にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

23/07/30 Weekly National Hunt / Jump Racing

7/27(木)

Bad Harzburg (GER) gut

Preis der Regionsbeweger - 3. Lauf der RaceBets Hindernis-Trophy

Hürdenrennen Listenrennen Für 4-jährige und ältere Pferde. 11.111 € 3400m (Replay)

1. Cabot Cliffs J: Hakim Tabet T: Christian Freiherr von der Recke

今年のドイツ障害競争としては唯一のListed競走となる。チェコからIvoとNordstrandの2頭を迎えて行われた。レースはチェコのNordstrandが前に行く構えを見せるも、これを制してIvoが先頭に。しかし2周目からCabot Cliffsが前に出てくると、そのままIvoを振り切り、終わってみれば2着のNordstrandに大差をつけて勝利した。

Cabot Cliffsは言うまでもなくドイツHurdleの最強馬で、今年はSvesnkt Champion Hurdleを制している。前評判通りここでも強い競馬を見せた。どうにも全体的に飛越が雑だったり、行きたがって走ったりと難しいところはあるようだが、持っている能力としてはここでは明らかに格上で、ドイツ障害競馬の活性化につながるようなドイツ国外を含めた活躍を期待したいところである。2021年のドイツダービーで6着のあるNordstrandはその後はチェコやイタリア、フランスでHurdleを走っているようだが、未だにTrevisoの1勝に留まっている。前走のZlatý pohár města Pardubicでもあまりいいところはなく、今回もかなり前掛かりに走ったIvoが苦しくなったところを交わしたのみに終わった。MeranoではListed勝ちもあるIvoはかなり積極的に運んだが、最後は苦しくなっての3着。アイルランドからの移籍初戦であったDotie Boyはさっぱりついていけず大敗。アイルランドでも未勝利の馬で、技術以前に能力的にどうかというところがありそうな感がある。昨年のQuakenbrückで色々あったSeejagdrennenでわりと棚ぼた的に勝ったZeven Fallsもいたのだが、やはりついていけず大敗に終わった。

 

〇 Preis der Harzer Volksbank eG - 4. Lauf der RaceBets Hindernis-Trophy 

Hürdenrennen Für 4-jährige und ältere Pferde. 7.777 € 3400m (Replay)

1. La Salinero J: Jan Kratochvil T: Josef Vana

チェコからLa SalineroとEisenherzの2頭を迎えて行われた。レースはそのLa Salineroが前に行く展開で、Eisenherz、Elegant Fighterと続く。そのままリードを開いたLa Salineroが付いてきたMaster Debonairを振り切って勝利した。

La SalineroはMeranoのHurdle競走から連勝とした。現時点で4歳、Hurdleは5戦目と比較的経験の少ない馬ではあるが、とはいえ障害馬としての完成度はこの中では比較的上だったようで、名門Josef Vana厩舎ということで引き続き期待したい。イギリスからの移籍後2戦目となったMaster Debonairは見せ場を作っての2着。前走のSeejagdrennenではやや不幸な競争中止に終わっているが、Christian Williams厩舎所属時代のようにさっぱり走らないということはなさそうでである。Colin Tizzard厩舎に所属していた頃はSupreme Trial Novices' Hurdle (G2)を勝った実績もある能力馬で、さすがに既に9歳とそれなりに年齢を重ねており、勝った馬の66kgに対して69kgとやや斤量的な不利があったことを考えれば、今回はそんなに悲観する内容でもないだろう。元々ドイツの平地を走っていたEisenherzはg偏在はチェコのHurdle競走を走っており、4月に下級条件戦を1勝している。内容的には前2頭からはだいぶ離された結果で、これはシンプルに能力的なものだろう。イギリスからの移籍馬で、これがドイツ2戦目となるVintage Valleyもじわじわと遅れ4着。これが障害2戦目となるElegant Fighterは途中で大きなミスがあり、そこからは飛越のリズムを崩していたようだ。まだ若い馬だけに仕方がないところで、生え抜きのドイツ障害馬としての成長を期待したいところである。

 

7/29(土)

Taumarunui TC @ Te Rapa (NZ) Heavy8

〇 Stewart Browne Memorial Hurdle OPN HDL 3200m (Replay)

1. Taika J: Jack Power T: Paul Nelson & Corrina McDougal

Kylan WilesのTahuroa Heightがややリードを取って逃げるも、2周目から後続が接近。最終障害を越えてこれに並んできたTaikaがTahuroa Heightとの叩き合いを制して勝利した。

Jack Powerはこの日はMaiden Hurdleから2連勝とした。アイルランドではあまりチャンスがなかった人のようだが、ニュージーランドでは騎乗機会に恵まれているようで楽しみな騎手となっている。Taika自身もHurdleはMaidenから連勝とした。全体的にやや飛越が粗削りな場面はありそうだが、Jack Power騎手とのコンビで連勝ということで、上がり馬として頭角を現してきたといったところだろう。Tahuroa HeightはこれでHurdleは17戦目という経験豊富な馬で、ここでも安定したレースで見せ場を作った。ただ前走の0-1 WIN Hurdleでようやく初勝利を挙げてきたといった実績面を考えると、ややレースの水準としてどうかというところは残りそうだ。今年Waikato Hurdle (PJR)で2着に入ったOdysseusが3着。水準的にはPJRではやや足りないクラスといったところだろうか。昨年のGreat Northern Hurdle (PJR)で3着に入ったBanks Roadもいたのだが、今年初戦は案外だったようで、ここでも離れた5着に終わった。

