にげうまメモ

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22/04/10 Weekly National Hunt / Jump racing

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*週刊障害競馬回顧 2022/04/04-2022/04/10

4/7(木)

Aintree (UK) Good to Soft (Good in places)

Manifesto Novices' Chase (G1) 2m3f200y (Replay)

1. Millers Bank J: Kielan Woods T: Alex Hales

Rachael BlackmoreのGin On Limeがするすると逃げるも、これにThe Widdow Makerがぴったりとついて行く。好位から人気のPic D'Orhyが進めるも、第12障害で大きなミス。残り2障害辺りからWar Lord、さらにMillers Bankが接近するとGin On Limeは後退。そのままWar Lordを振り切ったMillers Bankが10馬身差の快勝とした。

この路線はTurners Novices' Chase (G1)に出走していたBob Olinger、Galopin Des Champsの2頭が頭一つ抜けて強力であり、結果的にこの2頭を避けたために同レースは4頭立てという小頭数になり、ここではTurners Novices' Chase (G1)に出走していたメンバーは一切出走していないというレースになった。Millers BankはこれでChaseは2勝目。Aintree Hurdle (G1)でAbacadabrasの3着のある実績馬だが、ChaseではClass3のNovice戦を勝ったのちは2走連続で落馬に終わっており、前走のPendil Novices' Chase (G2)ではWind Surgeryの効果もあったのか、ようやく格好をつける2着に入っていた。持っている能力としては良いものがありそうだが、やはりメンバー的にはさほど強力ではなく、全体的に人気馬が自滅したという展開利は否めないだろう。今回初の20ハロン戦となったWar Lordは2着と結果を残した。Pic D'Orhyは途中のミスが全てで、完全に飛越のリズムを崩して試合終了となった。Rachael BlackmoreのGin On LimeはThe Widdow Makerに終始絡まれて苦しくなった。Class3のNovice戦を連勝してきたErne Riverも新勢力として人気になっていたようだが、Gin On Limeのペースについていけず途中で落馬に終わった。

 

Jewson Anniversary 4YO Juvenile Hurdle (G1) 2m209y (Replay)

1. Knight Salute J: Paddy Brennan T: Milton Harris

DQ Pied Piper J: Davy Russell T: Gordon Elliott

前半からInca Princeがやや引っかかり気味に逃げるも、残り3障害辺りで早々に捕まって後退。ここから抜け出してきたPied Piper、Knight Saluteの2頭が壮絶な叩き合いを繰り広げると、そのままゴール地点でも勝負がつかず1着同着となる。しかしながら最終障害でPied PiperがKnight Saluteの進路を妨害したとして、Pied Piperが2着に降着、Knight Saluteが優勝馬となった。未去勢のGalileo産駒Brazilが離れた3着に入った。

Pied PiperとKnight Saluteの1着同着から、Pied Piperの2着降着ということで前代未聞の展開となった。ただし、この展開にMilton Harris調教師やPaddy Brennan騎手は納得していないようで*1*2、Milton Harris調教師にとって初のG1制覇がこのような形となってしまったのは残念である。Knight Salute自身ここまでイギリスのJuvenile Hurdleで見せてきたように、しっかりとした平地のスピードを持った完成度の高い障害馬である。CheltenhamのJCB Triumph Hurdle (G1)のような特殊な展開には対応できなかったようだが、今回はInca Princeがお行儀悪く引っ張っているものの全体的なレースとしてはJuvenile Hurdleにありがちな余裕のあるゆったりとした展開であり、ここではその完成度の高さを見せるレースをした。人気のPied Piperはどうやら先頭に立つのが早すぎたとのDavy Russellの弁だが、やはりこの馬もex-Flat Horseとしてフラットでの瞬発力には優れた馬で、この2頭に対してフラットの決め手で見劣るBrazilが12馬身差の3着に入ったのは納得のいく結果であった。

 

Bowl Chase (G1) 3m210y (Replay)


