*Pardubice
129. Velká pardubická se Slavia pojišťovnou
Stcc - cena L - 6+ - 6900 m - 5 000 000 Kč
表はゼッケン番号、馬名(生産国、年齢)、騎手、斤量、調教師という順(なぜか行を追加できないので)。Delight My Fireだけが牝馬なので斤量は68.0kg。
なお、一昨年の勝ち馬No Time To Lose、一昨年の2着馬Urgent De Gregaine、Hegnus、Pareto、及びイギリスのVan Gogh Du Granitは残念ながら登録せず。
今年はスポンサーが変わったので少しだけレース名が変わりました。ちなみに日本では「ヴェルカ・パルドゥビツカ」と表記されることが多いですが、チェコ語の発音では「ヴェルカー・パルドゥビツカー」の方が正確です。チェコ競馬及びVelká Pardubickáに関する詳細は下記リンクから。チェコ競馬に関する情報の入手先や、中継サイトのリンクもあるので遊んでみてください。Countryの項のCzech Republic、またはPrinciple RacesのVelká Pardubickáのページをご覧ください。
昨年の結果。
1. Theophilos / ž. Josef Bartoš / Váňa st. Josef
https://www.pedigreequery.com/theophilos
日本でもちらほらその名前を見かけるElusive Cityの産駒。同馬は昨年もVelká Pardubickáの出走予定馬に名を連ねてはいたのだが、直前で無念のスクラッチに終わった。どちらかというと若い上り馬という立ち位置であった昨年だが、今年は5月のI. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL)こそトラブルがあったのか途中棄権に終わったものの、8月のCena Peruána (Stcc II. kat)は完勝、9月のIV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)はTalentの2着と、すっかりVelká Pardubickáに向けた路線ではお馴染みの一頭となっている。チェコの名伯楽で、ここにも多数の出走馬を参戦させているJosef Váňa調教師の管理馬だが、その中でもチェコを代表する障害騎手であるJosef Bartošを確保したことも勝負気配の高さを伺わせる。6月には3300メートルのČervnová cross country Válečníka (Stcc I. kat.)で2着に入り、短距離戦のスピードにも対応していることは強調できる内容。課題は初距離だろう。
参考:Cena Peruána (Stcc II. kat) 1着
2. Tzigane Du Berlais / ž. Jan Faltejsek / Tůma Pavel
https://www.pedigreequery.com/tzigane+du+berlais
欧州障害競馬ファンにはお馴染みのPoligloteの産駒。イギリスでJLT Melling Chase (G1)、Tingle Creek Chase (G1)を勝利した葦毛のPolitologueが良く知られているが、この馬もまたPoligloteの代表産駒として数えられる。
Tzigane Du Berlaisは昨年のVelká Pardubická (Stcc L)の勝ち馬。当時のパートナーであったJan Faltejsek騎手と共に連覇に挑む。今年の5月のI. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL)は古豪Hegnusの2着とさすがの実力の高さを見せたのだが、9月のIV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)ではどうにも走る気を見せず、前からはだいぶ離れた5着と大敗している。5月、9月と予選(Qualification Race)を2回走ってから本番に向かうローテーションは昨年と同じであり、昨年くらい走れば当たり前のように上位争いに食い込んでくる実力を持った馬なのだが、どうにも前走の大敗が気になるところ。
参考:128. Velká pardubická s Českou pojišťovnou (Stcc L) 1着
3. Rebelino / ž. Andrew Glassonbury / Urbánek Luboš
https://www.pedigreequery.com/ribelino2
Truth or Dareの代表産駒の一頭。Rebelinoは2015年のVelká Pardubická (Stcc L)の勝ち馬だが、同レースは1位入線のNikasが禁止薬物が検出されたため失格になった結果であり、Rebelino自身は実は2位入線である。その後は体調面・気性面での問題が払しょくできないらしく、2015年当時の走りを取り戻せずにいる。今年は3走も予選を走り、IV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)では4着と、久しぶりにまともな着順まで押し上げた。ただし上位のTalentとは10馬身ほどの差がついており、完全復活とまでは考えにくいといったところ。
