11/3(金)
Auteuil (FR) Lourd (4.8)
〇 Prix Pierre De Lassus (G3)
Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3900m (Replay)
1. Losange Bleu (FR) J: Johnny Charron T: Dominique Bressou
レースはLosange BleuがWhymperを引き連れて逃げる展開で、馬場状態もあってか途中からだいぶ隊列が長くなる。Losange Bleuは軽快に逃げると、付いてきたWhymperを振り切って勝利した。
Losange Bleuは春のPrix Alain Du Breil (G1)にてアイルランドのGala Marceauの2着に入った馬で、これがこの秋としては2戦目であった。10月のPrix De Maisons-Laffitte (G3)ではWhymperの5着に終わっているのだが、今回はきっちりと結果を残したことになる。春の時点ではこの4歳Haiesの路線においてトップクラスと考えられていた馬で、実力馬が戻ってきたことは喜ばしいことだろう。Martalineの産駒にとってLourdの馬場も向いたものと思われる。そのPrix De Maisons-Laffitte (G3)を勝ったWhymperが2着。Clairefontaineのハンデ戦を含め3連勝で挑んできた未去勢の牡馬でUlysses産駒のLincolnもいたのだが、徐々に遅れ離れた3着に終わった。
11/4(土)
Ascot (UK) Soft (Good to Soft in places)
〇 Byrne Group Handicap Chase (Premier Handicap) 2m167y (Replay)
1. Boothill (IRE) J: Jonathan Burke T: Harry Fry
途中から軽量馬Saint Segalが後続をやや突き放して元気に逃げる展開も、これにCap Du Mathan、Boothill、First Flowなどが接近。最終障害手前で前に出たBoothillがFirst Flow以下を突き放して勝利した。
BoothillはNovice上がりの馬で、Novice馬としてはKemptonのWayward Lad Novices' Chase (G2)を勝利している。Cheltenham Festivalでの出走はなく基本的にG2レベルの出走のみに留まっていたが、今シーズンの始動戦としてはいいレースを見せた。2月のPendil Novices' Chase (G2)ではSoloから8馬身遅れての3着に終わっており、おそらく16f路線を歩むものと思われる。11歳馬で2021年にClarence House Chase (G1)を勝ったFirst Flowが12st0lbのトップハンデを背負って2着。基本的にAscotは得意とするパワーのある馬で、距離が伸びても対応可能であり、年齢を重ねてきた今年も活躍が期待できそうだ。5歳馬のSaint Segalは積極的な競馬で3着に入った。Wind Surgery明けの馬だが、最後は盛り返しているだけに単なる展開利と軽視はできなさそうだ。残念なレースをしたのは軽量のFrere D'armesで、直線で内に入って進路をなくし、抜け出せないまま脚をなくして大敗に終わった。
〇 Novices' Hurdle (Class 3) 1m7f152y (Replay)
1. Jango Baie (FR) (AQPS) J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson
途中まで大騒ぎをしながら引っかかり気味に先頭に行ったJango Baieが直線を向いて迫ったTellherthenameとの叩き合いを制して勝利した。Jango Baieは日本にも遠征したTiger Groomの産駒で、これが"Under-rules"では初勝利とした。Point-to-PointではMaidenでの2着に入っているが、レース振りからわかるようにだいぶ未熟なところがありそうで、それでも押し切れる辺りは大したものだろう。Malinas産駒でやはりこれが"Under-rules"デビュー戦となったTellherthenameが惜しい2着に入った。
〇 Sodexo Gold Cup Handicap Chase (Premier Handicap) 2m7f180y (Replay)
1. Victtorino (FR) J: Charlie Deutsch T: Venetia Williams
葦毛の9歳馬Eldorado Allenがするすると逃げる展開で、好位からTwo For Gold、途中から上がってきたVicttorinoなどが進める。Victtorinoが最終コーナーを回って先頭に立つと、食い下がるTwo For Goldなどを突き放して勝利した。
