にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

22/10/16 Weekly National Hunt / Jump racing

10/12(水)

Punchestown (IRE) Good (Good to Yielding in places)

Buck House Novice Chase (G3) 2m2f140y (Replay)

1. Adamantly Chosen J: Danny Mullins T: Willie Mullins

Midnight Run、Upping The Antiが前を伺うも、途中からAdamantly Chosenが前に出て軽快に引っ張る。そのままAdamantly Chosenが先頭で進めると、追いかけてきたVisionarianを振り切って勝利した。Adamantly ChosenはこれでChaseは2戦2勝とした。HurdleではMaiden勝ちのみで、Punchestown FestivalのGrade Bで4着がある程度なのだが、ひとまずChase転向後はいいレースをしている。良馬場のスピード勝負ということで騎手がだいぶ手を動かしてはいるのだが、第1障害のミスを除けばレース運びは安定していた。11st8lbのトップハンデを背負ったVisionarianが2着で、斤量差を考えれば勝ち馬とはそう差はないだろう。ややもったいなかったのが残り2障害で大きなミスをしたCall Me Lyreenで、残り2障害地点までは勝ち馬に迫る勢いを見せていた。

 

Irish Daily Star - Best For Racing Coverage Chase (G3) 2m7f200y (Replay)

1. Galvin J: Davy Russell T: Gordon Elliott

Politesseがゆるゆると逃げるも、途中からRun Wild Fredがこれに絡んで行く。もたもたと飛越したPolitesseを制してRun Wild Fredが一時は前に出てくるtも、これを好位から追いかけていたGalvinが最終コーナーからRun Wild Fredに並んでいくと、そのまま5馬身ほどの差をつけて勝利した。

Galvinは昨シーズンのSavills Chase (G1)の勝ち馬で、これが今年の復帰戦となる。ひとまず今回は良馬場のスピード勝負というところもあり、やや格下のメンバー相手に苦労する場面があったとはいえ、さすがにトップハンデの11st12lbを背負ってもこれだけさをつけて勝利するのだから大したものだろう。ただしCheltenham Gold Cup (G1)及びPunchestown Gold Cup (G1)ではやや勝ち馬から大きく離された敗戦に終わっており、今シーズンどこまで差を詰めることが出来るかは引き続き注意したい。Run Wild Fredは前半は動きが重苦しいところがあったが、後半はまともに走って2着まで来た。Grand National (G3)及びIrish Grand National (Grade A)は落馬に終わったが、おそらく同じような路線を歩むことになるだろう。Irish Grand National (Grade A)を勝ったLord Lariatもこれが復帰戦であったが、とりあえずは付いて回ってきたというレース振りで、この馬はこれで十分だろう。

 

10/15(土)

Auteuil (FR) Collant (4.2)

〇 Prix Duc D'Alburquerque (Classe 2)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, en steeple-chase, reçu une allocation de 24.000. 3500m (Replay)

1. Spes Militurf J: Mr Frederick Tett T: Lageneste & Macaire

好位から抜け出したSpes Militurfがそのまま圧勝した。Spes Militurfはこれでフランス・イタリア合わせて7戦7勝とした。昨年9月にはMeranoにて4歳限定SiepiのG1競走を圧勝しており、今年は9月のClasse 3で復帰、そこから2連勝としている。Steeplechaseは2戦目であったが特段飛越に問題はなく、ここでも72kgを背負っての圧勝ということで今後に期待してよいだろう。遡ればPrix Maruice Gillois (G1)にて3着のあるMagrudyが2着に入った。その後2年ほどの休養を挟んでおり、復帰後は6月のListed戦で3着があるのだが、あまりこの馬らしいレースは見せていない。

 

Prix Georges De Talhouet-Roy (G2)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 3 ans. 3600m (Replay)

1. Mctigue J: Donagh Meyler T: Emmet Mullins

3歳馬限定戦。実績のあるSt Donatsが軽快に引っ張る展開も、これを好位で追いかけたMctigueが最終障害でこれに並びかけると、St Donatsとの叩き合いを制して勝利した。

