にげうまメモ

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24/02/04 Weekly National Hunt / Jump Racing

2/3(土)

Sandown (UK) Good (Good to Soft in places)

〇 Novices' Hurdle (Class 3) 1m7f216y (Replay)

1. Peking Opera (IRE) J: Nial Houlihan T: Gary Moore

Glengollyがかなりのんびりとしたペースで引っ張る展開も、コーナーで曲がり切れず外に膨らむ。これを利して前に出てきたPeking OperaがThe Good Doctorとの叩き合いを制して勝利した。

Peking Operaは平地ではListed勝ちや2023年のアイルランドダービーでAuguste Rodinの4着がある馬で、今回はこれがHurdleデビュー戦であった。元々Aidan O'Brienのところにいた馬のようだが、オーナーが変わって現Gary Moore厩舎に移籍している。ひとまず飛越は特に問題はなく、The Good Doctorの11st7lbに対してこの馬は10st4lbと相当恵まれたレースではあったのだが、とはいえ格下のGlengollyがかなりゆったりと引っ張る展開で、レースとして加速が掛かるのもSandownの上り坂に差し掛かってからというレースであったことを考えると、とりあえず恰好を付けたということで合格点であろう。フランスCompiegneでHandicap戦の勝ち鞍があるDoctor Dino産駒のThe Good Doctorが僅差の2着に入った。この馬の持っている能力を考えると今回はだいぶ適性外であったように思われる。

 

Scilly Isles Novices' Chase (G1) 2m4f10y (Replay)

1. Nickle Back (IRE) J: James Best T: Mrs Sarah Humphrey

前半から元気にNickle Backが逃げる展開で、好位からLe Patron、Hermes Allenが追走。James BestのNickle Backはそのままリードを開いて行くとRailway Fenceでもスピードを落とさずにレースを進め、追いかけてきたDjeloを尻目に7馬身差の快勝とした。Hermes Allenは途中から進出を試みるも、残り2障害で落馬に終わった。

Nickle BackはMustameetの産駒で、Chase重賞は初勝利とした。Hurdleではあまり芽が出なかった馬のようだが、Chaseではこれで3勝目、特にWarwick及びStratfordでは後続に大差をつける逃げ切り勝ちを収めていたようだ。NewburyのJohn Francome Novices' Chase (G2)ではHermes Allenの2着、Wayward Lad Novices' Chase (G2)でもMaster Chewyの2着に敗れており人気を落としていたようだが、James Best騎手会心の逃走劇によりG1制覇を成し遂げることに成功した。直線に厳しい坂が待ち受けておりRailway Fenceの辺りではコース形状的に一旦ペースを落とすことになるSandownのコース形態を逆手に取った半ば出し抜けを食らわせたような快走で、今回の快勝がどこまで外挿性を有するかは不明であるが、この路線において展開のカギを握る馬ということで注意した方がよさそうだ。Howden Noel Novices' Chase (G2)を勝利し、Lightning Novices' Chase (G2)では不幸な落馬に終わったDjeloは巻き返しての2着。Towton Novices' Chase (G2)を勝利して挑んだColonel Harryは最後大きく脱落し3着、Henry VIII Novices' Chase (G1)を勝ったLe Patronも好位から進めるも最後脱落して4着に終わった。不幸であったのがHermes Allenで、好位から逃げたNickle Backを追いかける形で進めたが、勝ち馬が大きく後ろを引き離した結果勝負所からはややオーバーペース気味の飛越を強いられる状況になったのか、残り2障害地点ではかなり無理のある飛越をしていたようで、残念な結果となったそうだ。ノドの問題はあったとはいえChallow Novices' Hurdle (G1)を勝った馬で、Chase戦線でもG1勝ちの可能性は十分あっただけに、気の毒な結果となった。

 

Heroes Handicap Hurdle (Premier Handicap) 2m7f98y (Replay)

1. Saint Davy (FR) J: Jonjo O'Neill Jr. T: Jonjo O'Neill

Ed Keeperが前に行く展開も、後方で追走に苦労するBarbados Buck'sを除いて馬群は密集して進行。直線を向いて前に出てきたHerminoとSaint Davyの叩き合いはSaint DavyがHerminoを振り切って勝利した。