1. Clan Des Obeaux J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

このレースの2020年の勝ち馬Kemboyが前に行く展開。好位からEldorado Allen、Conflated、Clan Des Obeauxなど。Bristol De Maiは前に行こうと試みるも徐々に脱落。Clan Des Obeauxは残り3障害地点からKemboyを捉えて前に出ると、そこから食らいついてきたConflatedを凌いで勝利した。Kemboyが3着に入った。

Clan Des Obeauxはこのレースは連覇とした。Cheltenhamはスキップするのは例年通りで、今シーズンは人気を背負ったDenman Chase (G2)でもぱっとせず3着に敗れていたのだが、どうやら初めてのブリンカーが効果的だったようで、とりあえずゴール前はふらふらと走っていたものの、全体的に集中して走ることに成功していた。Aintreeのようなスピードの持続性能が生きるコースであれば無類の強さを発揮するタイプで、今シーズンはこれで3走目であることを考えると、Punchestownでも再度この馬の走りを見ることを期待せざるを得ない。Irish Gold Cup (G1)で驚きの勝利を挙げたConflatedはなぜかRyanair Chase (G1)に向かったのだが、やはり馬の能力的には24ハロン戦の方がいいようだ。2020年の勝ち馬Kemboyはこの馬のレースをするも3着まで。Cheltenham Gold Cup (G1)でも好走したProtektoratは勝負所から苦しくなっての4着で、Aintreeで求められる純粋な加速性能という意味では上位馬相手だと苦しいのだろう。このレースは4年連続の出走となるBristol De Maiはスピード負けしての途中棄権で、馬自身は元気なようだが、さすがに11歳ということでだいぶ年齢的な衰えもありそうだ。

 

Aintree Hurdle (G1) 2m4f (Replay)


 1. Epatante J: Aidan Coleman T: Nicky Henderson

Guard Your Dreamsが逃げる展開も、残り2障害辺りからZanahiyr、さらにEpatanteが接近。最終障害で落馬したZanahiyrを尻目に、そのまま抜け出したEpatanteがMonmiralに14馬身差をつけて圧勝した。

Epatanteはこれで今シーズンはFighting Fifth Hurdle (G1)、Christmas Hurdle (G1)に続き、G1は3勝目とした。これが初の20f戦であったが特段問題はなく、この馬の瞬発力が生きるAintreeのコースも合っていたようだ。これだけの強さを持つこの馬の上にHoneysuckleがいるというのが少々信じられないのだが、ひとまずここでは内容的には明らかに完勝で、イギリス16ハロンHurdle路線における王者としての地位を不動のものとした。アイルランドのZanahiyrは最終章がいで落馬に終わったが、Epatanteと比べると抜けてくる脚の違いは一目瞭然で、どちらかというと16ハロンの方が良いのだろう。これでG1は7度目の挑戦ということで、いつになったらG1を勝てるのか謎だが、少なくとも16ハロンHurdleであれば上位クラスの馬であることは間違いない。Monmiral、McFabulousなどイギリスHurdle路線における常連メンバーもいたのだが、いずれもEpatanteに食らいつくことが出来ず完敗の内容で、どうにもEpatante1頭が抜けているというイギリス16~20ハロンHurdle路線の図式を強調する結果となってしまった。

 

4/8(金)

Aintree (UK) Good to Soft

Top Novices' Hurdle (G1) 2m103y (Replay)

1. Jonbon J: Aidan Coleman T: Nicky Henderson

Salamanca Bayがするすると逃げるも馬群は密集して進行。残り3障害でSalamanca Bayが落馬すると、内を掬って出てきたJonbonが先頭に。そのままJonbonは馬群を縫って出てきたEl Fabioloを退けて勝利した。3着以下は大きく離れた。

