にげうまメモ

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23/10/15 Weekly National Hunt / Jump Racing

10/11(水)

Punchestown (IRE) Yielding to Soft

BetVictor Proud Sponsors Of Irish Racing Novice Chase (G3) 2m2f50y (Replay)

1. Hercule Du Seuil (FR) (AQPS) J: Mark Walsh T: Willie Mullins

レースは人気のHercule Du Seuilが飛ばす展開も、これにLucid Dreamsが絡んでいき途中から先頭に。しかし残り4障害あたりから再度Hercule Du Seuilが先頭に立つと、最後猛然と追い上げてきたSeneciaを凌いで勝利した。

Hercule Du SeuilはこれでChaseは5連勝、重賞は3勝目とした。どうしてもこの時期のNovice馬ということで先々にどこまでつながるかは不明だが、現時点では良馬場におけるスピードを生かすことができる馬として可能性を示している。絡んでいかれた分最後はSeneciaに迫られたが、とはいえ9lbのハンデ差を考えれば十分だろう。これがChase4戦目のSeneciaは前がやり合ったことを利しての2着。Lucid Dreamsは積極的に絡んでいったが、最後は脱落して3着に終わった。

 

Irish Daily Star - Best For Racing Coverage Chase (G3) 2m7f60y (Replay)

1. Minella Indo (IRE) J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

Minella Indo、Delta Work、Conflatedの始動戦として注目が集まっていた。レースはMinella Indoが淡々と逃げると好位からついてきたDelta Work、Conflatedを振り切り、最後はえっちらおっちらと追い上げてきたHurricane Georgieを振り切って勝利した。

Minella Indoは2021年にCheltenham Gold Cup (G1)を勝った馬だが、昨シーズンはSavills New Year's Day Chase (G3)勝ちのみに留まっていた。どうにも好走と途中棄権とを繰り返すように最近は信用ならないところがありそうで、とりあえず始動戦を制したとはいえ引き続き注意しておきたいところである。Hurricane Georgieは夏場から休まず使っている馬で、とりあえず使っていた分の調子の良さもあって2着に来た。Delta Workは最後は遅れたがこの馬の大目標はAintreeであろう。Conflatedは昨シーズンもCheltenham Gold Cup (G1)で3着に入るなど実績を残してはいるのだが、今回はどうにも飛越がいまいちで、勝負所から脱落して5着に終わった。

 

10/13(金)

Chepstow (UK) Good to Soft (Soft in places)

Persian War Novices' Hurdle (G2) 2m3f100y (Replay)

1. Captain Teague (IRE) J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

やや気性的な難しさをのぞかせながらMullinareeがかなり後続に大きなリードを取って逃げる展開も、最終コーナーを回る辺りには後続が接近。ここまら前に出てきたCaptain Teagueが後続に9馬身差をつけて勝利した。

Captain TeagueはCheltenhamのChampion Bumper (G1)で2馬身差の3着に入っていた馬で、これがHurdleデビュー戦であった。途中でかなり大きなミスがあったとはいえ、Hurdle初戦の馬としては十分な内容だろう。この時期のNovice競走としては珍しくペースが流れたということもあり、レース内容としてはなかなか今後が楽しみになるものであった。Maiden、Class4のNovice競走と連勝してきた経験馬Resplendent Greyが2着。前走Maidenで13馬身差の圧勝を見せたRock Houseは最後遅れて3着に入った。逃げたMullinareeはここまで夏場に主にHandicap Hurdleを5連勝してきた馬だが、今回は早々に捕まるとそのまま後退し、離れた5着に終わった。

 

10/14(土)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.1)

Prix Georges De Talhouet-Roy (G2)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 3 ans. 3600m (Replay)

1. Jigme (IRE) J: Ludovic Philipperon T: Marcel Rolland

前半から人気のJigmeが引っ張る展開だが、これにLeon Du Berlais、Milan Tinoなどがついて行く。しかしJigmeの逃げ足は衰えず、そのまま2着争いを続ける後続を尻目に3馬身差の快勝。2着争いはLeon Du Berlaisが制した。

