にげうまメモ

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23/08/20 Weekly National Hunt / Jump Racing

8/15(火)

Granville (FR) Bon (3.0)

Grand Cross De Granville - #11 TNC Haras Du Lion

Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5800m (Replay)

1. Bolero De Kerser J: Antoine Moriceau T: Patrice Quinton

コースにはかなり狭い間隔でDrop、Passage de Route、Bankといった障害が連続して設置され、フランスのCross Country Courseの中でもトップレベルにテクニカルなコースが設定されているGranvilleのGrand Cross。途中には大型の水壕障害も存在し、かなり見ごたえのあるレースとなっている。レースはPoonam、Bolero De Kerserが前に行く展開で、途中からBolero De Kerserがスパートをかけて後続を引き離す。終盤の障害でBolero De Kerserは大きなミスをするも、Extragador、Falcon De Kerserの追い上げをしのいで勝利した。Bolero De KerserはこのGranvilleではもはやお馴染みになった馬で、Cross Countryは2015年から参戦している偉大なベテランである。このレースは2021年に勝利しており、これが2勝目となった。2021年にはこのレースを勝利したのち、MeranoのPremio Delle Nazioniに参戦しているが、昨年はその後はSegreやLe Touquetを転戦しており、その動向には注意したい。CorlayのGrand Crossで2着に入ったExtragadorが2着だが、レース運びのスムーズさという点では勝ち馬とはだいぶ差があったような感がある。昨年のこのレースでは落馬に終わったFalcon De Kerserが3着に入った。

 

Pompadour (FR) Souple (3.6)

Grand Cross De Pompadour - #12 TNC Haras Du Lion

Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5000m (Replay)

1. Born To Be A Queen J: Kilian Dubourg T: Lageneste & Macaire

Granvilleとは異なり、大型の生垣障害を中心としたCross Country Courseが設定されているPompadourのGrand Cross。途中にはBanquetteも存在するのだが、そのコースの性質はGranvilleとは大きく違っており、そのコースの多様性と質の高さには驚かされる。一方で競馬場の石垣に腰かけてレースを観戦する競馬ファンもいるようで、なかなか良い雰囲気の競馬開催が行われているようだ。レースは例によって前に行ったBorn To Be A Queenが追いかけてきたFestin Collongesを振り切って勝利した。Born To Be A Queenはこれで2022年7月の復帰以降8連勝とした。その中にはLyon ParillyやVichyのGrand Crossも含まれており、現状TNCにおいては最も勢いのある馬となっている。今回も牝馬ながら70kgの実質的なトップハンデを背負っての快勝と、内容的には素晴らしいものであった。前走このコースで勝ってきたFestin Collongesが2着で、この馬自身もPompadourのCross Country Specialistであることを踏まえると、このBorn To Be A Queenの快勝は価値のあるものである。Pompadourのアングロアラブを対象としたCross Countryで上位争いを繰り広げてきたDiabloが差のない3着。Ragtime Pontadour (AA)の産駒ということで頑張って欲しいところである。

 

Merano (ITA) Tempo Bello Terreno Buono

〇 Ristorante Roessl Rabla'

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi - Condizionata - Fantini) Euro 16,000 TRIO 3000m (Replay)

1. Skins Rock J: Jan Faltejsek T: Zdenek Semenka

地元のBlack Watchがやや後続にリードを取って引っ張ろうとするも、早々に捕まって後退。代わって引っ張ったHerve Du Seuilについて行ったSkins RockがHerve Du Seuilとの叩き合いを制して勝利した。

Skins Rockは遡れば昨年のGran Corsa Siepi D'Italia (G1)の勝ち鞍がある馬だが、それ以降はやや失速気味で、今年の同レースでも3着に終わっていた。前走のMeranoのDiscendenteでもAltusの3着に終わっており、とりあえず今回は恰好を付けたのだが、とはいえまたG1路線で好勝負できるかどうかはもう少し様子を見たいところである。フランスからの移籍馬で、AuteuilではHandicap競走を勝っているHerve Du Seuilが2着。1.5kgの斤量差を考えればよくやった方で、むしろ移籍初戦ということを考えると上がり目があるのはこちらだろう。Maidenを連勝で挑んできたDomani Risplendiは途中で落馬に終わったが、これは飛越時に狭いところに突っ込んで行った影響だろう。今回のメンバーを考えればそこまでついて行ったのは大したもので、引き続き期待したい一頭である。