JonbonはDouvanの全弟という触れ込みで今シーズン期待されていた馬で、Hurdle転向後は3戦3勝と勢いに乗っていた。期待されたSupreme Novices' Hurdle (G1)ではあまりにConstitution Hillが強すぎたということもあるのだが、そこから22馬身離れた2着に入っていた。これでG1は初勝利となる。さすがにギアを掛けてからの瞬発力はさすがのもので、Hurdle転向当初は見せていた操縦性の悪さは今回は特に認められなかったことはこの馬の将来において大きな収穫だろう。どうやら次のシーズンはChaseに転向するとのことで、素質馬の走りに期待したい。Willie MullinsのEl Fabioloはほぼ勝ちに等しい内容で、Salamanca Bayの落馬の煽りを食らった上に、最終障害でミスもある。どちらかというとストライドを伸ばしてスパートをかけるタイプで、あまりAintreeのようなコースが向いているようには思えず、これだけの不利がありながらJonbonに食らいついた能力は高く評価しなければいけない。

 

Mildmay Novices' Chase (G1) 3m210y (Replay)

1. Ahoy Senor J: Derek Fox T: Miss Lucinda Russell

Kauto Star Novices' Chase (G1)を勝ったBravemansgame、Cheltenham Festivalで強い競馬を見せたL'Homme Presseの対決で評判になっていた。レースはするするとAhoy Senorが逃げる展開で、ぴったりと他3頭がついて行く。しかしAhoy Senorはそのまま引っ張ると、唯一食らいついてきたFury Roadを5馬身ほど抑えて勝利した。L'Homme Presse、Bravemansgameと続いた。

Ahoy Senorは昨年のこの開催でDoom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1)においてBravemansgameを圧倒した馬で、今シーズンはChaseに転向するも、どうにも飛越がいまいちで大舞台では結果を残せていなかった。これがこの馬にとってChaseは3勝目だが、今回何より印象的だったのがその飛越の安定性で、細かいミスはないわけではないのだが、ここまでミスを連発しながらようよう飛越していた馬とはまるで別馬のような走りであった。Aintreeの平坦でスピードの活きるコースが向いた可能性は否定できないのだが、ようやくここにきてこの馬の能力を開花させる走りを見せたということで、次のシーズン以降大いに期待が持てる内容となった。アイルランドのFury RoadはNeville Hotels Novice Chase (G1)でRun Wild Fredを圧倒した馬で、なぜかその後は21ハロンのLadbrokes Novice Chase (G1)に挑戦していたのだが、やはり24ハロンの方がいいのだろう。この馬も条件次第では巻き返す可能性がある。Brown Advisory Novices' Chase (G1)でAhoy Senorを下してきたL'Homme Presseは案外な敗戦だが、ここまでどちらかというと起伏の多いコースで結果を残してきたタイプで、平坦なAintreeの純粋なスピード勝負ということでやや勝手が違ったかもしれない。期待されたBravemansgameは案外な敗戦だが、ここまでゆったりとしたペースからの瞬発力勝負で圧倒してきた馬で、Ahoy Senorがいつもと異なるペースで引っ張ったことによる可能性が考えられる。いずれにせよ、ここに出走していた4頭の個性はそれぞれ異なり、次のシーズンでも引き続き24ハロンChase路線で頑張ってくれることを期待したい。

 

Marsh Chase / Melling Chase (G1) 2m3f200y (Replay)

1. Fakir D'Oudaries J: Mark Walsh T: Joseph O'Brien

連覇を目指すFakir D'Oudariesが人気になっていた。レースはJoshua MooreのEditeur Du Giteがするすると逃げる展開。好位からFakir D'Oudariesが進める。残り3障害辺りからFakir D'Oudariesが先頭に立つと、そのままついてきたHitman、Sceau Royal以下を振り切って勝利した。

