にげうまメモ

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24/03/10 Weekly National Hunt / Jump Racing

3/5(火)

Compiegne (FR) Tres Lourd (5.4)

〇 Prix D'Essai Des Poulains (Inédits)

Haies Pour poulains entiers et hongres de 3 ans, n'ayant jamais couru. 3200m (Replay)

1. Willy De Houelle (FR) J: Gaetan Masure T: Arnaud Chaille-Chaille

この日のCompiegneから始まった2024年の3歳障害競走。中段の内から進めたWilly De Houelleがじわじわと進出すると、そのまま2着のEarly Mistに4馬身差をつけて勝利した。Willy De HouelleはBeaumec De Houelle産駒の牡馬で、Haiesは初勝利とした。3歳のデビュー戦ということで馬場も考えてかなりゆったりとしたペースで進んでいたが、位置取り的にはかなり厳しいポジションからのレースとなっており、終わってみれば4馬身差というのはなかなかのパフォーマンスと言えるだろう。Beaumec De HouelleはMartalineの産駒でPrix Cambaceres (G1)を勝利したのちに種牡馬入りした馬だが、どうやらWilly De Houelleの生産者及び馬主はBeaumec De Houelleと同一のようで、もしかすると種牡馬としての将来も期待されている可能性もありそうだ。Goliath Du Berlais産駒の牡馬Early Mistが2着に入り、フランス障害血統的な観点からは非常に将来性が楽しみなレースとなった。

 

〇 Prix D'Essai Des Pouliches (Inédits)

Haies Pour pouliches de 3 ans, n'ayant jamais couru. 3200m (Replay)

1. Entourloupe (FR) J: Lucas Zuliani T: Lageneste & Macaire

前々で進めたEntourloupeが付いてきたMurciaを振り切ると、そのままMamisuz De Houelleに7馬身差をつけて快勝した。Entourloupeは今年から産駒が走り始めたGoliath Du Berlaisの産駒で、Goliath Du Berlaisにとってはいきなりこの日のCompiegneで産駒が1勝2着1回と素晴らしい滑り出しとなった。Entourloupeの母Cicalinaはドイツ生産馬だが、2018年にはPrix Maurice Gillois (G1)を制した実績馬で、EntourloupeはCicalinaにとっては初めての産駒となる。レースとしてはやはり直前のものと同じくかなり慎重なレースであったが、スプリントを掛けてからMurciaをあっさり振り切る加速力を見せており、Entetourloupeは更なるエンジン性能の高さを期待できそうだ。フランス屈指の良血馬がデビュー戦で素晴らしい勝ち方を見せたことは喜ばしいことだろう。2着にはBeaumec De Houelle産駒のMamisuz De Houelleが入ったが、直前のWilly De Houelleのようなイメージで騎乗していたようで、結果的にこちらはやや仕掛け遅れのような印象のある2着となった。いずれにせよ、障害競馬で高い能力を示した種牡馬の産駒が今年初めての3歳戦で高いパフォーマンスを発揮したことは喜ばしいことである。

 

3/9(土)

Sandown (UK) Soft (Heavy in places)

〇 Imperial Cup Handicap Hurdle (Class 2) 1m7f216y (Replay)

1. Go Dante (GB) J: Sean Bowen T: Olly Murphy

元々はG3又はPremier Handicapの格付けを持っていたレースだが、今年からClass2に降格したようだ。とはいえこの日のSandownのメインレースとしての立ち位置となる。レースはKnickerbockergloryが前に行くもこれに軽量にLively Citizenがついて行く。しかし直線に向いて出てきたGo Danteが先に抜け出したFaivoirを捉えて勝利した。