Saint DavyはNovice上がりの馬だが、Noviceシーズンとなった2022-23はMaiden勝ちのみで、Maidenを勝ったのみで挑んだAintreeのSefton Novices' Hurdle (G1)では大敗に終わっていた。今シーズンはLudlowのClass3のHandicap Hurdleから連勝とした。あまりレース経験を重ねていない比較的フレッシュな若い馬で、さすがにMaiden勝ちのみからのG1挑戦は無理があったようだが、直近の上がり馬としてそのレース選択には注意しておきたい。血統登録上"AA"表記となるHerminoが2着で、前走のLanzarote Hurdleではさっぱりいいところはなかったようだが、24fに戻して結果を残した。若干行きたがって走る場面もあったようだが、Conditional JockeyのCaoilin Quinn騎手がうまく馬群の中で我慢させつつ運ぶことが出来ていた。血統背景としてはほぼAQPSではあるのだが、イギリスにおいて"AA"表記の馬の重賞勝ちが実現した場合いつ振りになるのだろうか。

 

Wetherby (UK) Soft (Heavy in places)

〇 Maiden Hurdle (Class 4) 2m3f154y (Replay)

7. Jo Arengeot Bey (FR) (AC) J: Theo Gillard T: Donald McCain Jnr

"AA"表記のJo Arengeot Beyが出走しており中段から進めたが、早々に後退、最下位の7着に終わった。Jo Arengeot BeyはサラブレッドであるPolarixを父に、Kapgardeを母父に有するが、母Totoche Beyがごく僅かにアラブ血量を有しており(0.200%)、France Galop上はAnglo-Arabe de complémentと登録されている。同様のパターンが上記Herminoで、血統背景としてはほぼAQPSとなるのだが、血統登録上の問題で現行の表記となっているものと思われる。レースとしては飛越云々以前に競争馬として19fを走り切るだけの体力ができていないといった印象で、ひとまず次の進捗に期待したい。

 

Leopardstown (IRE) Soft

Nathaniel Lacy & Partners Solicitors Novice Hurdle (G1) 2m6f78y (Replay)

1. Dancing City (FR) J: Danny Mullins T: Willie Mullins

Dublin Festivalの名前の長い24fのNovice HurdleのG1競走。レースはJezkiの近親JetaraがDancing Cityを制して淡々と引っ張る展開。好位からStellar Story、Loughglynnなどが進める。Jetaraはそのまま逃げ込みを借るも、直線に入って前に出てきたDancing Cityが最後追い込んで来たPredators Goldを振り切って勝利した。

Dancing CityはMaidenから連勝とした。Willie Mullins陣営の中では最も人気がなかった馬で、実際にNavanのMaidenではStellar Storyに敗れているのだが、やや驚きの結果となった。ひとまずスタート直後は先頭に出たもののやや行きたがるJetaraを前にやってのレースと、なかなかこの時期のNovice馬にしては完成度の高いレース運びで、24f戦においてこの完成度は大きな武器になりそうだ。Future Champions Novices Hurdle (G1)ではCalwell Potterの2着に入ったPredators Goldは今回も2着だが、レース運びとしてはもう少し積極的に乗ってもよかったように思われる。牝馬でここではレース経験豊富なJetaraはやや行きたがる素振りを見せていたためか前に行っての3着。LimerickのLyons of Limerick Jaguar Land Rover Novice Hurdle (G2)の上位勢であるLoughglynn、Stellar Storyはいずれも見せ場を作れずに終わった。

 

Mccann Fitzgerald Spring Juvenile Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. Kargese (FR) (AQPS) J: Danny Mullins T: Willie Mullins

Mark WalshのMajboroughが淡々と引っ張る展開も、これにKala Conti、Kargeseなどがついて行く。勝負所から後続が殺到した中から抜け出したKargese が最後追い込んで来たStorm Heartを凌いで勝利した。Majboroughが3着に入った。

KargeseはJeu St Eloiの産駒で、元々Auteuilでは昨年5月のPrix Sagan (G3)の勝ち鞍のある実績馬である。昨年の秋にアイルランドに移籍したようで、前走のLeopardstownではDublin Juvenile Hurdle (G2)にてKala Contiの2着に入っていた。Majboroughが淡々と逃げる展開を好位でのんびりと運んだ展開利はありそうだが、とはいえフランスの実績馬がアイルランドのHurdle戦線に慣れてきたという印象で、Triumph Hurdle (G1)に向けての有力馬の一頭に数えることが出来そうだ。Saint Des Saintsの後継種牡馬の一頭で、アイルランドGlenview Studに移籍したJeu St Eloiにとってもこのタイミングで産駒がG1勝ちを収めることは大きな追い風となるだろう。PunchestownのMaidenを圧勝して挑んで来たPaul TownendのStorm Heartは中段から進めての2着で、あまり勝ち馬と力量差はなさそうな印象がある。Martinboroughの産駒でこれが移籍初戦となったMajboroughも差のない3着で、Kala Contiをはじめ後続にプレッシャーを掛けられつつ前に行っての3着というのは収穫のあるレースであったように思われる。できれば前々で張るのではなく好位のインで我慢をしたかったように思われるが、どうだろうか。Maidenから挑んだBunting、Dublin Juvenile Hurde (G2)の勝ち馬Kala Contiまであまり差のない入線で、上位5頭くらいまでは展開次第で順位が変わりそうだ。