JigmeはMotivator産駒の牡馬で、将来的には種牡馬入りが確定している。9月のPrix Robert Lejeune (G3)ではMaster D'Ocの3着に敗れる波乱があったが、今回はしっかりと結果を残した。やはりHaies向きの軽快なスピードを有する馬で、Steeplechaseでどうかという興味はあるのだが、種牡馬としては楽しみな存在になるだろう。同じく牡馬で、Authorized産駒のLeon Du Berlaisが2着。これで4戦連続の2着と勝ち切れないところはあるのだが、とはいえ能力の高さは確かなものがありそうで、飛越を見ているとSteeplechase向きなのは勝ち馬よりこちらだろう。Milan産駒のMilan Tino、Cokoriko産駒のアイルランド生産馬で、AQPSのKinglandと続いた。"Cheval de selle"のKalca Momoもいたのだが、今回はメンバー的に厳しかったようで、追走に苦労し早々に途中棄権に終わった。

 

Prix Orcada (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. Juntos Ganamos (FR) (AQPS) J: Gabin Meunier T: Cédric Boutin

Jeu Se Eloi産駒の牝馬Jazzy Senamがかなりリードを取って逃げる展開も、好位からじわじわと追い上げてきた人気のJuntos GanamosがJazzy Senamとの叩き合いを制して勝利した。3着以下はやや遅れた。

Juntos Ganamosは春にPrix Ferdinand Dufaure (G1)を快勝していた馬で、能力的には4歳Steeplechase路線ではトップを張る馬である。秋初戦はまさかの落馬に終わっていたが、今回はトップハンデの70kgを背負って快勝した。Jazzy SenamのAngelo Zulianiがかなり積極的にいいペースを作っていった展開で、後続もほぼJazzy Senamに完封されていたのだが、それでもこの結果というのはやはり高く評価しなくてはいけない。人気薄のJazzy Senamが2着。Prix Ferdinand Dufaure (G1)は落馬などとあまり上手くいかなかった馬であるが、このレースができれば可能性はありそうだ。前走Juntos Ganamosとともに落馬に終わったSpeed Emileは見直されて人気を集めていたが、ここでは完敗の内容に終わった。

 

Prix Heros XII (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4400m (Replay)

1. Incollable (FR) J: Nicolas Gauffenic T: Hugo Merienne

Gran Diose、Incollableなどが淡々と引っ張るも、Gran Diose、Ho La La ForezなどをIncollableが凌いで勝利した。La Manigance、Happy Monarchはその後に遅れた。

Incollableは今年で5歳になる馬で、6月にはAuteuilにてSteeplechaseのListedを勝利している。ただ、ここまで世代限定戦のG1競走等に出走していた経歴はなく、とりあえず上がり馬として着目した方がよさそうだが、その力関係にはやや注意した方がいいかもしれない。今回も5歳馬とはいえ64kgと斤量的にはかなり恵まれたものであった。Gran Dioseはまたもや惜敗に終わったが、69kgと斤量的にはトップハンデを背負っていたことを考えるとあまり悲観する内容ではないだろう。馬場としては極端な重馬場ではなかったことを考えると、Saddler Maker産駒のHo La La Forezまでチャンスがあったような感がある。5歳牝馬La Maniganceはどうにも飛越にミスがあり、伸びきれず5着に終わった。Cross Countryで結果を残したVingaの初仔Inga Kamもいたのだが、早々にペースについていけなくなり、離れた最下位に終わった。

 

Prix Carmarthen (G3)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 3900m (Replay)

1. Theleme (FR) J: Gaetan Masure T: Arnaud Chaille-Chaille

Ine Anjou、Thelemeがやや前へプレッシャーをかけていく展開で、最終コーナーを先頭で回ったIne Anjouがそのまま逃げ込みを図るも、ThelemeがLa Cheneviereを振り切って勝利した。

Thelemeは言うまでもなく現時点でのフランスHaiesのトップホースで、このレースは昨年に引き続き連覇とした。72kgと斤量的には厳しかったが、とはいえ内容的には完勝のもので、秋初戦といえど全体的に前へとプレッシャーをかけていくレースを勝ち切ったことはやはり今後に繋がる内容だろう。春にはPrix La Barka (G2)を勝ったLa Cheneviereが2着。Ine Anjouはやや遅れ3着に終わった。常にコンスタントに走る馬だが、どうにも勝ち切れないところが残っている。ただし今回は相手が悪かったと言えよう。Thelemeを除けば6歳以上の馬は8歳のKapteenのみで、そのKapteenも勝ち負けには参加せず最下位に終わった。

 

Genesee Valley (USA) Soft

Genesee Valley Hunt Cup Stakes

FOR FOUR YEAR OLDS AND UPWARD. Three And One Half Miles On The Timber $25,000 (Replay)

1. Monbeg Stream (IRE) J: Freddie Procter T: Leslie Young

レースはMonbeg Streamが後続を引き離して逃げる展開で、早々に番手にいたRenegade Riverは落馬。Andi'amuがじわじわと差を詰めるも、Monbeg Streamの逃げ足は衰えず、そのままAndi'amuに大差をつけて勝利した。

