にげうまメモ

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21/09/05 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2021/08/30-2021/09/05

8/31(火)

Waregem (BEL) (Result)

ING Grote Steeplechase Van Vlaanderen Handicap 4600m (Replay)

1. Gino Des Dunes J: Felix de Giles T: Patrice Quinton

昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となったWaregem Koerse。今年は例年行われるHurdle競走が中止となり、レース数を3に減らすも、ひとまず開催される運びとなった。レースは前半からGino Des Dunesが引っ張る展開。これにResplendor、Caroubierなどがついて行く。2週目からCalisco De Kerser、さらに後方に居たArc Du Chateletが押し上げてくるも、Gino Des Dunesがこれらを振り切って勝利した。

Gino Des DunesはこれがWaregemのSteeplechaseは初参戦となる。今年で5歳となる若馬で、ここまでSteeplechaseはPauやSaumur、Le Touquetなどで勝利をあげているようだ。あまりフランス国内で顕著な実績を上げた馬とは言い難いのだが、Felix de Giles騎手がとにかくリズムよく運び、Waregemの難易度の高い生垣障害でも特段のミスもなくこなすことが出来たことは、この馬の今後を占う上で非常に楽しみな材料だろう。スタンド前の飛び乗り台でもミスはなく、Cross Country競走への参戦も面白いかもしれない。11歳のArc Du Chateletも見せ場を作った。2019年では2着に終わった馬で、今回も惜しい2着であった。Waregemのコース経験自体は豊富で、すでにだいぶ年齢は重ねているものの、来年こその雪辱を期待したい。2019年の勝ち馬で黒鹿毛の馬体が目立つCalisco De Kerserは好位から進めるも、前には肉薄できずに3着に終わった。2020年のこの開催が中止になったことが悔やまれるレース内容であった。AuteuilのSteeplechaseのG1競走にも参戦した経歴のあるResplendorも出走していたのだが、こちらはあまりいいところなく4着。古豪Vol Noir De Kerseはどうにも勝負所で無理やり苦しいところに突っ込んでいくシーンがあり、そのまま離れた5着に終わった。2019年では謎の失速さえなければ勝利まであるという程のいいレースを見せていたのだが、今回は上述の不利があったとはいえ、さすがに年齢的なものもあるのだろうか。昨年の5月に約3年半ぶりに復帰した実績馬Dos Santosはさらにこれが1年ぶりの復帰戦であったのだが、残念ながら途中でなにかトラブルがあったのか途中棄権に終わった。

 

9/1(水)

Topolčianky (SLO) 4.0 (dobrá / Good)

100. výročia založenia Národného žrebčína Topoľčianky - Veľká topoľčianska steeplechase

Steeplechase - - 4100 m, cena, 5letí a starší 4.000 EUR (Replay)

1. Kerabush J: Adam Čmiel T: Škrášková Alena

Kerabushがするすると逃げるも、途中からVinn、さらにFort Ryanがこれに絡んでいく。しかし再度先頭を奪い返したKerabushがFort Ryanを退けて勝利した。Kerabush自身はSteeplechaseはこれが初勝利となる。全体的に飛越自体は怪しい部分があったのだが、とりあえず今回は先頭でしぶとい競馬を見せたということで、メンバー的にあくまでスロバキア国内でといった印象はあるのだが、もう少し飛越が上達すればこの路線の新たな代表格として楽しみな存在になりそうだ。スイスで実績のあるFort Ryanが2着で、勝ち馬とはあくまで2kgの斤量差の分だろう。前走のPardubiceでは残念な結果に終わったが、まともに走ればこのくらいは走ってもおかしくはない。再度のPardubice参戦を期待したい。8月に約3年ぶりの復帰戦を走ったBuck's D'Annoが3着。実績馬Meny Bayもいたのだが、どうにも道中リズムが悪く、前とはやや離れた4着に終わった。

 

9/4(土)

Pardubice (CZE) 3.7 (dobrá / Good)

〇 Cena Arnošta z Pardubic - podporovaná Dopravním podnikem města Pardubic, a.s.