Mctigueはこの日Noble Yeatsを遠征させていたEmmet Mullins厩舎の馬で、遡るとDoncasterのVertem Futurity Trophy Stakes (G1)にも出走した経歴がある。これがHurdleはたったの2戦目で、前走はJuvenile Maiden Hurdleを制したばかりなのだが、ここまで経験に乏しい馬が実績のあるSt Donatsを退けるのだから大したものだろう。やや行きたがって走る場面があったり、最終障害でミスもあるのだが、今後の路線選択も含めて楽しみな馬である。Prix Robert Lejeune (G3)を快勝したSt Donatsは実績通りの2着。Castle Du Berlais産駒のGoliath Du Rheuは最後勝負圏内から脱落して3着に終わった。

 

Prix Heros XII (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 4400m (Replay)

1. Figuero J: Angelo Zuliani T: Francois Nicolle

アイルランドからNoble Yeatsが参戦して話題になっていたのだが、残念ながら早々に飛越をミスして途中棄権。Le Berryが前に行くかと思いきや好位で控え、Poly Grandchampが淡々と逃げる展開も、勝負所から抜けてきたFigueroがStarlet Du Mesnilを抑えて勝利した。

Figueroは遡ればPrix Maurice Gillois (G1)を30馬身差で圧勝した馬で、2020年にはGrand Steeplechase De Paris (G1)にて2着の実績もある。ただ2021年以降はどうにもいまいちで、これが2020年のPrix Ingre (G3)以来の勝利となった。どうにもここ最近は勝ち切れないレースを続けていたのだが、元々持っている能力はフランスSteeplechaseではトップクラスのはずで、これがこの馬にとってなにか吹っ切るきっかけになって欲しい。5歳馬Starlet Du Mesnilは昨年のPrix Sytaj (G3)を勝った馬で、春は年上の馬に混じって勝ち切れなかったのだが、今回はFigueroを追い詰める走りを見せた。実績馬Poly Grandchamp、Le Berryはどうにもいまいちなレースで3、5着。Srelighonnは例によって途中で大きなミスがあった。Noble Yeatsは早々に飛越をミスした結果、完全に飛越のリズムを崩していたようで、難関障害Gros Open Ditchの前に止めるのは致し方ないところだろう。今回はフランスの名手James Reveley騎手を確保していたようだが、どうやらイギリスに戻った際には改めて騎手を探すようだ。

 

Prix Carmarthen (G3)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 3900m (Replay)

1. Theleme J: Pierre Dubourg T: Arnaud Chaille-Chaille

L'Autonomieの復帰戦、かつHermes Baieの出走で注目が集まっていた。レースはそのL'Autonomieが前に行くも、これにYeiayelが絡んで行く。Yeiayelが軽快に引っ張る形となり、好位からL'Autonomie、さらにはHermes Baie。勝負所からYeiayelにこのL'Autonomie、Hermes Baieが襲い掛かるも、さらに後ろからThelemeとFolsom Prisonの2頭が接近。Hermes BaieとThelemeの叩き合いはThelemeが制した。L'Autonomieは3着まで。

Thelemeは昨年の4歳Haies戦線にてHermes Baieと幻のライバル関係にあった馬で、Hermes Baieが大きな勲章を手にした一方で、この馬はGrand Course De Haies D'Auteuil (G1)も4着に甘んじていた。ようやくこの馬の存在感を見せつけたといったところだが、とはいえYeiayelがかなり早いペースを作ったことで前に行ったL'Autonomie、さらにはL'Autonomieを目標に乗ったHermes Baieに対してうまく立ち回ったという印象も否めないだろう。そのHermes Baieは力を見せての2着。L'Autonomieもあまり差のない3着で、牝馬が70kgを背負ってここまで抵抗するのだから大したものである。Thelemeと同じように追い上げたFolsom Prisonは早々に息切れしての4着で、そういう意味ではThelemeも実力のあるところを見せたともいえる。上り馬Yeiayelは積極果敢なレースを見せたが、最後は完全に脚が上がっての大敗で、L'Autonomieのハナを叩きにいくのは流石に苦しかったようだ。

 

