にげうまメモ

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24/03/31 Weekly National Hunt / Jump Racing

3/25(月)

Warrnambool (AUS) Soft5

〇 Dwyer Legal Maiden Hurdle

Set Weights. Three-Years-Old and Upwards, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. 3200m (Replay)

1. Okataina (NZ) J: Ross O'Sullivan T: Gai Waterhouse & Adrian Bott

元気に逃げたOkatainaがそのままリードを開くと、そのまま後続に9馬身差をつけて快勝した。ついて行ったGrand Promenadeは残り2障害で落馬に終わった。Okataina自身はこでは初のHurdle競走となる。平地ではMaiden勝ちのみだが、まだ4歳と若い馬で両馬場という条件もあったとはいえ良質なスピードを見せていた。後続はやや離れたが、Splendid Chap、Sir Peterと中段から追い上げた組が入ったことは前のペースを考えるうえで面白い材料だろう。前走同条件で2着に入ったTarn's Princeは好位から進めるも最後失速して4着。平地ではThe Lexus Bart Cummings (G3)での勝利もあるイギリス生産馬Grand Promenadeは期待されていたが、やや引っかかり気味に追走しており、残り2障害で落馬に終わった。

 

3/29(金)

Fontainebleau (FR) Lourd (4.6)

Grand Steeplechase Cross Country De Fontainebleau (Listed)

Cross Country pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus 6000m (Replay)

1. Travel De Balair (FR) J: Kilian Dubourg T: Lageneste & Macaire

レースは人気の一角Gasby Des Plancehesが前に行く展開で前半は隊列が長くなる。早々に落馬したIridiaが馬群に絡んでいくが、Cross Country Courseに入ったところで離脱。途中から前に出てきたElcond'or Forlongeがそのまま逃げ込みを図るも、その後ろから忍び寄ってきたTravel De Belairがこれを捉えて勝利した。Gap Pierjiが3着に入った。

Travel De Belairは昨年Craon及びSaumurのClasse 3を連勝してきた馬で、一線級でのレースはこれが初めてとなる。やや前半から空馬が前に絡んでいった影響で前にいたメンバーが苦しくなった展開利はあったようだが、とはいえまだ6歳とCross Country Horseとしてはかなり若い馬で期待したい。ただし前哨戦で強い競馬を見せていたGrandgadorが不在というメンバー構成もあり、レース水準には少し注意した方がいいかもしれない。Elcond'or Forlongeはこれで5戦連続となる2着となった。Felix De Giles騎手が上手く前にいたGap Pierjiを交わして前に出ていく技ありのレースを見せており、展開的なところを考えると実力的には勝ち馬と大差はないものと思われる。チェコのGap Pierjiは初のFontainebleauであったが健闘しての3着。ポーランドやイタリアのCross Countryでも実績はある馬だが、どうしてもペース的な問題で折り合いに苦労する面があり、かえってペースが流れるフランスのCross Countryの方が走りやすそうな印象がある。昨年CompiegneのGrand Crossで2着に入ったGasby De Planchesは前に行くも最後失速しての4着。実績的には格上の存在であったが、展開面を考えるとやや勿体ないレースとなった。Pauから転戦してきたHarmonie Roqueは終盤脱落しての6着で、さすがにそろそろお疲れかもしれない。

 

3/30(土)

Camden (USA) Good

The Carolina Cup. Sport of Kings Novice Hurdle Stakes

Two Miles and One Furlong over National Fences. $75,000 (Replay) (Facebook Live)

1. Abaan (USA) J: Bernard Dalton T: Kate Dalton

この週のアメリカはCamdenの他Blue Ridge PtP、Cheshireと3場開催と忙しい週となった。レースは大きめの流星が特徴的なThe Hero Next Doorが淡々と逃げる展開で、終盤からじわじわとペースを上げてついてきたL'Imperatorを振り切りにかかるが、後ろから出てきたAbaanがThe Hero Next Doorを捉えて勝利した。

Abaanはこれで昨年のMaiden、Foxbrook Champion Hurdleから3連勝とした。アメリカ障害競走では目地らしいアメリカ生え抜きの障害馬で、平地ではW. L. McKnight StakesというG3競走を勝利しているほか、Man o'War StakesというG1競走への出走もある。そのFoxbrook Champion HurdleでAbaanの2着に入ったアイルランド生産馬The Hero Next Doorが2着に入り、このあたりの組は現状のNovice Hurdleの上位勢として期待できそうだ。L'Imperatorがあまり差のない3着に入った。こちらは元々フランスでデビューした馬だが、アメリカ平地競争ではG2競走を勝利した実績もある。昨年10月にAllowanceを勝利してじわじわと力をつけてきたアメリカ生産馬Neotropicは早々に遅れ、1頭離された入線となった。