参考:125. Velká pardubická s Českou pojišťovnou (Stcc L) 2位入線1着
4. Dulcar De Sivola / Borč Josef / Kovář Stanislav
https://www.pedigreequery.com/dulcar+de+sivola
父Assessorは2000年台にイギリスで活躍したMy Way De SolzenやReve De Sivolaをはじめ、Anibale Fly、Coo Star Sivolaなどを輩出しており、一定の成功を収めた障害種牡馬といえるだろう。ただしAssessor自身は2012年に死亡しており、Dulcar De Sivolaはその残った産駒の一頭となる。
Dulcar De Sivolaはフランスで6戦ほど走ったのち、2018年にチェコに移籍。フランスではNancyのSteeplechaseで勝利はあるものの、目立った実績はない。チェコに移籍してからもIII. kat及びII. katで入着があった程度の実績である。今年からはVelká Pardubickáの予選に参戦しており、II. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL)、IV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)といずれも完走しているが、いずれも上位からはかなり離された結果である。IV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)では途中から積極的に前に出ていき見せ場を作るも、最後は失速して大敗しているだけに、いきなりここでどうこうということは考えにくいだろう。Borč Josef騎手はこれが初のVelká Pardubická参戦となる。
参考:Cena města Pardubic (Stcc II. kat) 2着
5. Player / ž. Marcel Novák / Kvapilová Lenka
https://www.pedigreequery.com/player8
父Moonjazはイギリス産ながらチェコに輸出された種牡馬で、2014年のVelká Pardubickáで3連覇を狙った伝説的名牝Orphee Des Blinsを追い詰めたAl Jazなどを輩出している。Player自身は5歳限定戦であるCena Jana Kašpara (Stcc NL)を快勝して世代の頂点に立った馬だが、2018年はやや伸び悩み、2019年のCena Irakliona za podpory CRYSTAL GLAMOUR, a.s. (Stcc II. kat)で久々の勝利を上げていた。ここに出走していればおそらく人気を集めていただろう古豪Hegnusを下したという実績は大きいのだが、当時は3kgのハンデ差があったこと、どうにもHegnusの飛越のリズムが悪かったことを考えると、額面通りに受け入れられる内容ではないだろう。ただし、あえて追加登録してまで出走してきたという経緯は不気味である。勢いでどこまで。
参考:Cena Irakliona za podpory CRYSTAL GLAMOUR, a.s. (Stcc II. kat) 1着
6. Stretton / ž. Thomas Garner / Popelka Stanislav
https://www.pedigreequery.com/stretton2
父のHouse Rulesはアメリカ産馬。2008年のVelká cena města Pardubic - XVI.ročník - I.kvalifikace na Velká pardubická s Českou pojišťovnou (Stcc NL)を制し、この時期のチェコ障害路線を沸かせたAmant Grisをはじめ、チェコ競馬における活躍馬を送り出している。
Strettonは昨年のVelká Pardubickáの3着馬。もともとは5歳限定戦のCena Jana Kašpara (Stcc NL)の勝ち馬であるものの、一線級相手にはいまいちなレースが続いていたこともあり、当時はやや低評価であったが、それを覆す好走であった。今年はI. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL)、III. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL)と続けて4着。いずれも前とはやや離された結果だが、昨年はVelká Pardubickáで一気にパフォーマンスを上げたことを考えると、どうにも侮りがたい一頭である。
参考:Cena Arnošta z Pardubic – podporovaná Dopravním podnikem města Pardubic, a.s. (Stcc II. kat) 1着
7. Mazhilis / ž. Jan Kratochvíl / Váňa st. Josef
https://www.pedigreequery.com/mazhilis
