12/6(金)
Sandown (UK) Soft (Heavy in places)
〇 Winter Novices' Hurdle (G2) 2m3f173y (Replay)
1. Bill Joyce (IRE) J: Jonjo O'Neill Jr T: Jonjo O'Neill
唯一のフランス生産馬Quebecoisが前に行くも、途中から並んでいったBill JoyceがついてきたPony Sopranoを振り切ると、そのままQuebecoisを退けて勝利した。
Bill JoyceはClass3のNovice競争から連勝とした。CheltenhamのChampion Bumper (G1)では穴人気程度には評価されていたものの大敗しており、今シーズンからNovice Hurdleに参戦している。Mahlerの産駒らしい航行能力の高さを示しており飛越も現時点ではそれなりにしっかりとしたものがあったようだが、一方で重馬場のSandownで消耗戦になっていたところもあり、シンプルなスプリント勝負となるとどこまで対応できるかはもう少し慎重に見た方がいいかもしれない。No Risk At Allの産駒のQuebecoisが2着。この馬もChampion Bumper (G1)ではいいところがなかった馬で、5馬身という着差ほど力量差はなさそうな感がある。Nicky Henderson厩舎のKingston Hill産駒Kingston Prideが人気なっていたようだが、終盤脱落して途中棄権に終わった。
〇 Esher Novices' Chase (G2) 3m37y (Replay)
1. Handstands (IRE) J: Ben Jones T: Ben Pauling
スタートから出てきたCadellが第一障害で大きなミスがあり、代わってHandstandsが前に行く。そのままHandstandsとCadellが並走する形でレースは進むも、終盤になって抜け出したHandstandsが後続を振り切って勝利した。
この時期の24fのNovice Chaseということでかなり慎重なレースとなっている。HandstandsはChase自体は初勝利とした。今年の2月にJango Baieを下してNoviceのListed競争を制した実績はあるのだが、Cheltenham Festivalでは大敗に終わっていた。ひとまずここではついてきたSaint DavyやWelcom To Cartriesを振り切ってのし勝利ということでタフネスは示したところだが、一方で飛越面で後れを取っていたCadell以外はほぼ固まって入線しており、レースの質自体はやや気を付けたほうがよさそうだ。芦毛のResplendent Greyはややもたもたと走るところがあったが、最後追い込んで2着。Saint Davy、Welcom To Cartriesとあまり差のない入線となった。
12/7(土)
Sandown (UK) Heavy
〇 Henry VIII Novices' Chase (G1) 1m7f99y (Replay)
1. L'Eau Du Sud (FR) J: Harry Skelton T: Dan Skelton
Rubaudの取り消しで4頭立てとなった。Gordon Elliott陣営のTouch Me Notが前に行く展開で、これにSoul Iconが並んでいく。しかし好位から出てきたL'Eau Du SudがそのままTouch Me Notを振り切って勝利した。2着にはTouch Me Notが入った。
L'Eau Du SudはこれでChaseは3戦3勝、前走はCheltenhamのArkle Challenge Trophy Trial (G2)を快勝している。今回はいいものを持っていそうなアイルランド調教馬が相手であったがきっちりと結果を残した。飛越面ではどうしてもSandownのコースということで未熟な場面はあったが、現時点のNovice馬としてはいい完成度を持っていると思われる。PunchestownでCraddockstown Novice Chase (G2)を勝ったTouch Me Notが2着。途中で大きなミスがあったりと完成度の面ではL'Eau Du Sudに対して見劣るような印象があり、騎手ともこれが初コンビであったことを考えればこの2着は価値があるだろう。同じくGordon Elliott陣営のDown Memory Laneはどうにも飛越がもたもたする場面があっての3着。まだBeginners Chaseを勝ったばかりの馬で、こちらはこれからよくなりそうだ。昨年のこの時期からChaseの経験のあるSoul Iconは最後遅れて4着に終わった。
〇 Tingle Creek Chase (G1) 1m7f99y (Replay)
1. Jonbon (FR) J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson
連覇を狙うJonbonが人気になっていた。レースはアイルランドのQuilixiosが前に行く展開も馬群は固まって進行し、途中から好位にいたJonbonが前に出てくる。途中でMaster Chewy、Edwardstoneと落馬。JonbonはそのままQuilixiosを振り切ると、2着に8馬身差をつけて快勝した。