 

3/31(日)

Cork (IRE) Soft to Heavy

Bar One Racing Chase (G3) 3m (Replay)

1. Asterion Forlonge (FR) J: Sean O'Keeffe T: Willie Mullins

Lucid Dreamsとの2頭立てとなったマッチレースは途中から前に出たAsterion Forlongeが勝利した。Asterion Forlongeは昨年4月のRathbarry & Glenview Studs Hurdle (G2)以来の勝利とした。以前は24f ChaseのG1戦線を戦っていた馬だが2023年の春以降はHurdleを主に使っているようで、今シーズンはJohn Durkan Memorial (G1)を走るもその後はHurdleに参戦している。ひとまず今シーズンもLeopardstownのChristmas Hurdle (G1)でIrish Pointの2着に入るなど元気なようで、Cheltenhamでは大敗しているとはいえおそらくCheltenham向きというよりはだらだらとしたペースで走り続けるタイプの馬と思われるが、一方で今年既に10歳と年齢を重ねており、とはいえChaseでは飛越の怪しさがあったりとなかなか難しいところがありそうだ。昨年5月のMaiden Hurdleから使い詰めのLucid Dreamsはこれで3月は3回目の出走となるが、今回も頑張って走ってしっかりと完走したようだ。

 

Fairyhouse (IRE) Heavy

Honeysuckle Mares Novice Hurdle (G1) 2m4f (Replay)

1. Jade De Grugy (FR) (AQPS) J: Paul Townend T: Willie Mullins

つい先日第一仔の誕生が報じられたHoneysuckleの名前を冠した競走。レースはPatrick MullinsのFun Fun Funがやや後続を引き離してレースを進めるも、最終コーナーを回って後続が殺到。残り2障害で前に出たJetara、Spindleberryを捉えてJade De Grugyが勝利した。

Honeysuckleと同じ勝負服の馬の勝利ということでなかなか感慨深いレースとなった。Jade De GrugyはHurdleはこれで4戦3勝とした。CheltenhamのDawn Run Mares' Novices' Hurdle (G2)では期待を裏切る僅差の4着に終わっているが、今回は結果を残した。ここまでほぼ牝馬限定戦のみを使っており適性がまだわかりにくいところはあるのだが、とはいえ終いで力強く脚を伸ばしてくるレース振りはより厳しいレースになった際のパフォーマンスを期待させるものであった。ex-pointerのSpindleberryが2着で、Maiden勝ちのみの馬とはいえこちらも上がり目に期待したい。この中では経験豊富なJetaraが3着に入った。Leopardstownの名前の長い22f Novice Hurdle (G1)ではDancing Cityの3着に入った馬で、この馬を物差しにすれば上位馬には期待できそうだ。これがWillie Mullins陣営にて2回目の騎乗となるチェコの名手Pavel Složil騎手のA Penny A Hundredは下り坂を利して一気に進出するも、そこから前から置いて行かれての4着。とはいえこの不良馬場で行われたNoviceクラスの牝馬限定戦ではそれなりに厳しい消耗戦になったと想定され、かえって馬群の中で我慢を続けるよりは下り坂で強気に加速を掛けてしまった方が着順としては上に来ていたものと思われる。

 

Paddy Kehoe Suspended Ceilings Novice Hurdle (G2) 2m4f (Replay)

1. Captain Cody (IRE) J: Miss Jody Townend T: Willie Mullins

レースはChampagne Admiralが逃げるも残り3障害辺りでミスをして後退。代わって前に出てきたCaptain CodyがMossy Fen Parkを突き放して勝利した。

Jody TownendはPaul Townendの妹で、2020-21シーズンには女性アマチュア騎手部門のリーディングも獲得した才能のある騎手だそうだ。Captain CodyはこれでHurdleはMaidenから2勝目とした。Maidenを勝ったのちはNoviceの平場戦を使ってきたのみのようだが、ここでやや人気薄ながら結果を残した。Champion Bumper (G1)でも6着と頑張っていたようだが、ともかくここ数戦と比べるとやや大きな進捗が認められたこともまた事実で、このレースが本物であるかはもう少し見ておきたい。Maidenを勝ったのみのMossy Fen Parkが2着。Lyons of Limerick Jaguar Land Rover Novice Hurdle (G2)勝ちのあるLoughglynnが3着で、人気薄の馬が勝ったとはいえさほど評価を下げなくてもよさそうな感がある。妹が嬉しい勝利を挙げたPaul Townend騎手のAnotherwayは残り2障害地点で落馬に終わった。

