*Ascot Good to Soft
Christy 1965 Chase (G2) 2m5f8y
https://www.sportinglife.com/racing/results/2018-11-24/ascot/499487/christy-1965-chase-grade-2
Gold Presentがゆったりと逃げるも、これを好位から追いかけたPolitologueがCharbelの追い上げを凌いで勝利した。後続はやや遅れた。
Politologueは昨年のTingle Creek Chase (G1)の勝ち馬で、昨シーズンはそのまま16f路線を使うも、Altior相手にはやや後れを取るレースを続けていた。昨シーズンのラストは20fに距離を伸ばし、Melling Chase (G1)にて人気を背負っていたMinを下す勝利を挙げていた。やや緩い走法から伸びのあるスパートを繰り出す馬で、昨シーズンの後半は同様のタイプであるAltiorを避けてレース選択をしていたという背景もある。能力の高さから16fでもやれていたのだが、やはりタイプとしてはもう少し距離を伸ばした方がいいのだろう。今回はかなり慎重に乗ったことでCharbelには詰め寄られたのだが、内容的には完勝だろう。おそらく24fに距離を伸ばしても面白い馬。中心的な馬が流動的な20fであれば再度のG1制覇もあり得るだろう。CharbelもまたAltiorの壁に跳ね返されてきた馬で、今シーズンは20fに距離を伸ばしているようだ。前走のC2を快勝し、おそらく調子もよかったのだろう。
Coral Hurdle (G2) 2m3f58y
Rayvin Blackが後続をやや引き離して逃げる展開。そのまま残り2障害までは決定的なリードをつけるも、そこからOld Guard、If The Cap Fitsが接近。大外から伸びたIf The Cap Fitsが前の2頭を差し切り勝利した。Old Guardが2着。
If The Cap FitsはこれでHurdleは5戦4勝とした。ここまで下級条件のみ使ってきた馬だが、前走のElite Hurdle (G2)でいきなりVerdana Blueの2着に入る好走。距離を伸ばしたここでは格好をつけた。どうにも勝負所で鞍上が激しく手を動かす場面があり、もしかするとややズブいところがあるのかもしれない。今後距離を伸ばすのも一案だろう。National Spirit Hurdle (G2)勝ちのあるOld Guardはどうにも勝負弱いところが目立つ。Juvenile Hurdleかた使っている馬だけに、そろそろChase転向という話が出る可能性もあるのだが、7歳とやや年齢を重ねているところが懸念材料。人気薄のRoyal Vacationは自分のレースで見せ場を作った。残り2障害で減速をかけてしまったのが悔やまれる。We Have A Dreamは案外。前走に続いての凡走だけに、そろそろ昨シーズンのJuvenile Hurdle路線のレベルの見積もり自体を下げるべきなのかもしれない。
*Haydock Good (Good to Soft in places)
Edge Handicap Chase (C3) 3m4f97y
ハナに行ったRed Infantryがそのまま逃げ切り勝ち。Bishops Roadが2着に入った。Dawson City、Sam Red、Little Bruceの3頭が落馬。
Red InfantryはNovice上りの馬で、昨シーズンのNoviceではC4クラスの24f戦を勝利していた。経験のある高齢馬相手にスピードで押し切ったという内容だが、いまいち最終障害の手前でふらふらと走っていた点は気になるところ。Bishops Road、Alvaradoはいつも通り安定したしぶといレースを見せた。さすがに往年の力を期待するのは厳しそうだが、Veterans' Seriesであればまだ十分にやれるだろう。
Graduation Chase (C2) 2m5f127y
Activialが逃げるも、これにRiver Wyldeが接近。2頭のマッチレースかと思いきや、最終障害地点にてRiver Wyldeが落馬。そのままActivialが押し切った。
ActivialはさかのぼればAdonis Juvenile Hurdle (G2)勝ちのある馬だが、その後はさっぱりで、2015-16シーズンにChaseに転向するも、C4の下級条件勝ちのみに留まっていた。これが再度のChase転向となる。内容的にはこれくらいやれて当然だが、さすがにNoviceクラスを使えるわけでもなく、今後のレース選択が難しいところ。フランスからの移籍所詮のMagic Saintは最後やや遅れての2着。イギリスの飛越方法とフランスとではやや異なる能力が必要であり、イギリスの障害に慣れることが出来ればもう少しやれるだろう。River Wyldeは凡ミス。