Prix Orcada (G3)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. Diamond Carl J: Bertrand Lestrade T: Francois Nicolle

レースは好位から進めたDiamond Carlが悠々と抜け出しを図るものの、これに後方からLa Maniganceが襲い掛かる。Diamond CarlがLa Maniganceをぎりぎり凌いで勝利した。Diamond Carlはいちおうこれで5連勝とした。その中には重賞3勝を含んでおり、ひとまず4歳世代では頭一つ抜けた存在と考えていいだろう。牝馬La Maniganceの66kgに対して69kgを背負っており、着差は僅かではあったのだが勝負所で進路を探す場面もあったりと、さほど悲観しなくてよさそうな感はある。La Maniganceは強敵相手に頑張っての2着で、Prix Ferdinand Dufaure (G1)では途中棄権に終わったのだが、この世代のトップクラスの馬として期待できそうだ。そのPrix Ferdinand Dufaure (G1)を勝ったAltesse Du Berlaisもいたのだが、秋以降はさっぱりで今回は途中棄権に終わった。

 

Wroclaw (POL) płotowy - mocno elastyczny (4.3); przeszkodowy - elastyczny (3.9); 

Nagroda Marszałka Województwa Dolnośląskiego 50000 zł

Finał cyklu gonitw z przeszkodami dla 4-letnich koni Prawo startu mają konie, które ukończyły co najmniej jedną z gonitw cyklu Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 4-letnich koni. 4000m (Replay)

1. French Chardonnay J: Jan Odložil T: Pavel Tůma

レースはMeadow Lifeなどが前に行くも、好位から進めたFrench ChardonnayがReggaetonに6馬身差をつけて勝利した。French ChardonnayはこれでポーランドSteeplechaseでは3連勝とした。昨年からチェコ・イタリアのProutkyを使っていた馬だが、ポーランドSteeplechaseで結果を残している。4歳馬らしからぬ落ち着いた走りが目立っており、ここでは完全に力が抜けているという状況なのだが、同厩舎で同い年のGreek Dessertがいる現状、このままポーランドに留まるのか、Greek Dessertのようにチェコに戻るのかは注意しておきたい。2着にはチェコのReggaetonが入り、地元調教馬としてはSpeedy Girlの3着が最高であった。

 

Crystal Cup 172000 zł

Gonitwa pod patronatem Polskiego Klubu Wyścigów Konnych Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. 5500m (Replay)

1. Haad Rin J: Christopher Roberts T: Robert Świątek

ポーランドSteeplechaseとしてはWielka Wrocławskaと並んで最大のもの。Wielka Wrocławskaよりも500メートル長く、途中にBanquetteが設定されているなど、コース設定には違いはある。今年はスウェーデンからMutadaffeqの参戦があった。レースは大ベテランLarizanoが逃げる展開で、Wielka Wrocławskaでは大きな事故のあったSkok trybunowyでは特段の事故なくクリア。そのままレースは淡々と流れるも、途中から前に出てきたHaad RinがそのままGap Pierji以下を振り切ると、2着に6馬身差をつけて快勝した。