Fakir D'Oudariesはこれでこのレースは連覇とした。今シーズンはこれでAscot Chase (G1)に引き続きG1は2勝目と波に乗っているのだが、実際のところアイルランドのG1やCheltenham Festivalをスキップして、若干空き巣感のあるイギリスの20ハロンG1を勝っているというのが現状である。既にAllahoに対しては明らかに分が悪いことははっきりしており、24ハロンや16ハロンの一線級相手にもやや厳しいことも明らかであることから、レース選択としては全く間違ってはいないのだろう。Hitmanはこれが久しぶりの20ハロン戦であったが結果を残した。16ハロンの重賞クラスにも対応できるスピードのある馬だが、今後距離を延長することが出来るのであればこの馬の可能性は広がることになる。ただし、2度のWind Surgeryを行っている馬で、その評価には注意した方がいいだろう。古豪Sceau Royalも頑張って3着。Saint Calvadosは馬群の中に入れて行き場を無くしていたらレースが終わったようなレース運びで、いまいち何がやりたかったのかよくわからない。Captain Guinnessは後方からじっくり構えて乗ったが、全く伸びず大敗に終わった。これはおそらく距離的なものだろう。今シーズンはOld Roan Chase (G2)を勝利したAllmankindは早々からミスを連発して大敗。前走Energumenの2着に入ったFunambule Sivolaも後方から進めたのだが、こちらもさっぱり良いところなく途中棄権に終わった。この馬も距離的な問題だろう。

 

Cavani Menswear Sefton Novices' Hurdle (G1) 3m149y (Replay)

1. Gelino Bello J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

例によってStag Hornが引っ張るも馬群は密集して進行。残り3障害辺りからGelino Belloが抜け出してくると、これに食らいついてきたGentleman At Armsを振り切って勝利した。3着にはHaute Estimeが入った。

Albert Bartlett Novices' Hurdle (G1)の上位組は殆ど出走しておらず、例によってほぼ別路線組によるメンバー構成になっている。勝ったGelino Belloは前走Class4のNoviceを勝ってきたばかりの馬で、遡ればBallymore Novices' Hurdle (G2)でBlazing Khalの2着等はあるのだが、ひとまず距離を伸ばして結果を残したことになる。Blazing Khalは一頓挫あってCheltenhamをスキップしており*3、どうやらPunchestownを目指すということなので、今回のメンバーの位置づけはもう少し慎重に考えた方がいいだろう。これが初の24ハロン戦となったGentleman At Armsが2着。平地ではかなり経歴の長い馬で、概ねステイヤー資質で距離的な頭打ちが生じがちなこのようなタイプが24ハロン戦で好走するのは少々驚きである。Haute Estimeは全く人気がなかったが3着に頑張った。前走Jane Seymour Mares' Novices' Hurdle (G2)にてLove Envoiに完敗していた馬で、少々上位勢の水準には疑問符がつくといったところだろう。

 

4/9(土)

Aintree (UK) Good to Soft (Good in places)

Mersey Novices' Hurdle (G1) 2m4f (Replay)

1. Three Stripe Life J: Davy Russell T: Gordon Elliott

Stage Starがやや引っかかり気味に逃げる展開も馬群は密集して進行。ここから抜け出してきたThree Stripe LifeがMight I以下を抑えて勝利した。

Three Stripe LifeはMaidenに続きHurdleは2勝目だが、ここ3戦は連続してG1にて2着に入っており、ようやく嬉しいG1制覇を成し遂げた。メンバー的にもここ3戦のG1と比較するとだいぶ格落ちの相手であり、終いの瞬発力が要求される展開であったとはいえしっかり勝ち切ったことはさすがである。前走Supreme Trial (G2)にてJonbonから3馬身差の3着に入っていたMight Iが2着。1月のBallymore Novices' Hurdle (G2)を勝ったNorth Lodgeが3着と、全体的にCheltenhamとは異なる路線の組が上位に来たが、とはいえ内容的にはThree Stripe Lifeの完勝といったところで、現時点での格付けははっきりしてしまったといったところだろう。なお、最終障害を越えてから脱落して途中棄権としたElle Este Belleは直後に心不全で亡くなったそうで、やや後味の悪い結果となってしまった。

 

Mughull Novices' Chase (G1) 1m7f176y (Replay)