Monbeg StreamはこれでGrand National Timber Stakesに続く勝利とした。5月のWillowdale Steeplechaseでは途中棄権に終わっているが、今回はその快速ぶりをいかんなく発揮してのレースであった。2016年生まれの若い馬で、今回のAndi'amu以下をスピードで圧倒してのレースはなかなか面白いものだろう。どうやらトラックレコードであったとのことで、やや飛越にミスはあったようであるが、Timber路線の新星としてそのレース振りは楽しみにしたい。古豪Andi'amuはじわじわと差を詰めたが、最後は苦しくなって後退。今回はスピード面でMonbeg Streamが上であったということだろう。

 

Glenwood Park At Middleburg (USA) Firm

National Sporting Library and Museum Cup Stakes

FOR FOUR YEAR OLDS AND UPWARD. Three And One Fourth Miles On The Timber $50,000 (Replay)

1. Schoodic (USA) J: Graham Watters T: Jack Fisher

レースはTomgarrowがStooshieを引き連れて後続を大きく引き離して逃げるも、最終周から後続が殺到。早々に前に出てきたSchoodicが追いかけてきたCracker Factoryを抑えて勝利した。3着以下は大きく遅れた。

Schoodicは2010年生まれのベテランで、Timberの経験も長く、Genessee Valley Hunt Cup、International Gold Cup、Virginia Gold Cupなどの勝ち鞍がある。今年は9月のAllowanceからの始動となったが、古豪健在ぶりを改めて見せる走りとなった。昨年は計2戦しか消化できておらずやや健康面で気になるところではあるが、やはりこのような馬は長く走ってもらいたいものである。このレースは連覇を狙ったCracker Factoryが惜しい2着で、勝ち馬とは立ち回りの差もあるかもしれない。

 

10/15(日)

Maienfeld (SWI)

Preis der Gemeinde Bad Ragaz

Jagdrennen Für 4jährige und ältere Pferde. Fr. 10000 3850m (Replay)

1. Kid Tango (ITY) J: Gabriele Agus T: Raffaele Romano

レースは地元のHitechが前に行くも、途中でコースを間違えたのか途中棄権。代わって前に出たKid TangoがJoli Courの追い上げを凌いで勝利した。

Kid Tangoはイタリアからの遠征馬で、ここまでTreviso及びPisaでSiepiは2勝している。Premio Ettore Tagliabue (G3)にて2着の実績はあるのだが最近はぱっとせず、このスイスのSteeplechaseに適性を見出したことはこの馬にとって収穫だろう。先週のMaienfeldにてPreis Des Kantons Graubündenを勝ったJoli Courが2着。ドイツからDotie Boyが参戦していたが、終い伸びきれず3着に終わった。とはいえ73kgのトップハンデを背負っていたことを考えれば十分な内容で、全体的にまだもたつく飛越は目立っていたが、とはいえ収穫のある成績と言えるだろう。

 

Preis Der GKB, Chur

Jagdrennen Für 4jährige und ältere Pferde Fr. 15000 4200m (Replay)

1. Baraclaas (FR) J: Ondrej Velek T: Chantatal Zollet

葦毛のGuardamarが淡々と逃げるも、終盤になって先頭に立ったBaraclaasが追いかけてきたMaster Debonairを凌いで勝利した。

BaraclaasはスイスのSteeplechaseではすっかりおなじみになった馬で、遡ればそのキャリアは2020年からとなる。スイスSteeplechaseの一流競争でも常に出走している馬で、ここでは貫録の勝利と言えそうだ。ドイツのMaster Debonairは惜しい2着で、全体的に飛越面では地元馬に見劣るところはあったが、とはいえ対応としては十分なものであった。勝負所でやや進路を探すような場面もあり、Baraclaasにこれだけ迫るのだから大したものと思われる。逃げたGuardamarは最後遅れ3着。フランスAlexis Acker厩舎のFeux De Boisも参戦していたが、ここではいいところなく4着に終わった。

 

Grosser Preis Des Cross Club Maienfeld

Cross Country Für 4jährige und ältere Pferde Fr. 20000 4800m (Replay)

1. Normandy Dela Vega (FR) J: Gabriele Agus T: Raffaele Romano

レースは葦毛のFou De Reveがかなりゆったりとしたペースで引っ張るも、途中からイタリアのNormandy Dela Vegaが先頭に代わりペースは上がる。Normandy Dela Vegaが軽快に引っ張ると、そのままFou De Reve以下を振り切って勝利した。