Jonbonはこのレースは連覇とした。Sandownのこのコースは得意としており、2022年のHenry VII Chase (G1)を皮切りに、ここまでSandownで行われる16f ChaseのG1を計5戦無敗という素晴らしい成績を収めている。今回も優れたスピード能力で押し切るという競馬で、今シーズンも引き続きこの路線におけるチャンピオンホースとしての競馬が期待される。Novice上がりのQuilixiosはだいぶ今年の秋からは飛越がよくなったようで、強敵相手に食い下がっての2着に入った。どうしてもトリッキーなSandownということでやや対応面でJonbonに後れを取る場面があったが、初コースでこれだけやれれば上場であろう。前走Haldon Gold Cup (G2)を勝って好調のJpr Oneが3着。2022年の勝ち馬Edwardstone、やはりNovice上がりのMaster Chewyは途中で落馬に終わった。
Navan (IRE) Soft
〇 Maiden Hurdle 2m (Replay)
1. Jasmin De Vaux (FR) (AQ) J: Paul Townend T: Willie Mullins
好位から進めたJasmin De VauxがThe Enabler以下を振り切って勝利した。Jasmin De Vauxは昨シーズンのChampion Bumper (G1)の勝ち馬で、これがHurdle初戦となる。フランスのAQPSであるがアイルランドのPtP出身の馬で、今回は前々で進めるも後続が途中で殺到してきたりとあまり楽なレースではなかったが、きっちりと結果を残した。ただし良馬場で軽やかなスピードを生かすタイプというよりはある程度馬場が渋ったほうが良さそうな印象もあり、過剰人気するようであればやや気を付けておきたい印象がある。前走はListed競争に出走するもいいところがなかったThe Enablerが2着。かなり大柄な馬体の持ち主でいいものを持っていそうな馬であるのだが、前走はいきなり24f戦とどうにもローテーション的には無理があったように考えられる。
〇 Navan Novice Hurdle (G2) 2m4f (Replay)
1. The Yellow Clay (IRE) J: Sam Ewing T: Gordon Elliott
淡々と前に行ったFleur In The Parkがそのまま後続を振り切って逃げこみを図るも、これに食らいついていったThe Yellow Clayがゴール前でこれを捉えて勝利した。
The Yellow ClayはこれでMonksfield Novice Hurdle (G3)から連勝とした。PunchestownのChampion INH Flat (G1)でも2着に入った馬だが、一方でレースぶりとしてはそのような華やかな印象のある馬というよりはしぶとく長い脚を使うステイヤーといった印象で、さらなる距離延長に対しても適性がありそうなところである。そのMonksfield Novice Hurdle (G3)では3着に敗れたFleur In The Parkが進境を示した2着。Arctic Cosmosの産駒で前走Maidenを勝ったばかりのMozzies Sisterは前から5馬身差の3着に敗れた。Willie Mullins陣営のMy Great Mateはどうにも直線に入って大外から最内まで切れ込んだりと難しいところがありそうで、3着から大きく離れた4着に終わった。
〇 Beginners Chase 2m4f150y (Replay)
1. Ile Atlantique (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins
前々で進んだIle AtlantiqueがそのままWaterford Whispers以下を突き放して勝利した。Ile Atlantiqueは昨シーズンのLawlor's of Naas Novice Hurdle (G1)の勝ち馬で、CheltenhamのGallgher Novices' Hurdle (G1)ではBallyburnの3着に入っている。Chaseは初参戦であったが安定した飛越で結果を残した。持っている素質を考えれば今シーズンのNovice Chase戦線の重賞競走で結果を残してくることが期待される馬で、今回のメンバー的にはそれなりにいいものがあっただけに次が楽しみとなるレースとなった。Cheltenham FestivalのMartin Pipe Handicap Hurdle (C2)で2着のあるWaterford Whispersが2着。2023年の2月のLeopardstownで名前の長いG1を勝ったGood Landはこれが約600日ぶりの実戦であったが、2着から差のない3着に入った。
12/8(日)
Huntingdon (UK) Soft
〇 Peterborough Chase (G2) 2m3f189y (Replay)
1. Djelo (FR) J: Charlie Deutsch T: Venetia Williams
Protektoratが後方に構える一方ですんなりとハナに行ったNickle Backがそのまま戦闘を走るも大逃げにはならず。好位から進めたDjeloが残り3障害あたりから前に出ると、そのまま後続を振り切って勝利した。
