にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

23/08/06 Weekly National Hunt / Jump Racing

7/31(月)

Galway (IRE) Soft

〇 Novice Hurdle 2m130y (Replay)

1. Mystic Power J: Mark Walsh T: Willie Mullins

この日から始まったGalway Festival。その記念すべき第1レースであるが、人気を背負ったMystic Powerは中段の馬群の中から進めると、勝負所から馬群の中を縫って進出し、終わってみれば2着に7馬身差をつけて快勝した。

Mystic PowerはAnnie Powerの産駒として有名な馬で、Hurdleはこれが初勝利とした。Hurdle初戦ということでどうにも飛越の面ではちぐはぐな部分があったりといまいちなのだが、とはいえ実戦としては2レース目の馬が馬群の後ろで我慢しつつ、馬群を縫って進出することができるのだから大したものだろう。Galway Festivalということもあってやや前掛かりなレースであったが、シンプルに運動能力で圧倒するのではなく、今後に繋がるレースを見せたのは評価できる内容であった。猛暑の日本*1からするとどうにも名前が気になるSamuiが2着。Hurdleはこれが3戦目という経験のある馬で、7lbの斤量差があったとはいえこの時期のNovice戦としては決して楽な相手ではなかったように思える。

 

8/1(火)

Bro Park (SWE) Steeplechase god, Häckbana god

〇 Grey Baron Steeplechase

Steeplechase För 4-åriga och äldre hästar som ej segrat mer än 2 gånger from 1 juni 2022 50,000 kr 3500m (Replay)

1. Beatthebullet J: Conor Brassil T: Anders Herlin

早々にSea Monsterが落馬し、空馬が前に絡んでいく展開となる。トップハンデのLiars Cornerが軽快に逃げるが、これについてきたBeatthebulletが最終周の途中で前に出ると、そのままLiars Cornerを振り切って勝利した。

Beatthebulletはイギリスからの移籍馬で、ここまでスウェーデンでは3戦するもいいところはなかったのだが、今回は結果を残した。ここにきて急に馬が変わった理由は不明だが、とりあえず64kgという軽量に恵まれた面はありそうで、今回のレースレベルを含めて注意はしておきたい。Conor Brassilはアイルランドの騎手だが、これがスウェーデンでの初めての騎乗であったそうだ。今年5月にBro ParkでSteeplechaseを勝ったLiars Cornerが2着。Strömsholmの開催では出走を取り消したりとあまりいいことはなかったのだが、2021年の頃はこのBro Parkで結果を残していた馬で、今回は軽量馬の前に屈したとはいえ、引き続き期待したい。

 

〇 Novisserien

Häck Galopp För 4-åriga och äldre hästar som ej segrat mer än en gång. 50,000 kr 3450 m (Replay)

1. Impact of Bloom J: Kim Stern T: Henrik Engblom

Impact of Bloomがゆったりとしたペースで逃げる展開で、これにXitなどがついていくが、Sankt Peder、Suspicious Boyとの叩き合いをImpact of Bloomが制して勝利した。Impact of Bloomは日本生産馬Barocciの産駒で、昨年からスウェーデンのHurdleを使っている。なにかと惜しいところまでは来ていたのだが、これが嬉しい初勝利となった。主にデンマークのKlampenborgを走っていたSankt Pederが惜しい2着で、Hurdle初戦ということを考えればそれなりに経験のある馬相手に上々の結果だろう。デンマーク生産馬のSuspicious Boyが僅差の3着、70kgのトップハンデを背負ったXitが4着で、あまり上位4頭の間に力量差はなさそうである。

 

8/2(水)

Galway (IRE) Good to Yielding

Galway Plate Handicap Chase (G3) 2m6f111y (Replay)

1. Ash Tree Meadow J: Danny Gilligan T: Gordon Elliott

Galway Festivalのメインレース、夏のアイルランド競馬シーズンの目玉となるレースである。レースはスタート直後から元気いっぱいにAsh Tree Meadowが出てくる展開で、やや空馬に絡まれるシーンがあるもやや引っかかり気味に引っ張る形となる。連覇を狙うHewickは好位から。1周目は第1障害でAndy Dufresneが落馬したのみでレースは進行。2周目に入ってもAsh Tree Meadowの逃げ脚は衰えず、これにAuthorized Art、Hewickなどが接近を試みるもここからAsh Tree Meadowが抵抗。そのままAsh Tree Meadowは唯一ついてきたAuthorized Artを振り切って勝利した。