日本にもわずかに産駒が輸入されているCountry Reelの産駒。元々はPardubiceのCross Countryではなく、イタリアMeranoのSteeplechaseを中心に走っていた馬で、イタリアSteeplechaseにおける最高峰であるGran Premio Merano (G1)を2016年に制覇した名馬である。2016年の同レースはイタリア・チェコのみならず、ドイツやアイルランドからも参戦馬を集めており、非常に国際色豊かでハイレベルなレースであった。その後も2017年のGrande Steeplechase D'Europa (G1)ではフランスの快速牝馬Stylineの3着に入るなど活躍を続けたが、ややイタリアSteeplechaseでは頭打ちとなり、2018年からはPardubiceのCross Countryに参戦してきている。Cross Countryの経験自体は4戦と少なく、現時点では2~3着続きで未勝利と実績を残せてはいないが、イタリアでの実績が示す通り能力は高いものを持っている。どうやら瞬間的なスピード能力よりも、ハイペースになった際の追走能力が高い馬のようで、いまいち勝ち切れないのは仕方がないところ。IV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)ではTalentの3着に入り、10歳となった現在、このクラスでも戦えることを示した。おそらくこの馬の性質的に距離延長は歓迎材料。Gran Premio Merano (G1)を制覇した際の鞍上であるJan Kratochvílを確保してきた。興味深い一頭である。
8. Ange Guardian / ž. Jiří Kousek / Váňa st. Josef
https://www.pedigreequery.com/ange+guardian
ドイツ産馬。父のBanyumanikの産駒はどちらかというと平地の方が出走は多いようだが、さほど活躍馬は見当たらない。障害でもイギリスにて計8勝を上げたBoccianiが目立つ程度である。
Ange Guardianはとにかく顔がいい。とにかく顔がいい。大事なことだから2回言いました。Ange GuardianはもともとLysá nad Labem競馬場で頭角を現してきた馬であったが、2016年のVelká PardubickáはCharme Lookの2着に入り、一躍チェコCross Country路線の中心的な一頭となった。2018年はII.kval. Na VP - Memoriál Mjr M.Svobody (Stcc NL)、IV. kvalifikace na 128. Velkou pardubickou s Českou pojišťovnou (Stcc NL)と予選を連勝し、Velká Pardubickáの中心的な存在として本番を迎えるも、良馬場のスピード勝負に苦しみ6着に敗れた。巻き返しを狙う今年は、5月のCena města Pardubic - Úvodní Cross Country Koroka (Stcc I. kat)を快勝すると、II. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase – Memoriál Mjr. M. Svobody (Stcc NL)、III. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL)と連勝し、3戦3勝でここに挑んできた。前半は後方から構えつつも、じわじわと捲り上げていくレース運びは既に板についており、今年は11歳とやや年齢を重ねているにも関わらず、ここまでキャリアハイのパフォーマンスを見せてきている。実績が示す通り、間違いなく中心的な一頭として期待される馬だろう。ただし前走のIII. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL)では逃げたBridgeurがSteeplechase Courseに入ったあたりから一気にギアを入れたためやや勝負所で押し上げていくのに苦労する場面が見られた。本来平地のスピードに秀でた馬ではないだけに、ペースの推移によっては動ききれない可能性があることは注意しておいた方がよさそうだ。
参考:III. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL) 1着
9. Sztorm / ž. Marek Stromský / Wroblewski Grzegorz
https://www.pedigreequery.com/sztorm
ポーランド産馬。父Enjoy Planはアメリカ産馬だが、現在はチェコで繋養されているらしい。Enjoy Planは種牡馬としては、2003~2007年のイタリア障害にて活躍し、Gran Premio Merano (G1)、Grande Steeplechase Di Milano (G1)を勝利したKoloradoを送り出している。現役馬の中ではSztormがその代表格といったところ。母系はポーランドにおいて脈々と続いている血統である。
