にげうまメモ

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23/03/17 National Hunt Racing - Cheltenham Festival -

3/17(金)

Cheltenham (UK) Soft (Good to Soft)

JCB Triumph Hurdle (G1) 2m179y (Replay)

1. Lossiemouth J: Paul Townend T: Willie Mullins

Cheltenham Festival4日目。近年はJunior Hurdleの設立など若馬戦に力を入れようとしているイギリス障害競馬なのだが、ex-flat horseが大勢を占めた昨年とは異なり、今年は主にフランス出身の障害馬が殆どを占めた。レースはスタート地点で大騒ぎをしていたGary Moore厩舎のJupiter Du Giteが引っかかり気味に積極的に引っ張る展開だが、早々に後続が殺到。ここから同じくAQPSのJipcotが残り4障害あたりから出てくるも、好位から進めたLossiemouthが残り3障害辺りから抜け出し、Gala Marceau、Zentaの追い上げを振り切って勝利した。

Lossiemouthは元々フランスHaiesでデビューした馬だが、これでアイルランド移籍後のHurdleは4戦3勝とした。前走のLeopardstownのSpring Juvenile Hurdle (G1)では終始前が壁になり、最後は無理やり外を回して追い込むもGala Marceauの2着に終わっていた。今回はその反省を生かしてか、とにかく馬群の外を回すレースを徹底していた。どうにもやや行きたがるところは見せていたのだが、とはいえそれでもとにかく抑え込むことを重視したPaul Townend騎手の執念が実る結果となった。ここまでのレース内容からしJuvenile Hurdle路線では明らかに実力的には抜けた馬で、やや行きたがって走るきらいはありそうだが、牝馬ということを考えると通常のJuvenile Hurdle卒業馬とは異なる選択肢もありそうだ。

前走はそのLosseimouthの不利を利して勝利をもぎ取ったGala Marceauが2着。フランス時代にはAuteuilのListed勝ちもある素質馬で、前走はやや棚ぼたのようなところもあったのだが、とはいえこの馬もまたこの路線では素直に実力上位と考えていいだろう。やはりAuteuilでListed勝ちのあるZentaが3着に入り、比較的接近して入線した上位3頭はフランスHaiesの出身馬が占める結果となった。特にここまでの上位3頭は全て障害血統出身の牝馬ということを考えると、この3頭の将来性という意味では将来的な繫殖牝馬としてのポテンシャルも含めて意義のあるレースになったように思われる。

4着以下はやや遅れたが、Willie Mullins厩舎のex-french horseであるGust of Windが4着に入った。アイルランド初戦となった前走のSpring Juvenile Hurdle (G1)では21馬身遅れた5着に終わっており、今回は前回よりも着差は詰めてきたというのは喜ばしいことだろう。ここまでは全てフランス生産馬で、フランス障害でデビューした馬が占める結果となり、障害馬生産国としてのフランスのポテンシャルの高さを改めて示す結果となった。加えてここまで全てがWillie Mullins厩舎というのも驚きの結果であろう。ex-flat horseでHenry de Bromhead厩舎のAscendingが5着に入り、まともなイギリス調教馬が出走していなかったとはいえ、ここまでアイルランド勢にいいようにやられるというのは少々悲しいものがある。AQPSとしてはJipcot、Je Garde、Jupiter Du Giteの3頭が出走していたが、基本的には格下評価を受けていた馬ばかりで、今回はあまりいいところなく大敗に終わった。

 

McCoy Contractors Country Handicap Hurdle (Premier Handicap) 2m179y (Replay)

1. Faivoir J: Bridget Andrews T: Dan Skelton

恒例の2マイルHandicap Hurdle。Wonderwall、Highway One O Twoなどが前に行く展開で、最終コーナーからHighway One O Twoが抜け出しを図るも、坂を上って後続が殺到。外から伸びてきたFaivoirがPied Piperを退けて勝利した。Filey Bay、Sharjahと続いた。