Wielka WrocławskaにおけるSkok trybunowyの事故は極端なスローペースに起因してRekiが斜飛したもので、馬群が密集していたこともあって有力馬が落馬したRekiに接触したものである*1。今回はHaad Rin、Gap Pierji、Her Himといった当時落馬した馬が上位を独占した。Haad Rinは地元調教馬としてポーランドSteeplechaseでは強い競馬を見せている馬で、今年もNagroda Tiumena、Nagroda Otwarcia Sezonu Przeszkodowegoと強い勝ち方を見せている。このレースは2019年にも勝利しており、2021年は勝利目前で落馬した借りを返す結果となった。若干スピードが勝ったタイプとはいえこのような小回りでの器用な立ち回りを要求されるコースで生きるスピードを持つ馬で、フランスまで行くとCross Country Horseとしての経験の違いで苦しくなるのだが、チェコの一部の競馬場では十分に立ち回れるかもしれない。スウェーデンの騎手Christopher Robertsもいい騎乗ぶりを見せ、スウェーデン障害競馬のポテンシャルの高さを見せてくれた。フランスでいい競馬を見せてきたGap Pierjiが2着に入った。Wielka Wrocławskaでは上記の通り不幸な落馬に終わっており、まともに走ればこれくらいはやれる馬である。まだ6歳と若く今後に期待したい。Svenskt Grand Nationalを勝ったHer Himは例によってズブさを見せて3着まで。Wielka Wrocławskaを勝った地元のNickは勝負に加われず5着に終わったが、ここまでの結果を踏まえると特に驚くものではない。スウェーデンのMutadaffeqはやはり障害に手を焼いていたようで、Skok trybunowyもぎりぎり飛んだといったところであったり、途中の池でバランスを崩してスウェーデンの鉄人Niklas Lovénがなんとかリカバリーをしたりと、ここまでミスがあると完走したことを誇るべきだろう。どうやらスウェーデンではストックホルムに障害コースを新設するという話があるようだが、近年建設されたBro Parkはどちらかというと近代的で安全性に配慮した障害コースが設定されており、その詳細は引き続き注意した方がいいかもしれない。Almost Humanもいたのだが、どうも馬を抑え込んでいるうちにそのまま馬がやる気をなくしたといったレース振りで、以前のように勢いに任せて飛ばしていた頃の方がまだ結果を残すことが出来ていた感がある。

 

Far Hills (USA) Yielding (NYRA) (Far Hills)

Harry E. Harris Hurdle Stakes

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES FOR FOUR YEAR OLDS. Two And One Eighth Miles On The Hurdle $50,000 (Replay)

1. Ljay J: Parker Hendriks T: Keri Brion

この日はNew York Racing AssociationのYoutubeチャンネル等にて中継があった。一部のSaratoga等の開催を除くと基本的にアメリカ障害競馬の中継は有料で、しかもその値段は1開催につき12ドルなどと法外な値段を吹っ掛けてくる。数十年前に戻ったようなこの円安で、レースが行われるのも深夜、主要競走が数レースのみという中継でこの値段はさすがに厳しい。

Pardubice帰りのThomas Garner騎手のProject Twoが逃げる展開も、これにLjay及びSpring Heeled Jimがぴったりとついて行く。最終障害Proven Innocentが一気に捲ってくるも、好位で頑張ったLjayがそのまま押し切り勝利した。Ljayは5月にSport of King Hurdle Stakesを勝った馬だが、その後のHandicap Hurdleでは途中棄権、前走のFoxfieldのAllowanceでは2着に終わっており、やや人気の盲点だったようだ。とはいえWilliam Entenman Novice StakesでThe Mean Queenを下して勝ってきたProven Innocentを凌ぎ切っての勝利ということもあり、斤量面や展開面での利はあったのだが、4歳馬としてなかなか今後が楽しみになるものだろう。そのProven Innocentは内から迫ったWho's Countingを捕まえきれずの3着で、外から捲ったことと157lbという斤量的な不利はあったのだが、とはいえThe Mean Queenとの再戦を考えるとここは勝ち切りたかった。

 

Gladstone Hurdle Stakes

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES FOR THREE YEAR OLDS. Two And One Eighth Miles On The Hurdle $50,000 (Replay)

1. The Insider J: David Russell T: Gordon Elliott

Hoffmanが行くと思いきや、これを制してアイルランドのThe Insiderが前に行く展開。そのままThe Insiderは軽快に飛ばしていくと、そのまま後続に大差をつけて圧勝した。

レースとしてはほぼThe Insiderのワンサイドゲームとなった。アイルランドではまだ3歳Hurdle路線が始まっているわけではなく、The InsiderにとってはこれがHurdle4戦目となる。平地では11戦して未勝利に終わった馬だが、これでHurdleは4戦3勝ということで、3歳馬としては比較的経験を積んだ部類ということもあって飛越は安定していた。良馬場のスピード勝負を勝ち切ったということもありアイルランドにおける水準は不明だが、いちおうアイルランドでどのような競馬をするかは注意したい。このThe Insiderのペースに付いて行ったのがHoffmanで、前走はMaidenで3着に入ったばかりの馬である。そのMaidenを勝ったFleeting Atteが離れた3着、障害初参戦のSolibがはるか後方の4着と、The Insiderの勝利はどうにも額面通りに受け取れないというのがメンバーを見渡したときの素直な感想だろう。