 

Creme Anglaise - Trofeo Sandalmazi -

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeplechase - Listed Race - Fantini) Euro 25,000 TRIO 3800m (Replay)

1. First of All J: Jan Faltejsek T: Pavel Tuma

もともとL'Estran、Gangster De Coddesも出走を予定していたようだが、直前になって出走を取り消して3頭立てとなってしまった。レースはゆったりと前を走ったFirst of Allがそのまま軽く後続を突き放して勝利した。First of AllはGrande Steeplechase D'Europa (G1)にてNotti Magicheの偉業を阻んだ上がり馬で、今年はこれで3連勝とした。もともと高い能力を示していた馬であるが、ようやくここにきてこの馬の能力が本格化した兆しがあり、Gran Premio meranoでL'Estranの前に立ちはだかるとしたらこの馬になりそうだ。フランスからの移籍馬Ballinscoはスローペースを利してついて行ったが、最後は突き放されての2着。移籍初戦ということであまり無理をする必要もないのだが、とはいえフランスでも大した実績のある馬ではなく、MeranoのSteeplechaseに対応したのはいいことではあるのだが、とはいえここイタリアの上位クラスでどこまでというのは疑問が残る。

 

〇 Luigi Mensi

per cavalli di 3 anni (Siepi - Condionata - Fantini) Euro 17,600 TRIO 3300m (Replay)

1. Nabil J: Jan Faltejsek T: Pawel Palczynski

チェコのMakassirが後続に大きくリードを取って逃げるも、途中で集中力を欠いたのかふらふらと走っているうちに後続が殺到。後ろから来たNabilがMakassirとの叩き合いを制して勝利した。Nabil自身はポーランド調教馬だが、今年はMeranoのSiepiに参戦しており、これで3戦2勝とした。とはいえ今回はMakassirがふらふらと走っていた影響もあり、この馬自身も飛越が怪しいところがあったりと、手放しで喜べる内容ではないだろう。MakassirはフランスのClaimingを勝ってきた移籍馬で、かなり難しいところは見せていたのだが、とはいえ能力的にはこちらが上と思われる。Last Standは前走Listedを勝った馬だが、全体的に飛越がいまいちで、やや遅れての入線となった。

 

8/16(水)

Bro Park (SWE) Steeplechase god, Häckbana god,

GYLLENE HÄSTEN  

Steeplechase 75.000 kr För 4-åriga och äldre hästar. 4200m (Replay)

1. Liars Corner J: Kevin Parkin T: Henrik Engblom

Last ReferenceとLiars Cornerが後続を大きく引き離して逃げる展開で、最終コーナーからようやく後続が追い付いてくる。しかしここから前2頭が抵抗し、そのまま前を走っていたLiars Cornerがしのいで勝利した。

Liars Cornerは今年はBro ParkのSteeplechaseは2勝目とした。前走のBo ParkのGrey Baron SteeplechaseではBeatthebulletの2着に終わっていたのだが、今回はかなり積極的な競馬で結果を残した。2021年の段階ではBro Parkを含めスウェーデンHurdle路線で結果を残していた馬で、その後2年近い休養があったのだが、引き続きSteeplechaseで期待できそうだ。ただしレースとしてはかなり特殊な内容という感もあり、おそらく4200メートルという距離を警戒して全体がゆっくりと進めたことによる利もありそうだ。同様に展開利を受けたのがLast Referenceだが、Steeplechaseは初めてであったが恰好を付けたことを喜ぶべきだろう。Sea Moonster、Three Is Company、Mutadaffeqの3頭は後方からじわじわと進出するも、どうにも前には追い付かずに終わった。

 