 

Donogue Marquees Novice Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Mirazur West (IRE) J: Mark Walsh T: Willie Mullins

やや頭の高い走法で引っ張ったMirazur Westがそのまま勝利した。Mirazur WestはこれえでMaidenから2勝目とした。前走はKingsfurze Novice Hurdle (G3)でFun Fun Funの3着に入っているが、今回は結果を残した。ただし前走もどうにも扱いの難しさのようなところがあり、今回もマイペースでのんびり引っ張ったという利はありそうだ。2着以下が混戦であることを踏まえるとあくまで今回は展開利と考えた方が良いだろう。Handicap Hurdleでは長くなったKilbarry Saintが2着。あまり差のない3着にMaidenを勝ったばかりのWestern Diegoが入ったが、このあたりはあくまで展開一つだと思われる。

 

WillowWarm Gold Cup (G1) 2m4f (Replay)

1. Spillane's Tower (IRE) J: Mark Walsh T: Jimmy Mangan

レースはTactical Move、Zanahiyrが前に行き並んで引っ張る展開となるも、途中から外にいたThecompanysergeantが絡んでいく。この3頭が並んで直線に向くも、内から出てきたSpillane's TowerがTactical Moveを振り切って勝利した。Blood Destinyが3着に入った。

Spillane's TowerはPunchestownのG3に続き重賞は2勝目とした。前走は16f戦でBlood Destinyに敗れていたが、今回は距離を戻して結果を残したことになる。ただしCheltenham FestivalはスキップしているようでCheltenham組との力関係は未知数で、今回は全体にゆったりと流れつつロングスパートの勝負となるところを内で立ち回った利はあったものと思われる。10歳馬Tactical Moveが2着で、惜しくもG1勝ちとはならなかったものの、過去に1158日間の休養を経た馬のレースとしては素晴らしいものだろう。Paul Townend騎手のBlood Destinyは内から進めるも行き場をなくしての3着で、距離延長を警戒した可能性はありそうだが、とはいえ結果的にこの騎乗は失敗であったように思われる。

 

Auteuil (FR) Lourd (4.7)

〇 Prix Gergraphie (Inédits)

Haies Pour pouliches de 3 ans, n'ayant jamais couru. 3000m (Replay)

9. Light of Stars (FR) J: Ludovic Philipperon T: Mme Isabelle Gallorini

これがBandeの産駒として初のフランス障害戦となるLight of Starが出走していたが、じわじわと遅れ前から大きく離れた9着に終わった。栗毛の馬体が目立つ牝馬だが、全体的にもたもたとした飛越が目立っており、馬体や飛越の完成度を考えるとまだまだこれからの馬だと思われる。勝ったのはMasked Marvel産駒のOlympic Storyで、母にはPrix Ferdinand Dufaure (G1)にて3着のKapkilineを持つ良血馬である。半兄にフランス6fのG1で2着のあるTridentを持つNonoletaも出走していたがこちらは4着。Goliath Du Berlaisの産駒は2頭出走していたが、それぞれ3、6着に入った。

 

〇 Prix Grandak (Inédits)

Haies Pour poulains entiers et hongres de 3 ans, n'ayant jamais couru. 3000m (Replay)

1. Lovemec De Houelle (FR) J: David Gallon T: Arnaud Chaille-Chaille

中段から進めたLovemec De Houelleがじわじわと進出すると、直線を向いて前で叩き合いを続けるShokdorとLauthentykoの間を縫って勝利した。Lovemec De Houelleは最近しばしば見かけるBeaumec De Houelle産駒の牡馬で、半兄にはListedクラスで上位入線のあるGo For De Houelle等を有する。道中は前からはだいぶ離されたポジションを走っており、道中は飛越をミスしていたりとあまりレース振りとしては格好良くはないのだが、とはいえ終いまでしぶとく伸びてきたレース運びはなかなか今後に向けて面白いものであった。前々で元気よく運んだSeabhac産駒のShokdorが2着。Cokoriko産駒のVador Du Berlaisも勝ったLovemec De Houelleと同じ位置から伸びてきたが、最後の一押しのところで伸び負けての3着となった。

 

〇 Prix Virelan (Listed)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans, n'ayant, en courses de haies, ni gagné une course de Groupe III, ni été classés 2ème d'un Groupe II, ni 3ème d'un Groupe I. 3600m (Replay)