Steeplechase crosscountry II.kat. - 3300 m, cena, 5letí a starší 120.000 Kč (Replay)

1. No Time To Lose J: ž. Ondřej Velek T: Váňa st. Josef

前半から人気を背負ったChrystal Crossが前に行くも、例によってMedicがロングスパートを掛けて逃げ込みを図る。しかし後方に居たNo Time To Loseがじわじわと押し上げてくると、最終障害を越えたあたりからMedicを突き放して勝利した。

No Time To Loseは2017年のVelka Pardubickaの勝ち馬で、その後も精力的にVelka Pardubickaへの参戦を続けている。2018年は5着、2019年は残念ながら故障で参戦は叶わなかったのだが、2020年も参戦し、途中で落馬に終わっていた。12歳となった今年はそろそろさすがに年齢的な衰えがあるかと思われたのだが、5月のFirst Qualification RaceはSztorm、Casper以下を突き放す快勝を挙げていた。毎年3000メートルクラスのレースをVelka Pardubickaへのプレップレースとして使うのだが、それなりに強力なメンバーが揃ったここでも快勝と、12歳にしてまさかのキャリアハイのパフォーマンスを思わせるレースを見せている。やや前半追走に手間取るのは仕方がないことだが、そこからじわじわとロングスパートを掛けて前を捉えきるレース内容は、やはりチェコを代表する強靭なステイヤーのそれであった。

前走4000メートルクラスで結果を残したMedic。今回は3000メートルクラスへ再度の距離短縮となるも、この馬らしいレースを見せての2着。必ずしもこの距離でなくてもいいような感もあるのだが、あえてこの距離にこだわる理由があるのだろうか。人気のChrystal Crossは案外な3着で、やはりこの路線を代表する一頭としては前2頭にもう少し迫りたかった。

 

〇 Cena DENÍKU PRÁVO

Steeplechase crosscountry II.kat. - 4500 m, cena, 5letí a starší 120.000 Kč (Replay)

1. Chelmsford J: ž. Josef Bartoš T: Váňa st. Josef

早々に人気のDajukaがIrish Bankで落馬するアクシデント。Playerが軽快に逃げるが、Steeplechase Courseに入る辺りで前に出たChelmsfordがそのまま後続を大きく突き放して勝利した。

ChelmsfordはこれでCross Countryは3戦3勝とした。まだ5歳と若い馬だが、昨シーズンの4歳路線でもいずれも大差の圧勝を見せており、この世代では最も楽しみな馬である。今回はDajukaが早々に落馬したり、目下の相手と思われたPlayerが73.5kgを背負っていたのに対してこちらは68.5kgとかなり条件面では恵まれたのだが、いずれにせよ今後が楽しみになる走りであった。一方、昨年のVelka Pardubickaの2着馬Playerはどちらかというと試走といった意味あいの強いレースで、今回はこれで十分だろう。昨年もこのレースを叩いて本番に向かっており、本番に向けていいプレップレースになったのではないだろうか。これが約3年ぶりの復帰戦となるArtistmontotもいたのだが、残念ながらコーナーで滑って転倒し、競争中止に終わった。

 

〇 Cena Catering Melodie

Steeplechase crosscountry II.kat. - 5200 m, cena, 5letí a starší 120.000 Kč (Replay)

1. Sacamiro J: ž. Jan Odložil T: Ilíková Kateřina

レースはReki、Del Rey、Apple's Kamikaze辺りが前に行くも、Irish Bankで前に出たBridgeurがそのまま引っ張る形となる。しかし残り2障害辺りで前に出たSacamiroがそのままDel Reyを抑えて勝利した。