Ash Tree MeadowはNovice上がりの馬で、Gordon Elliott厩舎の所属馬なのだが昨年は夏場にPerthに遠征している。昨年はNoviceの身ながらこのレースに挑戦し、Hewickの4着に頑張っているのだが、今回は結果を残した。昨年の10st10lbと比較して9st11lbとかなり斤量が楽になっていたということはあるのだが、とはいえ空馬にだいぶ絡まれながらも押し切る辺りは大したものだろう。ただ使い方としては基本的にSummer Horseといったところで、このまま秋~春の重賞戦線に使って来るかはわからない。やはりNovice上がりのAuthorized Artが2着で、この馬はNoviceの重賞ではあまりうまくいかなかったのだが、やはり馬の性能としてはHandicap Chase向きな感がある。斤量面を考えればこちらを上に取るべきだろう。Hollow Gamesは後ろからじわじわと進めて3着だが、ここまでChaseではあまりうまくいかなかった馬だけに、この馬がどこまで成長を見せたかは注意しておきたい。人気のHewickは元気に好位から進めたが、最後はトップハンデの分か苦しくなって11着に終わった。

 

Saratoga (USA) Firm

Jonathan Kiser Novice Stakes

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES FOR FOUR YEAR OLDS AND UPWARD WHICH HAVE NOT WON OVER HURDLES PRIOR TO MARCH 1, 2022 OR WHICH HAVE NEVER WON THREE RACES, OTHER THAN THREE YEAR OLD Two And One Sixteenth Miles On The Hurdle $75,000 (Replay)

1. McTigue J: Gerard Galligan T: Cyril Murphy

Novice競走としてはアメリカHurdle路線において主要なものとなるレースである。CaramelisedとRealistの2頭が後続を大きく引き離して逃げる展開も、途中から脱落したRealistを残してCaramelisedの単騎逃げの格好になる。しかし最終周の途中から後続が接近すると、最終コーナー前から前に出てきたMcTigueがそのままAwakened以下を振り切って勝利した。

McTigueは元々はアイルランドにいた馬で、イギリスでは平地の2歳G1であるBertem Futurity Trophyに参戦し、その後はEmmet Mullins厩舎にてフランスにも遠征し、Prix Georges De Talhouet-Roy (G2)を勝利、同年のPrix Cambaceres (G1)にも参戦している(6着)。Cheltenhamではあまりいいところがなかったようだが、これでアメリカ移籍後Speedy Smithwick Memorial Stakesから連勝とした。元々は平地でも走っていた馬だけあってアメリカHurdleではなかなか期待できそうで、Auteuilでも結果を残した実力馬ということで引き続き期待したいところである。この中では唯一のアメリカ生産馬(KY)であるAwakenedが意地を見せて2着。前走Allowanceを勝ってきたMerry Makerが3着に入った。

 

8/3(木)

Galway (IRE) Good to Yielding (Good in places)

Guinness Open Gate Brewery Novice Chase (G3) 2m2f54y (Replay)

1. Hercule Du Seuil J: Mark Walsh T: Willie Mullins

淡々と引っ張ったHercule Du Seuilに最終障害辺りでSolness、Ballyadamが並んでいくも、そこからスパートをかけたHercule Du Seuilがこれらを振り切って勝利した。

Hercule Du SeuilはこれでChaseは4戦3勝とした。Hurdleでは昨シーズンにNavanのGibney's For Auction Novice Hurdle (G3)等を勝った実力馬で、今年の5月からChaseに転向している。少なくとも良馬場のスピードを要する条件下では結果を残しており、Maiden HurdleでもSoftの条件で大敗していることを考えると、良馬場の方がいい馬なのかもしれない。フランス出身のSolnessが2着に入った。Hurdleでは2020年のRoyal Bond Novice Hurdle (G1)を勝っているBallyadamもいたのだが、どうにも相変わらず飛越がいまいちで、好位から進めるも伸びきれず3着に終わった。

 

Galway Hurdle Handicap (G3) 2m11y (Replay)

1. Zarak The Brave J: Paul Townend T: Willie Mullins

11歳馬Tudor Cityがかなり主張して前に行く展開で、隊列は比較的長くなる。スタンド前から一気に上がってきたMighty TomがTudor Cityのハナを叩きに行くと、そのままTudor Cityを交わして先頭に。しかし最終コーナーあたりから後続が殺到すると、My Mate Mozzie、Jesse Evansとの叩き合いをZarak The Braveが制して勝利した。

