4/19(水)
Cheltenham (UK) Good
〇 Silver Trophy Handicap Chase (G2) 2m4f127y (Replay)
1. Caribean Boy J: Darryl Jacob T: Nicky Henderson
例によってCoole Codyが逃げる展開も、Gemirandeをはじめ後続がついていく。残り2障害あたりから抜けてきたGemirandeが前に出るも、馬群を縫って差し込んできたCaribean Boyが後続を振り切って勝利した。
Caribean Boyは2020年のBerkshire Novices' Chase (G2)の勝ち馬で、重賞は久しぶりの勝利とした。ここのところはClass2からListedあたりを転々としていたのだが、どうにもノドの状態が良くないらしく、昨年から2回のWind Surgeryを行っている。好走と大敗が極端なタイプで、今回はこの時期の良馬場に助けられた感はあるのだが、馬の状態には注意した方がよさそうだ。Greatwood Gold Cup (Premier Handicap)で2着に入ったGemirandeは最後の直線でSuper Sixの進路を妨害したことで3着に降着になったようだ。Heltenham、Captain Tom Catの人気二頭はいずれも途中で落馬。ex-Willie Mullinsで2017年にはG1勝ちのあるのCilaos Emeryもいたのだが、どうにもイギリス移籍後はパッとしないようで、ここでも大敗に終わった。Coole Codyはこれで引退のようで、Cheltenhamの20f Handicap Chaseでいつも積極的でしぶとい競馬を見せた馬として大いに人気を集めていたのだが、さすがに近走成績及び年齢的なものを考えれば妥当なところだろう。
4/21(金)
Strasbourg (FR) Tres Souple (3.8)
〇 Grand Cross Strasbourg #4 Trophee National Du Cross Haras Du Lion - Genybet
Cross Country pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 5200m (Replay)
1. Ivresse D'Estruval J: Kilian Dubourg T: Lageneste & Macaire
チェコのBrunch Royal、ドイツのJetstream Jackを迎えて行われた一戦。レースはDestin SacreとIvresse D'Estruvalが前に行く展開も、途中からDestin Sacreの単騎逃げの格好になる。そのまま接近したBelhom De Juilleyを引き連れてDestin Sacreが逃げ込みを図るも、最後の叩き合いからIvresse D'Estruvalが頭一つ出て勝利した。
Ivresse D'Estruvalは今年5歳となる馬で、昨年10月のCastera-VerduzaからCross Countryを使っているのだが、今回はいきなり上のクラスで結果を残した。ここまではClasse4~2辺りで結果を残していたのだが、今回は前走のSaumurに続いて5000メートルクラスで戦えたこと、さらに初のStrasbourgのCross Countryをこなしたことは収穫だろう。この馬の年齢を考えると長くこの路線で頑張ってほしいものである。LignieresのTNC第3戦では落馬に終わったBelhom De Juilleyは今回は結果を残しての2着。昨年のGrand Cross De Vittelを勝利し、VittelのCross SpecialistのDestin Sacreも積極的な競馬で3着に入った。チェコのBrunch Royalは今シーズン初戦であったが、どうにも飛越にミスが多く6着と大敗。アイルランド、イギリス、フランス、そしてドイツと転々としてきた13歳馬Jetstream Jackは途中までレースに参加したが、勝負所から脱落して最下位に終わった。とはいえ昨年はLe TouquetのCross Countryで勝利を挙げているようで、まさに障害馬の鑑といったところだろう。
4/22(土)
Ayr (UK) Good (Good to Soft in places)
〇 Scottish Champion Hurdle (G2) 2m (Replay)
1. Rubaud J: Harry Cobden T: Paul Nicholls
するすると逃げたRubaudがそのままColonel Mustard以下を振り切って勝利した。Rubaudはこれで前走のDovecotte Novices' Hurdle (G2)から連勝とした。2月のBetfair Hurdle (Premier Handicap)ではあまりうまくいかなかったようだが、良馬場における良質なスピードを生かしたレース運びが特徴的な馬で、16fの良馬場であればいい能力を持っていそうだ。どうやらフランス時代は平地重賞でも走っていたようで、能力的にはどうもex-flat horseらしいところがある。Dual Purpose Horseという選択肢もありそうだが、厩舎的にどうだろうか。アイルランドのColonel Mustardが2着。斤量的なところを考えれば勝ち馬とはさほど差はなさそうだ。
〇 Future Champion Novices' Chase (G2) 2m4f110y (Replay)
1. Datsalrightgino J: Gavin Sheehan T: Jamie Snowden
人気のBalco Coastalが逃げるも早々に後退。代わってThunder Rockが前に出てくるも、後ろから追いかけてきたDatsalrightginoがこれを捉えて勝利した。
