にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

24/03/17 Weekly National Hunt / Jump Racing

3/11(月)

Stratford (UK) Heavy

Juvenile Hurdle (Class 3) 2m2f148y (Replay)

1. Roger (FR) J: Gavin Sheehan T: Richard Hobson

前々で運んだRogerがそのまま後続を突き放して勝利した。Rogerは元々スロバキアでデビューした馬で、スロバキアでは平地の下級条件戦を3戦するも4着が最高と結果を残すことはできなかったようだ。この馬はスロバキアからイギリスにやってきた経緯はRacing TVの記事にて紹介された通りだが、それにしてもいきなり結果を残すというのは大したものだろう。HeavyのJuvenile Hurdleということでだいぶ適性面での差がついた感があるが、イギリス障害馬としてはなかなか面白い存在で、この路線でどこまでやれるか楽しみにしたい。前走TauntonのClass4を勝ったPaul Nicholls厩舎のSwift Hawkが人気を背負っていたようだが、離れた3着に終わった。

 

3/12(火)

Fontainebleau (FR) Lourd (4.6)

〇 Prix De Nemours (Classe 3)

Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas reçu 20.000 en steeple-chases (victoires et places) depuis le 1er janvier de l'année dernière inclus. (Replay)

1. Grandgador (FR) (AQPS) J: Kilian Dubourg T: Lageneste & Macaire

レースは淡々と前で運んだGrandgadorがElcond'or Forlongeを振り切って勝利した。Grandgadorは先月のFontainebleauで復帰して2連勝とした。前回も同じくElcond'or Forlongeが相手というのは同じなのだが、長期の復帰を挟んで特段問題があるようなところもなく、ここでも航行能力の高さを示すレースを見せてくれた。順調であれば今後Crystal CupやTNCの各レースで楽しみにしたい一頭だろう。Elcond'or ForlongeはまたもやGrandgador相手に僅差の2着。Pauから転戦してきたGuenola Contiが3着で、Cross Countryの性質から考えるとPauよりはこちらの方がこの馬にとっては馴染みがあるもののように思われる。Little Winnerは積極的にGrandgadorに絡んで行ったが、最後は脱落して4着に終わった。

 

Warrnambool (AUS) Soft6

〇 Warrnambool Football Club Open Hurdle 

Handicap. Three-Years-Old and Upwards, No sex restriction. No class restriction. Apprentices can claim. 3200m (Replay)

1. Crosshill (IRE) J: Luke Dempsey T: Aaron Purcell

この日から始まったオーストラリアの障害競馬シーズン。レースは早々に前に行ったTeofilo StarがSerenade The Starsを巻き込んで落馬。Dr Dependableが前に行くも途中から前に出たCrosshillが後続を振り切って勝利した。

Crosshillは元々アイルランドで走っていた馬で、2022年のPunchestwon Festivalでの勝利もある。期待されてオーストラリアに移籍したものの昨年はGrand Annual Steeplechaseでの3着が最高と障害戦では勝ち星をあげられず、今年は再始動の年となる。ひとまず今季初戦を72kgを背負って勝ち切ったことは喜ばしいことだが、有力馬がこぞって落馬した結果、Open Hurdleではやや格下感のある2頭が相手となったということは留意すべきだろう。Teofilo StarのCampbell Rawillerは鎖骨骨折の疑いがあるそうで、やや波乱の幕開けとなった。

 

ACME Rural Supplies Open Steeple   

Handicap. Three-Years-Old and Upwards, No sex restriction. No class restriction. Apprentices can claim. 3450m (Replay)

1. Instigator (GER) J: William McCarthy T: Aaron Purcell

人気のNelsonがやや引っかかり気味に引っ張るも、途中から人気薄のWolfe Toneが接近しNelsonは後退。代わって前に出てきたInstigarotが追いすがるMighty Oasisを振り切って勝利した。3着にはPolice Campが入った。

Instigatorは遡れば2020年のJJ Houlahan Hurdleの勝ち鞍がある馬で、Steeplechaseはこれが初勝利となる。どうにも昨シーズンの段階でHurdleではやや頭打ち気味の成績であることがはっきりしており、10歳と高齢の馬がここに来て新たな可能性を見出すことが出来たことは喜ばしいことだろう。ただし直線ではかなり外に膨れるようなところがあり、結果的に降着にはならなかったものの入線後には審議が行われるレースであった。その煽りを食らったのが2着のMighty Oasisで、0.5kg差を考えればこちらを上に取るべきかもしれない。Police Campは後方から追い上げて3着と、比較的障害戦での経験が長い馬が上位を占めた。Nelsonはやや引っかかり気味に前に行ったが、途中から後続に接近されると脱落し、その直後に落馬に終わった。

 

3/16(土)