 

Irish Arkle Novice Chase (G1) 2m1f (Replay)

1. Il Etait Temps (FR) (AQPS) J: Danny Mullins T: Willie Mullins

Marine Nationaleが圧倒的な人気を集めていた。レースは例によってFound A Fiftyが前に行く展開で、これを追いかけてFacile Vegaが進める。やや後ろからIl Etait Temps、Marine Nationaleなど。Facile Vegaが勝負所からFound A Fiftyに並んでいくが、ここからFound A Fiftyが抵抗。しかし後ろから忍び寄ったIl Etait TempsがFound A Fiftyとの叩き合いを制して勝利した。Marine Nationaleは勝負所から置いて行かれ5着に終わった。

Marine NationaleはここまでHurdleではSupreme Novices' Hurdle (G1)を含めG1を2勝、Chase初戦も身体能力で圧倒してきた無敗馬であるが、Chaseはこれがわずか2戦目であった。飛越の完成度以前に身体能力の違いで押し切ることが出来たBeginners Chaseと異なり、今回はFound A FiftyやFacile Bega、Il Etait Tempsとレース経験が豊富なうえに高い能力を持った馬が揃っており、これらに対してまだ完成度に劣る同馬にとっては厳しいレースとなった。Il Etait TempsはChaseのG1は初勝利とした。前々で張り続けるFound A FiftyやFacile Vegaの後ろをついて回りつつ、持ち味の小回りの利くスピードで抜け出しを図るレース運びはまさにJukebox Jury産駒の真骨頂といったところで、この馬とともにIreland Novice Hurdle (G1)を制したDanny Mullins騎手とともにやるべきことをやってのけた結果と言えるだろう。前走Danny Mullins騎手はGaelic Warriorの内に潜り込んだことでGaelic WarriorのPatrick Mullins騎手と口論になったようだが、前走のDanny Mullins騎手の戦術が正しかったことを改めて示すレースになった。

Racing Post Novice Chase (G1)を勝ったFound A Fiftyが2着。前走はどうにもふらふら走って後続に迷惑をかける場面もあったようだが、今回の飛越はだいぶマシになっていた。あまり人気にならないタイプの馬のようだが、持っているエンジンはかなりいいものがありそうで、Cheltenhamでも期待したい一頭である。そのRacing Post Novice Chase (G1)ではFound A Fiftyに迷惑を掛けられて大敗に終わったFacile Vegaが3着。例によってどうにも勝負弱い面はありそうだが、気分よく走れればという条件付きで改めて期待したい。11歳馬Sharjahは強敵相手に頑張って走っての4着で、もう少しChase転向が早ければこのメンバー相手にも勝ち負けを繰り広げることが出来たかもしれない。

 

Irish Gold Cup (G1) 3m70y (Replay)

1. Galopin Des Champs (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

Racing TVのサムネはけっこう頑張っている。レースはGalopin Des ChampsとFastorslowの再戦ということで注目が集まっていた。レースはそのGalopin Des Champsが淡々と引っ張る展開で、これにConflated、Fasterslowがついて行く。もたもたち飛越したI Am Maximusは後ろから。Galopin Des Champsはそのままリズムよく進めると、ついてきたFastorslowを振り切って勝利した。Conflatedは最終障害で落馬に終わった。