Sztormは主にポーランドで走ってきた馬。一昨年のGrande Steeplechase D'Europa (G1)では、フランスから参戦した快速牝馬Stylineに対して2着と好走。Stylineはその優れた運動能力を武器に早いテンポの飛越で圧倒するタイプの馬で、Stylineのペースについて行くことが出来たのは、当時のイタリア最強馬MazhilisとこのSztormだけであった。どうやらこの経験がSztormにとって良かったようで、昨年はポーランドWroclawにて、ポーランド最大のSteeplechase競走Wielka Wrocławskaを含む3連勝を上げ、文句なしにポーランドSteeplechaseの最強馬として君臨した。今年はPardubiceのII. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase – Memoriál Mjr. M. Svobody(Stcc NL)にてAnge Guardianの2着に入り、出走権利を得た。連覇を狙ったWielka Wrocławskaでは途中トラブルで棄権しているが、ここに出走があったということはさほど心配しなくてもよいのだろう。ポーランドでは抜群の機動力を武器に他を圧倒してきた馬。現時点でチェコCross Country最強クラスのAnge Guardianに迫った能力はここでも通用する可能性を秘めたものである。非常に興味深い一頭。
参考:Wielka Wrocławska 1着、Grande Steeplechase D'Europa (G1) 2着
10. Zarif / ž. Thomas Boyer / Váňa st. Josef
https://www.pedigreequery.com/zarif3
父Observatoryは、イギリスの名馬Twice Overを出した馬といえば日本のファンにもなじみがあるかもしれない。Zarifは今年で12歳となる古豪で、Templářと並び出走馬中最高齢である。Velká Pardubickáは今年で6年連続の挑戦であり、2014年は6着、2015年は2着、2016年は3着、2017年は4着、2018年は4着と、いずれも勝負圏内に食い込んできている大ベテランである。その卓越した飛越技術と安定したレース運びはPardubiceを中心に使ってきた障害馬として、既に完成の域に達している。しかし今年はII. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase – Memoriál Mjr. M. Svobody (Stcc NL)ではやや前とは離れた4着、昨年は安定したレース運びで他を圧倒したCena Peruána (Stcc II. kat)では大敗と、この馬の全盛期のパフォーマンスから考えるとどうにも物足りないレースであった。12歳とやや年齢を重ねていることを考えると、そろそろ年齢的なものが出始めているのかもしれない。
参考:Cena Peruána (Stcc II. kat) 1着
11. Vandual / ž. Lukáš Matuský / Štangel Marián
https://www.pedigreequery.com/vandual
スロバキア産馬。Dancing BraveやWhite Muzzleの系統でお馴染みのLyphardの孫で、カナダにて3回ものSovereign Awardsを獲得した名馬Rainbows for Lifeの産駒である。Rainbows For Lifeは種牡馬として大成功を収めており、1999年のチェコダービー・スロバキアダービーを制したRay of Lightをはじめ、Heretic、Monolitなどの後継種牡馬を送り出すことに成功しているようだ。しかし、なんといってもRainbow Of Lifeの代表産駒は、2007、2008とVelká pardubickáを連覇した名牝Sixteenだろう。Rainbow Of Lifeの産駒はまだわずかに現役馬が残っており、Vaundualの他にSixteenの全弟Sixtysevenなどがいる。
VandualはさかのぼるとスロバキアのSaint Leger (Rovina L)を勝利した馬。Cross Countryの実績は2015年にCena Komerční banky (Stcc II. kat)を勝利したのが目立つ程度だろうか。Velká Pardubickáは昨年に続く参戦だが、昨年は前とは大きく離された8着に終わっている。2年間の休養の影響もあったのか、予選においても全く勝負に加わることが出来なかった昨年と比較して、II. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase – Memoriál Mjr. M. Svobody (Stcc NL)にて3着に入った今年の方が前進は見込まれるのだが、さすがに昨年のレース振りを考えると少々厳しいものがありそうな印象である。
参考:Cena Komerční banky (Stcc II. kat) 1着
12. Templář / Jan Odložil / Novák Antonín
https://www.pedigreequery.com/templar11
