にげうまメモ

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21/12/30 2017年 Cheltenham Festival 旅行記 ④ - 競馬場 競馬編 -

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*2017年 Cheltenham Festival 旅行記

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Cheltenham Festival初日の第1レース前には、RoR(Retraining of Racehorses)*1により競走馬引退後のキャリアを構築している名馬が多数お披露目に来ていました。写真の先頭を歩いている馬がDenman。この他にも、この日はBig Buck's、Finian's Rainbow、Long Run、Punjabi、Rubi Light、Balthazar Kingと、錚々たる活躍馬が来ていました。一頭ずつ戦績を書いていくとキリがないのですが、もはやこのひと時だけで、イギリス・アイルランド障害競馬ファンにとっては至福の時間であることは間違いないでしょう。

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2日目の第1レース前に来たのはSprinter Sacre。一時期は手が付けられない程の圧倒的な強さを誇ったイギリスの名馬ですね。一時は健康上の問題で不振に陥ったのですが、そこから不死鳥のように復活、2016年のQueen Mother Champion Chase (G1)では感動的な勝利を挙げました。ちょうど2016年の秋の時点で故障で引退したのですが、パドックでは元気な姿をファンに見せてくれました。

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管理していたNicky Henderson調教師との心温まるワンシーン。

 

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さて、そうこうしているうちにレースの時間が近づきます。Club Enclosureであれば全レースごとにパドックとスタンドを往復することが可能ですが、ちょっと趣向を変えてPre-Parade Ringで馬を見ることもできます。応援したい馬がいるレースや、比較的空いている第1レースの前などにいかがでしょうか。

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Pre-Parade Ringに入ってくる馬たち。Pre-Parade Ringはパドック正面にある検量室の裏、駐車場の側にあります。関係者が鞍をつけたりする場面も見ることが出来るのがここ。近くに売店もあり、ここは比較的空いています。基本的に売店は混雑しているので個人的にはちょっとおススメのエリア。

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が、毎回Pre-Parade Ringまで行くのはやはり時間的に厳しいですね。Pre-Parade Ringで鞍を付けたのち、馬はパドック(Parade Ring)に移動します。パドックの一部はWinners Enclosureとなっており、こちらは観客席が階段状になっているので少し見やすいです。イギリス人は基本的にデカいので目の前に来ると絶望しかないのですが、ちょっと声を掛ければどいてくれます。さすがはイギリス紳士。どこぞの国の競馬場で敷物やらを地面に置いて我が物顔で居座っている人たちは見習ってほしいですね。あれがいるから競馬場に行きたくなくなるのです。そういう点でこちらの競馬場は酔っ払いこそいますが平穏そのもの。パドックの最前列にはちょっとした椅子も置いてありますが、さすがにここにはお年寄りが座っています。馬が出てきてしばらくすると騎手がわらわらと出てきますが、この時間帯まで粘っているとスタンドでいい場所が取れなくなります。

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人馬はスタンド(The Princess Royal Stand:Club Enclosureのメインスタンド)の脇を通って本馬場へ出ていきます。日本のようにカメラを抱えたファンがいるというよりは単純に馬が見たいとか、関係者に声を掛けたいとかそういうモチベーションで群がっている感じでしたが、最前列はそこそこ頑張って早めに到着していないと厳しかもしれません。写真はCheltenham Festivalの第1レースだったので比較的空いていましたが。

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中の人のメンタルは雑魚なので、早々に諦めてスタンドとパドックのみを往復することにします。スタンドからでもこれくらいは。ちなみに、Cheltenham Festivalの写真は全てコンパクトデジタルカメラで撮っています。

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写真は3日目のレース前。3日目となると動きが洗練されてきて、メインレースにも関わらず下のエリアがまだそこまで混んでいないタイミングで早々にスタンドの良い場所に陣取ることができます。

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そんなわけでレースが始まります。日本のようにファンファーレとかスターティングゲートとかはないので、実況をしっかり聞いておきましょう。なんか実況が喋り始めたらそろそろ始まるなと思っておけば間違いないです。たぶん。

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やはりChaseの飛越は迫力がありますが、全体的に馬群は密集して進行しており、にも関わらず綺麗な飛越で障害を越えていくレースはやはり美しいものです。場内からも大歓声が湧き起こります。

