にげうまメモ

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22/07/25 フランス障害競馬における非サラブレッド種牡馬 ⑤

*フランス障害競馬における非サラブレッド種牡馬

以下、1994年以降に産駒が障害競馬にて1勝以上を上げたその他のSelle Français(SF)及びAutre Que Pur-Sang(AQPS)種牡馬について簡単に記載する。

 

*Guillaume Tell (FR) (SF) 1972

産駒数:15 勝利数:17 獲得総賞金額:100,126€ (Pedigree)

Galopin (GB) 1872
 |Galliard (GB) 1880
 | |War Dance (FR) 1887
 | | |Perth (FR) 1896
 | | | |Alcantara (FR) 1908
 | | | | |Pinceau (FR) 1925
 | | | | | |Verso (FR) 1940
 | | | | | | |Le Tyrol (FR) 1948
 | | | | | | | |Guillaume Tell (FR) (SF) 1972
 | | | | | | | | |Sibeau Du Bourg (FR) (SF) 1984
 | | | | | | | | | |Damoifelle (FR) (SF) 1991

Guillaume Tellの父Le Tyrolは遡ればGalopin - Galliardに辿り着くサラブレッド系統で、例によってGuillaume Tellの母AgatheがSelle Françaisというパターンである。珍しくGuillaume Tellの母父MajestueuxもSelle Françaisなのだが、とはいえこのMajestueuxの父はサラブレッドであるUltimateである。一方でAgatheの牝系に入っていくと例によってSelle Françaisの牝系が続いているのだが、交配相手となっている種牡馬にはFrench Trotterも散見されたりと、20世紀半ばまではかなりサラブレッドとSelle FrançaisやFrench Trotterといった馬たちが近いところにいたような様子を伺うことが可能で、2022年現在とは隔世の感がある。Guillaume Tellの産駒のFrance Galopに登録されている頭数は少なく、一方でifceのデータベース上には493頭もの産駒が記載されていることを踏まえると、おそらくそのGuillaume Tellの産駒の殆どが平地/障害競馬用途以外のものだろう。障害競走における活躍馬としてはCross Countryを中心にフランス障害競走で6勝をあげたPyrame III(SF)や、同様にCross Countryで計4勝をあげたValmanetell(SF)がいるくらいなのだが、Sibeau Du Bourg(SF)というおそらく未出走と思われる馬が種牡馬入りしたようで、その産駒としてはFrance GalopによるとDamoifelleという牝馬がフランス障害競走で3戦したようだ(未勝利)。Sibeau Du Bourg(SF)の血統表はなかなかに味わい深く、母Girondine DeuxはAnglo-Norman、母父Ukase(SF)は遡るとサラブレッドとしてOrange Peelを経てSt Simonに連なるSelle Françaisの系統である。Sibeau Du Bourgの産駒は上記ifceによると計121頭もが存在するようだ。

 

*Ice Light (FR) (SF) 1974

産駒数:65 勝利数:67 獲得総賞金額:522,667€ (Pedigree)

Pharis (FR) 1936
 |Scratch (FR) 1947
 | |*ターキン Tarquin (FR) 1955
 | | |Laniste (FR) 1963
 | | | |Ice Light (FR) (SF) 1974

Ice Lightは前述のHaltea IIと同じくLanisteの産駒。牝系はSelle Françaisで、この牝系に対してサラブレッドの種牡馬が連続して交配されてきたというよくあるパターンのようだ。Ice Lightの産駒の中には長くCross Countryで活躍したNicecar(SF)やReine Du Guinet(SF)、現役生活を通じて平地・障害合わせて計12勝をあげたProsper(SF)などが含まれている。ifceのデータベースによると、Ice Lightはどうやら1988年までは種付けを行っていたようだ。

 

*If De Merze (FR) (SF) 1974

産駒数:14 勝利数:4 獲得総賞金額:64,550€ (Pedigree)

Teddy (FR) 1913
 |Aethelstan (FR) 1922
 | |Maurepas (FR) 1937
 | | |Verdi (FR) 1947
 | | | |If De Merze (FR) (SF) 1974
 | | | | |Fidelio Du Donjon (FR) (SF) 1993

If De Merzeは例によってSelle Françaisの牝系にサラブレッドが交配されたパターンで、父Verdiは遡ればTeddy - Aethelstanに連なる系統である。VerdiはどうやらGrande Course De Haies D'Auteuilの勝ち馬のようで、その産駒にはサラブレッドのみならずSelle Françaisが多く存在している。障害系統という意味では興味深い存在だったのだが、残念ながら産駒成績はいまいちで、Arthur Du Donjon(SF)がフランス障害競走で計3勝をあげたのが最高のようだ。ただし、どうやらFrance Galopに登録されていない産駒は多数存在するようで、おそらくその殆どが乗用馬かなにかの目的だろう。また、If De Merzeの産駒の中ではFidelio Du Donjonというおそらく未出走馬が種牡馬入りしたらしく、その中ではMister Thomery(SF)という馬がフランス障害競走を15戦したようだ(未勝利)。Fidelio Du Donjonは少なくとも2021年までは元気に種付けを行っていたようで、特に2001年には計89頭もの牝馬に種付けを行っている。

 

*Iveday (FR) (SF) 1974

産駒数:19 勝利数:30 獲得総賞金額:304,811€ (Pedigree)

Teddy (FR) 1913
 |Asterus (FR) 1923
 | |Jock (FR) 1936
 | | |Sunny Boy (FR) 1944
 | | | |Soleil Levant (FR) 1951
 | | | | |Night And Day (FR) 1957
 | | | | | |Iveday (FR) (SF) 1974

前述のIf De Merzeと同じく遡るとTeddyに行きつくのだが、こちらはAethelstanではなくAsterusの分枝である。Ivedayの父Night And Dayは障害種牡馬としても頑張ったようで、Grand Steeplechase Cross Country De Vittelの勝ち馬Palisandre(AC)などを送り出した。Ivedayの代表産駒としては、Grand Steeplechase Cross Country D'AutomneやGrand Steeplechase Cross Country De Pauを勝利し、Cross Country Specialistとして活躍したPad(SF)だろう。おそらく現存しないと思われるGrand Steeplechase Cross Country D'Automneという競走は1988年当時、Pauで12月に5000メートルの距離で行われていたようだ。

 

*Kedellic (FR) (SF) 1976

産駒数:51 勝利数:23 獲得総賞金額:249,339 (Pedigree)

Man O'War (USA) 1917
 |War Relic (USA) 1938
 | |Relic (USA) 1945
 | | |Edellic (FR) 1955
 | | | |Kedellic (FR) (SF) 1976

Kedellic自身は例によってサラブレッドの父系にSelle Françaisの牝系というパターンだが、Selle Françaisの牝系にもサラブレッドが代々交配されてきたようで、結果的にKedellicのの血統表の殆どをサラブレッドが占めている。Kedellicの代表的な産駒はフランス障害競馬で計6勝をあげ、2003年頃までCross Country Specialistとして活躍したFlipper Du Moulin II(SF)やGrand Steeplechase De Clunyを勝利したEole Du Paradis(SF)だろう。ただ、産駒数の割に勝利数としてはいまいちで、少なくとも競走目的としての種牡馬は残っていないものと思われる。