CALVADOS MEMORIAL 

Häck 60.000 kr För 4-åriga och äldre hästar. 3450m (Replay)

1. Monsieur Vic J: Kevin Parkin T: Sigyn Dysell

Impact of BloomとSuspicious Boyが並んで逃げる展開も、これにじわじわとMonsieur Vicが接近。抜け出しを図ったSuspicious BoyをMonsieur Vicがきっちり捉えて勝利した。

Monsieur Vicは今シーズンはSwartlings Memorialに続き、Bro ParkのHurdleは2勝目とした。残念ながら連覇を目指したSvenskt Champion Hurdleは直前で取り消しとなっているのだが、引き続きスウェーデンHurdle路線のチャンピオンとしての競馬を期待したい。デンマーク生産馬Suspicious BoyはHurdle2戦目ながら見ごたえのあるレースを見せた。勝ち馬と比較するとかなり斤量の恩恵を受けていたことは否めないのだが、とはいえ2戦目の馬のレースとしては上出来だろう。Impact of Bloomも差のない3着。ここまでHurdleは2戦2勝で挑んできたGinmannは途中から遅れ4着に終わった。

 

8/19(土)

Pardubice (CZE) stav dráhy: 3.3 (dobrá / Good)

〇 Letní cena města Pardubic

Proutky II.kat. - 3200 m, cena, 4letí a starší 120.000 Kč (Replay)

1. Pomella J: ž. Jakub Kocman T: Franko Jozef

この日のPardubiceのHurdle2競走に加え平地競争のみで構成される開催であったが、そのメインレースとなる。レースはHo My Godが前に行く展開も、途中から前に出たPomellaがそのまま後続を引き離し、2着のEisenherzに大差をつけて勝利した。

早々に鞍が外れたらしいEaglewingsが内側を走っているが、おそらくレースの大勢には影響しなかったものと思われる。Eaglewingsに騎乗していた騎手は経験豊富な騎手であるが、不幸なアクシデントというのは起こり得るものである。PomellaはHurdleはこれで2勝目とした。昨年の10月にはKřišťálový pohár města Pardubicにて人気薄ながらもTcheque King以下を下してきた馬で、ひとまず当時のレースがフロックではないことを示した。2着には前走Bad Harzburgに遠征したEisenherzが入った。

 

8/20(日)

Senica (SVK) 2.4 (pevná / Firm)

〇 Cena Alchem spol. s r.o. Senica

Steeplechase - - 3700 m, cena, 4letí a starší 2.400 EUR (Replay)

1. Ferino J: ž. Jan Odložil T: Vymazal Josef

Senicaの開催は年に1度、8月中旬に行われる。コースは小型で素朴ながらもなかなかよく手入れされている様子が見て取れる。レースはトップハンデのFerinoが前に行く展開だが、途中からShawnee's Triumphが先頭に。しかし再度Ferinoがリードを奪うと、ついてきたShawnee's Triumphをしのいで勝利した。

Ferinoは前走のBrnoのLetní brněnská steeplechaseから連勝、このレースは昨年に続き連覇とした。チェコ調教馬ではあるのだが比較的このSenicaのSteeplechaseでは常連のようで、2021年にも2着に入っている。PardubiceのCross Countryではさっぱりだったようで、基本的にはこのような小型の競馬場で器用さを生かして前に出てくるタイプの馬といったところだろう。スロバキアのShawnee's Triumphは初のSteeplechaseであったが見せ場を作った。2019年のスロバキアダービーでは5着に入った馬で、障害経験2戦目ということを考えれば上出来だろう。Timberの前でやや飛越に躊躇する場面もあったようで、障害飛越に慣れればもう少しやれそうな感がある。Mobilization、Kifaayaと比較的経験のある馬が3、4着に入った。ハンガリーでHurdle勝ちのあるハンガリー調教馬Wallstreet Journeyも出走していたが、いまいちいいところなく5着に敗れた。ハンガリーのZaláné Nyulasi Fruzsina厩舎の馬は2頭が参戦していたが、いずれも勝負に加われずに終わった。