5200メートルという距離もあってか比較的慎重なレースになっている。SacamiroはCross Countryはこれが初勝利。昨年のCena Labeでは9着と振るわなかったのだが、今年に入って力をつけているようだ。やや全体的に飛越が怪しい場面もあったのだが、とりあえずは許容範囲といったところだろう。6歳のDel Reyも上り馬で、以前に比べるとかなり飛越技術の上達が認められる。比較的慎重なレースであったことを踏まえると、これで距離克服というのは若干微妙な感もあるのだが、とりあえず比較的長い距離の新興勢力として気を付けておいた方がよさそうだ。実績馬Casper、Talent、Strettonなどもいたのだが良いところなし。Reki、Mazhilisはいずれも早々に馬群から遅れ、大敗に終わった。特にRekiは翌日のWroclawではなくこちらにわざわざ回ってきた理由があっても良さそうなのだが、さっぱりレースに参加できなかった。BridgeurはやはりIrish Bankを含め、障害への対応がここでは一枚抜けており、結果的に自然と前に出てしまうようだ。一方で平地のスピードがからきしであること、しかも一旦交わされると脆いところがあるようで、残り2障害辺りまでは先頭にいたのだが、そこからSacamiroに前に出られるとあっさり後退し、結果的に7着に終わった。最近は慎重なレース運びを試しているようなところもありそうだが、この程度のメンバーであればある程度のペースで引っ張った方がいいのかもしれない。

 

Velká cena města Pardubic - EURO EQUUS - IV. kvalifikace na 131. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou

Steeplechase crosscountry NL - 5800 m, cena, 5letí a starší 200.000 Kč (Replay)

1. Kaiserwalzer J: ž. Lukáš Matuský T: Brečka Jaroslav

Velka Pardubickaに向けた4th Qualification Raceだが、全部で6頭立てとやや寂しいメンバーとなった。レースは途中から前に出たTheophilosがそのまま逃げ込みを図るが、これについて行ったKaiserwalzerがゴール前でこれを捉えて勝利した。

Kaiserwalzerはこのクラスでは初勝利となる。今年のCena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice a.s. - III. kvalifikace na 131. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)でも落馬と、このクラスではやや振るわなかった馬なのだが、今回は強敵相手に驚きのレースを見せた。8歳という年齢を考えれば力をつけていた可能性もあるのだが、昨年のCena Labe (Stcc L)でも勝ち馬から大きく離れた5着であったことを考えると、今回は小頭数かつ余裕のあるレースとなったことが勝因である可能性を疑った方がいいだろう。2019年の勝ち馬Theophilosは見せ場十分の2着に入った。とりあえず11歳となった今年も元気そうだが、このメンバーにはさすがに格の違いを見せたかったところ。前走II. kat.を勝ってきた牡馬Mahe Kingが3着に入った。まだこの馬は6歳と若く、この時点でTheophilosから3馬身差の3着というのは誇るべき成績である。

 

9/5(日)

Craon (FR) Tres Souple (3.9)

Prix Super U Craon (Listed)

Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 6000m (Replay)

1. Doralou Des Bordes J: Alexandre Orain T: Christophe Dubourg

前半からやや後続を引き離してBomariが逃げる展開も、スタンド前のWater Jumpの辺りでは馬群が密集する。2周目の中盤で先頭を走るBomariがコースを間違えたのか大きくコーナーで外に膨らみ、馬群全体がそのまま大きくコーナーで膨らむ格好になる。この中で比較的スムーズに周ってきたDoralou De Bordesが先頭に代わるとそのままレースを引っ張り、最後追い上げてきたBomari、Cap Mix、Netcam辺りを凌いで勝利した。

