にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

20/02/02 National Hunt Racing

*Leopardstown Yielding to Soft

Tattersalls Ireland Spring Juvenile Hurdle (G1) 2m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-02-02/leopardstown/560422/tattersalls-ireland-spring-juvenile-hurdle-grade-1

圧倒的人気を背負ったAspire Towerが逃げる展開。そのまま先頭で進めるも、最終障害でまさかの落馬。代わってCerberusが先頭に立つも、最後一気に追い上げてきたA Wave Of The Seaが差し切り勝利した。2着にはWolf Princeが上がった。

Aspire TowerはKnight Frank Juvenile Hurdle (G2)を含む2連勝で挑んできた馬なのだが、最終障害は前脚をぶつけた結果の凡ミスといったところで、前半にも若干の飛越動作のミスをしていたことを考えると、まだ飛越技術に怪しいところが残っているようだ。A Wave Of The SeaはHurdleは3勝目。前走のKnight Frank Juvenile Hurdle (G2)ではAspire Towerから35馬身遅れた3着であったことを考えると完全に棚から牡丹餅といった勝利で、さすがにここからどうこうということは難しそうな印象。Wolf PrinceもまたAspire Towerには完敗であった馬で、Aspire Towerの落馬がなければといったレースになってしまった。Cerberusは最終障害を飛越した直後に一頭になったことで、馬が気を抜いたような止まり方であった。

 

Chanelle Pharma Novice Hurdle (G1) 2m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-02-02/leopardstown/560423/chanelle-pharma-novice-hurdle-grade-1

Asterion Forlongeが逃げる展開も、これにEasyworkが絡んでいく。しかし残り2障害辺りからEasyworkを振り切ったAsterion Forlongeがそのまま9馬身差の圧勝。Easywork、Mt Leinsterと続いた。

Asterion ForlongeはこれでHurdleは2戦2勝とした。非常にパワフルな走りを見せる馬で、飛越技術自体は安定していたが、それ以上にDanny Mullins騎手が追えば追うほど加速を掛けることが出来るタフネスが印象的で、おそらく馬場は渋った方がよく、距離も16fから延長した方が良さが出るだろう。Easyworkは人気になっていたが、どうにも飛越がおぼつかず、最終障害でもミスを見せていた。Blue Sariはなにやらトラブルがあったようで途中棄権。昨年のChampion Bumper (G1)組は良く走るのだが、この馬はどうにも順調さを欠いている。

 

Flogas Novice Chase (G1) 2m5f

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-02-02/leopardstown/560424/flogas-novice-chase-grade-1


12歳馬Faugheenの参戦が話題になっていた。レースは人気のBattleoverdoyenとFaugheenが並んで逃げる展開も、最終コーナーを回って一気にEasy Game、Tornado Flyerなどが殺到。Battleoverdoyenは後退。そこから再度加速を掛けたFaugheenがEasy Gameを凌ぎ切って勝利した。3着にはTornado Flyer、4着にはCastlebawn Westが入り、Willie Mullins厩舎の馬が上位を独占する結果となった。

FaugheenはChase転向後は3戦3勝、G1は11勝目としたのだが、そのような単純な記録だけで片付けられる勝利ではないことは英愛障害競馬ファンには明らかなことである。"The Machine"との異名を取った2015年のChampion Hurdle (G1)をはじめとする全盛期と比べると、やはり度重なる故障や加齢による影響は否めず、昨シーズンまでの敗戦や落馬に見られるように、馬自身ももともと自身が行うことが出来ていた飛越のイメージと自身の身体能力が異なっていたようで、これがHurdleにおけるパフォーマンスの低下に繋がっていた可能性がある。そういう点でChase転向というのはこの馬にとっては良かったのかもしれないのだが、やはりどこかトラブルは抱えたまま走っているようで、今回も飛越において若干のミスが散見された。それでも元々の身体能力を生かした飛越の飛距離の高さは相変わらずであり、じわじわと加速を掛けて行ったときのスピードの持続力は一級品のものがある。Neville Hotels Novice Chase (G1)勝ちのあるBattleoverdoyenをゆるゆると追走しつつ、前走のBeginners ChaseでAllahoを下してきた同厩舎のEasy Gameを抑え込んだパフォーマンスはさすがの一言である。この年齢になるまでChase転向がなされなかったことが勿体なくなるくらいのレースであった。おそらくCheltenhamでは何らかのレースを目標とすると思われるが、16fのスピードに対応するというよりは20fか24f程度のスピードの持続力を生かした方がこの馬のレースはしやすいと思われる。もっとも個人的には、無理にレースに使うよりは、一日でも長くこの馬が現役で元気に走る姿を見ていたいという気持ちの方が強い。

Easy GameはBeginners Chaseを勝ったばかりであったが、もともとの能力の高さを生かしてFaugheenに迫った。Hurdleでも20fを使ってきた馬であり、このくらいの距離で高い機動力を生かすことがこの馬の武器なのだろう。人気のBattleoverdoyenは終始スムーズに進んでいたのだが、後続が殺到してきたところから抵抗できず後退。最後は落馬に終わった。どうにもこのような脆さを同居させたところがあり、道中の飛越自体は素晴らしかったのだが、今後も注意しておきたいところがある。

 

Irish Gold Cup (G1) 3m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2020-02-02/leopardstown/560425/paddy-power-irish-gold-cup-grade-1

レースはとりあえず牝馬La Bague Au Roiが出てくるも、ここからCadmiumがやや注文を付けて引っ張る展開となる。しかし残り4障害辺りからJettが先頭に代わり、Cadmiumは早々に後退。さらにKemboy、Presenting Percyが進出。しかし内からするすると出てきたDelta Workが抜け出してきたKemboyとのたたき合いを制して勝利した。Presenting Percyは3着。Jettは4着まで。

Delta WorkはSavills Chase (G1)から連勝とした。どちらかというとパワーとスピードの持続力を生かすタイプのようで、昨シーズンのRSA Chase (G1)ではCheltenhamの坂を最大限利用したTopofthegameの3着に終わっていたのだが、Punchestownではレースがしやすかったようで、Dooley Insurance Group Champion Novice Chase (G1)ではDiscoramaを12馬身突き放す快勝を見せていた。後方からロングスパートを掛けるやり方は前走のSavills Chase (G1)から同様の者なのだが、これがこの馬の良さを最大限発揮するやり方なのだろう。Jack Kennedy騎手渾身の騎乗であった。KemboyはSavills Chase (G1)からパフォーマンスを上げての2着。今シーズン初頭は馬主のごたごたで出走が危ぶまれていただけに、この馬が無事に出走できることは喜ばしいことなのだが、昨シーズンと比べるとどうにも勢いという面で見劣る部分は否めない。2018年のRSA Chase (G1)の勝ち馬Presenting Percyは、故障などのトラブルがありその後順調に使えていなかったのだが、ようやくここに来てこの馬らしいレースを見せた。おそらくCheltenhamの方が良いタイプのように思われるため、コース側替わりで期待したい。