最終障害で複数の重複落馬があったようだが特段大きな事故には至らなかったようだ。Victtorinoは元々フランスで比較的長くSteeplechaseを走っていた馬で、今年から現厩舎に移籍している。全体的にやはりex-french chaserらしい航行能力の高さを見せるようなところがあり、最終障害で好位にいた馬が総じて落馬したとはいえ、Ascotの上り坂にも対応したことは収穫だろう。まだ5歳と若い馬で、引き続きの活躍を楽しみにしたい。Two For GoldはこのAscot自体は得意とするパワータイプの馬で、今シーズンの始動戦でも12st0lbの斤量を背負って結果を残した。終盤の障害でミスがあった点が悔やまれる材料で、それがなければもう少し勝ち馬にも迫ることができたかもしれない。AintreeのGrand Nationalでは11st3lbを背負って挑むも途中棄権に終わっており、2度のNational Courseで結果を残せていない現状を鑑みると別路線で期待したいところである。昨シーズンは24f ChaseのG1路線を歩んだ葦毛のEldorado Allenはどうにも全体的にふらふらと走るところがあったが、ひとまずTwo For Goldからあまり差のない3着に入った。
Wetherby (UK) Soft (Heavy in places)
〇 bet365 Hurdle (G2) 3m26y (Replay)
1. Botox Has (FR) J: Caoilin Quinn T: Gary Moore
例によってDashel Dracherがするすると逃げる展開で、好位からBotox Has、Thyme Hillなどが進める。終盤になって早々にThyme Hillが手ごたえが悪くなり、外からRed Riskが進出するも、これを退けてBotox Hasが勝利した。Dashel Dracherが3着に入った。
Botox Hasは昨シーズンのStayers' Handicap Hurdle (Premier Handicap)の勝ち馬で、その後Cleeve Hurdle (G2)に挑戦するもこちらはフランスのGold Tweetの4着に終わっている。どうもCheltenhamに出てくることは多いのだが近年の勝ち鞍はHaydockとFontwellで挙げており、Wetherbyを含めもう少しシンプルなコースの方がいいのかもしれない。この日のWetherbyはSoftというよりはHeavyに近い重い馬場で、その条件への適性もあったようだ。Harry CobdenのRed Riskは道中馬場のいいところを探しながら走っての2着で、これは騎手の好騎乗だろう。昨年もStayers' Hurdle (G1)で3着に入るなどフレッシュな10歳馬Dashel Drasherは最後捕まっての3着だが、この馬の場合はCheltenhamのようにメリハリをつけて乗った方がいいような感がある。Chase帰りのThyme Hillはどうにも途中から動きが悪くなっての4着で、最終障害の辺りで前をカットされるような場面もあったとはいえ、この動きの悪さはやや気になるところである。
〇 Charlie Hall Chase (G2) 3m45y (Replay)
1. Gentlemansgame (GB) J: Darragh O'Keeffe T: Mouse Morris
Bravemansgameの復帰戦ということで注目が集まっていた。レースは例によってAhoy Senorが前に行くも、途中で大きなミスをして後退。代わって前に出たBravemansgameが付いてきたGentlemansgameに対して持ったままで進めるも、最終障害でまさかのミス。これを利して前に出たGentlemansgameがBravemansgameを振り切って勝利した。
Bravemansgameのミスは飛越における踏切位置が遠すぎたというパターンのもので、結果的に障害に突っ込むという形になっている。もう少しきっちりと踏切位置を合わせに行っていればというところはあるのだが、とはいえこればかりは結果論だろう。早々にAhoy Senorが後退したというところはあるのだが、Bravemansgameの始動戦としては十分な内容であった。Gentlemansgameはアイルランドの馬で、Chaseの経験自体はあまりなくこれが3戦目である。昨年の12月にBeginners Chaseを勝ったのみの馬で、前走はPWC Champion Chase (G2)でEasy Gameの2着に入っていた。今回はBravemansgameのミスを利した内容だが、とはいえ底を見せた馬ではなく上がり目のありそうな一頭である。心配なのがAhoy Senorで、もともと飛越にポカがある馬とはいえ、今回も飛越をミスしてそのまま後退しての途中棄権に終わった。前に行って飛越のリズムを作っていくことはこの馬にとっていつもの戦術であるが、ここまで同じようなミスを繰り返されると心配なところである。