Zarak The Braveは4歳馬で、Punchestown FestivalのChampion Four Year Old Hurdle (G1)ではLossiemouthの2着に入っている。その後のAuteuilではPrix Alain Du Breil (G1)にてGala Marceauの3着に入っており、昨シーズンのJuvenile Hurdleではトップクラスの活躍を見せた馬である。今回はいきなりの上の世代とのHandicap Hurdleであったがいきなり結果を残した。レースとしては好位の外でゆったりと構えるという展開で、あまりHandicap Hurdleらしい馬群の中で揉まれるというものではなかったのだが、とはいえ4歳馬がここまで走れるというのはなかなか昨シーズンのJuvenile Hurdle路線に期待が持てるものだろう。これとは対照的に馬群をすり抜けてきたJesse Evansが2着。昨年の2着馬だが、今年も惜しいレースとなった。昨年の勝ち馬Tudor Cityは中段からじわじわ足を伸ばすも、前には迫れず8着に終わった。

 

8/5(土)

Pardubice (CZE) Stav dráhy: 3.3 (dobrá)

〇 Pohár BICZ holding 2023

Steeplechase crosscountry III.kat. - 3600 m, cena, 4letí 90.000 Kč (Replay)

1. Fort Medoc J: ž. Jan Faltejsek T: Tůma Pavel

この日のPardubiceは終日かなり強い雨が降っており、馬場状態は3.3となっているのだが、Jockey Clubの結果ではすべてのレースにおいてこの馬場状態となっていることを踏まえると、この馬場状態がどこまで本当なのかはそれなりに怪しいところがある。レースは早々に飛越拒否したLarimar、コースを間違えたImpasが競争中止する中、人気のFort MedocとThe Boss Is Backが逃げる展開となる。途中で前に出たThe Boss Is Backは終盤の障害で逃避する格好で落馬。代わって前に出たFort Medocが追い込んできたPrecious Rockを振り切って勝利した。

Fort Medocはこれで5戦5勝とした。Cross Country自体はこれが2戦目の馬で、全体的に馬場もあってかもたもたと飛越するところが目立っていた。とりあえず今回はきっちり結果を残したが、もう少し飛越自体が安定してきて欲しいところがある。6月にCross CountryのCategory IIIを勝ってきたPrecious Rockは遥か後方から追い上げての2着。Sasiroは最終障害でかなり大きなミスがあっての3着。Conspirationistは空馬に絡まれていたFort Medocに対してうまく立ち回って前に迫ったが、最後は遅れて4着に終わった。

 

〇 Cena společnosti Archer hunting s.r.o.

Steeplechase crosscountry III.kat. - 4000 m, handicap, 5letí a starší 90.000 Kč (Replay)

1. Korfu J: ž. Jan Faltejsek T: Faltejsková Alžběta

レースはAngosturaが前に行くも、早々にKifaayaとともにコースを間違えて途中棄権。代わってElsidが前に出てくるも早々に後退し、途中からレースを引っ張ったKorfuがAveris以下を振り切って勝利した。

Korfuはこれで前走のkat. IIIから連勝とした。昨年のPoplerův memoriál skupiny Profireal Groupではさっぱりいいところがなかった馬だが、今年はこの4000メートルの路線で結果を残している。レース振りとしても安定したいいものを見せており、更なる距離延長に対応可能であればより可能性を広げることができそうだ。好位から進めたAverisが2着だが、現時点ではKorfuとはやや力量差があるように思える。French Chardonnayは5歳馬ながら頑張っての3着だが、どうにもPardubiceのような広いコースよりはWroclawの方が向いている感もありそうだ。驚いたのがポーランドのNickで、今年のチェコ2戦ではさっぱりいいところがなかったのだが、今回はしっかりとレースに参加して4着に入った。最後はフラットのスピードで後れを取ったが、そこまでのレース振りは安定しており、重馬場適性が味方したようなところも否めないが、12歳馬ながら新たな可能性を示すことに成功したような感がある。Her Himは例によってもたもたと走って6着に終わった。

 

Cena firmy Chládek a Tintěra, Pardubice a.s. - III. kvalifikace na 133. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou

Steeplechase crosscountry NL - 5800 m, cena, 5letí a starší 500.000 Kč (Replay)

1. Sacamiro J: ž. Jan Faltejsek T: Petříková Eva

今年3レース目のQualification Raceとなる。レースは例によってPlayerが前に行く展開だが、Aeneas、Zataroなどと並走する形でゆったりと進行。途中に二連続障害でStuke、後半でRoyal Ginoが落馬。ここからTalentが元気に前に出てきて逃げ込みを図るも、後ろから接近したSacamiroがこれを捉えて勝利した。

Sacamiroは昨年のVelka Pardubickaの3着馬で、今年の2nd Qualification RaceではLodgian Whistleの2着に入っていた。当時もスピードを生かして前に行ったLodgian Whislteに対して後ろから足を伸ばしてくる内容であり、Velka Pardubickaへの高い適性を感じさせるものであった。Cross Countryはこれで2勝目と勝ち数が多いわけではないのだが、距離延長に伴って結果を残してきた馬というのは注意すべきである。10歳と年齢的にも障害馬として円熟期に入っており、今年のVelka Pardubickaにおいて中心的な一頭になることは間違いないだろう。12歳のTalentが2着で、6月の2nd Qualification Raceではややパフォーマンスを落としていたものの、老兵健在であることを改めて示した。当時はどうやら極端な高温が良くなかったようで、涼しくなる10月にかけて期待すべき一頭である。驚いたのは3着のStarで、どちらかというとここまでは破天荒なレースばかりが目立っていたのだが、今回は後方からじわじわと押し上げていくレースで形を作った。おそらくこの馬の性格を考えての騎乗と思われるが、12歳馬ということもあってVelka Pardubickaでの経験値はある馬で、展開次第ではもう一仕事あってもいいだろう。11歳のPlayerは今年3戦目のQualification Raceへの参戦にしてようやく権利を取ったが、昨年のTaxisでの仕草を考えると相変わらず不安が残る。昨年の勝ち馬Mr Spexはさっぱり走らなかったが、どうにも負け方を考えるとこの日の重馬場を気にした可能性もありそうだ。MeranoでG1勝ちのあるStukeは2連続障害での落馬に終わったが、どうやら横からの映像を見る限りだと1つ目の障害の着地地点で滑ったようだ。まだ9歳、これがCross Country4戦目であることを考えるとさほど目立ったミスというのはあまりなく、もともとの能力を考えると引き続き期待したいところである。

 

Riccarton Park - Canterbury JC @ Riccarton Park (NZ)

Avon City Ford Sydenham Hurdles OPN HDL 3100m (Replay)

1. Happy Star J: Shaun Fannin T: Kevin Myers

この日から始まったRiccarton ParkのGrand National Meeting。この日はMaiden Hurdleを含む障害競争3鞍が行われたが、北島からの出走馬の誘致に苦労していた昨年とは異なり、全体的になかなか多くの出走馬が集まっていたようだ。このレースとしてはGrand National Hurdleの前哨戦となる。スタートから人気のHappy Starが前に行く展開で、これを追いかけてCountry Bumpkinなど。途中からOdysseusが絡んでいくがHappy Starがこれに抵抗し、同厩舎のObrigado以下を振り切って勝利した。

Happy Starは昨年のGrand National Hurdles (PJR)の勝ち馬で、今年はHawke's Bay Hurdle (PJR)を含む3連勝とした。70kgのトップハンデを背負っての勝利はさすがの実力で、Grand National Hurdlesの連覇に向けて視界良好といったところだろう。好調のJack Powerが騎乗したObrigadoが2着だが、前走のHawke's Bay Hurdle (PJR)でHappy Starとはやや決着がついていた印象の敗戦であり、今回も内容的には順当な結果だろう。前走のWellington Hurdle (PJR)では落馬に終わったBerry The Cashが3着に追い込んだ。レースの展開としてはどちらかというと脚を測った印象の内容で、むしろ本番に向けて評価できるとしたらこちらだろう。

 

Racecourse Hotel & Motor Lodge Koral Steeplechase OPN STP 4250m (Replay)

1. Prince Turbo J: Dean Parker T: Kevin Myers

こちらはGrand National Steeplechaseの前哨戦となる。レースはDes De Jeuがゆったりしたペースで引っ張る展開で、Tittletattle、Super Spiritを残して馬群は密集。West Coastは中段から。Des De Jeuはそのまま引っ張るも、好位から抜けてきたPrince Turboが後続に5馬身差をつけて勝利した。Des De Jeuが逃げ粘って2着に入った。