Doralou De BordesはこれでCross Countryは3連勝とした。Cross Country自体は2019年の秋から使っており、Durtal、Craon、Le Pin Au Harasで勝ち星を挙げている。CraonのCross Countryには経験があるようだが、今回は一気の1000メートル近い距離延長に対応出来たことは大きいだろう。まだ8歳と若く、これからが楽しみな馬である。とはいえなんとも惜しかったのが昨年の勝ち馬Bomariで、一度は大きく外に膨らみ、最後方に近い位置取りまで下がっていたにも関わらず、そこから再度追い上げて2着まで突っ込んでくるレース振りは立派の一言である。今年のCrystal CupにおけるPauやFontainebleau、Lion D'Angersではうまくいかなかったのだが、内容的には明らかにここでは力量が一枚上だったと考えてよさそうだ。3着に入ったのがこの路線ではお馴染みCap Mixで、昨年の5着から着順を上げてレースとなった。実績馬という意味では、今年のGrand Steeplechase Cross Country de Fontainebleauの勝ち馬で、Anjou-Loire Challengeの3着馬Otchoa Rougeもいたのだが、こちらはやや離れた6着に終わった。

 

Merano (ITA) Tempo Bello - Terreno Morbido

Mipaaf - Memorial Massimo Caimi Euro 30.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeple-Chase -  GRUPPO III  - FANTINI) 3900m (Replay)

1. Al Bustan J: Jan Kratochvil T: Lubos Urbanek

前半からQuinze De La Roseが引っ張る展開も、これに落馬したKapjahrが絡んでいく。Quinze De La Roseはそのまま逃げ込みを図るが、じわじわと迫ったAl Bustanが直線入り口で前に出ると、そのまま後続を突き放して快勝した。

Al Bustanは今年11歳となるベテランである。近年のイタリアSteeplechaseを語る上では欠かせない馬で、特にキャリアハイの2017年から2018年にはGran Premio Merano (G1)やGrande Steeplechase D'Europa (G1)の勝利もある。一方で2020年以降はやや衰えが見られており、これが2019年のCondizionata以来となる勝利であった。やはり全盛期の馬群をすり抜けてくる飛越と機動性能という意味ではかつてのこの馬には及ばないのだが、それでも過去のこの馬の走りを彷彿させる勝利であった。2着には全体的に追走に苦労していたLodgian Whistleが入った。今年はイタリアのSteeplechaseを使っており、5月にはGrande Steeplechase Di Milano (G1)にてNortherly Windの2着もあるのだが、その後のMeranoでの走りを見る限り、必ずしもMeranoのSteeplechaseがいいというわけでもなさそうにも思う。イタリア勢再先着を果たしたのがEnola Gay。Quinze De La Roseは元気よく引っ張ったが、やはり空馬に絡まれたのが厳しかった。

 

Azienda Di Soggiorno Di Merano Euro 22.000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi -  LISTED RACE  - FANTINI) 3500m (Replay)

1. Prince D'Orage J: Luigi Maceli J: Josef Vana Jr

途中から好位にいたSky Constellationが引っ張るも、これを好位から追いかけたPrince D'Orageが後続に2馬身差をつけて勝利した。Prince D'Orageはこれが久々のイタリアでの勝利となる。2019年の段階ではPremio Ezio Banoni (G2)の勝利を筆頭に、今後の活躍が楽しみな若馬という立ち位置だったのだが、その後はどうにもぱっとしない成績に終わっていた。今年はフランスに遠征し、5月にWissembourgで勝利をあげていた。メンバー的にはイタリアSiepiの一流どころがかなり揃っていたのだが、内容としてはこの馬の新たな可能性を見出すものであり、やはりSteeplechaseで丁寧な飛越を行うというよりは、スピードを活かしたレースをした方がこの馬には合っているのだろう。今月末の大一番でも楽しみな存在になりそうだ。地元期待のLive Your Lifeは後方から足を測るようなレースで2着。3着は同じく地元のSky Constellation。実績馬Stukeは好位から進めるも4着で、どうにも昨年のような勢いという意味では微妙なところがある。

 

Ettore Tagliabue Euro 33.000 TRIO

per cavalli di 3 anni (Siepi -  GRUPPO III  - FANTINI) 3300m (Replay)