1. Gentleman De Mee J: Mark Walsh T: Willie Mullins

Edwardstone、Third Time Luckiの参戦で話題になっていたが、前半から軽快に飛ばしたのはGentleman De Mee。Edwardstone、Third Time Luckiなどがこれについて行くも、Gentleman De Meeの逃げ足は衰えず、そのままEdwardstone以下を振り切って勝利した。

Gentleman De MeeはこれでBeginners Chaseから3連勝とした。もともとChaseは昨年12月から使っていた馬だが、逃げの戦術に出てからはここまでいずれも後続に大差をつける圧勝としており、ここでもその能力を見せてくれた。前走はFlyingbolt Novice Chase (G3)を圧勝していたとはいえ、そのメンバーとしてはかなり格下のものであったのだが、いきなり一気の相手強化となったここでこれだけ強いパフォーマンスを見せるのだからその能力は本物だろう。16ハロンの馬らしく軽快なスピードで押していくタイプで、少なくともAintreeの平坦なコースは戦いやすかったと考えられるが、今シーズンの16ハロンNovice Chaseにおける新たなタレントとして翌シーズンも期待したい。

Arkle Challenge Trophy (G1)を勝利したEdwardstoneは2着まで。この馬自身、どちらかというと純粋なスピードというよりは加速の強さといった障害馬としての完成度の高さで戦う馬で、今回はGentleman De Meeのスピードについて行くことはできなかったのだが、Cheltenhamのようなよりトリッキーなコースであれば逆転の可能性もあるだろう。むしろ出走馬の中で唯一最後までGentleman De Meeのスピードについて行ったパフォーマンスを評価すべきで、能力的には今後距離の延長も可能なだけに、その場合にはこのスピード能力は大きな武器になるだろう。

 

Liverpool Hurdle (G1) 3m149y (Replay)

1. Sire Du Berlais J: Mark Walsh T: Gordon Elliott

Stayers' Hurdle (G1)を連覇したFlooring Porterが例によって引っ張る展開。唯一付いて行ったMolly Olly Wishesを残して馬群は比較的伸びて進行するも、最終コーナーの辺りから中段にいたSire Du Berlaisが物凄い勢いで進出。そのままFlooring Porterに並びかけると、最終障害を越えてFlooring Porterを競り落として勝利した。3着以下は大きく離れた。

Sire Du Berlaisは今年10歳となる馬で、今シーズンは初戦のLismullen Hurdle (G2)で2着に入ったのが唯一格好をつけたレースで、Cheltenham FestivalではStayers' Hurdle (G1)ではなくPertemps Network Final (G3)に出走して特に良いところなく11着に敗れていた。遡れば2021年のStayers' Hurdle (G1)の2着もあるのだが、さすがにここでいきなり走るとは想像もつかなかったというのが正直なところだろう。特段極端にレース条件が向いたということもなく、Aintreeの競馬場が得意であったとか、今回は初の矯正馬具を試してみたとか、そういうことも全くなく、ここでいきなりの激走は謎である。調教師がネクタイを着用して運気を変えていたとか述べているのでそのせいだろうか*4。一方のFlooring Porterは自身のレースをしての2着。どちらかというとスピードで圧倒するタイプではなく、自在にペースを操りながら後続を完封するタイプなだけに、CheltenhamからAintreeへの変更はこの馬に取ってはマイナスであったのだが、それでも3着以下は完全に千切っているだけに、Sire Du Berlaisの激走は謎である。

今シーズンはAscot Hurdle (G1)を勝利して一躍24ハロンHurdleの主役級に躍り出たChampは3着まで。どうにも前走のStayers' Hurdle (G1)でも見せた通り、Flooring Porterの逃げを追いかけていくと苦しくなるようだ。ゆったりとレースを運ぶことが出来ればスピードが生きるAintreeは良いのだが、かえってスピードで圧倒されたことでFlooring Porterとは差がついてしまった。3着以下はほぼバテ合いといった様相で、そうなった時に浮上して切るのが4着のThomas Darbyである。連覇を狙ったThyme Hillも良いところなく5着。Grand National (G3)のReserveのうち唯一除外を食らったRoi Mageも元気に中段から進めたが、さすがに最後は苦しくなって7着と大敗に終わった。

