にげうまメモ

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19/12/27 National Hunt Racing

*Kempton Soft (Heavy in places)

Wayward Lad Novices' Chase (G2) 2m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-12-27/kempton/557742/ladbrokes-wayward-lad-novices-chase-grade-2

過去Altiorをはじめ、Dodging Bullets、Simonsig、Sprinter Sacre、Cyrnameといった非常に素晴らしい活躍を見せた馬がこのレースを制している。人気を背負っていたのはフランスからの移籍馬Fanion D'Estruvalであったが、前半から果敢に飛ばしたGlobal CitizenがRouge Vifなどの追い上げを凌いでそのまま逃げ切り勝ちを収めた。Grand Sancy、Al Dancerと続いた。Fanion D'Estruvalは5着。

早々に脱落したEditeur Du Giteを残して5着まではかなり密集している。Global CitizenはChaseは初勝利とした。HurdleではThe New One Hurdle (G2)勝ちのある馬だが、どうやらかなり前向きな気性のようで、今回もかなり前半から行きたがって走る部分を見せていた。ハナに行かないと良さを発揮できないタイプのように見えるが、少なくともこれだけ引っかかって最後まで逃げ足が衰えなかったパフォーマンスは高く見積もっておかなければならないだろう。ただしKemptonは平坦でスピードの生きる競馬場であり、これが異なる条件でのレースとなると同じレースができるかはやや疑問である。Rouge VifはWind Surgery明けであったが2着まで来た。Grand Sancy、Al Dancerは前評判は高い馬なのだが、ここまで期待された走りはできていない。フランスで3勝を上げたFanion D'Estruvalは途中からややペースについて行けない場面があった。おそらく距離を伸ばした方がいいだろう。

 

Desert Orchid Chase (G2) 2m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-12-27/kempton/557744/ladbrokes-desert-orchid-chase-grade-2

Altiorが出るとか出ないとかいう話はあったが結局出走はせず。スタート直後はCaid Du Linがハナに行くも、途中から先頭に立ったBun DoranがDuc Des Genievresの追い上げを凌いで勝利した。Sceau Royal、Capelandと続いた。

Bun Doranは重賞初勝利とした。どちらかというとC2辺りでトップハンデを背負って勝ち負けに加わり、G3クラスでも戦えるといった立ち位置の馬。今回は途中からハナに行き、持ち前のスピードの持続力を生かす競馬に終始できたことが大きかった。Arkle Trophy (G1)の勝ち馬Duc Des Genievresは今シーズンに入ってからの競馬はいまいちで、期待された走りはできていない。終始勝ち馬を見ながら馬群の中でレースを進めていたが、Cheltenhamでの走りを見る限りでは、おそらく強気に馬を動かしていった方がいいタイプだろう。Henry VIII Novices' Chase (G1)の勝ち馬Sceau Royalは3着まで。ペースが流れた時の耐性はないようで、どうにもNoviceクラスでの走りから考えると物足りない内容である。AscotでC2を圧勝してきたCapelandは伸びきれず4着に終わった。

 

*Chepstow Heavy (Soft in places)

Coral Final Juvenile Hurdle (G1) 2m11y

https://www.attheraces.com/racecard/Chepstow/27-December-2019/1335

霧が出ていて馬場は見るからに掘れていて、なかなか異世界感のあるChepstow競馬場である。レースは前半からやや行きたがって逃げたAllmankindがそのまま勝利した。アイルランドのCerberusが2着。

AllmankindはこれでHurdleは3戦3勝とした。前走Cheltenhamにて強力なフランス移籍馬を下してきた走りは本物だったようで、2着のCerberusが最後までスプリントをかけているところでのこの着差はやはり評価しなければいけないだろう。飛越に関してはやや未熟な面も見られた。FairyhouseでA Wave of the Seaを下してきたCerberusが2着で、そのA Wave of the Seaを35馬身ぶっちぎったAspire Towerがアイルランド筆頭格といったところで、Allmankindとの対戦が楽しみになる内容であった。

 

Welsh Grand National Handicap Chase (G3) 3m6f130y

https://www.attheraces.com/racecard/Chepstow/27-December-2019/1450


霧がなかなか晴れず、先ほどのJuvenile Hurdleと同様に異世界感のある中でのWelsh Grand Nationalとなった。これだけ起伏のあるコースに強烈な重馬場、そして3m6f130yという長距離、せいぜいクラシックディスタンスまでの距離を、走りやすく綺麗に整備された平坦な馬場において、猛時計で駆け抜けることが要求される日本競馬からは最も遠いところにあるレースの1つである。