DatsalrightginoはこれでChaseは8戦目となる経験馬で、Chaseは2勝目とした。Pendil Novices' chase (G2)でSoloの2着にも入っていたのだが、とはえどうにも勝ち切れないというタイプのような感がある。CheltenhamのMagners Plate (Premier Handicap)は荷が重かったようだが、今回は再度Noviceに戻って結果を残した。とはいえ重賞クラスの強力なメンバー相手ではやや力量的には落ちるようで、基本はHandicap路線に行くことになりそうだ。ここまでG1を転戦してきたThunder Rockが2着に入った。
〇 Scottish Grand National Handicap Chase (Premier Handicap) 3m7f176y (Replay)
1. Kitty's Light J: Jack Tudor T: Christian Williams
先週のAintreeに引き続き、動物愛護団体がレース直前にコースへと乱入したScottish National。幸い早々に排除され時間通りにレースが開始されたが、場内には多数の警備員が配置されており、競馬中継を見るとなかなか物々しい雰囲気となっていた。活動家に対して場内からはブーイングの嵐で、除去される度に大歓声が上がっていたようだ。レースはPaddy BrennanのManothepeopleが逃げる展開で馬群は密集して進行。残り5障害あたりからじわじわとペースが上がり、Empire Steel、Threeunderthrufive、Your Own Storyなどが接近。さらに外からCooper's Crossが追い上げてくるも、馬群を突っ切って出てきたKitty's LightがCooper's Crossを振り切って勝利した。
ManothepeopleはどうやらNoviceのClass3辺りを走ってきた馬のようで、これがChase4戦目となる。それもここまで24f戦ばかりのようで、結果的にペースはかなりゆったりとした余裕のあるもので、馬群も密集して進行している。Kitty's Lightは昨年のこのレースの2着馬で、今回は嬉しい勝利とした。基本的には良馬場の超長距離戦で暖かい時期に調子を上げてくるタイプのようで、今年も前走のEider Chase (Class 2)を勝利している。比較的馬群が密集して進行する中、馬群を突っ切ることにこだわったJack Tudor騎手の思い切った騎乗も大きかった。例年はこのあとSandownのbet365 Chase (Premier Handicap)に向かっていたのだが、今年は悲願達成ということでどうするかは不明である。Christian Williams調教師の5歳の娘は先月の半ばに白血病と診断され、現在も通院生活を続けているそうだが*1、陣営にとってはとても嬉しいタイミングでの勝利となった。
今年のDoncasterのSky Bet Handicap Chase (Premier Handicap)を勝ったCooper's Crossは惜しい2着。最終コーナーの辺りでは内を狙うも前が壁になり、そこから再度外に切り返す不利を受けている。ただしKitty's Lightの伸び脚は非常に急であったことからこの不利がどこまで影響したのかは不明である。前走のTopham Chase (Premier Handicap)では落馬に終わっているようで、このあたりの上位馬はNational Fenceへの適性も今後は気になるところだろう。Flash De Touzaineが最後追い込んで3着。11st7lbを背負ったThreeunderthrufiveは堂々とした立ち回りでの4着で、今回32f戦で勝負に加わったのは今後に向けて大きな材料となった。
Middleburg (USA) Firm
〇 Middleburg Hunt Cup Stakes
FOR FIVE YEAR OLDS AND UPWARD. Three And One Fourth Miles On The Timber $25,000 (Replay)
1. Andi'amu J: Jack Doyle T: Leslie Young
レース映像はそのうちNational Steeplechase Associationのホームページでアップロードされるのだが、仕事が遅いのでひとまずFacebook Liveのリンクを貼り付けておく。レースはStorm Teamが前に行く展開も、これにぴったりとついていったAndi'amuが途中から先頭に代わると、ついてきたMystic Strikeとの接戦を制して勝利した。
Andi'amuは2018~2020年及び2022年におけるTimber路線では最強格の馬で、昨年はInternational Gold Cup、Genesee Valley Hunt Cup、Willowdale Steeplechase、Virginia Gold Cupを勝利している。このレースは昨年はStorm Teamに敗れて2着であったが、今回はきっちりとその借りを返して2019年以来となる勝利をあげた。2010年生まれの13歳馬だが、このような馬が長く活躍し続けることは障害競馬の良いところだろう。2009年生まれで今年14歳となるのMystic Strikeが2着に入った。2021年のこのレースの勝ち馬で、昨年もPennsylvania Hunt Cupを勝利するなど元気なようだ。それにしても、主要競争でここまでの高齢馬が上位を占めるというのは世界的にもなかなか例を見ないことである。
〇 Temple Gwathmey Hurdle Handicap (G2)
TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES For Four Year Olds and Upward. Two And One Half Miles On The Hurdle $100,000 (Replay)