Montpelier (USA) Firm
〇 Marion Dupont Scott Memorial Stakes
TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES FOR FILLIES AND MARES, FOUR YEARS OLD AND UPWARD. Two And Three Eighth Miles On The Hurdle $50,000 (Replay)
1. Right Tempo (FR) J: Jamie Bargary T: Leslie Young
秋の気配を感じさせる美しいMontpelierの競馬場。レースはトップハンデ165lbのSay Goodbyeが前に行く展開も、ぴったりと後続がついて行く。残り2障害を越えて前にでたBercasaが逃げ込みを図るも、これに迫ったRight Tempoがこれを下して勝利した。
Right TempoはAuthorized産駒の牝馬で、これでMaidenから2勝目とした。どうやらアメリカでデビューしたフランス生産馬のようで、デビュー後は一貫して障害戦を使われている。前走はFar HillsのPeapack Hurdle StakesでSay Goodbyeの2着に終わっているが、今回はその借りを返す結果となった。とはいえSay Goodbyeが165lb、Bercasaが151lbであった一方でこの馬は143lbと、だいぶ斤量的には恵まれた感がある。そのBercasaが僅差の2着で、どちらかというとこちらを上に取った方がいいだろう。
〇 Noel Laing Stakes
TO BE RUN OVER NATIONAL FENCES For Four Year Olds and Upward Two And One Half Miles On The Hurdle $75,000 (Replay)
1. Zabeel Champion (GB) J: Bernard Dalton T: Jack Fisher
ここではequibaseの記載を使っているがレース自体は生垣障害を使用する競走となる。"Brush Course"と実況では呼ばれているようだ。レースはEye of Gunfighterが逃げる展開で、やや後続にリードを取って逃げる格好となる。しかし中盤からZabeel Champion以下が接近してくると、馬群は密集。ここから最終障害を越えて前に出てきたZabeel ChampionがScorpion's Revengeを振り切って勝利した。
Zabeel ChampionはFar HillsのAppleton Hurdle Stakesから連勝とした。元々はかなり長くイギリスで走っていた馬で、平地経験もかなり長いのだが、Montpelierの比較的大型の生垣障害にも問題なく対応していた。Iroquois Hurdle (G1)で3着、Grand National Hurdle (G1)で4着と一定の結果を残してきたScorpion's Revengeが2着で、かなり起伏のある特殊なMontpelierのコースとはいえ、来年以降楽しみが増えそうなレースであった。2022年にWilliam Entenmann Novice Stakes勝ちのあるアメリカ生産馬Proven Innocentが3着に入った。Novice時代は頑張っていたようだが、今シーズンはどうにも結果を残せていない。
Tokyo / 府中 (JPN) Good to Firm
〇 Shuyo Jump Stakes / 秋陽ジャンプステークス Open Class 3110m (Replay)
1. ロードトゥフェイム (JPN) J: 五十嵐雄祐 T: 尾形和幸
スタート直後からロスコフが前に行く展開も、これを制してフィロロッソが先頭に。そのままフィロロッソは引っかかり気味に後続を突き放して逃げる格好となる。向こう正面の6号障害、7号障害でミスをしたフィロロッソは早々に後退し、代わってロスコフが前に出て逃げ込みを図るも、後方から追い込んで来たロードトゥフェイムがロスコフ、ワンダークレバーとの叩き合いを制して勝利した。