Uttoxeter (UK) Heavy

Midlands Grand National Handicap Chase (Premier Handicap) 4m2f8y (Replay)

1. Beauport (IRE) J: Jordan Nailor T: Nigel Twiston-Davies

Cheltenhamで絶好調のWillie Mullins厩舎からMr Incredibleが参戦していた。レースはMy Silver Liningが前に行く展開もこれにFarceur Du Largeが並んで前に出てくる。そのままレースは4マイル戦らしく淡々と進行するも、第12障害辺りから好位の外にいたBeauportが先頭に。やや右へと斜飛したBeauportを交わしてFarceur Du Large、さらにはMy Silver Liningが出てくるも、再度これを追いかけたBeauportがMr Incredible、My Silver Liningを抑えて勝利した。

Heavyでの4マイル戦だが途中棄権はIron Bridgeの1頭で、消耗戦というよりは道中はゆったりと流れるマラソンレース的な性質を持った内容となったようだ。BeauportはChaseではIntermediate Chase (Listed)以来の勝利とした。HurdleではSandownのEBF Novices' Handicap Hurdle Final (G3)という5月のレースの勝利があるのだが、Chaseでは重賞は初勝利とした。ただしどうにもChaseにおいてはある程度ゆったりとしたペースの方がいいようで、SandownのLondon NationalではTrukcers Lodgeの2着に入っているが、その後のClassic Chase (Premier Handicap)では途中棄権に終わっている。12st0lbのトップハンデを背負って2着に来たのがMr Incredibleで、2023年にはClassic Chase (Premier Handicap)でIwilldoitの2着のある実力馬である。あまりレースへの出走数が多くはないのだが、ピンポイントに大舞台で力を発揮しているようで引き続き注視したい。今シーズンはClassic Chase (Premier Handicap)の勝利、Grand National Trial (Premier Handicap)にてYeah Manの2着と好調の牝馬My Silver Liningが3着に入った。

 

3/17(日)

Down Royan (NI) Soft

〇 Bluegrass Stamm 30 Chase 3m2f50y (Replay)

1. Adamantly Chosen (IRE) J: Sean O'Keeffe T: Willie Mullins

後方から進めたAdamantly Chosenが残り2障害辺りで先頭に立つと、そのままRoi Mage以下を14馬身突き放して勝利した。Adamantly Chosenは2022年10月のBuck House Novice Chase (G3)以来の勝利とした。同シーズンはその後Faugheen Novice Chase (G1)やLadbrokes Novice Chase (G1)での2着はあるのだが、今シーズンはここまで不調の成績に終わっている。とりあえずここに来て24f超の競争にて結果を残したということは良いことで、どうやらAintreeにも登録はあるようだ。前に行った12歳のベテランRoi Mageはコンスタントに走っての2着。昨年はCompiegneのGrand Crossも勝利している実績馬で、今年も相変わらず元気そうだ。あまりフラットでのスピードのある馬ではないため最後突き放されるのは仕方がないだろう。人気になっていたClassic Getawayはやや案外な内容で、道中は先頭に立つ場面もあったもののそこから脱落しての3着で、せめてRoi Mage相手にはもう少し迫りたかったというところがある。

 

Auteuil (FR) Lourd (4.7)

〇 Prix Auricula (Inédits)

Haies Pour pouliches de 3 ans, n'ayant jamais couru. 3000m (Replay)

1. Sobriquette (FR) J: Ludovic Philipperon T: Marcel Rolland

James ReveleyのShika Du Berlaisがかなり積極的に引っ張るも、Sobriquetteが先に抜け出したKirakineを差し切って勝利した。SobriquetteはGoliath Du Berlaisの産駒で、Goliath Du Berlaisは今年初めてのAuteuilの3歳戦を勝利したことになる。Shika Du Berlaisがこの時期の3歳戦としてはかなり積極的に引っ張る中を中段で運んだ利はあったようだが、とはいえ同じような位置で進んだKirakineに対して直線ではいい伸び脚を見せており、このようなスピードの持続性能を有するのであればAuteuilへの適性もいいものを持っていそうだ。Muthathirの産駒であるKirakineが2着。Nikita Du Berlaisの産駒であるShika Du Berlaisは積極的に運んでの3着で、もう少し落ち着いて走ることが出来ればすぐに勝てるだろう。

 

〇 Prix Rush (Inédits)

Pour poulains entiers et hongres de 3 ans, n'ayant jamais couru. 3000m (Replay)