Stayers' Handicap Hurdle (G3) 3m58y
Captain Cattistockが逃げるも最終障害で落馬。Shades of MidnightとFirst Assignmentのたたき合いかと思いきや、やや遅れて追い込んできたPaisley Parkがこれらを差し切り勝利した。
Paisley Parkは重賞初制覇。Albert Bartlett Novices' Hurdle (G1)では勝負にならなかったのだが、今シーズンは直線のHurdleが全てバイパスされたC2を勝って調子を上げてきたようだ。11st12lbを背負って飛んでくるパフォーマンスはやや驚きだが、やはり障害飛越の辺りからスパートをかけられるようになってほしいところ。Shades of Midnightは全く実績も人気もなかったが健闘した。CheltenhamのListedを勝って挑んできたFirst Assignmentは3着だが、メンバーレベルを考えるとさすがにここは勝ちたかった。
Betfair Chase (G1) 3m1f125y
Cheltenham Gold Cup (G1)にて延々とバトルを続けたNative RiverとMight Biteが人気の中心になっていた。
レースは例によってBristol De Maiが逃げる展開。これを内からNative Riverが追いかける。外からMight Bite。Clan Des Obeaux、Thistlecrackはその後ろから。Native Riverは何度かRichard Johnsonが手を動かして前に出ようとするも、Bristol De Maiが抵抗。残り4障害辺りからBristol De Maiが手ごたえよく加速すると、そのまま後続に4馬身差をつけて勝利した。Native River、Thistlecrackと続いた。Might Biteは離れた最下位に沈んだ。
Bristol De MaiはこれでHaydock競馬場は4戦4勝とした。昨年のBetfair Chase (G1)では不良馬場にて完全に脚が上がったCue Cardらに対して54馬身をつける圧勝を飾っており、このコースに対する強さに関しては特筆すべきものがある。その後のKing George VI Chase (G1)では凡走、Cotswold Chase (G2)、Bowl Chase (G1)とWind Surgeryを挟んだ影響もあったのか良いところがなかったのだが、例によってHaydockに戻って異様な強さを発揮した。やや緩くスピード感に乏しい走りは重馬場でこそ発揮されるものであり、良馬場は決して良い条件ではなかったのだが、それ以上にこの馬のHaydock競馬場に対する強さがあったということだろう。Haydock競馬場は無駄に横長で単純なコースであり、残り4障害くらいからフルでエンジンを吹かし、最終障害を越えてから苦しくなって諦める馬が続出するようなレースとなるのだが、そういうコースにおいてこの馬の緩く持続的な走りは合っているということか。おそらくChase3冠を目指してKing George VI Chase (G1)が次のレースとして想定されるが、さすがに賽は降り直しということで考えた方がいいかもしれない。
Native Riverはさすがに力は見せた。Bristol De Maiとは異なりパワフルで筋肉質な飛越を見せるタイプで、加速力と持久力を兼ね備えた一流のステイヤーである。もともとややズブいところがあるため、勝負所でやや手ごたえが悪くなるのは仕方がないだろう。勝ち馬とは単純なストライド能力の差であり、決して悲観するものではない。競馬場が変われば逆転が可能な着差である。Native Riverと同厩舎のThistlecrackは好走した。Tendon injuryを経験しており、もともとは馬体をダイナミックに動かす飛越が持ち味であった馬だけに、Tendon injuryにより本来の動きが出来ない状態が続いている。本来の能力をもってすればこの路線にて天下を取れるポテンシャルがあるだけに残念でならないのだが、それでもこの馬なりに全力は尽くしているということだろう。やや飛越には若さが残っており、なんとか現状の動きと飛越との折り合いをつけられれば、再度の勝利の可能性も残っている。Cland Des Obeauxはこの中では格下であったが見せ場十分の4着。Might Biteはあっさり沈んだが、最終障害の時点まで各馬の体力ゲージが残っているようなレースであり、平地のスプリント能力に乏しいこの馬には不向きの展開であった。また、同日のHaydockの障害は高く硬いことが問題となっており、この辺りの障害への対応の面でも後れを取ったことが考えられる。