ロードトゥフェイムは平地競争では2021年の菊花賞にも出走した馬で、障害ではこれで新潟の未勝利戦に加えて2勝目とした。ひとまずレコード決着という勝ち時計は立派だが、前で暴走気味に運んだ馬がいたという展開利もありそうな印象で、引き続き本物かどうかは注意したい。やや強気に立ち回ったロスコフが2着。ゴールドシップ産駒のワンダークローバーが3着と、道中上手く運んだ印象のあるフレッシュな5歳馬が上位を占めた。実績馬としてはテーオーソクラテスもいたのだが、好位から運ぶも伸びきれず6着まで。小倉の未勝利戦で後続に3秒近い差をつけて勝ってきたフィロロッソは早々に後退しての大敗で、前に行けるだけ行った上に脚が上がった後半は完全に飛越がバラバラになっていた。持っている能力としてはいいものがありそうだが、とはいえ現段階では丁寧に障害馬としてのレースを作っていく必要のあるNoviceな馬で、馬の気に任せて颯爽と先頭に行った騎手の判断を疑うところである。
11/5(日)
Cork (IRE) Soft
〇 Irish EBF Novice Chase (G3) 2m4f (Replay)
1. Letsbeclearaboutit (IRE) J: Sean Flanagan T: Gavin Cromwell
SolnessにPower of Pauseが絡んでいく展開も振り切られ後退。代わって前に出てきたLetsbeclearaboutitがMighty Tomを振り切ると、後続に10馬身差をつけて勝利した。
LetsbeclearaboutitはChaseは2勝目とした。HurdleではCheltenhamのAlbert Bartlett (G1)にてStay Away Fayから5馬身差の4着に入った馬で、今シーズンからChaseに転向している。飛越としては経験の浅い馬ながら安定しており、内容としても後続に対してかなり余力を残しての勝利であった。これに食らいついて行ったMighty Tomが2着で、Chaseはデビュー戦の馬としてはなかなか頑張った内容だろう。どうにもレース中で難しさを見せていたSeneciaは後方からじわじわ追い上げるも、やや離された3着に終わった。
〇 Cork Grand National Handicap Chase (Listed) 3m4f (Replay)
1. Sir Bob (IRE) J: Simon Torrens T: Robert Tyner
Fairyhill Runを制してSalmaninoが前に行く展開も、空馬が前を走っていた影響でレースは淡々と進行。途中からFairyhill Runが前に出るも、最後の直線を向いてCall The Tune、Sir Bobが前に出てくる。2頭の激しい叩き合いはSir Bobに軍配が上がった。
Sir Bobは11歳となる馬で、アイルランドの重賞クラスではなく主にハンデ戦を使ってきた馬で合った。昨シーズンはVeterans' Chaseにも出走していたようだが、この3m4fのハンデ戦で現役生活を通じて最大の勲章を得るに至った。10st0lbと好調を生かして前に来たのが2着のCall The Tune。同じく10st0lbのGlenquin Castleが3着に入り、Dio Kerが飛び抜けたトップハンデを背負っていたレース構成ではあったものの、基本的に軽量馬が上位を占める結果となった。
Treviso (ITA) Tempo Bello Terreno Pesante
〇 Steeplechase Di Treviso Euro 25,000 3500m
per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeplechase - Listed - Fantini) (Replay)
1. Lord Dragon (FR) J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr
レースはAndoinsが飛ばす展開で、好位から同じ勝負服のLord Dragonが進める。Lord Dragonは徐々に前に迫るも、さらに後方からFandangoが接近。しかし勝負所の障害でスペースがなくなったFandangoは落馬。前に出たLord DragonがIvoを凌いで勝利した。
Lord Dragonはどちらかというとフランスでお馴染みのチェコ調教馬で、2022年10月のCena Sergeanta Thundera以来の勝利とした。どうもフランスに連れていかれることが多い馬なのだがどうにもフランスで勝ち星を挙げることはできていない一方、現時点でまだ7歳と可能性はある馬で、イタリアやチェコに戻るのであればこれから期待できそうだ。前走はTrevisoでSiepiのCondizionataを勝ったIvoが惜しい2着。勝ち馬に対してはレース運びの面で逆転は可能だろう。後方から追い上げたAzontoが3着に入った。もったいなかったのがスイスのFandangoで、この馬自身はつい最近までフランスで走っていたAQPSである。アクシデントがなければ勝負圏内に入っていたと思われるだけに、特段なんともなければよいのだが。2022年にCriterium Di Primavera (G2)を含む4連勝を達成した素質馬Machinosは見せ場を作れず6着に終わった。