1. Ocean Life J: Pavel Slozil Jr T: Wroblewski Grzegorz Witold

地元のKing Powerが逃げるも、最終障害を越えて抜け出したOcean LifeがKing of Beaufayを抑えて勝利した。ポーランド産馬Ocean Lifeはこれが4月のCondizionataに続く2勝目となる。抜け出す際の足の速さは上位勢の中では際立っていたが、前走のListedで4馬身離されたDesert Agendaなど、ここまである程度レースを使っていた馬だけに、それらとの兼ね合いには今後も気をつけた方がよさそうだ。King of BeaufayはこれがイタリアSiepi初参戦であったが、いきなり結果を残した。この中では比較的実績のあるKing Powerが3着に入ったが、勝ち馬との着差は僅差であり、1~3着馬にあまり力量差はないだろう。

 

Wroclaw (POL) płotowy - lekko elastyczny (3.1); przeszkodowy - lekko elastyczny (2.9); 

〇 Nagroda 20000 zł

Międzynarodowa gonitwa z płotami dla 4-letnich i starszych koni. 3400m (Replay)

1. Noble Eagle J: Rostislav Benš T: Janusz Kozłowski

途中から先頭に立ったNoble EagleがSorrenoを抑えて勝利した。Noble Eagleは初めてのWroclaw参戦となる。WarszawaのMemoriał dr. Aleksandra Falewicza Nagrodaでは2着以下をぶっちぎる非常に強いHurdleデビュー戦を飾った馬で、続くWarszawaのHurdle競走ではやはり楽勝かと思われたところを終盤の障害でまさかの落馬に終わっていた。さすがはポーランドダービーにも参戦した馬(6着)ということでここでも高い能力を見せたが、性質としてはWroclawの狭いコースよりは、Warszawaの広いコースの方が合うのかもしれない。Hurdleではかなり経験のあるSorrenoが2着に入った。

 

Wielka Partynicka Nagroda Unico Logistics

Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych. Międzynarodowa gonitwa z płotami dla 4-letnich i starszych koni. 4200m (Replay)

1. Aztek J: Marek Stromský T: Tomáš Váňa 

いわゆるPolish Champion Hurdle。今年はスウェーデンのMutadaffeqの参戦もあり、かなり豪華なメンバーで行われた。レースは前半から地元のBailandoが引っ張る展開で、後半からじわじわとペースを上げて逃げ込みを図る。しかし最終障害で内からAztek、さらにArlingtonがこれに迫ると、AztekがArlingtonとの叩き合いを制して勝利した。

Aztekは2018年のGran Corsa Siepi Di Merano (G1)の勝ち馬。ただし2019年以降はイタリアへの遠征はなく、2019年はKřišťálový pohár města Pardubic (Proutky NL)の勝利、今年もBad HarzburgのPreis des Elektrohandwerks Goslar (Listed)にてBitcoinの2着に入るなど、10歳となった今年もそれなりに元気なようだ。今回はそのBitcoinの取り消しがあったのが残念だが、やはりここまで戦ってきたメンバーがここでは明らかに一枚上といったところで、内容としてもこの馬の高い機動力を見せつけるものであった。このAztekによく迫ったのがArlingtonで、ここまで障害競走での実績はあまりないのだが、Aztek相手にここまで迫ったことはこの馬にとって大きな進歩だろう。9歳とやや年齢は重ねているだけに微妙なところもあるのだが、ひとまず今後を楽しみにしたい。Warszawaで勝利をあげてきた地元のLeading Lionがやや離れた3着。積極的にレースを作った地元のBailandoは最後遅れて4着。スウェーデンのMutadafeeqは全体的に追走に苦労し、前からはだいぶ離れた6着に終わった。比較的スピードを要求されるBro ParkのSteeplechaseで実績のある馬だが、やはり狭いコースで馬群が密集するレースとなると、どちらかというと小頭数でスペース的に余裕のあるBro ParkのSteeplechaseとは性質が異なるのかもしれない。

 

Wielka Wrocławska Nagroda Prezydenta Wrocławia

Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych. Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. (Replay)