父系としてはLorenzaccioを経たClarionの系統で、AhonooraでもLuthierでもなく、チェコに輸出されたと考えられるLorencioの子孫である。父のVaraderoはチェコで走った馬だが、目立った成績はなく、1997年のVelká pardubickáも走っているが落馬に終わっているようだ。チェコのデータベースにすら産駒は合計4頭しか引っかからないのだが、Most競馬場を中心に、キャリアにおいて障害を13勝したAlberto、Netolice競馬場のCena Jihočeského krajeを勝利したCinderellaという牝馬、そしてこのTemplářというなかなか濃いメンバーを送り出しており、Cinderellaを経て血統が繋がっているのかもしれない。
日本人的には最後の"ář"で尻込みしてしまうのだが、要するに"テンプラーシュ"みたいな発音になる。チェコ語の"ř"の発音は超難しいので興味がある人はググってください。Velká Pardubickáはこれが5回目の出走となる12歳のベテラン。2016年のII. kvalifikace na 126. Velkou pardubickou s Českou pojišťovnou - Memoriál Mjr. Miloše Svobody (Stcc NL)を勝った実績はあるのだが、どうにも有力どころが落馬に終わった上に、ゆったりとレースが進行した結果の番狂わせといった内容で、実際にその後の一線級相手とのレースはどれも勝負に加わることなく敗れている。スローペースの先行馬のため距離延長自体は歓迎なのだが、今年もIII. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL)で権利は得るも、前とは大きく離された最下位に終わっており、12歳という年齢を考えるとさすがにここは厳しいだろう。
13. Rathlin Rose / ž. James Best / Pipe David
https://www.pedigreequery.com/rathlin+rose
父のBonbon Roseの代表産駒としてはCelebration Chase (G1)にてSire De Grugyの2着に健闘したPepite Roseが上げられるだろうか。イギリスからの参戦馬はCharlir Mann調教師が送り込んできた2014年のLambro以来となる。Rathlin Roseはイギリス重賞では目立った実績はないのだが、C2のVeterans' Chaseで主に活躍する馬で、飛越技術自体は高いものをもっている。ただし、国内でCross Countryの参戦歴はなく、いきなりPardubiceの生垣タイプの障害等、イギリスSteeplechaseでは使用しないタイプの障害に対応できるかは未知数といったところ。David Pipe調教師は今年に入ってWaregemのING Grand Steeplechase De FlandresにVan Gogh Du Granitを送り込むなど積極的に海外遠征を敢行しており、何かしらの対策は取ってくると思われるのだが。イギリスのJames Best騎手は昨年に続きこれが2回目のVelká Pardubickáへの参戦となる。このコースは慣れない騎手にとっては非常に迷いやすく、ましてやイギリスのSteeplechaseのような単純なコースと比較するともはや迷路のようなものなのだが、James Best騎手は対応できるだろうか。
14. Beau Rochelais / ž. Alexandre Orain / Olehla Čestmír, MVDr.
https://www.pedigreequery.com/beau+rochelais
父Goldneyevはアメリカ産馬だがフランスで繋養されている種牡馬で、イギリスAscot Chase (G1)やMaghull Novices' Chase (G1)勝ちのある悲運の名馬Balder Success、フランスPrix Georges Courtois (G2)勝ちのあるAl Bucq、Prix Duc D'Anjou (G3)を勝利したWinneyevなどを送り出している。Beau Rochelaisは今年の9月までフランスで走っていた馬で、チェコ移籍直後にも関わらずここに追加登録してきて話題になった。フランス国内で目立った重賞実績はないものの、SteeplechaseやCross Countryを中心にコンスタントに入着を繰り返している。どうやら後方から押し上げていくタイプの馬のようで、初のPardubiceのコースということを考えると戦術自体は合うだろう。Alexandre Orainはフランスの障害騎手。同馬とはフランス時代にコンビを組んでいた騎手だが、Pardubiceは初めての参戦となる。
15. Delight My Fire / ž. Sertash Ferhanov / Bodlák Radim
https://www.pedigreequery.com/delight+my+fire2
フランス産の牝馬。父のWay of Lightはかつて日本でも繋養されており(2005年の種付けを最後に輸出)、2004年の小倉2歳Sに出走したニホンピロザブラウなどを輩出している。産駒のニホンピロザブラウ、ブルーポラリスなどは日本の障害戦にも出走しており、不思議な縁もあるというものだ。輸出先のフランスをはじめ、イギリスやチェコ などでも産駒が走っている気配はさっぱりであり、Delight My Fireが代表産駒になるのだろう。