 

Foxbrook Champion Hurdle Stakes

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES FOR FOUR YEAR OLDS AND UPWARD WHICH HAVE NOT WON OVER HURDLES PRIOR TO MARCH 1, 2021 OR WHICH HAVE NEVER WON THREE RACES, OTHER THAN THREE-YEAR-OLD.  Two And One Half Miles On The Hurdle $75,000 (Replay)

1. Ted Hastings J: David Russell T: Gordon Elliott

いわゆるNovice競争。例によってDecisive Triumphが主張して前に行くも馬群は密集して進行。残り3障害辺りからHowyabudなどが接近するも、内から忍び寄ってきたTed Hastingsが最終障害を越えてHowyabudに襲い掛かると、Howyabudとの叩き合いを制して勝利した。

ここもアイルランド調教馬が制する結果となった。Ted Hastingsは5月のAyrで初勝利を挙げた馬で、前走はBellewstownの平地を勝ってここに備えてきた。アイルランドでの出走歴はPTP及びNHFしかなく、Hurdleはイギリスのローカルを使っていたばかりで水準としては不明なのだが、おそらく今年はNoviceクラスを使って行くことになると考えられることから、アメリカNoviceクラスとの比較においてもそのレース振りは注意した方がいいだろう。Jonathan Kiser Novice Stakesを勝ったHowyabudが僅差の2着だが、内容としてはかなりTed Hastingsの方が苦しい競馬をしてきたものであることには留意したい。

 

Grand National Hurdle Stakes (G1)

TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES FOR FOUR YEAR OLDS AND UPWARD. Two And Five Eighth Miles On The Hurdle $250,000 (Replay)

1. Hewick J: Jordan Gainford T: John Hanlon

The Mean queenが直前でスクラッチしたものの、Snap DecisionやNoah And the Arkを筆頭に強力な地元調教馬が多数集まった。一方でイギリスからはGlobal CitizenアイルランドからはHewickが参戦し、特にGalway Plate (Grade A)を勝ったHewickの参戦が注目されていた。

レースはNico De BoinvilleのPistol Whippedが逃げる展開も、Global Citizenなどがこれについて行く。さらにはSnap Decisionなども好位から進めるが、ここから抜け出してきたHewickがそのまま後続を突き放すと、2着のNoah And The Arkに11馬身差をつけて圧勝した。Ask Paddington、Belfast Banterと続いた。Snap Decisionは6着と大敗に終わった。

Hewickはたったの£800(=約13万円)で取引された馬で、下手したらクラブ馬の一口の値段よりも安いくらいなのだが、この日の1着賞金はなんと$150,000(=約2200万円)である。さらにここまで1着賞金€159,300(=約2300万円)のGalway Plate (Grade A)、1着賞金£90,298.66(=約1500万円)のbet365 Gold Cup (G3)、1着賞金£14,308.25(=約240万円)のDurham National Handicap Chaseなどを制しており、こういうことがあるから競馬は面白いのである。内容としては元々Nicky Henderson厩舎にいた良馬場の快速馬Pistol Whippedがかつての主戦Nico De Boinvilleとともにペースを作り、更に春にはGrand Annula Challenge Cup (G3)を元気いっぱい逃げて勝ってきた快速馬Global Citizenが競り掛けていくというなかなかにハードなレースで、結果的に前に行った組はほぼ全滅に近い結果に終わっているのだが、このペースを悠然と好位で追走し、そこから後続を振り切るのだから持っている能力がここでは違いすぎた。なにかとイギリス・アイルランドからの遠征馬が結果を残しているこのレースではあるのだが、前走のKerry National (Grade A)では落馬に終わったとはいえ11st12lbを背負ってほぼ勝ちに等しい内容で、良馬場のスピード勝負において24ハロン以上を十分に走り切るだけのタフネスを持ったイギリス・アイルランドにおいてトップクラスに位置する馬が出てきてはここではひとたまりもないというのが現状なのだろう。