1. King Conti (FR) (AQPS) J: James Reveley T: Hugo Marienne

この時間帯から雷鳴が轟いて強烈な雨が降ってきたAuteuil。レースは前に行ったKing ContiがKibboutzとの叩き合いを制して勝利した。King ContiはこれでHaiesは前走のClasse2から連勝とした。今年の4歳Haies路線には早々に昨年の段階で種牡馬入りしたJigmeをはじめ牡馬が多く存在するが、この馬自身は既に去勢されている。昨年の段階では特段重賞戦線を走った実績はないのだが、新興勢力として楽しみにしたい一頭だろう。昨年の秋に2連勝を飾ったKibboutzが僅差の2着で、あまりこの2頭に差はなさそうだ。Masked Marvel産駒の牡馬Zephyr De Beaumontは離れた3着に終わったが、このレースに関しては馬場適性を考慮に入れた方が良いだろう。

 

Prix Fleuret (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. Karre D'As (FR) (AQPS) J: Mme Charlotte Prichard T: David Cottin

レースは例によってKarre D'Asがふらふらと前に行く展開で隊列はかなり長くなる。スタンド前の水壕でKilometre Illimiteが大きなミスをするも立て直す。ついてきたChanteur Du Bourgが後半のHaiesで落馬すると、そのままKarre D'asが後続に14馬身差をつけて勝利した。

Karre D'Asはこれで前走のPrix Duc D'Anjou (G3)から連勝とした。全体的にふらふらと前にいくレース運びは前走と同様だが、今回は前走の3500mから一気に1000メートルほど距離延長に対応したことは今後に向けての収穫だろう。かなり積極的に飛ばしていった前走と異なり今回はオーバーペース気味ということもなさそうで、なかなか実りのあるレースとなった。そのPrix Duc D'Anjou (G3)にて4着に入ったKentucky Woodが離れた2着。もったいなかったのがPrix Duc D'Anjou (G3)で僅差の2着に入ったChanteur Du Bourgで、道中の勢いとしては勝ち馬に迫るものを見せていただけに勿体ない落馬となった。水壕でFlorent Bayle騎手が驚くべきリカバリーを見せていたKilometre Illimiteはその後のBrookで落馬となった。

 

Lion D'Angers (FR) Tres Lourd (6.0)

〇 Prix Butterfly Du Mou (Classe 3)

Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus, n'ayant pas, en steeple-chase, depuis le 1er septembre de l'année dernière inclus, reçu une allocation de 11.000. 4500m (Replay)

1. Forza Conti (FR) J: Esteban Metivier T: Christophe Dubourg

Butterfly Du MouとはLion D'AngersのCross Countryで活躍した馬で、Anjou-Loire Challengeには5回出走し、2着2回、3着1回という立派な成績を残している。レースは好位から進めたForza ContiがHarry Brown以下を振り切って勝利した。Forza ContiはCross Country自体はかなり長い馬だが2023年のSegreのClasse4以来の勝利とした。それなりにメンバー的にはいい面々が揃っており今回は低評価であったようだが、Tres Lourd (6.0)の極端な重馬場が味方したものと思われる。途中から前に出てきたHarry Brownが2着。Pauから転戦してきたHello De Sivolaが3着。LignieresのGrand Crossで3着に入ったHermine Allenもあまり差のない4着で、ひとまずゆったりとしたペースでもこのLion D'AngersのCross Countryを経験したことはプラスだろう。12歳のベテランChez Pedroは積極的に進めたが、最後失速して5着に終わった。

 

Cheshire (USA) Good

〇 Allowance

FOR FIVE YEAR OLDS AND UPWARD. Three Miles On The Timber $20,000 (Replay)

 (Facebook Live)

1. Court Ruler (IRE) J: Freddie Procter T: Leslie Young

途中でおそらく馬群が見えなくなった影響で実況が途切れたりと長閑な雰囲気だが、一方で非常に起伏のある見ごたえのあるコースが設定されている。レースは早々に前に行ったCourt RulerがそのままRoyal Ruse以下を大きく突き放して勝利した。Court Rulerは昨年のPine MountainのAllowanceから2連勝とした。昨年もこのレースを制している馬でAllowanceでは崩れすに走っているようだが、一方でStakesクラスへの参戦歴はないようで、今後の参戦が期待される一頭だろう。Hat Trick産駒のアメリカ生産馬で、昨年Pennsylvania Hunt Cupを勝ったRoyal Ruseが最後追い上げて2着に来た。勝ち馬は深いブリンカーを付けてやや飛ばした感もあり、シーズン初戦としてはこれでよいだろう。番手から進めたFashion Lineは終い脱落して3着に終わった。