昨年はState Man、さらに遡ればSaint Roi、Wicklow Brave、Thousand Stars等なかなかいい馬が勝利していた伝統の一戦であるが、今年はChampion Hurdleが小頭数になった一方で、ここにはSharjah、Pied Piper、Glory And FortuneといったChampion Hurdleにいてもあまりおかしくはない実績馬が複数出走していた。Dan Skelton厩舎は2016年、2018年、2019年とこのレースを勝利していたのだが、ここでもその相性の良さを示す結果となった。Faivoirは重賞自体は2021年にRossington Main Novices' Hurdle (G2)を勝っているのだが、結局Novice HurdleのG1クラスには参戦せず、2021-22シーズンはChaseに移行していた。とはいえその後結局Hurdleに戻したようで、Hurdle自体は2021年の4月以来の勝利となる。昨年もこのレースに参戦したものの大敗しており、どうにもHurdleに戻してからいいところがなかっただけにやや人気薄での勝利となった。外外を回る辺りからBridget Andrews騎手がかなり馬を押して強引に前に出ており、結果的にこれがいい進路の確保に繋がった。Davy Russell騎手を擁する5歳馬Pied Piperが2着で、やや馬を押して出てきた勝ち馬と異なり、こちらはさすがの馬群の捌き方を見せていた。勝ち馬とは斤量差だけだろう。12st0lbを背負った10歳馬Sharjahも4着に入り、古豪健在ぶりを見せてくれた。

 

Albert Bartlett Novices' Hurdle (G1) 2m7f213y (Replay)

1. Stay Away Fay J: Harry Cobden T: Paul Nicholls

24fのNovice Hurdle。どうにも抜けた馬が不在の一方で、出走頭数としては20頭と最近のイギリスG1にしてはやや珍しい多頭数を集めた。レースはThomas Mor、Rock My Way、Saty Away Fayなどが並んで引っ張る展開で、馬群は密集して進行する。勝負所の外から人気のCorbetts Crossがスムーズに進出し、残り2障害辺りで先頭に立ったStay Away Fayを追いかけるも、最終障害直前でまさかの逃避。Stay Away FayがAffordale Furyを振り切って勝利した。

Stay Sway FayはHurdleはClass3のNovice戦から2勝目とした。前走はDoncasterのRiver Don Novices' Hurdle (G2)にてMaximillianの2着に入っており、今回はLorcan Williams騎手からHarry Cobden騎手にスイッチしていた。この多頭数の中、比較的前目でリズムよく運ぶレース振りはHarry Cobden騎手にとっては得意のレース運びで、先日久々のFestival勝利を上げたPaul Nicholls厩舎に今年2頭目のFestival Winnerをもたらした。もったいなかったのがアイルランドのCorbetts Crossで、元々Maidenから比較的長い距離のHandicap Hurdleで頭角を現してきた馬なのだが、Naasでは16fのJohnstown Novice Hurdle (G2)を勝利しており、比較的スピードもあるところを見せていた。どの馬も比較的外を狙って回していく中、大外の進路をあっさりと確保したMark Walsh騎手の騎乗もあってその時点でこの馬にとってはかなり有利な状況にあったのだが、最終障害での飛越拒否はもったいない結果となった。

Affordable Furyは全く人気がなかったが惜しい2着。Maiden勝ちのみの馬で、Lawlor's of Naas Novice Hurdle (G1)ではChamp Kielyから大きく離れた大敗に終わっていたのだが、距離延長が良かったのだろうか。Leopardstownの名前の長いG1で3着に入ったSandor Cleganeが僅差の3着だが、この馬も同レースでは4馬身ほど勝ち馬に遅れていたことを考えると、ややレース全体の水準という意味では展開的な助けという面も考慮に入れた方がよさそうだ。平地の実績馬としてDawn Risingもいたのだが、馬群の中で揉まれた末に足をなくして途中棄権に終わった。

 

Cheltenham Gold Cup (G1) 3m2f70y (Replay)