前走Lonesome Glory Handicap Hurdle (G1)でSnap Decisionを下してきたNoah And The Arkが2着。イギリス時代にはDonald McCain厩舎にいた馬で、せいぜいClass4の勝ち鞍がある程度である。どうやら良馬場のスピード勝負が合うようで、アメリカHurdleにも慣れてきた昨年辺りから結果を残している。今回は完全に後方に控えて上り勝負を仕掛けた結果2着まで浮上した。やはりはるか後方にいたAks Paddingtonが3着で、この馬もイギリスではClass2のHandicap Hurdle勝ちがある程度の馬であり、やはりNoah And The Arkと同様にイギリス・アイルランドの実績を踏まえるとHewickに対しては数段格下であることは明らかである。2021年にはAintreeでTop Novices' Hurdle (G1)を勝ったBetfast Banterも同様に後方から押し上げるレースでの4着だが、この馬自身、2022年にアメリカに移籍して以降はどうにも期待外れの成績に終わっている。おそらく良馬場の方がいいはずなのだが、イギリスでの実績を考えればやや寂しいパフォーマンスだろう。

イギリスでは重賞勝ちもあるSong For Someoneも良いところはなし。2m5fくらいの距離がよいHurdle馬なのだが、2021-2022シーズンの後半はあきらかに距離が長すぎたStayers' Hurdle (G1)を含めて良いところはなく、そこから復調していないことを踏まえるとやや馬の状態に不安が残る。地元の大将として挑んだSnap Decisionは好位から進めたが、最後は完全に息切れしての6着。アメリカ調教馬としては一枚抜けた実力を持っており、基本的に殆ど崩れずにコンスタントに走ってきている馬なのだが、Hurdle戦でここまで崩れたのは初めてである。かえってペースの厳しさとHewickの強さを際立たせる結果となってしまった。

 

10/16(日)

Bro Park (SWE) Steeplechase god, Häckbana god

LINDARÄNGEN MEMORIAL 80.000 kr

häck För 4-åriga och äldre hästar. 4200m (Replay)

1. Last Reference J: Niklas Lovén T: Madeleine Wittgren

レースは少しずつペースを上げて逃げたLast ReferenceがそのままMr Suarezを凌いで勝利した。Last Referenceは前走は今年唯一となったØvrevollのHurdle戦を制した馬で、これで前走から2連勝とした。9月のH.M. Drottingens Prisでは大敗していたのだが、今回はMr Suarez相手に力のあるところを見せた。73.5kgを背負っての勝利はひとまず勝ちがあると考えてよさそうだが、とはいえメンバー的にどうかという感もある。Niklas Lovénは今年で52歳になるスウェーデンの障害騎手で、2021年には首を骨折するという重傷を負ってるのだが*2、そこから復帰して今年は元気に障害騎手として活躍しているのだから大したものである。Latour、Luris Pegasusはいずれも徐々に脱落し、勝ち馬からは大きく離れた入線となった。

 

SHS SILVERKANNA 50.000 kr

Steeplechase För 4-åriga och äldre hästar som ej segrat mer än 3 gånger from 1 januari 2021. (Replay)

1. Three Is Company J: Christopher Roberts T: Lars-Åke Enström

例によってレース映像が途中で切れている。Three Is Companyが最後迫ったFrench Warriorを振り切ったようだ。Three Is Companyは今年のSvenskt Grand Nationalの2着馬で、その後はPardubiceにも遠征している。Pardubiceではさすがに初距離や初の障害ということもあって途中棄権に終わったのだが、今年はスウェーデンSteeplechaseでは上位のレースをしているようだ。今回も73kgを背負って頑張った。French Warriorもこの路線ではかなり長い馬で、なにかと大きく崩れず走っているのだから大したものである。スウェーデンでは初のSteeplechaseとなったRoxie Roseが3着で、ここのところの実績を考えればこのくらいだろう。

 

Tokyo / 東京 (JPN) Good to Firm

The Tokyo High Jump / 東京ハイジャンプ (G2) 3110m (Replay)