Kevin Myers厩舎はこれで朝から4連勝とした。Prince TurboはこれでSteeplechaseは3戦3勝と結果を残した。HurdleではMaidenも勝てなかった馬で、Steeplechase無敗とはいえ前走はWoodvilleでの勝利と、いきなりのRiccarton Parkの障害への対応という点では課題があったのだが、とはいえ勢いのある馬ということもあって本番に向けて楽しみな存在になりそうだ。ただ、飛越に課題のあるDes De Jeuがやや慎重なレースを作ったということは考慮した方がいいかもしれない。PJRクラスではやや足りないところを見せていたDes De Jeuが2着。連覇を狙うWest Coastはやや苦労しての3着だが、とはいえDes De Jeuがゆったりと逃げたということを考えれば前哨戦としては上出来の内容だろう。72kgを背負って大きく離されることなく3着というのは大したものである。

 

8/6(日)

Merano (ITA) Tempo Vario Terreno Buono

〇 Vincenzo Pollio

per cavalli di 4 anni ed oltre (Steeplechase - Novice - Fantini) Euro 16,000 3550m (Replay)

1. Velo Dipinto J: Agus Gabriele T: Saggiomo Ilaria

例によってRamuntchoが軽快に引っ張る展開も、これにVelo Dipintoがついて行く。終盤になってVelo Dipintoが前に出ると、そのまま後続を7馬身ほど突き放して快勝した。2着にはPretty Kingが上がった。

Velo Dipintoは初のSteeplechaseであったが結果を残した。SiepiではGran Corsa Siepi Di Pisa (G3)にてMauriciusの2着のある馬だが、いきなり実績のあるRamuntchoのペースを追走し、これを捉え切るのだから大したものだろう。地元イタリア調教馬としてSteeplechaseで活躍する例は少なく、このままうまくいくのであればなかなか楽しみな存在になりそうである。Wroclaw、Vittelと連勝してきたチェコのPretty Kingが2着。前走はPremio Ezio Vanoni (G2)を制し、4歳世代ではトップクラスの活躍を見せてきたRamuntchoは軽快に逃げたが、最後は捕まって3着に終わった。ひとまずこの馬のレースはしたということで、今回の上位3頭には引き続き期待できそうだ。

 

Ladbrokes Park Lakeside (AUS) Soft5

Crisp Steeplechase

Set Weights plus Penalties. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 4200m (Replay)

1. Stern Idol J: William McCarthy T: Ciaron Maher & David Eustace

スタートからRockstar Ronnieがやや主張して前を伺うも、これを制してStern Idolがハナに行く展開。Stern Idolは例によって元気いっぱい逃げると、ついてきたVanguard、Tolemac以下を振り切り、終わってみれば2着に25馬身差をつけて圧勝した。Rockstar Ronnieは後半苦しくなって7着と大敗した。

Stern Idolは前走のMosstrooper Steeplechaseから連勝とした。勝つときはだいたい後続に大差をつけてぶっちぎるというレースばかりなのだが、今回もまたド派手なレースとなった。Grand Annual Steeplechaseまでは距離的な制限を気にして抑える競馬を見せていたのだが、前走からは開き直ってこの馬の行く気に任せたレースを見せている。ひとまず今回は4000メートルの距離に目途をつけたという点では収穫のあるレースとなったが、一方でSoft5という良馬場も味方したようなところも留意しておいた方がいいだろう。来年もGrand Annual Steeplechaseを目指すかというとやや微妙なところである。昨年のBrierly Steeplechaseの勝ち馬Vanguardが2着に入った。Rockstar RonnieやCrosshillなど欧州障害馬が中心となっておりこの馬自身は低評価であったようだが、ニュージーランド生産馬としての可能性を示す内容で、70kgを背負っての2着は立派だろう。Australian Steeplechaseの勝ち馬Tolemacが3着。Stern Idolのペースに(比較的)対応したのがオセアニア出身の2頭というのは興味深い結果かもしれない。Rockstar RonnieはStern Idolのペースについて行くも、最後は苦しくなって脱落。Grand Annual Steeplechaseのような舞台で生きる本格的なステイヤーで、今回はややペースが速すぎたのかもしれない。Crosshillも同じような負け方となり、やや適性の差異を感じさせるレースとなった。