1. Galopin Des Champs J: Paul Townend T: Willie Mullins

ここまで落馬を除けばChase無敗のGalopin Des Champsが人気の中心となっていたが、A Plus Tard、Minella Indoと2頭の過去の勝ち馬が出走したことに加え、King George VI Chase (G1)を勝ったイギリスの上がり馬Bravemansgame、昨年のEnglish Nationalにおいて"Fairytale ending"を演出した馬Noble Yeats、市場ではごく安価で取引されたものの、Galway PlateやAmerican Grand Nationalといった高額賞金競走を次々と勝利して"American Dream"を実現したHewickの参戦もあり、メンバーとしてはなかなかに多彩な顔触れとなった。他にもスコットランド地方の期待の星Ahoy Senor、Betfair Chaseを圧勝した新星Protektorat、アイルランドG1を快勝したConflatedといった伏兵も多く存在し、近年稀にみる豪華なGold Cupが実現した。レースは前半からAhoy Senorが軽快に引っ張る展開で、好位からHewick、Noble Yeats、Bravemansgameなどが進める。Minella Indo、Stattler、A Plus Tardなどは後方から進めるも、Galopin Des Champsはそれらの馬の後ろに構える。早々にStattler、Minella Indoなどはついていけなくなり途中棄権。Galopin Des Champsはじわじわと位置を上げる。Ahoy Senorは緩めずに引っ張るも、第15障害でミス、第17障害で落馬。代わって好位にいたHewickが引っ張る展開も、好位から進めていたBravemansgame、Conflated、Protektoratなどが抜け出しを図る。しかし後ろからじわじわと近寄っていたGalopin Des Champsが最終障害あたりから前に出ると、抵抗してきたBravemansgameを7馬身ほど突き放して勝利した。

Galopin Des ChampsはこれでChaseは昨年のTurners Novices' Chase (G1)での落馬を除けば6戦無敗とした。そのすべてで大きな着差をつけて圧倒的なパフォーマンスを見せてきた馬で、その勢いのまま頂点に上り詰めたことになる。好位でゆるゆると運んだ前走のIrish Gold Cup (G1)と異なり、今回はPaul Townend騎手がひたすら馬の後ろで我慢をさせるレースを試みていた。このレースはAP McCoy、Ruby Walshからは高く評価されていたようだが*1、一方でこの位置取りはこの馬の高いスピード能力と運動神経の高さを生かした伸びやかな飛越の妨げになっており、もたもたとした飛越によりリズムを崩すリスクを警戒したAhoy Senorがかなり締まったペースを作り出すなか、このペースについていけずに飛越をしていた馬や、どうにも右に斜飛していたA Plus Tardなどの煽りを食らっている。前向きに走る馬であったことを踏まえて距離的なリスクを警戒していた可能性はありそうで、勝負所まで徹底して馬群の後ろで我慢しつつ、最後まで慌てることなく冷静に当初意図したレースを貫いた部分はまさにPaul Townend騎手の真骨頂といったところだが、とはいえ一方で煽りを食らってリズムを崩すリスクと紙一重な部分もありそうで、今後のレースにおけるレース運びについては気を付けた方がいいだろう。Paul Townend騎手はアイデアのある乗り役で、持ち前の超一流の技術に支えられ、おそらく戦前から考えていたと想定されるアイデアを完遂することについては他の追随を許さないところがあり、これは今年のCheltenham FestivalでもEnergumeneやLossiemouthの成功に繋がっているのだが、一方でその発想が裏目にでることも多くあることには注意した方がいいだろう。いずれにせよ、出走馬中7歳と最年少であった馬が、Chaseは通算でたった7戦目という少ないキャリアながらも頂点に君臨したということは喜ばしいことで、近年の世界競馬においてその才能の価値が計り知れないことは言うまでもない。近年はなにかとCourse Specialistの台頭が目立ち、どうにも混戦が続くイギリス・アイルランド24f Chase路線においてようやく出てきた抜きんでた才能を持った馬で、長くチャンピオンとして頑張って欲しいところである。ちなみにGalopin Des Champsは元々フランスのトロットにおいて結果を残してきた生産者の出自で*2、Galopin Des Champsの血統的にははSholokhov産駒Timosの最高傑作だが、Timos自身の産駒数は少なくifceのデータベースでも2018年までしか種付けを行っていないようで、その後の経緯は不明である*3