1. ゼノヴァース J: 森一馬 T: 小林真也

どうやらJRAのホームページにも直リンクを貼ることが出来るようになったらしい。オジュウチョウサンの復帰戦ということで話題を集めていた。レースはメイショウウチデなどの内の馬を制してホッコーメヴィウスがやや引っかかり気味に先頭に立つ展開。例によってオジュウチョウサンは好位から。そのまま2周目からホッコーメヴィウスはリードを開いて逃げ込みを図るも、最終障害を越えてゼノヴァースが接近。ゼノヴァースとホッコーメヴィウスの叩き合いはゼノヴァースに軍配が上がった。オジュウチョウサンは勝負所から脱落して大敗に終わった。

ゼノヴァースはディープインパクト産駒で、母Rhythm of Lightはトルコ及びアメリカで重賞を勝利しているという良血馬である。平地では3勝クラスで早々に頭打ちになったようだが、これが障害3勝目、重賞は初勝利とした。日本障害競馬ではありがちな比較的早いながらも無理のないペースで隊列が長くなった結果、前に居なければ勝負には加われないというパターンで、ホッコーメヴィウスのペースをきっちりとついて行くことができたのが一番の勝因だろう。新潟及び京都で重賞を連勝してきたホッコーメヴィウスは自身のレースをしての2着で、こればかりは勝ち馬を褒めるしかなさそうだ。ただ、いずれもどちらかといえば小型の障害におけるスピードタイプといったところで、中山への外挿性という意味では疑問が残る内容であった。後続の騎手は例によってなにをしていたのかよくわからないのだが、オジュウチョウサンはどうやら向こう正面でミスがあり、そこからリズムを崩したようだ。11歳となった現状ここは明らかに適性外で、高齢のチャンピオンが大一番に向けてのプレップレースとして使うには少々気の毒な条件である。

 

その他

Robbie Dunne returns to the saddle with a winner on Ernesto at Hereford (Racing Post)

'I'm truly sorry' - Robbie Dunne keen to move on after comeback winner (Racing Post)

Bryony Frost騎手とのトラブルで長期間の騎乗停止処分を受けたRobbie Donne騎手がHerefordにて復帰し、Ernestoとのコンビで勝利を収めたそうだ。問題を起こしたとはいえ、経験のある名手が無事に競馬に復帰したことは喜ばしいことである。

Když vyhrál Velkou, nevěděl to. Trvám na opakování ceremoniálu, vtipkuje (iSport.cz)

Mr Spexは2015年に繰り上がりで優勝したRebelinoと同馬主であるが、そのRebelinoに騎乗していたPavel Kašný騎手に関する記事。1997年に初めてVelká Pardubickáに騎乗したベテラン騎手は2015年以降このレースには騎乗していないが、Velká Pardubickáへの熱意は衰えていないそうだ。この日はAngosturaでの積極果敢な騎乗も目立っており、そのアグレッシブな騎乗には引き続き注目したい。

Počet chovatelů během dekády klesl na polovinu. Podívejte se na zajímavá, byť neradostná, data z Fact Book 2021 (Fitmin & Turf Magazin)

チェコJockey ClubのFact Bookにおいて2021年のチェコ馬産統計が提示されたそうだ。チェコへの輸入頭数は年々増加しており、特にフランスからの輸入が主を占めているそうだ。一方で国内生産は減少気味で、5頭以上の繁殖牝馬を有するブリーダーも数える程度であるようだ。

Hindernestorn von Koenigsegg: —Vi har våra utmaningar, men mycket att glädjas åt (Jockey Klubben)

スウェーデン障害競馬の現状に関するSkandinavisk Hindersportsの会長であるJesko von Koenigseggのインタビュー。Jesko von Koenigseggはこの要職を10年以上勤めているスウェーデン競馬の要人である。現在ストックホルムにおいて障害コースの建設を計画しており、Bro Parkに遠征したGavin Sheehan騎手を初めスウェーデンの障害競馬に関して肯定的な意見が得られている等の明るい話題を提示する一方で、競走馬が少なすぎる点を問題視しているようだ。