1. Nietzsche Has (FR) J: Ludovic Philipperon T: Marcel Rolland

Ghost Flightなどが比較的締まったペースを作るも馬群は密集して進行。先に抜け出したHermes Invictaを内からNietzsche Hasが差し切り勝利した。Nietzsche Has*1はZarak産駒の牡馬で、兄弟にはAuteuilでListed競走を勝利した実績のあるNiko Hasがいる。3歳のこの時期の未出走戦としてはなかなか締まったレースが作り出されているが、Zarakは既に種牡馬としてGalway Hurdle (G3)の勝ち馬Zarak The Braveを送り出しており、将来的にも面白い存在になりそうだ。Harzandの産駒のHermes Invictaが積極的なレースで2着。Mambonumberfiveという面白い名前の馬が3着。Pastoriusの牡馬Shine Silentlyが4着に入った。他に牡馬としてはDoctor Dinoの産駒のMaster D'Autanが出走していたが、こちらはNietzsche Hasと同じような位置から進めるもそこから脱落して大敗。Geroge Vancouverの牡馬Eliot Duanceも途中棄権。これが初出走となるNirvana Du Berlaisの産駒は2頭出走していたが、いずれもいいところなく終わった。

 

Grand Steeplechase Masters - Prix Troytown (G3)

 Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4400m (Replay)

1. Juntos Ganamos (FR) (AQPS) J: Felix De Giles T: David Cottin

Grand Steeplechase Mastersの第2戦。France Galopの広報はこのレースが終了して1時間以内にはプロモーション映像をXにアップロードしており*2、宣伝活動も頑張っているようだ。レースは例によって前に行くと思われたGallipoliにJuntos Ganamosが積極的について行く展開。Grandiosoなどもついて行くが早々に脱落。途中から前に出たGallipoliが逃げ込みを図るも、これにしっかりとついてきたJuntos GanamosがGallipoliに7馬身差をつけて快勝した。

Juntos Ganamosは昨年のPrix Ferdinand Dufaure (G1)を勝利した現5歳世代トップクラスの馬で、今年はこれが始動戦であった。Prix Maurice Gillois (G1)では人気を背負うも落馬に終わっていたのだが、今回はある程度積極的に前に行った影響か飛越も安定したものを見せていたようだ。どうにも昨年のレース振りから考えると飛越面でポカがあるところは不安要素だが、とはいえこれが解消されてきたのであれば間違いなく今後この路線でトップクラスの活躍を見せてくれる馬であろう。Grand Steeplechase Mastersの第1戦であるPrix Robert De Clermont-Tonnerre (G3)にて惜しくもJazz Manoucheの2着に入ったGallipoliが積極的に引っ張っての2着だが、内容的にはややJuntos Ganamosとの力差を感じさせる内容となった。昨年末にPrix Georges Courtois (G2)を勝利したGold Tweetは中段から足を伸ばすも3着まで。昨年のPrix Haye Jousselin (G1)の2着馬Gran Dioseもいたのだが、後方から進めるも特にいいところなく大敗に終わった。とはいえこのあたりの馬はいずれも今期始動戦で、ここを叩いて良くなって来ればといったところだろう。

 

Prix D'Indy (G3)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3600m (Replay)

1. Leon Du Berlais (FR) J: Gaetan Masure T: Arnaud Chaille-Chaille

Game of Storm、Losange Vert Bleuなどが前に行く展開もレースはゆったりと進行して馬群は密集。最終コーナーを回って外に張りだしたLosange Vert Bleuが抜け出すも、内から出てきたLeon Du BerlaisがLosange Vert Bleuを5馬身半突き放して勝利した。

Leon Du BerlaisはAuthorized産駒の牡馬で、Hurdleはこれが初勝利とした。3歳Haies路線でも積極的に重賞路線に出走していたのだが、5戦していずれもJigmeやMaster D'Ocの2着に終わっており、これが嬉しい初勝利となる。とはいえ昨年の時点でもレース内容としては負けて強しといったもので、ここまで勝てなかったのが不思議なくらいの馬だろう。Pauで結果を残してきたLosange Vert Bleuが見せ場を作って2着。11月のCompiegneのPrix General De Saint-Didier (G3)にてKaraktaの2着に入ったBon Garconが3着と、今回はだいぶのんびりとしたペースで進んだという展開面は考えた方がよさそうだ。Thelemeの半弟でこれがデビュー戦となるKloth of Utopiaは後方から脚を伸ばしての4着。Prix General De Saint-Didier (G3)の勝ち馬KaraktaやPrix Magalen Bryant (G2)の勝ち馬Kamsinea、CagnesのPrix Andre Massena (Listed)の勝ち馬Karthage、PauのPrix Camille Duboscq (Listed)の勝ち馬Game of Stormにも先着しており、やや展開的にはのんびりとした内容で、かつ今年のAuteuilの始動戦であったとはいえ、経験馬が揃ったここでこれだけ走れるということは今後には大いに期待してよさそうだ。Prix Cambaceres (G1)にて3着のKinglandはいいところなく途中棄権に終わった。AuteuilのClasse2を含めて3連勝で挑んで来たex-flat horseのKajaは第1障害で狭い位置に入っての落馬に終わった。