 

〇 Ladbroke It! Hurdle

Handicap. Three-Years-Old and Upwards, No sex restriction. BenchMark 120 3400m (Replay)

1. Cleaver J: Tom Ryan T: Brett Scott

Laybuyが淡々と引っ張る展開も、葦毛のCleaverがこれに絡んでいき先頭に。好位にいたDashing Willoughbyがこれに迫るも、Cleaverがぎりぎりこれをしのいで勝利した。3着以下は大きく遅れた。

Cleaverはもともとニュージーランドで走っていた馬で、OakbankにJohn Wheeler厩舎の調教馬として参戦、その後はオーストラリアに移籍している。6月のWarrnamboolのPro Fencing Hurdleに続くオーストラリアHurdleでは2勝目とした。今回はとにかくじわっと加速をかけていくTom Ryan騎手のペース配分により後続を完封したことが大きく、70kgを背負っての勝利というのはあるのだが、それ以上に鞍上の騎乗を褒めるべきだろう。イギリスでは平地重賞勝ちのあるDashing Willoughbyはどうにも口向きの悪さのようなところものぞかせており、ひとまずMaidenは突破したとはいえ、なかなか引き続き難しい立ち回りとなりそうである。後方に置かれていたBottiが最後追い込んで3着。元々フランス平地でデビューしたRider In The Snowは後方から進出を図ったが、前には迫れず大敗に終わった。

 

Grand National Hurdle

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. 4200m (Replay)

1. San Remo J: Aaron Kuru T: Dane Smith

オーストラリアHurdle競走としては最大のものとなる。Saunter Boyが直前で引退を表明し、全体的に主役不在のメンバー構成となったが、ひとまず上がり馬Bedfordが人気を集めていたようだ。レースは軽量馬Count Zeroがゆったりと引っ張る展開で、やや追走に苦労していたTamarackを除いて馬群は密集して進行。好位からFrankenstar、Wil Johnなど。その後ろからBell Ex Oneなど。2周目から内から外に切り替えつつBell Ex Oneが進出、さらに外からBlandford Ladなども進出。外に切り替えたBell Ex One、さらに外からBedfordが前に出ようとするも、ここからCount Zeroが抵抗。しかしその後ろから内を突いて出てきたSan RemoがCount Zeroを抜き去ったところがゴール。Bedford、Bell Ex Oneと続いた。

Count Zeroがかなりのんびりとしたペースで逃げたことで全体的に立ち回りによって着順が変わるレースとなった。San RemoはFrankelの産駒で、Frankelの産駒としては障害競争の主要競争は初めての制覇となった。今年で10歳となるベテランで、障害経験はかなり長く2020年に遡る。基本的に一線級と比較するとやや格落ちといったところで、今シーズンもAustralian Hurdleの2着はあるのだが、その後のBrendan Drechsler Hurdleでは大敗と、いまいち信用しにくいところもある。今回は馬群の後ろでのんびりと我慢し、外を回してロスの多い競馬をした人気どころと比較してややワンテンポ遅れてロスのない競馬をすることで結果を残したが、基本的には軽量と展開に恵まれたものだろう。Steeplechaseの経験もある馬で、どうやらGrand National Steeplechaseに向かうようだがChase実績を考えるとだいぶ厳しい戦いになりそうだ。ただ、Dane Smith調教師はこの日が誕生日で、嬉しい勝利になったそうだ*2

64kgの軽量を利して頑張ったのがCount Zeroで、前走のCasterton Hurdleで見せた好調ぶりをアピールすることになった。人気のBedfordは後ろから外を回って追い込んできたが、このような展開ではなかなか前に迫ることは難しい。Bell Ex Oneも内から外へと切り替えて前を目指したが、最後はやや遅れての4着。斤量差によるところもありそうだが、やはりこの馬もロスの多い競馬となった。Instigator、El Diez、Blandford Ladなど、後ろから進めた軽量馬も前には迫れず。故障明けのWil Johnは好位から進めたが、後ろから後続が殺到したところでこらえきれず脱落。おそらく前の馬に躓いたあとは無理をしなかったようで、展開的にかなり厳しいことになったということは確かなのだが、どうにも故障からの復帰後はいいところを見せることができていないのは気になるところだろう。