Galopin Des Champsは今シーズンは前走のSavills Chase (G1)から連勝とした。中段から進めたJohn Durkan Memorial (G1)ではFastorslowの3着に終わっているが、今回はその借りを返した結果となる。Cheltenham Gold Cup (G1)の成功体験を踏まえた中段から我慢をさせる競馬に対して、前走からPaul Townend騎手は腹をくくってこの馬のリズムよく進めることを重視するレースを試みているようで、これがどうやらうまくいっている印象がある。今回は4頭立てで特に引っ張る馬が不在ということで前に行く格好となったが、Cheltenham Gold Cup (G1)ではおそらく他の馬を前にやりつつ、この馬のリズムで進めることになるものと思われる。一方でGalopin Des Champsを破って勝利してきたFastorslowは今回は2着までで、やはりGalopin Des Champsが戦術を変えたということが大きいだろう。Conflatedは前走のSavills Chase (G1)と同じ地点での落馬に終わった。得意のLeopardstownであるということ、あまりペースが速くならなかったということもあって比較的勝負圏内にいただけに勿体ない結果となった。I Am Muximusはどうにも飛越にもたつく場面が多く、特に勝負には加われず後ろをついて回っただけのレースとなった。

 

2/4(日)

Leopardstown (IRE) Yielding to Soft (Soft in places)

Ladbrokes Novice Chase (G1) 2m5f107y (Replay)

1. Fact to File (FR) J: Mark Walsh T: Willie Mullins

前日に出走のあったFound A Fiftyはともかく、American MikeとGrangelare Westが直前に取り消し、レースは2頭立てとなった。序盤から元気よくGaelic Warriorが前に行く展開も、残り4障害地点でミス。代わって前に出たFact To Fileがそのまま勝利した。

2頭立てとはいえGaelic Warriorがそれなりのペースで引っ張っており、レースとしてはそれなりにしっかりしたものが成立している。Fact To FileはこれでChaseは2勝目とした。NHFではChampion Bumper (G1)にてA Dream To Shareから僅差の2着に入った素質馬で、前走のBeginners ChaseではZanahiyrやMinella Cocoonerらを大きく突き放しての圧勝を見せていた。同厩舎の2頭立てということで見た目はいまいちだが、とはいえこの馬もGaelic Warriorのペースに難なく追走していた辺り、G1クラスとして相応の評価をしなければならない一頭だろう。人気を集めていたGaelic Warriorは残り4障害地点でミス、そこからは本来途中棄権と判断すべきところ2頭立てということもあってかレースを継続していたようで、結果的には最終障害で落馬に終わった。距離的に20f自体は特段問題はないはずで、おそらく何かしら気性的な問題か、それ以外のところで何かしらのトラブルがあったものと思われる。

 

Tattersalls Ireland 50th Derby Sale Novice Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. Ballyburn (IRE) J: Paul Townend T: Willie Mullins

レースは最低人気のBoher Roadが元気よく前に行く展開も、どうにも外に膨れて途中からBallyburnが先頭に。そのままBallyburnが後続を突き放すと、Slade Steelに7馬身差をつけて勝利した。

BallyburnはFlemensfirthの産駒で、これでHurdleは3戦2勝とした。どうにも行きたがって走るところが前半から目立っており、できれば逃げた馬の後ろでしばらく我慢をしたかったものと思われるが、ここでは馬の能力自体が一枚抜けていたようだ。例によって最終障害はオミットされているのだが、特にそのような変更は関係のない勝利であろう。前走NavanでNavan Novice Hurdle (G2)を勝ったSlade Steelが距離を戻しての2着。距離を短縮した経緯は不明だが、とりあえず現時点で勝ち馬とはそれなりの力量差があるものと思われる。後方から追い込んで来たKing of Kingsfieldが離れた3着。メルボルンカップにも参戦した平地兼用馬Absurdeは最終コーナー地点ではものすごい勢いで進出するところを見せていたが、直線では脱落して4着。Royal Bond Novice Hurdle (G1)を勝ったFarren GloryはAintreeでの落馬からの巻き返しを狙ったが、さっぱりいいところはなく大敗に終わった。

 

Dublin Chase (G1) 2m1f (Replay)

1. El Fabiolo (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

土曜日絶好調であったDanny MullinsのGentleman De Meeが前に行くも、これにEl FabioloとDinoblueが接近。先に抜け出したEl FabioloがDinoblue以下を突き放して快勝した。

El Fabioloは今シーズンはCorkのHilly Way Chase (G2)から連勝とした。昨シーズンは16f Novice ChaseにてArkle Challenge Trophy (G1)の圧勝を含め無敵を誇った馬で、現時点では最も16f Chaseのチャンピオンの座に近い一頭と言えるだろう。前走Paddy's Rewards Club Chase (G1)を圧勝した牝馬Dinoblueを軽く突き放したパフォーマンスは圧巻の一言で、前半こそやや飛越にもたつく場面はあったが、おそらくこれは前半の入りでのペースが遅かったことによる影響と思われる。そのPaddy's Rewards Club Chase (G1)で強い競馬を見せたDinoblueが2着だが、今回はさすがに相手が悪かったようだ。Captain Guinness、Gentleman De Meeが3、4着で、このあたりはPaddy's Rewards Club Chase (G1)の再現となった。Saint Roiは早々に脱落しての大敗だが、今回はどうにも馬が嫌がって走っているように見えるのが気になるところである。