Go Danteは2021年のChallow Novices' Hurdle (G1)でStage Starの4着もあるのだが、その後はHandicap路線を歩んでいたようだ。今シーズンは12月にClass3を勝利したのち前走のBetfair Hurdle (Premier Handicap)では3着に入っており調子も良かったようだ。惜しいレースを見せたのが11st11lbを背負ったFaivoirである。昨年はCheltenhamのCounty Hurdle (Premier Handicap)にてPied Piperを凌いで勝利した実績もあり、どうやら今年も同レースには登録はあるようだが、今シーズンは10月からかなり積極的にレースに出走しているようで、そろそろ疲労の面での懸念はあるかもしれない。PauでListed勝ちのあるJipcotは前走HuntingtonのHurdle戦でイギリスでの初勝利を挙げており、今回もあまり差のない3着に入った。

 

Auteuil (FR) Collant (4.4)

〇 Prix De L'Yonne (Inédits)

Haies Pour poulains entiers et hongres de 4 ans, n'étant pas de race Pur Sang, n'ayant jamais couru. 3500m (Replay)

1. Karam Le Rouge (FR) (AQPS) J: Nicolas Gauffenic T: Mlle Anne-Sophie Pacault

前に行ったKaram Le Rougeに対してKamaro D'Huezが直線で前に出るも、再度盛り返してきたKaram Le RougeがKamaro D'Huuezを交わして勝利した。Karam Le RougeはMuhtathir産駒のAQPSで、ここまでAQPSの平地競争を走りPrix Jazques De Vienne (G1 AQPS)では5着に入っている。全体的にやや積極的に引っ張るところが目立ったが、とはいえ終いまでしっかりと脚を伸ばす強い競馬を見せた。そのPrix Jazques De Vienne (G1 AQPS)を勝ったKamaro D'Huezが2着。後ろから足を伸ばしたTunis産駒のKawaboomgaが3着。Beaumec De Houelle産駒の牡馬Kilbegganはじわじわと前を追いかけていったが、最後は失速して4着まで。まだこれが2戦目とレース経験の少ない馬で、今回は前に行った経験馬がだいぶ積極的に引っ張ったことを考えるとなかなか健闘した内容だろう。

 

Prix Duc D'Anjou (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3500m (Replay)

1. Karre D'As (FR) (AQPS) J: Mme Charlotte Prichard T: David Cottin

前半から元気よくKarre D'Asが逃げる展開で、人気のKaadamなどは後ろに構える。Koristeは早々に落馬。軽快に引っ張るKarre D'AsにChanteur Du Bourg、Kaadamなどが迫るも、直線に入って再度加速したKarre D'Asがこれらを振り切って勝利した。

Karre D'Asは重賞は初勝利とした。ここまで3戦連続で2着に入るなどコンスタントに走る馬で、昨年11月のPrix Congress (G2)ではKaadamの2着に入っていた。今回はCharlotte Prichard騎手とのコンビでかなり積極的に飛ばしていくレースを作っており、女性騎手のAllowanceに助けられたところもあるとはいえ、このペースを作ってしのぎ切るのだから大したものだろう。Choeur Du Nord産駒のChanteur Du Bourgが惜しい2着。人気になっていたKaadamはどうにもペースに戸惑ったのか飛越でミスをするところが目立っており、最後は脚を伸ばしてきたものの前には追い付けず3着に終わった。勝ち馬と同じくBalkoの産駒のAQPSであるKentucky Woodは直線で一瞬見せ場を作ったが、そこから脱落して4着に終わった。

 

Treviso (ITA) Tempo Coperto Terreno Pesante

Steeplechase Di Treviso

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeplechase - Listed - Fantini) 3500m (Replay)

1. Natam (GB) J: Jan Kratochvil T: Josef Vana

Scuderia Aichner陣営のVezzanaが前に行く展開も馬群は固まって進行。早々にPaolo Faveroの2頭は脱落しチェコ調教馬3頭の争いとなるも、先に抜け出したVolkov JeloisをNatamが捉えて勝利した。