Delight My Fireは積極的に国外遠征に挑戦してきたチェコの牝馬で、2015年と2017年にはポーランドWielka Wrocławskaで勝利を上げているほか、2017年のイタリアGrande Steeplechase di Milano (G1)では僅差の3着、さらにフランスGrand Steeplechase Cross Country de Fontainebleau(8着)、イギリスGlenfarclas Cross Country(落馬)と、各地を転戦してきた経歴がある。近年のチェコ障害競走において、その可能性を国外で試し続けた歴戦の牝馬である。2017年のVelká Pardubickáでは不良馬場の厳しい展開を3着まで踏ん張り、地力があることを見せつけている。Velká Pardubickáはこれが3回目の挑戦となる。以前は軽快な先行力を武器に戦ってきた馬だが、今年のII. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase – Memoriál Mjr. M. Svobody (Stcc NL)では大敗しており、その後のWielka Wrocławskaでも見せ場を作れずと、どうにも年齢的な衰えが推測される。単にズブくなっているだけなら良いのだが、ここのところのパフォーマンスからはどうにも推しにくい。
参考:36. Velká slušovická steeplechase cross country Zlínského kraje (Stcc I. kat) 1着
16. Tiep De L'Est / ž. Martin Cagáň / Cagáň Ján, Ing.
2018年まではフランスのCross Countryを走っており、NancyのSteeplechaseを含め2勝を挙げた馬。現在はスロバキア調教馬のようだ。今年からスロバキアに移籍するも、初戦の46. Jarná cena Petržalkyでは地元の強豪Summer Hillからはだいぶ遅れた3着、その後のPardubice2戦ではいずれも飛越にもたつき大敗と、いまいち良いところを見せていない。II. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase – Memoriál Mjr. M. Svobody (Stcc NL)ではとりあえず完走は果たして権利はとったものの、細かいミスも多く、今後に繋がるパフォーマンスかと言われるとやや苦しいところ。常識的に考えればかなり厳しいと言わざるを得ない。なんとか今後に繋がるレースをして欲しいのだが。
参考:Prix Du Printemps 1着
17. Bridgeur / ž. Jaroslav Myška / Myšková Štěpánka
https://www.pedigreequery.com/bridgeur
父VendangeurはGalileo、Sadler's Wells、Nothern Dancerの直系。代表産駒としては、イギリスのMerseyrail Manigesto Novices' Chase (G1)を制したArzalが目立つのみで、あまり活躍馬は多くはないようだ。
Bridgeurは未勝利馬だが、おそらく展開のカギを握るという点で気をつけなければいけない一頭である。2017年のVelká Pardubickáでは不良馬場にも関わらず前半から積極的にぶっ飛ばし、結果的には途中から動いたフランスのUrgent De Gregainに潰されたものの、最後はフラフラになりながらも完走を果たした。2018年のVelká Pardubickáでもペースを握り、どうにも平地の脚は遅いだけに最後は遅れたものの、なにげに7着まで残っている。今年はフランスFontainebleauのCross Countryを使ったのち、III. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL)で3着に残りここに挑んできた。同レースでは以前のような玉砕的な逃げは影を潜め、勝負所からじわじわとペースを上げて行く技ありの逃げを作りだし、後方からレースを進めたAnge Guardianを苦しめることに成功している。フランスFontainebleauで走ることで、明らかに以前と比べて前進が見られる。どうにも平地の脚が遅いタイプなだけに、勝ち切るとなると少々厳しそうな印象もあるのだが、この馬のことをよく知っているJaroslav Myška騎手が手綱を握る逃げ馬ということで、おそらく注意しなければいけない一頭だろう。
参考:III. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL) 3着
18. Talent / ž. Leighton Aspell / Kabelková Hana
https://www.pedigreequery.com/talent10