Djeloは昨シーズンにAscotのNoel Novices' Chase (G2)を勝った馬で、CheltenhamのTurners Novices' Chase (G1)では3着に好走している。前走はHaldon Gold Cup (G2)にて2着に敗れているが今回は結果を残した。ここまで16fと20fを使ってきた馬であるが、レース運びを見ているとおそらく20fのほうが良さそうな印象がある。9歳となったProtektoratは今シーズンはここまで20f戦を2戦しての2着。24fだとやや長いような印象があり、もしかするとこのまま20f戦をメインで進めるのかもしれない。Cheltenhamの20f戦のSpecialistであるGinny's Destinyが3着。昨シーズンScilly Isles Novices' Chase (G1)で穴をあけたNickle Backはどうにもいまいちな競馬で大敗に終わった。この馬に関してはあくまで展開待ちといったところだろう。
Cork (IRE) Soft (Yielding to Soft in places)
〇 Stayers Novice Hurdle (G3) 3m80y (Replay)
1. Pray Tell (IRE) J: John Shinnick T: Desmond Kenneally
Sam EwingのMinella Sixoが淡々と引っ張る展開も、後方から押し上げてきたPray TellがMinella Sixoを抑えて勝利した。
6頭立ての24fのNovice Hurdleであるがそれなりに淡々とレースを進めることができるステイヤー資質が問われるレースが展開されている。Pray TellはAskの産駒で8歳になる馬だが昨年になってようやくHurdleを使い始めた馬で、これで今シーズンはHurdleは3勝目とした。現時点でのステイヤーとしての完成度はNoviceクラスとしてはかなり高いものがありそうで、24fのNovice戦線であればこの完成度を武器に戦うことができそうだ。5歳馬のMinella Sixoが淡々と引っ張って2着。Willie Mullins陣営のJust For Loveが3着に入った。
〇 Hilly Way Chase (G2) 2m160y (Replay)
1. Energumene (FR) (AQ) J: Paul Townend T: Willie Mullins
出走馬8頭中6頭がWillie Mullins陣営の馬であった。レースはDinoblueが前をうかがうもこれを制してEnergumeneが先頭に。そのままリズムよく運んだEnergumeneがDinoblueに10馬身差をつけて快勝した。唯一ついてきたBanbridgeは最終障害で騎手が落馬して競争中止となった。
Energumeneはこれが593日ぶりの実戦であったが結果を残した。休養以前は16f Chase路線においてShishkinと覇を競ったチャンピオンホースであり、ここまで復帰が待望されていた馬である。すでに10歳とだいぶ年齢は重ねているが相変わらず馬はレースに対する気力を持っているようで、Energumeneの後に現れた強豪とのレースを楽しみにしたい。Banbridgeは今シーズンの復帰初戦はどうにもいまいちなレースに終わっていたが、今回はEnergumene相手に食らいついていくレースを見せた。牝馬Dinoblue、Appriciate Itはやや遅れての入線。Appriciate Itはここの所は20~24fでのレースが多く、今回は単なる叩き台かもしれない。1年ぶりの実戦となるBlue Lordはさらに遅れての入線。やはり復帰が待望された素質馬としてFerny Hollowも出走していたが、こちらは終盤脱落し、残り2障害で落馬に終わった。
Auteuil (FR) Tres Lourd (5.1)
〇 Prix Morgex (G3)
Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)
1. Kolokico (FR) (AQ) J: James Reveley T: Emmanuel Clayeux
前半からKolokicoが後続に大きなリードを取って逃げる展開で、2週目からじわじわとBon Garcon、Kentucky Woodなどが接近してくるもKolokicoの逃げ脚は衰えず、最後差を詰めてきたBon Garcon以下を振り切って勝利した。
Kolokicoは今年のPrix Ferdinand Dufaure (G1)の勝ち馬であるが、秋はどうにも慎重に進めようという意図があってか不完全燃焼なレースに終わっていた。今回はJames Reveley騎手に乗り替わり、同騎手らしい思い切った逃げの一手で結果を残した。この馬のできることを考えるとこのようなレース運びのほうが現状良さを出すことができそうだが、一方で距離的な不安はぬぐえない結果となったところが悩ましい点である。前走Listedを勝ってきた上がり馬Bon Garconが2着。今回はKolokicoの逃走劇にやられた感もあるが、今後のことを考えるとさらなる可能性を示す結果となった。11月のPrix Maurice Gillois (G1)で2着に入ったKentucky Woodが3着。Royal Saga、Kassel Allen、Kador De Cierguesと、全体的にこの日の重馬場への適正が強く結果に現れるレースとなった。Nom De D'Laの産駒として上がり馬Kirikou Des Mers、Salut Docの2頭が出走していたが、Salut Docは特に心配な競争中止となった。
〇 Prix Andre Michel (G3)