King George VI Chase (G1)を快勝したBravemansgameは見せ場を作った。昨シーズンのNovice Chase戦線では一枚抜けた才能を見せながらも昨シーズンのCheltenhamはスキップした馬で、Aintreeではノドの問題があったのかAhoy Senorに完敗しているのだが、とはいえこの馬の能力が本物であることを改めて示す結果となった。父Brave Mansonnien、さらには母父にフランスの名障害馬であるNicknameを持つPaul Nicholls厩舎のフランス生産馬で、しなやかで高い運動能力を持った馬体から繰り出される飛越と高いスピードを武器としている。今回も好位の外でリラックスして運んでおり、この馬のことを熟知しているHarry Cobden騎手によりこの馬の武器をフルに引き出すレースを見せていた。この馬のできることはやり切っているだけに、今回は勝ち馬を褒めるしかないだろう。Conflated以下は完全に封じ込めているだけに内容的には完全に2番手といったところだが、興味深いことに極端にCheltenhamの地の利を生かしたレースというわけでもないだけに、この馬も引き続き今後に期待できそうだ。

急遽代打でSam Ewingが騎乗したConflatedは見せ場を作っての3着。Savills Chase (G1)などLeopardstownでは結果を残している馬だが、とはいえ当時のメンバー的にはやや微妙であったり、昨年のRyanair Chase (G1)では落馬に終わったりといった経緯もあって人気を落としていたようだ。Sam Ewing騎手にとってはビッグチャンスであったが、レース内容としては好位でスムーズに運び、勝負所ではBravemansgameに閉じ込められるような場面はあったものの、そこから再度盛り返して3着に来るという内容で、騎乗ぶりとしてはほぼ満点に近いものだろう。瞬間的な加速力で優れるBravemansgameに閉じ込められるのは馬のできることという意味では仕方のないものであり、好位からリズムよく運んだSam Ewing騎手の騎乗はこの大舞台であってもLeopardstwonのチャンピオンとして堂々たるものであった。Grand Nationalの勝ち馬Noble Yeatsは早々に脱落したものの、最後は盛り返して4着に突っ込んできたようだ。やはりCheltenham向きのタイプではなく、馬の能力としてもここではトップスピードや下り坂を利した加速力の面で見劣るためこのような敗戦は仕方がないのだが、改めてこの馬のしぶとさを見せるレース内容であった。さらに展開が壊れることがあればこの舞台でも大きな仕事をやってのける可能性はあるだろう。イギリスのProtektoratは好位でリズムよく運んだが、最後は失速して5着まで。Betfair Chase (G1)では大仕事を成した馬だが、とはいえさすがにこのメンバーが相手では厳しかったようだ。

Ahoy Senorは課題の飛越を警戒してある程度締まったペースを作り出しており、基本的にはリズムよく運んでいたが、大きなミスをやらかして落馬に終わった。おそらくレース運びとしてはこれでいいだろう。持っている能力自体はいいものがあるだけに引き続き期待したい。A Plus TardはAhoy Senorの落馬のあおりを食らってリズムを崩し、そのまま加速することなく途中棄権に終わった。基本的にRachael Blackmore騎手は勝負所からロングスパートを狙っていたようで、さてここからロングスパートをという場面での不利であっただけに、さすがに今回の敗戦は度外視してよさそうだ。American Grand Nationalを圧勝したHewickは直線入り口までは抵抗しての落馬で、手ごたえを見ているとさすがに上位争いを繰り広げるのは厳しかったと思われるが、とはいえこのイギリス競馬最高峰の舞台において、それも比較的締まったペースで流れたレースにおいて、並み居るG1馬たちを相手にあそこまで勝負に参加したというのは大したものだろう。馬場としてもこの日は比較的乾いてきており、この馬にとってはレースをしやすい条件であったことは間違いないのだが、このクラスの馬がアメリカに来るというのは少々規格外に過ぎるところがある。中山の大障害にも比較的適正はありそうで、さすがにここまでのビッグネームの来日は考えにくいのだが、仮に"American Dream"の続きとしてこのクラスの馬が来るのであれば興味深い試みになるだろう。Nico de Boinville騎手とコンビを組んだMinella Indoはさっぱり走る気を見せずの敗戦で、前走も勝っているとはいえ前哨戦的なレース内容であったことを考えると、だいぶ年齢的な部分もありそうだ。

 

〇 St. James's Place Festival Challenge Cup Open Hunters' Chase (Class 2) 3m2f70y (Replay)