父のEgertonはドイツ産馬で、ソングオブウインドやアドマイヤメインが参戦したHong Kong Vase (G1)にも出走していた馬といえば少しは馴染みがあるかもしれない。現在はチェコで繋養されているらしい。Talentはおそらく今年一番の上り馬。Grande Steeplechase di Roma (G3)を勝利するほどの飛越技術を持った馬で、2018年にはI. kvalifikace na 128. Velkou pardubickou s Českou pojišťovnou (Stcc NL)にてAnge Guardian、No Time To Loseなど、当時の一線級を下して勝利していたのだが、その後1年近い休養に入っていた。ようやく復帰が叶ったのが今年の9月で、IV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)ではTheophilos以下を完封する快勝劇を見せている。秘めた能力という意味では非常に楽しみな一頭。鞍上にはイギリスのGrand National Winning JockeyであるLeighton Aspellを配してきた。その技術は言うまでもなく障害競馬の一流国であるイギリスでも最高レベルのものを持っており、その手綱さばきが注目される。なお、昨年Leighton AspellがPardubiceに参戦したときは、なぜかIrish Bankでやたらと落馬していたのだが、今年は果たして。
参考:IV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL) 1着
19. Chicname De Cotte / ž. Jordan Duchene / Vítek Pavel
https://www.pedigreequery.com/chicname+de+cotte
父Nicknameは2000年台初頭にフランス・アイルランドで活躍した障害馬で、Dial-A-Bet Chase (G1)、Prix Renaud Du Vivier (G1)、Prix Alain Du Breil (G1)などの勝利がある。代表産駒としては女性騎手Bryony Frostを背にRyanair Chase (G1)を勝利したFrodonが挙げられるだろう。Chicname De CotteはNicknameのフランスにおける産駒としては比較的成功した部類で、PauのCross Countryを含む2勝を上げ、Grand Cross De Pau Reverdy (Listed)にも参戦している。今年の5月からチェコに移籍し、PardubiceのCross Countryを2戦しているのだが、いずれもどうにも飛越のリズムが悪く、今のところ期待されたパフォーマンスを見せることはできていない。Pardubiceの障害に慣れてくればもう少しやれていいとは思うのだが、現時点では強調材料に乏しいというのが現状だろう。
参考:III. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou steeplechase (Stcc NL) 5着
20. Krocoleon / Lukáš Sloup / Poles Pavel
https://www.pedigreequery.com/krocoleon
Pardubiceのみならず、チェコ各地やポーランドと転戦しているタイプの馬。現時点でチェコ国内Cross Countryでは未勝利であり、Cena Peruána (Stcc II. kat)にてTheophilosの2着が目立つ程度である。ポーランドSteeplechaseでは勝ち星があるようだが、当時のメンバーはポーランドSteeplechaseにおいてもやや一流とは言い難いものであり、Pardubiceと異なりスピードを出しにくいWroclawのコースを踏まえても、Pardubiceへの外挿性には乏しいというのが正直なところ。ひとまず前走のIV. kvalifikace na 129. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)を完走することで権利は取ったのだが、勝ったTalentとはだいぶ遅れた6着で、いまいち勝負に加われたとは言い難い。初距離、相手関係と課題は多く、さすがに厳しいだろう。
参考:Nagroda Zamknięcia Sezonu Przeszkodowego 1着
21. Mahony / ž. Niklas Lovén / Popelka Stanislav
https://www.pedigreequery.com/mahony2
父Look Honeyはもともとフランスで活躍した馬だが、現在はチェコで繋養されており、2010年にはチェコのリーディングサイアーにも輝いているらしい。Mahonyは昨年のCena Labe (Stcc L)で未勝利馬がならフランスのUnbrin De L'Isleなどを抑えて驚きの勝利を上げた馬。ただし、今年に入っての予選では相変わらずいまいち勝負に加われていないだけに、Cena Labe (Stcc L)での勝利はどうにも信頼しにくいものがある。Cena Labe (Stcc L)にはフランス調教馬が数頭参戦していたものの、他の地元勢がいまいち手薄であったという可能性も考えられる。スウェーデンの名手Niklas Lovénを確保できたことは大きいのだが、やはり課題は相手関係だろう。
参考:Cena Labe (Stcc L) 1着