Normandy Dela Vegaはこれが初のスイスCross Countryであったが結果を残した。イタリアでは目立った実績はない馬で、昨年4月にMilanoのSteeplechaseのNovice戦を勝利した程度である。ただし、上記のKid TangoをはじめRaffaele Romano調教師にとっても成功した遠征となり、イタリア調教馬の可能性を示す結果となったことは喜ばしいことであろう。地元のFou De Reveは全体的に対応が後手後手に回るレースでの2着で、もう少し積極的に立ち回っても良かったように思われる。

 

Bro Park (SWE) Steeplechase mjuk, Häckbana mjuk

Lindarängen Memorial

Häck För 4-åriga och äldre hästar. 80.000 kr 3800m (Replay)

1. Monsieur Vic (FR) J: Kevin Parkin T: Sigyn Dysell

葦毛のLatourが逃げる展開も、最終周からSuspicious Boyが接近。しかし直線を向いて前に出たMonsieur Vicが後続を突き放して勝利した。

Monsieur Vicはこれで今年のHurdleは5戦無敗とした。前走のBro ParkのH.M.Drottingens Prisではイギリスから遠征したThrone Hallを下して勝利しており、今回もトップハンデの73kgを背負っていたが、文句なしの完勝であった。スウェーデンHurdle路線においてはチャンピオンと考えてよさそうで、来年はSvenskt Champion Hurdleでの地元馬としての勝利が期待される。デンマーク生産馬Suspicious Boyは65kgの軽量を利して見せ場を作ったが、さすがにこれは勝ち馬を褒めるしかなさそうだ。Mutadaffeqも出走していたが、後方から進めるも特に見せ場は作れずに終わった。

 

SHS Silverkanna

Steeplechase För 4-åriga och äldre hästar som ej segrat mer än 3 gånger from 1 januari 2022. 50.000 kr 4000m (Replay)

1. Last Reference (SWE) J: Charlotta Ericsson T: Wittgren Madeleine

前半から元気よく逃げたLast ReferenceがそのままMr Suarez以下を振り切って勝利した。Last ReferenceはSteeplechaseはこれが初勝利とした。Hurdleでは比較的長い馬だが、最近はSteeplechaseに参戦しており、前走はH.M.Konungens PrisにてLiars Cornerの2着に入っていた。元々の能力を考えればここでも期待できそうで、来年以降はこの路線で頑張ってくれるだろう。Mr SuarezもHurdleでは長い馬で、これがSteeplechaseは2戦目となる。Leo The Lion、Junglelandは大きく遅れての入線となった。

 

Tokyo / 東京 (JPN) Yielding

The Tokyo High Jump / 東京ハイジャンプ (G2) 3110m (Replay)

1. マイネルグロン (JPN) J: 石神深一 T: 青木孝

レースは例によってホッコーメヴィウスがかなり主張して逃げる展開で、これに競ってヤマノグリッターズを早々に振り切って逃げる形となる。2周目から少しずつペースを上げて逃げたホッコーメヴィウスはそのまま逃げ込みを図るが、これについてきたマイネルグロンがホッコーメヴィウスとの叩き合いを制して勝利した。

ホッコーメヴィウスは例によって前半からスピードをつけて逃げて行っているが、スタンド前で一旦かなりペースを落としており、2周目から再加速を掛けるというレースを試みている。マイネルグロンはスタンド前でやや引っかかり気味に前に行っていることに加え、3~4コーナー付近では一旦好位のポケットで息を入れており、これが結果的に最後の伸び脚に繋がった。全体的なホッコーメヴィウスのペース配分を読み切った石神騎手の好騎乗だろう。清秋ジャンプステークスでも2着のある馬だけに中山替わりは対応可能と思われるが、石神騎手の騎乗に助けられた部分が大きいことは留意しておきたい。平沢騎手がうまくペースを作ったホッコーメヴィウスが2着。2周目から積極的に運んだニューツーリズムが3着で、前とは動いた分の差だろう。人気のジューンベロシティは最後追い上げて4着に入ったが、その前で何度か飛越をミスしており、加えてさすがにあの位置からではどうしようもない。全体的に後続の騎手の積極性のなさが目立ったレースであった。中山GJで強い競馬を見せたイロゴトシは大敗だが、今回はプレップレースということでこれでいいだろう。心配なのがニシノデイジーで、あの位置からではどうしようもないとはいえ、どうにも気性面での問題をのぞかせるような大敗となった。