 

Grand National Handicap Chase (G3) 4m2f74y

別記事として掲載予定。

 

Auteuil (FR) Lourd (4.6)

Prix De Pepincast (G3)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3600m (Replay)

1. Ine Anjou J: Oliver Jouin T: Mathias Solier

軽快に逃げたIne AnjouがそのままHawai Du Berlais以下を抑えて勝利した。Ine AnjouはこれでHaiesは2勝目、重賞は初勝利とした。どうにもレース運びとしては一頭単騎で気分よく行かせてもらった展開利、さらに64kgの軽量による恩恵が否めないのだが、ひとまず次が正念場となるだろう。昨年Haras D'Etreham (G2)を含む3連勝を挙げたHawai Du Berlaisが2着だが、どうにも今回は踏み遅れたものによる2着という印象が強かった。内容的にはこちらを上に取っておいた方が良いかもしれない。

 

Prix Murat (G2)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 4400m (Replay)

1. Sel Jem J: Johnny Charron T: Lageneste & Macaire

葦毛のDream Wishが淡々と逃げる展開。飛越のミスを連発していたSrelighonnは途中で落馬。これを中段からじわじわと押し上げてきたSel JemがDream Wishとの叩き合いを制して勝利した。Happy Monarchが3着。

出走馬7頭中Francois Nicholle厩舎の馬が実に5頭を占めていたのだが、上位2頭は異なる厩舎の馬が入った。Sel Jemは今年5歳となる馬で、前走のPrix Troytown (G3)から連勝とした。昨年の段階ではPrix Maurice Gillois (G1)にてLet Me Loveと接戦を演じていた5歳世代トップクラスの馬で、とりあえず4000メートル台のSteeplechaseでは上の世代に対応できることは示しているが、今後距離が伸びてどのようなレースをするのかは注意してみておきたい。Prix Troytown (G3)では4着に敗れていたDream Wishが2着に入った。比較的展開としては楽だったような印象もあるが、ひとまずパフォーマンスを上げてきたことは注意した方がいいだろう。

 

その他

Whatever happened to New Zealand-bred jumpers in Britain and Ireland? (Racing Post)

今年はニュージーランド生産馬であるLord GylleneがGrand Nationalを制してから25年となる。近年ニュージーランド生産馬をイギリス・アイルランドでさっぱり見なくなったが、その理由に関する論考。

James Bowen goes nuts as brother Sean storms to Topham Chase glory (Racing Post)

Topham Chaseで早々に落馬したJames Bowenがコース脇でSean Bowenとその騎乗馬Mac Tottieを応援していたというあれ。レース映像にがっつり映っているのでちょっと面白い。

Former jockeys speak of racing's effect on their mental health in bid to get others to open up (ITV)

Grand Nationalというと思い出されるのが2020年に亡くなったLiam Treadwell元騎手である。これは騎手のメンタルヘルスに関する記事。

Nově vzniklý Lata Cup podpoří Stáj Moudrý a společnost AKUMULÁTORY – Táborský s.r.o. (Jockey Club ČR)

チェコで新たに"Lata Cup"なるものが創設されるらしく、2022年のチェコ障害競馬で最多勝利を収めた騎手が優勝者になるそうだ。Lata Brandisováとは1937年にVelka Pardubickaを勝利した女性騎手である。優勝賞金は15,000 Kčらしい。

V Polsku znatelně klesl počet koní v tréninku. Plnokrevných už je méně než 700 (Fitmin)

ポーランドの現役競走馬の数が2022年の段階で減少し、合計で700頭を切ったそうだ。ポーランドにおける競馬の賞金額は増えているそうで、比較的安定した資金源を有しているそうだが。