NatamはこれでPisaのCondizionataからSteeplechaseは2連勝とした。昨年5月のMeranoでのPremio Chvas Regal (Listed)というSiepiにおいてはMauriciusから完敗の内容に終わっているが、昨年11月のTrevisoの開催からは比較的結果を残している。TrevisoのSteeplechaseからMeranoのSteeplechaseへの外挿性という点では少々微妙なところはあるが、ひとまず現時点での上がり馬という点では面白い一頭だろう。Gran Corsa Siepi Nazionale (G1)にてMauriciusを追い詰めたVolkov Jeloisが惜しい2着で、約1kgの斤量差を考えるとあまり気にすべき敗戦ではなさそうだ。Cagnes-Sur-Merに参戦していた元フランスのVezzanaは終盤に脱落し、前2頭からはかなり離れた入線となった。

 

Hanshin / 阪神 (JPN) Good to Firm

The Hanshin Spring Jump / 阪神スプリングジャンプ (G2) 3900m (Replay)

1. マイネルグロン (JPN) J: 石神深一 T: 青木孝

マイネルグロンの復帰戦ということで注目が集まっていた。レースは小牧騎手のネビーイームが前に行く展開も、途中からニシノデイジーが仕掛けて先頭に。しかしこれに再度ネビーイームが接近すると、順周りに入った辺りから前に出てレースを引っ張る。しかしその後ろから進出したマイネルグロンがそのまま前に出ると、2着以下に7馬身差をつけて勝利した。エコロデュエルが2着に上がった。

マイネルグロンは昨年の中山大障害 (G1)の勝ち馬で、これで阪神のオープン戦から5連勝とした。レース内容としては特に飛越も含めて危なげのない勝ち方で、2kgの斤量差があったとはいえ7馬身差を付けるのだから大したものだろう。そのレース運びの安定感も含めて王者の貫禄を見せつけるようなレースで、この馬を中山の舞台で負かすには一工夫必要そうだ。昨年京都ジャンプステークス (G3)を勝って頭角を現してきたエコロデュエルが2着だが、こちらはだいぶ後方から押し上げてのもので、途中の飛越にもミスがあったりと、中山で似たようなレースをしていてはマイネルグロンを負かすのはかなり展開の助けがない限り難しそうだ。西谷騎手のロックユーは昨年のイルミネーションジャンプステークスの勝ち馬で、中段から進出して3着に入った。おそらく今後を見据えてのレースであったと考えられ、本番でどのようなレースをするか楽しみにしたい。ニシノデイジーは強気に出ていったがそこからネビーイームに再度接近されて苦しくなったようだ。おそらく中山では半ばオーバーペース気味にでも前に行く必要がありそうで、こちらも本番の戦術を考えさせる内容となった。そのネビーイームは小牧騎手の飛越の上手さも生かしてニシノデイジーを脅かす勢いも見せていたが、最終障害で大きなミスがあり万事休す。エイシンクリックは後ろから進めたが、途中から完全に飛越のリズムを崩してばたばたになっていたようだ。気の毒だったのがマッスルビーチで、好位から積極的に勝負をかけていったが最終障害飛越後に故障を発生、残念ながら助からなかったそうだ。

 

3/10(日)

Naas (IRE) Soft

Kingsfurze Novice Hurdle (G3) 1m7f116y (Replay)

1. Fun Fun Fun (IRE) J: Paul Townend T: Willie Mullins

逃げたFun Fun Funがそのまま後続を振り切り勝利した。Fun Fun FunはMartaline産駒の牝馬で、HurdleはこれでExeterのListedから連勝とした。NHFでは牝馬限定G2競走を勝利している実力馬だが、ひとまず牡馬・セン馬相手に重賞を勝利したことは今後に向けての収穫だろう。ただしレース振りからはここでの完成度の高さが生きた感もあり、6馬身差とはいえ格下の馬が多いことを考えるとあまり過大評価はできないものと思われる。好位から進めたMahon's Wayが2着だが、この馬はここまで重賞戦線では勝負にならなかった馬で、レースレベルは少し疑ってかかった方がいいかもしれない。Maidenを勝って人気を集めていたMirazur Westは大いに引っかかって3着。この競馬で大きく崩れなかったことを褒めるべきだろう。

 

Bar One Racing 'Extra Places At Cheltenham' Directors Plate Novice Chase (G3) 2m4f (Replay)