1. Brunch Royal J: ž. Josef Bartoš T: Váňa ml. Josef

ポーランドSteeplechaseとしては最高峰のレース。Polish Grand Nationalとでも言うのかもしれない。レースは前半からHaad Rin、Sztorm、Turionなどが先頭を伺うも、馬群は固まって進行。池を渡る辺りからSztormが押して前に出ようとするも、これにTurion、Nick、Haad Rinなどがついて行く。この中から抜け出したNickが馬群を引っ張ると、そのままHurdleコースでは後続を突き放しにかかる。しかしこれに迫ったBrunch Royalが残り2障害を越えて前に出ると、追いかけてきたLarizanoを凌いで勝利した。

Brunch Royalは2019~2020年はイタリアCross Countryで力をつけてきた馬なのだが、今年はフランスのCross Countryに参戦し、Lyon Parillyで勝利をあげていた。WroclawのSteeplechaseはこれが初参戦なのだが、イタリアの細かいCross Countryの障害や、フランスのCross Countryの障害に対応することが可能であったこの馬にとって、WroclawのSteeplechaseへの対応は容易であった。特段飛越もミスなく運び、あっさり抜けてくるレース運びはこの馬の戦ってきた相手の違いを感じさせるものであった。Sunday Break産駒ということで日本競馬ファンとしては楽しみな馬である。ベテランLarizanoは安定したレース運びで2着に入った。どうにも勝ち切れないことが多いのだが、それでも大きく崩れることも少なく好走するのは大したものである。地元勢再先着を果たしたのがHaad Rin。今年5月のフランスCompiegneではややいまいちなレース運びで5着に終わっており、今回も前とはやや離れた3着と、少々微妙なパフォーマンスに終わっている。ベテランSztormは中盤からロングスパートを仕掛けるのはこの馬の勝ちパターンなのだが、やはりそこから抜け出し切れない辺り、年齢的なものもあるかもしれない。地元のNickは見せ場を作ったが、最後は失速して5着。やや前向きな気性の持ち主のようで、脚の使いどころが難しそうな印象を持った。

 

〇 Nagroda Leroy Merlin 24000 zł

Cykl gonitw z przeszkodami dla 4-letnich koni (Replay)

1. Tonerre J: Christopher Roberts T: Robert Świątek

Sophist、Baronなどが引っ張るも、途中から先頭に立ったTonerreがのそまま後続を突き放して勝利した。TonerreはSteeplechaseはこれが初勝利となる。ここまで3戦を消化しており、2着2回と勝ち切れないレースを続けていたのだが、ようやく昨年の3歳Hurdle路線で3勝を挙げた実力馬の素質開花といったところだろうか。前走Tonerreが2着に下してきたGo Canadaが2着で、この辺りはあまり差がないだろう。あくまで先に抜け出しを図ったTonerreの展開利によるものに思う。ここまであまりSteeplechaseで実績のなかったSea of Silenceが3着に入った。

 

〇 Nagroda Galeriusa o Puchar Stajni Wyścigowej Kolesa

Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych. Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni (Replay)

1. Felix J: Pavel Peprna T: Kazimierz Rogowski

前半から積極的に引っ張ったKing Heartが逃げ込みを図るも、最終障害を越えてFelixがゴール前でこれを捉えて勝利した。

実況がゴール前で絶叫している馬の名前が間違っている。チェコのKing Heartを地元の馬が差し切ったということで盛り上がるのはわかるのだが、SyronもFelixも、いずれにせよ勝ったのは地元の馬なのでよかったということにしよう。FelixはここまでSteeplechaseでは未勝利の馬で、障害ではさっぱり良いところがないのも関わらず驚きのレースを見せた。なにがこの馬を変えたのかは不明だが、直線で2回も飛越をミスしながらKing Heartを差し切るのは大したものである。平地ではチェコダービーへの参戦歴もあり、Hurdleでは2018年にイタリアGran Criterium D'Autunno (G1)の2着もあるKing Heartは惜しい2着。ポーランドのSteeplechaseはこれが2回目の参戦であり、飛越も全体的に安定していたのだが、今回はFelixの謎の激走の前に屈することとなった。6歳とまだ若い馬で、Steeplechaseの経歴としては短く、とりあえず今後に期待したいところである。