1. Snap Decision J: Graham Watters T: Jack Fisher
するすると逃げたSnap DecisionがそのままRedicean以下を振り切って勝利した。Snap Decisionは昨年のJonathan Sheppard (G1)及びIroquois Hurdle (G1)の勝ち馬で、昨年時点ではアメリカHurdleにて最強格の存在であった。今回もやはり抜けたトップハンデを背負っていたようだが、やはりそれでも後続をあっさり振り切る辺り実力的には抜けているようで、欧州からの移籍馬が集まる中でアメリカでデビューした馬がこれだけ強い競馬を見せるというのはやはり喜ばしいことだろう。勝ち馬とは18lbの斤量差があったRediceanは唯一Snap Decisionについていって2着に入った。
〇 The Alfred M. Hunt (Steeplethon)
FOR FIVE YEAR OLDS AND UPWARD. Two And Five Eighth Miles On The Timber $20,000 (Replay)
1. Fast Vision J: Harrison Beswick T: Leslie Young
葦毛のCause for Pardonが前に行く展開も、途中からAnticipatingが先頭に変わり、一時は後続にやや大きなリードをつける。しかし終盤に後続が接近すると、後ろから上がってきたFast Visionが前の2頭を捉えて勝利した。Fast Visionは元々フランスでデビューした馬で、2021年からアメリカに移籍している。AFLAC Supreme Hurdle Stakesで3着に入った実績はあるようだが、Steeplethonはこれが初参戦だったようだ。どうにもTimber手前で立ち止まる仕草を見せていたりと怪しいところはあり、最後はスプリント能力の差で勝利したようなところはありそうだが、とはいえまだ若い馬で今後に期待したい。Anticipating、Cause for Pardonもあまり差はなさそうだ。
Grand National (USA) Firm
〇 Grand National Timber Stakes
FOR FIVE YEAR OLDS AND UPWARD. To be ridden by amateur riders acceptable to the race committee. Three And One Fourth Miles On The Timber $30,000 (Replay)
1. Monbeg Stream J: Freddie Procter T: Leslie Young
レースはRenegade Riverが前に行く展開も、途中からMonbeg Streamが前に出てペースを上げていく。この2頭で後続を大きく引き離すと、Monbeg StreamがRenegade Riverを振り切って勝利した。3着にはShootistが入った。
Monbeg Streamはどうやらex-pointerで、これでMaidenから3連勝とした。どうにも飛越の面で大きなミスがあったりとまだ怪しいところはあるのだが、とはいえレースとしては完全にこの2頭のペースについていける馬だけのレースとなっており、馬の能力としてはいいものがありそうだ。2021年にはWillowdale Steeplechase Stakesを勝っているこの路線の常連Renegade Riverが2着。Hat Trick産駒で2021年のこのレースでは2着に入ったRoyal Ruseもいたのだが、今回はさっぱりレースには参加できずに終わった。
4/23(日)
Auteuil (FR) Collant (4.3)
〇 Prix Jean Stern (G2)
Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)
1. Goliath Du Rheu J: Angelo Zuliani T: Francois Nicolle
France Galopの映像に微妙に説明が追加されており、飛越前に障害のスペックが表示されるようになっているようだ。コースにおける現在地点も表示されており、なかなかユーザーフレンドリーなものになっている。レースはOkkidoが逃げる展開も、途中からGoliath Du Rheu、さらにJojo Lapinが前に出てくる。しかし残り3障害あたりで前に出てきたGoliath Du RheuがJojo Lapin、Okkidoらを振り切って勝利した。
馬場はかなり重いようで、最後は殆どの馬が足が上がっている。Goliath Du Rheuはこの路線ではお馴染みとなった馬で、ここまで3戦連続して2着に入っていたのだが、今回はしぶとく走って勝利をつかんだ。ただし、今回は天敵Juntos Ganamosが不在であったということもあり、再戦時にどこまで上積みがあるかは注意した方が良いだろう。Okkidoは未勝利馬だがこの路線では上位に食い込んでいる馬で、今回もGoliath Du RheuとOkkidoだけが最後までまともに走る余力を残していた。
〇 Prix Leon Rambaud (G2)
Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4300m (Replay)
1. Goa Lil J: Felix De Giles T: Noel George & Amanda Zetterholm
Theleme、Hermes Baieの再戦ということで注目が集まっていた。レースはGoa Lilがやや後続に大きなリードを取って逃げる展開で、好位からTheleme、Hermes Baie。そのままGoa Lilは元気いっぱい逃げると、追い込んできたThelemeを振り切って勝利した。
