.000 kr 4200m st (Replay)

1. Mutadaffeq (IRE) J: Niklas Lovén T: Karen Kuszli

Don Diabloが取り消して4頭立てとなった。レースはChristopher RobertsのBeatthebulletが積極的に前に出てくるが、途中からThree Is Companyが先頭に。しかし直線を向いて内から出てきたMutadaffeqがこれを捉えて勝利した。

Mutadaffeqは昨年のSvesnkt Grand Nationalの勝ち馬だが、その後トラブルであまり順調に使えておらず、8月のGyllene Hästenで久しぶりの勝利を挙げていた。Niklas Lovén騎手が派手なガッツポーズを見せているようにこの馬の経緯を考えれば嬉しい勝利で、スウェーデンのチャンピオンとして順調に行って欲しいものである。この路線ではお馴染みのThree Is Companyは安定したレースで見せ場を作った。Last Reference、Beatthebulletはやや遅れての入線となり、定量戦ということも考えると現状の力量差が出たレースとなった。

 

Waikato Thoroughbred Racing @ Te Rapa (NZ) Heavy10

〇 Alsco Uniforms Hurdle MDN HDL 2800m (Replay)

1. Justice (NZ) J: Kylan Wiles T: Dean Wiles

Te RapaのGreat Northern Day。人気のEnchanted Elleが前に出てくるも、早々にEmily FarrのZeefa Zedが捲って先頭に。2周目から再度Enchanted Elleが前に出てくるもこれにZeefa Zedが抵抗。しかし最終障害を越えて強襲したJusticeが前を差し切って勝利した。

JusticeはHurdleは2戦目で初勝利とした。今年の8月からHurdle競走に参戦している馬で、前回はRoad Runnerの2着に敗れている。内容的にはEnchanted Elleが最後苦しくなったところを強襲したといったものだが、とはいえ2戦目の馬のレースとしては上出来だろう。最近ニュージーランドに戻ったEmily Farrが騎乗するZeefa Zedはしぶとく走って2着。平地競争では51戦、障害では計9戦を消化しているベテランで、今年で10歳になる馬だが未だにこれだけレースに対する前向きさを残していることは驚くべきことである。平地では重賞競走への出走歴もあるEnchanted Elleは積極的に進めて3着に入った。Hurdleが初めての馬のレースとしては十分合格点で、勝ち上がりは速そうだ。

 

Peter Kelly - Bayleys Great Northern Hurdle (PJR) OPN HDL 4200m (Replay)

1. Lord Spencer (NZ) J: Lemmy Douglas T: J J Rayner

レースは例によってNedwinやTaika、Mr Fabulous、Tahuroa Heightが出てくる形となり、距離的なところもあってかペースは遅くなる。Berry The Cashは後ろから。そのままMr FabulousがTahuroa Heightを引き連れて引っ張る。スタンド前の障害でInvisible Spiritとこれに躓いたBerry The Cashが落馬。この辺りからTahuroa Heightが前に出て好位からSmug、Taikaなどが追走。さらにNedwin、Mont Ventouxが外から捲って馬群は密集、Tahuroa Heightは脱落。そのまま前に出てきたMont VentouxがTaikaなどを振り切って先頭で走るも、直線を向いて遥か後方からLord Spencerが猛追。Lord Spencerが最終障害を越えてMont Ventouxを捉えて勝利した。

Lord Spencerはこの路線ではお馴染みの馬だが、ここまでPrestige Jumpingクラスではさっぱりいいところがなく、とりあえず8月のAvon City Sydenham Hurdleでは2着に入っているのだが、前走の0-1 WIN Hurdleでもいいところがなく途中棄権に終わっていた。Grand National Hurdle (PJR)でも4着とどちらかというと頭打ち気味のような立ち位置であったのだが、今回は驚きの激走を見せた。レース内容としては圧倒的人気を背負ったBerry The Cashの落馬に加えて、Mont Ventouxがかなり強気に動いたことで前の組がかなり厳しくなったということはありそうで、そのような展開を後ろから進めたという利はあったかもしれない。いずれにせよ、このような極端なレース展開において浮上してくるタイプのステイヤーという可能性はありそうで、それであればかえってSteeplechaseでの可能性を考えてみたい一頭である。

Nom Du Jeuの産駒Mont Ventouxが2着。平地の実績馬だがMaiden勝ちにはやや苦労しており、Prestige Jumping Raceへの参戦はこれが初めてであった。どこでも崩れずに走っているという強みがある馬で、最後はLord Spencerの激走に屈したとはいえ、むしろ来年以降の安定感を期待するのであればこちらであろう。ここまでWellington HurdleやHawke's Bay Hurdleで好走していたTaikaが3着。Wellington Hurdleを勝ったNedwinはGrand National Hurdleでの途中棄権の影響がどうにも心配なところである。人気のBerry The Cashは早々に落馬に終わったが、これはどちらかというと単なる不幸なアクシデントといったところで、来年以降に期待したいところである。

 

〇 FCM Steeplechase 0-1 WIN STP 3900m (Replay)