 

Racing Te Aroha @ Te Aroha (NZ) Dead3

〇 Te Aroha Jockey Club Hurdle MDN HDL 3100m (Replay)

1. English Gambler J: James Seivwright T: Lauren Brennan

スタート直後から障害手前で逃避しようとするなど制御を欠いたEnglish Gamblerだが、そこから後続を大きく突き放して逃げるとそのまま持ったままで勝利した。English Gamblerはオーストラリア生産馬で、平地では4勝を挙げた実績馬である。やはりレース中の動作を見る限りかなり若いところがあるようで、レース内容としてもほとんど追わずに圧勝ということで能力は確かなようだが、さすがにもう少し落ち着いて走ってほしいところ。飛越自体は安定していたが、この馬にとっては余裕のあるペースでの飛越となっていたことに注意したい。Dead3の良馬場でここまでの着差をつけての勝利と言うことで期待せざるを得ないのだが、いきなり上のクラスに行って通用するかは未知数といったところだろう。

 

〇 Mike Fraser-Jones Open Hurdle OPN HDL 3100m (Replay)

1. Beau Geste J: Dean Parker T: Kevin Myers

Remarxがするすると逃げる展開も、これを好位で追いかけたBeau Gesteがこれを捉えて勝利した。実況のGeorge Simonという人がレース中ジョークを行っているようなので、英語に堪能な方は是非聴かれたい。Beau GesteはこれでHurdleは2勝目とした。今年の5月にMDNを勝ってからなぜか連続して平地を使っていたのだが、それ以来のHDL競走となる。レースとしてはRemarxがかなりのんびりと逃げた展開で、メンバー的にも3頭立てとやや低調であり、Dead3という特殊な状況下でもあったことを考えるとこれが次につながるかと言うと微妙なところ。今年の7月にRST OPN HDLを勝ったMizzenaが人気になっていたが、伸びきれず3着に終わった。

 

〇 Thank You Club Volunteers MDN Steeple MDN STP 3500m (Replay)

1. Tommyra J: Craing Thornton T: Toby Autridge

Sino Heightsが逃げると思いきや早々に落馬。代わってFlyingwithoutwingsが引っ張るも、好位から進めたTommyraが直線に入るところで抜け出すと、そのまま追いかけてきたKiddo、Delegate以下を抑えて勝利した。落馬したSino Heightsの騎手Kelly Joyceがそのままコースに留まったため、2周目はSteeplechaseではなく平地コースを使われることになっている。TommyraはHurdleでは非常に実績のある馬で、今年の7月にはHawke's Bay Hurdle (PJR)を勝利した実績もある。実力的にはまだHDLのPJRで通用してもおかしくはないのだが、これがSteeplechase初参戦となった。上記の通りSteeplechaseの障害を飛越する機会が減ってしまったのは残念なのだが、飛越自体は安定しており、Steeplechaseでの活躍も楽しみにしてよいだろう。

 

〇 Bayleys OPN Steeplechase OPN STP 3500m (Replay)

1. No Tip J: Craig Thornton T: Paul Nelson & Corrina McDougal

元気よく逃げたZartanがそのまま逃げ込みを図るも、ゴール前でNo Tipが前に出て勝利した。No TipはHurdleでは2019年のWellington Hurdle (PJR)の勝ち鞍がある実績馬だが、昨年はやや頭打ちで、今年からSTPに転向していた。前走はTe Kahu相手に惜しい2着であったが、今回はその借りを返したことになる。ただしレース内容としては、Dead3の良馬場での密集したレースということでやや展開の利も考えておいた方がいいかもしれない。逃げたZartanが2着。Wellington Steeplechase (PJR)ではHeat Stressもあって途中棄権に終わったようだが、McGregor Grant Steeple (PJR)でも3着のある実績馬であり、この馬のペースで逃げればこれくらい走れてもおかしくはない。