レースはThe Two AmigosとYala Enkiが逃げる展開。これを追いかけてPotters Corner、Truckers Lodge、さらにElegant Escapeなど。Now Mcgintyは中段の外、West Approachは例によって後方に構える。レースは大きなアクシデントなく淡々と進み、残り4障害辺りから各馬が一斉にスパート。その中から抜け出してきたPotters CornerがTrukcers Lodgeを抑えて勝利した。Yala Enki、Prime Ventureなどが続いた。Elegant Escapeは6着まで。

Yala Enkiは本来もう少し前に押していこうと思えばペースを上げて引っ張ることが出来る馬なのだが、今回はペース配分に長けたCharlie Deutsch騎手ではなく、癖馬をスムーズに走らせることのできるBryony Frost騎手へと鞍上が変わっている。C3の重馬場にて前に行くタイプであるThe Two Amigosと並んで引っ張ったということもあり、結果的には比較的スローペースで流れ、各馬比較的余裕を持って最後の直線へと向いている。一方で、このような重馬場で行われることもあって後方に構えると余計な動作を要求されるために脚を使わされ、さらにレース展開の中で押し上げるタイミングもないということも相まって、上位勢はほぼ好位から進めた馬が占める結果となった。

Potters Cornerはウェールズ地方の調教馬で、なかなか嬉しい結果となった。謎にフランスに移籍してAuteuilに参戦していたりと経緯は不思議なところもあるのだが、Midlands Grand National (Listed)にてMs Parfoisを下した持久力はさすがに高いものがあった。経歴を見れば重馬場をより得意とするタイプだろう。Trukcers LodgeはNovice馬なのだが2着まで迫った。勝ち馬とはほぼ動き出しの差だろう。Yala Enkiも自分のレースをしており、今回の条件はこの馬にとっては理想的なものであった。Prime Ventureは上位勢の中では比較的後方に位置していた馬で、勝負所でややミスがあった。逃げたThe Two Amigosは最後やや根負けする形での5着で、これは逃げていた馬にはよくありがちな下がり方である。昨年の勝ち馬Elegant Escapeは内に入っていまい全く動けずに終わった。とにかく加速が遅く、スプリントをかけても不格好なストライドを伸ばして走る馬だけに、外々を回ってスムーズに加速を掛ける必要があるのだが、残念ながら今回の騎乗はこの馬の良さを完全に殺すものであった。不良馬場にタフなコース、超長距離と、この馬にとっては絶好の条件であったのだが、今回は残念な結果になってしまった。

 

*Leopardstown Soft (Soft to Heavy in places)

Paddy's Rewards Club 'Loyalty's Dead, Live For Rewards' Chase (G1) 2m1f

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-12-27/leopardstown/557323/paddys-rewards-club-loyaltys-dead-live-for-rewards-chase-grade-1

Great Fieldが逃げるかと思いきやこれを制してCadmiumがハナに。好位からChacun Pour Soiなど。最後の直線に向いてChacun Pour Soiが抜け出すかと思いきや、馬群を抜け出してきたA Plus Tardが一気に先頭に立ち、そのままChacun Pour Soiを3馬身ほど突き放して勝利した。Ordinary Worldが3着。

A Plus TardはCheltenham FestivalにてClose Brothers Novices' Chase (Listed)を圧勝してきた馬。距離延長は案外うまくいかなかったようだが、距離を短縮してかえってパフォーマンスを上げてきた。ある程度スピードに乗せて追走させつつ、持続的な脚を繰り出すタイプで、レース内容を見ているとおそらく16~20fが守備範囲となるのだろう。Ryanair Novice Chase (G1)の勝ち馬Chacun Pour Soiは2着まで。経験の少ない馬だが飛越技術は安定しており、持っているポテンシャルの高さは相当なものがある。Ordinary Worldは例によって物凄い勢いで上がってきたのだが、これまた例によって最後まで脚が続かないのもこの馬の特徴である。連覇を狙った12歳馬Simply Nedは4着だが、今回はどうにもレース運びが微妙であった。

 

Paddy Power Future Champions Novice Hurdle (G1) 2m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-12-27/leopardstown/555605/paddy-power-future-champions-novice-hurdle-grade-1

似たようなレースがたくさんあるのでわかりにくい。レースは好位から進めたAbacadabrasがHeven Help Usを8馬身ほど突き放す勝利。Embittered、Blue Sariは遅れた。

AbacadabrasはHurdleは4戦3勝とした。前走のRoyal Bond Novice Hurdle (G1)ではEnvoi Allenに逃げ切り勝ちを許していたが、どちらかというとレース運びの差といった印象で、持っている能力の差ははさほどなさそうな印象であっただけに、ここは負けられない一戦であった。内容は見た目通りの完勝だろう。Heven Help Usは格下の馬だが強敵相手によく食い下がった。Champion Bumper (G1)にてEnvoi Allenの2着に入ったBlue Sariはさっぱり良いところなく大敗したが、どうにも苦しくなってそのまま根負けしたような負け方のように見える。