Haies Pour pouliches et juments de 4 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, en course à obstacles, gagné une course de Groupe I. 3600m (Replay)
1. Isis D'Inor (FR) J: Ludovic Philipperon T: Marcel Rolland
芦毛のJuste Raiseが出てくるもこれにAthena Du Luyなどがついていき馬群は固まって進行。スタンド前から前に出てきたAthena Du Luyがそのままややリードを開いて引っ張るも、馬群の中から進出したIsis D'InorがCalliandraとの叩き合いを制して勝利した。
Isis D'Inorは9月のListedから3連勝とした。ここまで重賞戦線を使ってきたわけではなく、どちらかというと上がり馬的な存在となる。The Grey Gatsbyの産駒であるがレースとしては後方から足を伸ばしてくるという渋みのあるものであった。前に行ったAthena Du Luyを見ながら進めたCalliandraが2着。Athena Du Luyは積極的に運ぶもやや前掛かりに過ぎた感のある敗戦。Grand Prix D'Automne (G1)で4着に入ったRoyale Milady Hasが4着に入った。同レースではあまり差のない4着とはいえ、基本的に後方から慎重に運んだという展開利を受けてのものであり、今回の敗戦を鑑みるとあまりここでも抜けた存在というわけではなさそうだ。
〇 Prix Leon Olry Roederer (G2)
Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4300m (Replay)
1. Hermes Baie (FR) (AQ) J: Bertrand Lestrade T: Francois Nicolle
レースはMamix's Passion、Fiston De Beconなどが前に行くも、Mimix's Passion及びAjasを残して馬群は外に行く。じわじわと位置を上げてきたAjasがそのまま抜け出して逃げ込みを図るも、これを持ったままで追いかけたHermes Baieが抜け出して快勝した。
Hermes Baieは今年の11月のCompiegneで1年半の休養から復帰した馬であるが、その後のGrand Prix D'Automne (G1)では見せ場十分の3着に入っていた。今回は極めて重い馬場という特殊な条件であったが、以前のチャンピオンホースとして改めて貫禄を示す勝利となった。まだ7歳と障害馬としてはそう年齢を重ねているわけではなく、同世代のThelemeとの対決をまた見ることを楽しみにしたいところである。スウェーデンのAjasは大健闘の2着。2021年ごろにDavid Cottin厩舎のSteeplechaseの重賞戦線で活躍した馬だが、その後故障で3年ほどの休養を経ており、今年の9月にノルウェーで復帰していた。現在はスウェーデン調教馬であるが、前走はフランスArgentanのClasse 4で勝利している。スウェーデンとフランスの競馬水準の差異やこの馬の経緯を考えればここに出てきたこと自体が奇跡のような存在で、Hermes Baieから4馬身半差の2着というのは歴史的な快挙といってもいいだろう。5歳馬Cuncerto、Mamix's Passion、Le Philosopheと続いた。
〇 Prix Georges Courtois (G2)
Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4400m (Replay)
1. Diamond Carl (FR) J: Bertrand Lestrade T: Francois Nicolle
4400メートルの距離であるが、世代限定戦と異なりこちらは向こう正面に存在するGros Open Ditchを1周目で、Rail Ditch and Fenceを2周目で使用する難易度の高いコースが設定されている。レースはAlcyone Rougeが前に行く展開も馬群は固まって進行する。途中から出てきたDiamond Boyがそのまま後続を引き離すと、最後ついてきたKashdamを抑えて勝利した。3着には一時は遅れていたAlcyone Rougeが上がった。
Diamond Boyは復帰後はClasse 3に続く2勝目とした。2022年ごろには同世代のSteeplechase路線で強い競馬を見せていた馬であるがその後故障により約2年ほどの休養があったようで、今年の9月に復帰していた。前走のPrix La Haye Jousselin (G1)では途中で落馬に終わっておりその動向が心配されたが、どうやら馬は元気であったようで、今回は改めてこの馬の強さを示す競馬であった。上がり馬のKashdamが2着。今年の秋からAuteuilの重賞戦線に参戦した馬であるが、まだ5歳と可能性がありそうな一頭である。牝馬Alcyone Rougeは直線に向いて強力な伸び脚を見せていたようで、絶望的な位置から追い上げてRosario Baronを交わして3着に上がったようだ。Rosario BaronはKashdamについていったが最後息切れして4着。さらに遅れてJazz Manouche、Figuero、Toscana Du Berlais、Okkidoと入線したようだ。