*障害競馬回顧 2021/07/12-2021/07/18
7/16(金)
South Canterbury RC @ Phar Lap Raceway (NZ) Heavy10
〇 Harold Pateman Hurdles RST OPN HDL SWP 3000m (Replay)
1. Master Courtsman J: Dean Parker T: Tony Corric
3. Jackfrost J: Corey Campbell T: Brian & Shane Anderton
途中から先頭に立ったMaster CourtsmanがBullitt以下を振り切り快勝。Master CourtsmanはHDLは2勝目とした。MDNではかなり長く戦ってきた馬で、昨年のPJRでの走りを見る限りではやや上のクラスでは厳しいような印象もあるのだが、ここでは力量上位であった。昨年のPJRではDead4と異例の良馬場で行われた面もありそうだが、今回はさすがにメンバー的には強調できないところがある。2018年にGrand National Hurdles、Great Northern Hurdleと連勝を上げたJackfrostは故障で一時は引退していたのだが、どうやら幹細胞治療が奏功したようで、これが2年ぶりの復帰戦であった。全体的に飛越が微妙で、勝ち馬から離れた3着と振るわなかったのだが、ひとまずレースに復帰できただけでも素晴らしいことである。
7/18(日)
Pakenham (AUS) Soft7
〇 Farewell Yvonne Blackwood Maiden Hurdle
Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. 3200m (Replay)
1. Light Pillar J: Steven Pateman T: Ciaron Maher
Mighty Oasisが逃げるも、これを好位から追いかけたLight Pillarが最終コーナーで先頭に立つと、そのまま一気に後続を突き放して勝利した。Light Pillarは平地競争で実績を残してきた馬で、元々はフランスでデビュー、重賞競走への参戦歴もある。2020年からはオーストラリアに移籍しているが大した実績は残せず、これがHurdle初参戦であった。やや飛越において微妙なところもあったのだが、内容的には運動能力の高さを感じさせる完勝で、Maidenのここではさすがに格上の存在であった。7歳とこのメンバーの中ではやや年齢を重ねているが、障害馬としては一般的なものだろう。Light Pillar自身、先日亡くなったGalileoの産駒で、Galileo産駒はオーストラリア障害競走でも一定の実績を残しており、上のクラスに入っての活躍が期待される馬である。
〇 Brendan Drechsler Hurdle
Set Weights plus Penalties. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim 3500m (Replay)
1. Norway J: Steven Pateman T: Ciaron Maher
レースは前半からFlying Agentが引っ張る展開だが、途中から前にでたNorwayがそのまま後続を突き放し10馬身差の圧勝。NorwayはこれでHurdleはMaidenから2連勝とした。前走の段階ではやや全体的に飛越が微妙な面が多かったのだが、今回はきっちりと修正しており、最終障害など一部を除いてミスらしいミスは見られなかった。前走はHeavy10での勝利であったが、走法的には極端な不良馬場よりはこのくらいの馬場の方が良いのだろう。3500メートルと短めの距離も向いた可能性もあるが、Maidenから一気にクラスが上がってここまでのパフォーマンスを見せることが出来るのはなかなかにインパクトのある勝ち方であった。2着はやや後ろから進めたRobbie's Star。Flying Agentは人気を背負っていたが、最後捕まって5着。馬場もSoft7とこの馬向きではなく、ここまでだいぶレースを使っているにも関わらず、このレース自体が大して目標となるようなレースでもないだけに、いまいちここに出てきた意図がよくわからない。このようなレースを使って馬にダメージがなければよいのだが。
〇 Ecycle Solutions Maiden Steeplechase
Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. 3500m (Replay)
1. Big Blue J: Steven Pateman T: Ciaron Maher
ゆるゆると逃げたBig BlueがそのままSan Remoを抑えて勝利した。Big BlueはHurdleでは2019年にGallywood Hurdleを勝利した能力馬だが、その後イギリス・アイルランドに遠征していた。イギリス・アイルランドではいまいち勝利をあげることは叶わず、これがオーストラリア障害競走としては復帰戦であった。全体的に緩い動きをするようなタイプで、イギリス・アイルランドでも見せたような伸びやかな飛越が目立っていたのだが、一方でやや踏み切り位置を間違えると減速がかかるところは相変わらずといったところだろう。着差としては2着のSan Remoに最後はかなり詰め寄られたが、San Remo自身Maidenであれば本来力量上位の馬なのでこれくらいでいいだろう。昨年オーストラリアの山火事に関連して有名になった3着のFirefreeは久々の好走。かなり前半からTom Ryan騎手が押っ付けて走らせており、パドックではのんびりと歩いていたが、どうやらこの騎乗が良かったように思われる。ニュージーランドで実績のあるAlfie DeeはMaidenに戻ってのSteeplechaseであったが、どうにも前半から引っかかるところが目立ち、勝負所から脱落して6着に終わった。
〇 Ecycle Solutions Mosstrooper Steeplechase
Set Weights plus Penalties. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 3500m (Replay)
1. Social Element J: Tom Ryan T: Gai Waterhouse
前半から例によってThe Dominatorが元気よく逃げる展開だが、これにぴったりとSocial Elementがついて行く。最終コーナー辺りからSocial Elementがこれを振り切ると、そのまま後続に9馬身差をつけて勝利した。Social ElementはこれでSteeplechaseは3連勝とした。The Dominator相手に2.5kgの恩恵はあったのだが、内容的にはSocial Elementの完勝といったところで、The Dominatorのペースに付き合っての9馬身差というのはやはり価値がある。Thackeray Steeplechaseを逃げ切ったThe Dominatorはこの馬の出来ることはやり切っての2着で、今回は勝ち馬を褒めるべきだろう。これが復帰戦であったAblazeは中段から進めるも、前には肉薄できず4着に終わった。とりあえずこれを叩いて変わってくることを期待したい。
その他
〇 Six hectares at Auckland Racing Club's Ellerslie venue to be sold (nzherald.co.nz)
Ellerslie競馬場の一部の敷地が売却されるようだ。売却区画の中にはSteeplechase Courseとして有名なEllerslie Hillが含まれており、Ellerslie競馬場に存在するニュージーランド有数の本格的な伝統あるSteeplechase Courseは今年を最後に消滅する見込みである。Ellerslie競馬場のGreat Northern DayにはEllerslie Hillを含むCourse Tourも行われており、非常にスペクタクルでタフな本格的な障害競走が行われている魅力的な競馬場なのだが、残念ながら過去のものとなるようだ。
〇 Surprise hometown advantage for Nelson jumpers (Racing News)
この記事自体は下記の通り延期になったTrentham開催の出走馬に関するものだが、上記に関連して、Paul Nelson調教師のEllerslie競馬場敷地の売却に関するコメントが記載されている。
〇 Bad weather forces Trentham abandonment (Racing News)
ニュージーランドからもう一つ。土曜日に予定されていたWellington Hurdle及びWellington Steeplechaseは悪天候のため延期になった。7月22日(木)を予定しているそうだ。
〇 Welfare chief condemns abattoir practices shown in Panorama documentary (Racing Post)
BBCで放映された動物愛護団体によるPanorama Documentaryが物議を醸している。食肉処理場に送られた馬の中にはVyta Du Rocをはじめ、有名厩舎に所属していた馬が含まれていることが報告されており、競馬ファンにもかなりの衝撃を与えているようだ。また、ここで報告されている手法は英国競馬業界の安楽死ガイドラインに反する上に、英国食肉産業の安全性を脅かす重大な問題である。