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レース中。馬群も映っているのですが見えるでしょうか。とにかくコースが広い。とにかく広い。めちゃくちゃ広い。いちおうレースを映したモニターはあるのですが、日本の競馬場みたいに巨大なわけではないので、レース中に何が起こっているのかは若干わかりにくいかもしれません。

ちなみに残り4障害くらいからほぼ全員が何かしら怒鳴っています。外れているのか当たっているのか知りませんが、とにかくなにかしらわめいています。スタンドにいるとメインレースでは実況が聞こえないくらい。日本語で怒鳴ると周りのおばちゃんに好奇の目で見られるのでおススメ。これに比べれば日本の競馬ファンはとても静かです。

あと、障害の飛越のたびにいちいち拍手はしません。中の人はイギリスを含め、オーストラリアやニュージーランドチェコに行きましたが、飛越の度に拍手するのは日本くらいのような気がします。

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途中棄権した人たち。やれやれ疲れた疲れた。

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レースが終わるとさっきと同じ道を通って帰ってきます。5着以下の馬はそのまま厩舎へ戻って行きます。ここでは全馬の関係者の悲喜こもごもな表情を見ることができます。Winners Enclosureに来るのは1~4着の関係者だけなので、全員の表情を見ることが出来るという点では非常に楽しいスポットです。

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2着だった人。Ruby Walshの表情がなんとも味わい深い。これはCheltenham Festival初日のSupreme Novices' Hurdle (G1)で2着だったMelonという馬で、Ruby Walshが明らかに勝てると思って乗っていたことがよくわかる表情ですが、2021年12月までこの馬がまさかG1未勝利とは思いませんでした。

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4着以上の馬はWinners Enclosureへ。2~4着の馬は適当に、1着の馬は必ず最後に来ます。観客全員が拍手で迎えます。写真はCheltenham Gold Cup (G1)を勝ったSizing JohnとRobbie Power騎手。ガッツポーズがアツい。表情もアツい。勝った関係者を祝福するたくさんの人たちの真ん中を、まるでモーゼのように割って帰ってくるという光景で、シャッターチャンスとしては最高ですが、日本と違って観客に写真を撮ることを目的としている人はいなかったような。比較的混雑している時間帯以外であれば上記の花道で帰ってくる馬を見たあとWinners Enclosureに行くのも可能ですが、メインレースはまず無理です。レースが終わってすぐにパドックに取って返すくらいの感覚で。

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水を飲む勝ち馬。微妙に隠れていますが、右手の太いおじさんはNicky Henderson調教師。馬具でわかった人は凄いですが、写真はMight Biteという馬です。RSA Chase (G1)のゴール前ではお騒がせだった馬。圧倒的リードで最終障害を越えたこの馬がふらふらと歩き始めたときのCheltenham競馬場の悲鳴は想像を絶するものでした。

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勝った陣営の図。Un De SceauxとWillie Mullins調教師、Ruby Walsh騎手の陣営ですね。あの色彩のセンスが微妙なマフラーは売店で売っていました。これは3日目の主要なレース(Ryanair Chase (G1))を勝った陣営ですが、このCheltenham Festival、どのレースであっても勝った陣営はまるで人生のピークのような勢いで喜んでいます。

ちなみにWinners Enclosureに陣取る場合はできるだけ中央にいるといいです。中央はカメラマンのためのゾーンになっており、関係者が中央を向いて並んでくれるので。

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で、表彰式をやっている隣で次のレースに走る馬がパドックを歩き始めます。場合によってはパドックのWinners Enclosureの側は封鎖して、内回りのような格好で周回する場合もあるので注意してください。もっとも、表彰式はそのうち終わるので、Winners Enclosureの側に次のレースに走る馬が来ないということはないですが。

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レースを終えて帰る馬。どうやら厩舎ごとに馬運車を持っているようで、これが入り口の駐車場に大量に止まっています。タイミングが合えば帰路につく馬も見られるかもしれません。Willie Mullins厩舎やGordon Elliott厩舎はやはり巨大な馬運車を大量に持ってきていました。さすがはアイルランドの巨人。

 

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ちなみに、Cheltenham Festival2日目のCross Country競走においては、馬場の中にある水壕障害の脇のエリアを始め、色々なエリアで観戦可能になるようです。もっとも、中の人は移動するタイミングがわからずいつも通りにスタンドから見ていましたが。