Goa Lilはやや驚きの勝利を見せた。今年のHaies2戦はいずれも上位には食い込めず4着に終わっていたのだが、今回はFelix De Giles騎手がかなり思い切った騎乗を見せており、この重馬場を警戒しつつ、前哨戦ということもあってさほど無理をしなかった後続を完封する技ありのレースであった。Prix Hypothese (G3)でもこのようなレースをしていたことを考えるとおそらくこれがこの馬の戦法と考えられるが、ただし同型馬の存在には引き続き注意した方がいいだろう。Thelemeはじわじわと差を詰めて2着。Folsom Prisonも同じようなレースをしての3着。やや案外だったのはHermes Baieで、当初はThelemeと同じような位置にいたのだが、そこから脱落して離れた4着に終わった。馬場を気にした可能性はありそうだが、とはいえThelemeに対しては完全に水をあけられるような敗戦で、本番に向けてやや懸念材料となるレースとなってしまった。
Merano (ITA) Terreno Morbido
〇 VAL DI NON Euro 17,000 TRIO
per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeplechase - Condizionata - Fantini) 3800m (Replay)
1. Gangster De Coddes J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr
後続にかなり大きなリードを取って逃げたGangster De Coddesがそのまま勝利した。Gangster De Coddesは今年で7歳となる馬で、昨年のGran Premio Merano (G1)では3着に入るなど結果を残した上がり馬である。これが今シーズンの初戦であったが強い競馬で結果を残した。最終障害での大きなミスなど危なっかしいところもあるのだが、とはいえ持っているスピードはここでは明らかに格上で、今年こそ大仕事の達成に期待がかかる。同じく7歳のSky Constellationはなかなか見せ場を作っての2着。もともとSiepiで結果を残してきた馬だが、Steeplechaseでこれだけ走れたのは今後に向けて明るい材料だろう。13歳となったNotti Magicheは3着で、今回はGangster De Coddesがかなりスピードのある馬だけになかなか苦しかったようだが、とはいえこの馬もこの馬なりに元気そうだ。
Wroclaw (POL) płotowy - mocno elastyczny (4.2); przeszkodowy - mocno elastyczny (4.4);
〇 Nagroda Otwarcia Sezonu Przeszkodowego 24000 zł
Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych. Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. 4300m (Replay)
1. Swinging Thomas J: Jan Odložil T: Pavel Tuma
Meranoと同じくこの日から始まったWroclawの開催。Hibernianがそれなりに積極的なペースで飛ばす展開も、Hurdle Courseに入る辺りから前に出たSwinging ThomasがFrench Chardonnay以下を振り切って勝利した。
Swinging Thomasは昨年のVeľká starohájska steeplechaseの勝ち馬。基本的にはスロバキアで結果を残してきたチェコ調教馬だが、今年はWroclawを始動戦に選んだようだ。ひとまず内容的には初のWroclawにも関わらずレース運びは安定しており、内容的には完勝のものだろう。昨年Wroclawの4歳限定戦で強い競馬を見せたFrench Chardonnayが2着だが、やや勝ち馬からは離されてしまったというのが現状だろう。勝ち馬とは同馬主・同厩舎だが、この馬が結果を残してきた舞台を考えるとこのままWroclawで走ることになると思われる。75kgのトップハンデを背負っていたHer Himはじわじわ差を詰めて3着。ポーランド調教馬としてはMinister Wojnyが出走していたが、勝ち馬からはやや遅れた4着に終わった。
その他
〇 Grand National 2023: Trainer Sandy Thomson on the death of horse Hill Sixteen (BBC Sport)
今年のGrand Nationalで亡くなったHill Sixteenに纏わる記事。トレーナーにとってこの競走の持つ意味、そしてHill Sixteenがこの陣営でどれほど大切に扱われていたかが記載されている。
Merano競馬場はコースの安全性の向上に向けて様々な改良を施しているそうだ。その中にはより柔らかい素材を使用するといった障害の形態の変更やコースの改良が施されており、その中には完全に新しく作り替えた障害も存在する。降雨時の滑りやすさを改善するため排水システムの整備も行っているようだ。
〇 Great Meadow installs new irrigation system (NSA)
Virginia Gold Cupの開催地であるGreat Meadowは新たな灌漑システムを導入するようだ。これはCheltenhamで使用されているものと似ているようで、レースの安全性の向上に寄与することが期待される。
〇 Timbered Tradition - Grand National Steeplechase (Youtube)
今年でGrand National Timber Stakesは120周年を迎える。その紹介動画がアップロードされていたので紹介まで。