1. Afterallthistime (AUS) J: Joshua Parker T: Kevin Myers

栗毛の馬体が目立つAl's Red Zedが前に出てくる展開で、好位からTorque Timeなどが追走し馬群はやや長くなる。2周目から馬群が密集し後続が殺到。ここから出てきたTorque TimeとJakama Krystalが逃げ込みを図るも、後ろから追い上げてきたAfterallthistimeがこれらを振り切って勝利した。

AfterallthistimeはSteeplechaseは2勝目とした。Wellington SteeplechaseでThe Cossackの3着に入るもGrand National Steeplechaseでは終盤で途中棄権に終わっており、今回は自身のクラスに戻っての勝利となる。前走の0-1 WIN Steeplechaseでは5着と敗れているが、Te RapaのようなしっかりとしたSteeplechaseをこなすことが出来る馬として考えておきたい。Joshua Parkerはイギリス出身の騎手だが、ゴール前で派手なガッツポーズをしており、なにかと騎手不足が言われるニュージーランドであるが、このように熱意を持ってチャレンジしている騎手がいることは特筆すべきことである。前々で運んだTorque Time、上がり馬の牝馬Jakama Krystalと続いた。

 

Ben & Ryan Foote Racing Great Northern Steeplechase (PJR) OPN STP 6500m (Replay)

1. West Coast (NZ) J: Shaun Fannin T: Mark Oulaghan

Te Rapaの6500メートルという競走はニュージーランドSteeplechaseでは圧倒的に長い距離を走るものであり、2位のRiccarton ParkのGrand National Steeplechaseの5600メートルを遥かに上回る。環太平洋地域(アメリ東海岸を除くアジア・オセアニア地域)においてこの6500メートルという距離は圧倒的なまでに長い距離設定であり、2位はRiccarton ParkのGrand National Steeplechaseの5600メートル、3位はWarrnamboolのGrand Annual Steeplechase及びWellington Steeplechaseの5500メートルである。これに続くのがニュージーランドSteeplechaseのPrestige Jumping Race(Pakuranga Hunt CupやHawke's Bay Steeplechaseの4800メートル)、VIC州のGrand Natational Steeplechaseの4500メートルである。いずれにせよニュージーランドのSteeplechaseの主要競走は環太平洋地域において圧倒的に長い距離が設定されており、その障害も歴史ある本格的で美しい生垣障害が設置されたものである。

レースは連覇を狙うWest Coastが例によって人気の中心となっていた。そのWest Coastが元気に出てくる展開も、芦毛のCharredやSuper Spiritがついて行く。Izymydaadは最後方から。1回目の向こう正面からToni MokiのRenegade Fighterが前に出てきて先頭に立ち、後方に遅れたCaptains Runを残して隊列は長くなる。2回目の向こう正面でやや制御に苦労していたIzymydaadが落馬。スタンド前で空馬が絡んできてややRenegade Fighterがその回避に苦労する。この辺りからIma Wonderが前に出てくるもその後の障害でミスをして後退、後方からCaptains Runなどが一気に接近。Renegade Fighterはそのまま元気に逃げるが、これにCaptains Runが接近し最終コーナーの入り口から前に出てくる勢いで前に来る。しかし最終コーナーで内から接近したWest Coastが最終障害で前に出ると、そのままCaptains Runを振り切って勝利した。Auld Jock、Renegade Fighterと続いた。

West Coastはこのレースは連覇とした。Grand National Steeplechaseは今年で3連覇としており、改めてニュージーランドSteeplechaseの頂点としての地位を不動のものとした。残念ながら昨年のこのレースのライバルThe Cossackが途中で引退となったというアクシデントはあったものの、73kgを背負ってのこの勝利は圧巻の一言である。同じく9歳のCaptains Runはこの馬のできることをやり切っての2着。前走のWoodvilleは明らかな叩き台といったところで度外視してよさそうだが、やはりタフな条件で力を発揮する馬であることは確かだろう。Grand National SteeplechaseではCaptains Runに先着したAuld Jockが3着で、この辺りはニュージーランドの超長距離戦にて強さを発揮する組と考えてよさそうだ。このようなタイプはどこかでいいことがあって欲しいのだが、とはいえこれらの馬が66kgであるのに対してWest Coastは73kgを背負っての勝利であるというのは改めて驚くべき強さである。

Toni MokiのRenegade Fighterは自身のやるべきことをやり切っての4着。Captains Runに延々と競られたという厳しい展開であったが、それでも大きく失速することなくAuld Jockに食い下がっているのは大したものである。Emily FarrのThe Anarchistが5着。Pakuranga Hunt Cupで3着にはいったCall Me Jackは後半で大きなミスがあり大敗。同レースを勝ったIma Wonderは血統的な背景からも注目されていたが、残念ながらtendon injuryがあったらしく途中棄権となった。Stewards Reportによればあまり大事のような書きぶりではないのだが、9歳牝馬という年齢的なところも考えると来年現役に戻って来るかは微妙なところかもしれない。Izymydaadは珍しく後ろから進めたが、この馬の気性を考えれば前々で運んだ方が良かったように思われる。