*2018年 Grand National Meeting 旅行記
Grand National Meetingの3日目、Grand National Day。この日はStayers Hurdle(Liverpool Hurdle)を含むG1競走が3レース行われますが、言うまでもなくこの日のメインレースはGrand National (G3)でしょう。チケットのお値段も売れ行きも、Grand National Meeting3日間の中ではこの日が圧倒的であり、やはりこのGrand National Meetingというのは3日目に行われるGrand Nationalを中心とする開催なのです。競馬場内の熱気も明らかに違います。確かにこのGrand National Meetingにおいてイギリス障害競馬を代表するG1競走は多数行われますが、各路線のチャンピオン決定戦としての位置づけとなるCheltenham Festivalとはかなり毛色が異なるのです。
この日は他の2日と異なりいいお天気。ようやくイギリスの春らしい陽気での競馬開催となりました。この日のレース結果はこちら。
第1レースはGaskells Handicap Hurdle (G3)。24ハロンのハンデ戦ですが、なぜかWinners Enclosureで撮っていたのは4着のDebece。2017年のDoom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1)で3着に入った馬ですが、これが1年ほどの休養からの復帰戦でした。なぜ勝ち馬ではなくこの馬を撮っていたのかよくわかりませんが、当時の中の人にとっては名前が面白かったのでしょうか。その後はChaseに転向し、あまり順調に使えていないようですが、2022年時点でも現役のようです。
勝ったのはMr Big Shotという馬。"Big Shot"ですが単勝8倍の1番人気でした。Grand National Dayの第1レースから"Big Shot"を取ったとご機嫌のファンが喜んでいます。
続いてMersey Novices' Hurdle (G1)。2マイル4ハロンのHurdle競走ですね。人気になっていたのはOn The Blind Sideという馬。Ballymore Novices' Hurdle (G2)、SandownのWinter Novices' Hurdle (G2)と連勝してきていた無敗馬ですが、例によってCheltenham Festivalでの出走はなく、どちらかというと別路線組という立ち位置でした。
レース後の写真がこれしかありません。勝ち馬のところに寄っていくのを諦めたのでしょう。しかもついに被写体が馬ですらなくなりました。4着に入ったAye Aye Charlieを管理するFergal O'Brien調教師。派手なリアクションとtwitter芸でイギリス障害競馬の人気者です。
勝ったのはBlack Opという馬。CheltenhamのBallymore Novices' Hurdle (G1)ではSamcroの2着に入った馬で、いちおう当時この路線の絶対的な主役と言われていたアイルランドのSamcroが不在の中では格好をつけたという形になりました。その後はChaseに転向するも、Beginners Chaseを勝ったのみといまいち振るわないようです。
おそらくこのレースの出走馬の中で最も出世したのは2着のLostintranslation。当時は単勝13倍と低評価でしたが、翌シーズンからChaseに転向すると、G1戦線で入着を繰り返すなど活躍し、ついに4月のAintreeのMildmay Novices' Chase (G1)を勝利します。その後はHaydockのBetfair Chase (G1)でBristol De Maiを破る大金星を挙げたり、2020年のCheltenham Gold Cup (G1)では僅差の3着に入ったりと、24ハロンChaseのG1路線における主役級の一頭として頑張りました。
出走馬中最高齢であった10歳のSilver Concorde。Novice Hurdleで10歳馬が出走するのは珍しいのです。2014年のChampion Bumper (G1)の勝ち馬ですが、翌シーズンからHurdleを使うもなかなか勝ち星を挙げられず。ようやく2017-2018シーズンにHurdleで3勝を挙げて挑んだこのレースでしたが、ここでは見せ場なく途中棄権に終わりました。
続いてMughull Novices' Chase (G1)。2マイルのNovice Chaseです。アイルランドから遠征していたPetit Mouchoirが人気になっていました。HurdleではRyanair Hurdle (G1)などG1を2勝している能力馬。パドックで暴れたりとなかなかに激しい気性の持ち主としても有名です。前走のArkle Challenge Trophy (G1)ではFootpadの3着に敗れていましたが、さて。
が、勝ったのはイギリスのDiego Du Charmil。どうにもここまでChaseでは良いところがなかったのですが、いきなりここでは実績馬を破る大金星を挙げました。ただしその後は16ハロンChaseのG1路線に挑むも太刀打ちできず、重賞クラスとしてはAscotのListedを1勝したのみのようです。
4着に入ったのがLady Buttons。その後も主に牝馬戦線で長く活躍し、現役を通じて通算15勝を挙げました。繁殖牝馬としての活躍が期待されていましたが、残念ながら健康上の問題で繁殖牝馬としての活動は困難であることが判明したそうです*1。
第4レースはBetway Handicap Chase (G3)。24ハロンのハンデ戦です。ここを逃げ切ったのが人気のThomas Patrick。10st10lbと比較的斤量的には楽だったようですが、直前のClass3も同様のレースで快勝しており、調子もよかったようです。
2017年のアメリカGrand National Hurdle (G1)に遠征したHammersly Lake。
第5レースのLiverpool Hurdle (G1)の出走馬がパドックに出てきます。24ハロンのHurdle競走。2017年のLong Walk Hurdle (G1)で果敢な逃げを打って勝利し、Joe Colliver騎手とのコンビで有名なSam Spinnerが人気になっていました。
が、なんとなく場内はこのレースに向けて盛り上がるというよりは、むしろこの後のレースが気がかりといった雰囲気。なにせ、この後にはGrand Nationalが控えているのです。
ひとまず馬を見て行きましょう。名前の格好よさなら世界一、The Worlds End。2017年のDoom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬です。ここではあまり人気になっていませんでしたが。
中の人にとっては約1年ぶりの再会となったLil Rockerfeller。
異様にイケてるおじさん二人組に引かれたイケてる馬が出てきました。フランスから参戦したSerienschock。前走Compiegneのハンデ戦を勝っての参戦です。遡ればスイスセントレジャーでFilip Minarik騎手を背に3着のある馬ですが、その後はフランス障害競走に参戦、一度イギリスに転厩するも結果は出ず、再度フランスに戻ってGrand Course De Haies De Cagnes (Listed)等を勝利していたようです。このレースは昨年の4着に引き続きの参戦。ブービー人気でしたが、イケメンっぷりだけなら圧倒的です。
圧倒的イケおじ。馬もイケおじ。10歳セン馬。
イケおじは良いところなく5着で終わりました。勝ったのはIdentity Thiefという馬。2015年にFighting Fifth Hurdle (G1)を勝利した馬ですが、その後はChaseに転向するも結果は出ず、2017年の春からHurdleに戻していたようです。これがこの馬に取って久しぶりの勝利となりましたが、残念ながら同年11月のレース中の事故で亡くなったそうです。
下級条件戦から3連勝で挑んでくるも、ここでは良いところはなかったCoole Cody。Chaseに転向するとCheltenham競馬場を舞台に積極果敢な先行策で結果を残し、2022年3月現在、2020年の10月から実に11戦中10戦がCheltenhamというレース選択となっています。
水を飲むSam Spinner。
またお会いしたLil Rockerfeller。
さて、いよいよ次は第6レース、Grand Nationalです。