1. Premier Magic J: Mr. Bradley Gibbs T: Bradley Gibbs

マチュア騎手限定競走で、Cheltenham Gold Cupと同じ距離で行われるレース。出走馬のほとんどが現在はHunters Chase又はPoint to Pointを使っている馬ばかりで、勝ち時計としても15秒近く遅い。しかしながらここに賭けてくる騎手の意気込みはCheltenham Gold Cupに匹敵するか、もしくはそれ以上のものすらあるようで、勝利への熱意をむき出しにしてもう一つの"Gold Cup"とすら言えるほど激しい熱戦が繰り広げられる。勝ったのはHertfordshireに拠点を置く騎手兼調教師であるBradley Gibbsが騎乗したPremier Magic。昨年のこのレースは途中棄権に終わっていていたものの、基本的にはPtPを使っていた馬のようで、PtPではここまで9勝、今シーズンは2戦2勝と好調だったようだ。Emmet Mullins、Derek O'Connorと比較的大きな厩舎のIts on the Lineが2着に入った。空馬が執拗に絡んできた関係で前に行った組は総じて苦しくなっており、Its on the Lineと並んで13歳となったShantou Flyerも猛然と追い込んで3着に入った。Grand Nationalにも参戦した古豪Chris's Dreamも頑張って5着。それ以外にもBlack Op、Brain Power、The Storyteller、Secret Investorといったかつて重賞クラスでも活躍したベテランが多数名を連ねており、イギリス・アイルランド競馬ファンにはたまらないだろう。まさに欧州障害競馬の奥深さを感じさせるレースである。

 

Mrs Paddy Power Mares' Chase (G2) 2m4f127y (Replay)

1. Impervious J: Brian Hayes T: Colm Murphy

最近できた牝馬Chase重賞。レースはPink Legendが前に行く展開も、残り2障害辺りからImperviousが先頭に。しかしこれにAllegorie De Vassyが並びかけ、最終障害の地点では前に出るも、再度ここから加速したImperviousがAllegorie De Vassyを振り切って勝利した。

ImperviousはChaseでは4戦無敗とした。HurdleではG1は勝てなかった馬だが、ChaseではMadigan Group Novice Chase (G3)勝ちを含めて結果を残している。特に最終障害の地点でいい飛越を見せて前に出たAllegorie De Vassyを相手に、そこから登り坂で再度加速してAllegorie De Vassyを突き放すという加速力は印象的で、牝馬限定戦であればこの加速力は大きな武器になりそうだ。ここまで牝馬相手に圧倒的なレースを続けていたAllegorie De Vassyはやや完敗の内容の2着。No Risk At All産駒の比較的大柄な馬で、飛越は牝馬らしからぬダイナミックで迫力のあるものを見せていたのだが、今回はImperviousの瞬発力に屈する格好となった。3着以下はやや遅れた。

 

〇 Martin Pipe Conditional Jockeys' Handicap Hurdle (Class 2) 2m4f56y (Replay)

1. Iroko J: Aidan Kelly T: Oliver Greenall

Cheltenham Festival最終戦。残り2障害辺りから元気に前に出てきたBuddy Oneが逃げ込みを図るも、左へと寄れていく。外から出てきたNo Odrinary Joeがこれを交わしにかかるも、内から出てきたIrokoがNo Ordinary Joeを振り切って勝利した。

Irokoは元々Juvenile Hurdleを使っていた馬で、今シーズンはJuvenile Hurdle上がりのシーズンとなる。JuvenileではCoral Finale Juvenile Hurdle (G1)の4着が最高といまいちだったのだが、今シーズンは3戦3勝と結果を残している。レースとしてはやはりNew CourseのHurdle戦らしく外へと全体の重心がかかるなか、内を狙ったAidan Kelly騎手の騎乗も見事であったが、それに加えて最後までしっかりと足を伸ばし切るしぶとさも持ち併せているようで、まだ5歳と若いことを考えれば楽しみな存在になりそうだ。種牡馬CokorikoはフランスHaiesで数戦を走ったのちに早々に種牡馬入りした馬だが、その父Robin Des Champsも同様のキャリアを経て種牡馬入りしている。Cokorikoの産駒はフランスで見かけることは多いが、引き続き障害種牡馬としてのラインを発展させてほしいところである。11st6lbを背負ったNo Ordinary Joeが2着に入り、比較的ハンデを背負った馬が上位に来たことは今後に向けて喜ばしい結果だろう。