 

Irish Champion Hurdle (G1) 2m (Replay)

1. State Man (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

比較的決め打ちで前に行ったImpaire Et Passeだが、どうにももたもたと飛越してスピードに乗り切れず。直線を向いて前に出てきたState Manが追いかけてきたBob Olingerを突き放して勝利した。

State Manは今シーズンはこれでMorgiana Hurdle (G1)、Matheson Hurdle (G1)とG1は3勝目とした。番手でのんびりと構えることが出来たのは良い傾向で、現時点でアイルランドにおいてこの馬に肉薄することが出来る馬は存在しないというのが現状だろう。前走はRelkeel Hurdle (G2)で強い競馬を見せたBob Olingerが2着。どうにも16fに戻してきた意図はよくわからないのだが、少なくともこの路線のG1クラスでも戦えることを示したことは収穫と思われる。Matheson Hurdle (G1)ではState Manを追いかける走りを見せたImpaire Et Passeは終始いまいちな飛越で、今後に向けて不安が残るレースとなった。Echoes In Rainは珍しく前を積極的に追いかけていったが、最後失速して離れた最下位に終わった。

 

Pau (FR) Tres Souple (4.1)

137EME Grande Course De Haies De Pau (Listed)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 4100m (Replay)

1. Glorice (FR) (AQPS) J: Angelo Zuliani T: Francois Nicolle

Cirano De Pailを制してGloriceがゆったりと前に出てくる展開。そのままじわじわとペースを上げて逃げたGloriceがImprenableを振り切ると、追いかけてきたZarakhanをしのいで勝利した。

Gloriceは前走のAuteuilのSteeplechaseのListed競走から連勝とした。昨年もこのレースには参戦しており、Baladin De Mescの3着に入っている。Auteuilの重賞クラスでも戦えるだけの力量はあった馬のようで、2022年にはGrand Steeplechase De Paris (G1)にも参戦しているが、昨年は結局CompiegneのSteeplechaseを転戦していたようだ。PauのHaiesを連勝してきたZarakhanが2着。まだ5歳と比較的若い馬で、経歴的には平地兼用馬として走っている感もある。Prix Alain Du Breil (G1)での4着など2022年の4歳Haies路線で活躍したImprenableも出走していたが、どうやらその後は重賞戦線への出走はあまりなかったようで、今回もGloriceに振り切られて3着に終わった。

 

137EME Grand Prix De Pau (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 5300m (Replay)

1. In Love (FR) (AQPS) J: Nicolas Gauffenic T: Hugo Merienne

レースは連覇を目指す人気のYoutwo GlassがGessy Raiselleを引き連れて淡々と逃げる展開。そのままYoutwo GlassがGessy Raiselleを振り切って逃げ込みを図るも、これに迫ったIn Loveがゴール直前でこれを捉えて勝利した。

In Loveは遡ればPrix Maurice Gillois (G1)にてGessy Raiselleの3着がある馬だが、昨年はClasse2~3辺りを転戦していたようで、これが2022年4月のAuteuil以来の勝利となった。Course SpecialistのYoutwo Glassの勝ちパターンを崩したパフォーマンスは立派だが、一方でYoutwo Glassの71kgに対してこの馬は66kgと随分と斤量的には恵まれた感もあり、どこまで本物かは少し注意した方がいいだろう。そのYoutwo Glassが2着。Gessy Raiselleは上記Prix Maurice Gillois (G1)以来はさっぱりで、前走のPauの下級条件戦でようやく復調気配を見せていた。前からはやや離されての3着となったが、とはいえ牝馬で71kgを背負ってのレースということでとりあえず次に期待したい。2021年にPrix Ferdinand Dufaure (G1)勝ちのあるLe Listracは5着に終わったが、G1勝ち以降はAuteuilの重賞戦線では結果を残せず、各地の重賞戦線を転戦していたようで、前走はPauのClasse1を勝利していた。前走のメンバーの水準的にはこのくらいだろう。Cross Countryの名牝Vingaの産駒Inga Kamは後方から進出を試みるも前に迫ることはできず、離れた7着に終わった。