1. Tactical Move (IRE) J: Paul Townend T: Willie Mullins

第一障害でいきなり人気の一角Flanking Maneuverが落馬。そのまま前に行ったTactical MoveがJumping Jetを振り切って勝利した。

Tactical Moveは今年で10歳になるベテランだが、その実かなり長い休養を繰り返しながらレースを使っており、昨年の1月には1158日ぶりの実戦でMaiden Hurdleを勝利している。Hurdleはその1戦のみで、今年の1月に復帰するとChaseでここまで3戦2勝という成績を収めている。能力馬が今年にきてようやく順調にレースに出走できていることは喜ばしいことで、メンバー的に云々というところはあるのだが、とにかくこの馬に関しては順調にレースに出走できることがなによりだろう。2着のJumping Jetは前走Mares Handicap Chaseを勝った馬で、レース経験の多さを生かして頑張った。とはいえ単勝100倍のJacksons Goldが13馬身差の3着にいる辺り、レースの性質としてはお察しといったところだろう。

 

Pau (FR) Collant (4.5)

〇 Prix R. Chimits (Classe 3)

Steeplechase Pour chevaux entiers, hongres et juments de 5 ans et au-dessus, anglo-arabes, inscrits au Stud-Book anglo-arabes, nés et élevés en France, comptant au moins 12,5 % de sang arabe, n'ayant pas, depuis le 1er janvier de l'année dernière inclus, en steeple-chase, reçu 40.000 (victoires et places). 4000m (Replay)

1. Jaroussky (FR) (AC) J: Johnny Charron T: Lageneste & Macaire

好位から進めたJarousskyがJamailya以下を振り切って勝利した。Jarousskyはここまでアラブ系障害競走で強い競馬を見せてきた馬で、昨年12月のPauでの落馬を除けば7戦7勝と結果を残している。前走のPauでのPrix Jean Paul BrinというHaiesではサラブレッド及びAQPS相手に勝利を収めており、フランスのアラブ系障害馬としては今後が楽しみな存在である。今回は72kgとトップハンデを背負っていたがしっかりと勝ち切って見せた。Steeplechaseの飛越に関しては特段問題はなかったようで、引き続きその走りを楽しみにしたい。これに迫ったのが68kgを背負った牝馬Jamailya。Redington、Lizzanoと続いた。

 

Grand Cross De Mont-De-Marsan #3 TNC Haras Du Lion (Classe 1)

Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus. 4700m (Replay)

1. Saint Godefroy (FR) J: Felix De Giles T: Patrice Quinton

本来はMont-De-Marsanで行われるTNCの第3戦だが、今年はPauでの開催となったようだ。レースはHarmonie Roque、Gareth De Larachiなどが積極的に前に出ていくも、途中からSaint Godefroyが先頭に。さらに後方からBarcarolleが一気に進出し前を伺うも、これに抵抗したSaint GodefroyがIridia以下を振り切って勝利した。

Saint GodefroyはPauのCross Country Specialistで、今シーズンも例によってPauのCross Countryに参戦していた。Grand Cross de PauではHip Hop Contiに敗れたが、その能力がここではトップクラスであることは疑いようがなく、今回は全体的に前掛かりになるところを前々で張り続け、トップハンデを背負って後続を完封するのだから大したものだろう。LignieresのGrand Crossでは落馬に終わったIridiaが2着。この馬自身PauのCross Countryの経験はあるのだが、とはいえ実績的にはSaint Godefroyと比較するとやや格下で、今回は展開も味方につけての好走となった。上がり馬のRiskmanがあまり差のない3着。昨年はRostrenenのGrand Crossを勝利した牝馬Barcarolleは後方から積極的に仕掛けたが、最後はやや失速して5着。この馬自身はTNCの常連で、今年も元気そうなのは良いことだろう。唯一のアングロアラブとしての参戦となったGareth De Larachiはアラブ系Cross Countryでは結果を残してきた馬で、PauのCross Countryの経験を生かして積極的に勝負をかけたが、途中から脱落し7着に終わった。