 

〇 Woods Contracting Steeplechase RST OPN STP SWP 3900m (Replay)

1. Raucous J: Jack Power T: Paul Nelson & Corrina McDougal

やや頭を下げて走る走法が特徴的なBak Da Masterが前に行くも馬群は密集して進行。途中から先頭に立ったPasswordがBak Da Masterを振り切って逃げ込みを図るも、後ろから迫ったRaucousがゴール前でこれを捉えて勝利した。

RaucousはこれでSteeplechaseは前走の0-1 WIN STPから連勝とした。69kgを背負っての勝利ということは歓迎材料だが、ただし、前走の2着馬もBak Da Masterで、昨年のWaikato Hurdleでは5着といいところなく敗れていた馬であることを考えると、PJRクラスでどこまでというのは引き続き注意してみた方がいいかもしれない。Maiden Steeplechaseを勝ったばかりのPasswordが2着。当時の鞍上がJack Powerであったが、今回はHamish McNeillに乗り替わっていた。前に行ったBak Da Masterが3着に入り、比較的フレッシュな馬が上位に来た。

 

Niigata / 新潟 (JPN) Good to Firm

The Niigata Jump Stakes / 新潟ジャンプステークス (G3) 3250m (Replay)

1. サクセッション J: 蓑島靖典 T: 国枝栄

暑熱対策でこの日は第4レースの発走となっていた。当然のように寝過ごした中の人はクソ雑魚ナメクジなのでどうでもいいとしても、極端な猛暑の中の開催は慎重に考えた方がいいかもしれない。その代わり春~秋は少なくとも半分は障害競馬でいい。レースはホッコーメヴィウスが前に行く構えを見せるも、これに人気のフォッサマグナが執拗に絡んでいく。一時はこの2頭で後続をかなり引き離すも、結局ホッコーメヴィウスが先頭の形で落ち着く。2周目から後続が殺到し、小野寺騎手のニューツーリズムが前に出てくる。小野寺騎手は3コーナーからスパートをかけて逃げ込みを図るも、その後ろから凄い勢いで上がってきたサクセッションがニューツーリズムとの叩き合いを制して勝利した。

サクセッションは遡れば平地ではListed勝ちのある実績馬で、2020年のNHKマイルカップにも出走している。父キングカメハメハ、母Addicted (GER)はドイツで平地G3勝ちのある良血馬だが、3歳戦以降は平地で頭打ちになっていたようで、これが障害5戦目であった。ここまで新潟及び福島での出走経験しかないようで、全体的に飛越自体はかなり低く抑えられたものを見せていた。キングカメハメハらしいパワーのありそうな印象だが、一方で距離及び障害対応で融通が利くかというとやや微妙かもしれない。昨年のこのレースで4着に入ったニューツーリズムは積極的な競馬で見せ場を作った。障害経験自体は長い馬だが、途中で大きなミスがあったりとどうにも信用しにくいところもある。対抗角と思われていたホッコーメヴィウスは完全にオーバーペースで失速。平地の良血馬フォッサマグナは障害戦3連勝ということで人気になっていたようだが、飛越もいまいちな上に引っかかって早々に失速。どうやら熱中症とのことだが、そもそも障害馬としての完成度に疑問が残る一戦となった。

 

7/30(日)

Bad Harzburg (GER) gut, stellenweise weich

Preis der Nordharzer Wirtschaft - Christian Möhlmann-Gedächtnisrennen 

Seejagdrennen Für 4-jährige und ältere Pferde. 8.888 € 3550m (Replay)

1. Evander J: Hakim Tabet T: Christian Freiherr von der Recke

Bad Harzburg開催2レース目のSeejagdrennen。例によってベテランWutzelmannが前に行く展開も、池を渡る辺りでかなり慎重に池に進入したこともあって一時的に最後方まで位置を下げる。その後Wutzelmannは再度前に出て後続を振り切って逃げ込みを図るが、唯一ついてきたEvanderがWutzelmannとの叩き合いを制して勝利した。

Evanderはイギリスからの移籍馬で、これでドイツ障害戦は初勝利とした。先週のBad Harzburgではやや不幸な競争中止に終わっていたが、今回は恰好を付けた。元々はClass3辺りで結果を残していた馬だが、イギリス移籍前となるJosh Guerriero厩舎ではさっぱりいいところがなかったようで、移籍後は復調気配を見せているのは喜ばしいことである。6月のStrömsholmのFamiljen Perssons MinneslöpningでもDon Diablo以下を破って勝利しており、ここでも飛越自体は悪いものではなかったことを踏まえると、引き続きドイツの主役候補の一頭として期待したいところである。今年13歳となるWutzelmannは惜しい2着で、勝ち馬とは約2.5kg差があったことを考えれば勝ちに等しい内容だろう。レース運びの安定性はここでは抜けていた。ドイツ生え抜きのRoxalaguが3着。フランスではやや苦しい戦いを強いられていたようだが、引き続き経験を積んでほしいところである。Guiri、Dotie Boyの2頭はじわじわ遅れたが、さほど飛越がまずかったという印象もなく、しっかり完走を果たしたようだ。