にげうまメモ

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23/12/24 Weekly National Hunt / Jump Racing

12/22(金)

Ascot (UK) Good to Soft (Good in places)

Noel Novices' Chase (G2) 2m2f175y (Replay)

1. Djelo (FR) J: Charlie Deutsch T: Venetia Williams

軽快に引っ張ったDjeloがKandoo Kid以下を振り切って勝利した。DjeloはこれでChaseは3戦3勝とした。Hurdleでは目立った成績を残した馬ではないのだが、Chaseではここまで結果を残している。今回はChaseにおいて初の19f戦であったがしっかりと走り切ることができた。全体的にピッチ走法で細やかなスピードが目立っており、一方でやや細身で斤量負担については不安なところもありそうだが、この時点でAscotの高い障害と上り坂をクリアしたことは収穫だろう。NewburyのClass2のHandicap Chaseを勝ってきたKandoo Kidが2着で、どうにもこちらは慎重な飛越が目立っていた。

 

12/23(土)

Ascot (UK) Good (Good to Soft in places)

Long Walk Hurdle (G1) 3m97y (Replay)

1. Crambo (GB) J: Jonathan Burke T: Fergal O'Brien

年末恒例の24f HurdleのG1競走。レースは10歳馬Dashel Drasherがじっと出していく展開も、1周目はゆったりと流れ馬群は密集。2周目からDashel Drasherがじわじわとペースを上げていくもそのまま馬群は固まってレースは進む。Dashel Drasherに好位にいたCrambo、Paisley Parkが接近し、この2頭が抜け出してのマッチレースとなるも、Paisley Parkを僅差交わしてCramboが勝利した。

Dashel DrasherのRex Dingleが1周目におけるスローペースからのロングスパートを試みており、24fらしいタフなスパート能力が試されるレースとなった。一方で馬群はかなり密集してレースは進んでおり、馬群の中に突っ込んで行ってしまうと出てくるにはそれなりの苦労をするというレースとなっている。Cramboは今シーズンはNovice上がりの馬で、Novice HurdleではListed勝ち程度であまりいいところはなかったのだが、今シーズンになって距離を延長している。HaydockのSerial Winners' Stayers' Handicap Hurdle (Premier Handicap)では11st10lbを背負ってSlate Laneの3着に入っているように適性はあったものと思われるが、スムーズに馬群を抜けてくるJonathan Burkeの騎乗の上手さのようなところもあった。HaydockやAscotという比較的タフなコースで結果を残している馬だが、Cheltenhamでは踏み遅れる傾向のあるSaddler Makerの産駒でもあり、Cheltenhamのようなトリッキーなコースへの適性を有するかは慎重に判断した方がいいかもしれない。11歳馬のPaisley Parkはこのレースの4勝目を狙っていたのだが惜しい2着。極端にペースが上がることがなければ終いまでしっかりとした伸び脚を繰り出すことができる馬だが、11歳になったここまでそのようなレースを続けることができるというのは驚異的である。

Rex DingleのDashel Drasherは例によってレースを作ったが、最後は遅れての3着。もう少し馬場は渋った方が良かったかもしれない。休み明けには好走するChampは後方から進めたが、やはり抜け出してくるのにだいぶ苦労していた感のある4着。スムーズであればもう少しやれた感があるだけに、こればかりは不幸な結果となった。レースを重ねるとパフォーマンスを落とす傾向があるだけに今後どこまでやれるかは微妙なところがある。とはいえやはり古豪健在ぶりを感じさせるレースでもあり、10頭中10歳以上の馬が2~4着を占めたというのも面白い結果だろう。好位で進めた4歳馬Blueking D'Orouxが最後遅れての5着で、初の24f戦というところを考えれば頑張った方だろう。bet365 Hurdle (G2)組のBotox Has、Red Riskはいいところなし。牝馬West Balboaも馬群の中で苦労しており、いいところなく最下位に終わった。

 

Howden Silver Cup Handicap Chase (Premier Handicap) 2m7f180y (Replay)

1. Victtorino (FR) J: Charlie Deutsch T: Venetia Williams

Flash Collonges、Git Makerなどが前に行くも画文は密集して進行。ここから抜けてきたVicttorinoがYeah Man、Flegmatikなどを抑えて勝利した。

Nakayamaのグランプリと比較すると隊列が縦ではなく横に伸びているところが面白いのだが、レースの性質の違いというものだろう。Victtorinoは今シーズンはこれでSodexo Gold Cup (Premier Handicap)に引き続き連勝とした。かなり長くAuteuilのSteeplechaseを使ってきた馬で今年からイギリスに移籍しているのだが、今回は12st0lbというトップハンデを背負って結果を残したことは収穫だろう。まだ5歳と若い馬で、Auteuilで見せていた飛越技術を考えれば更なる可能性がありそうな一頭であるが、全体的なレーティングを考えると今回のレースがどこまでレーティング上で評価されるかは注意した方がいいかもしれない。アイルランドのYeah Manが11st2lbを背負って2着に入った。

 

Betfair Exchange Trophy (Premier Handicap) 1m7f152y (Replay)

1. Luccia (GB) J: Paul O'Brien T: Nicky Henderson

Moveit Like MinnieとLucciaが並んで引っ張るも馬群は密集して進行。そのまま前を走ったLucciaが追い込んで来たImpose Toiを凌いで勝利した。

LucciaはNovice上がりの馬で、昨シーズンは16fのListedを2勝している。Top Novices' Hurdle (G1)でもInthepocketの3着に入っているが、今シーズンは早々にHandicap路線へと切り替えてきたようだ。11st8lbを背負って勝ち切ったことは収穫だが、最終障害のImpose Toiのミスに助けられた感もありそうで、馬場条件としてもこの馬向きであったと思われる。前走CheltenhamのClass3のNovice Hurdleを勝ったImpose Toiが2着で、最後は猛然と差を詰めているだけに最終障害でのミスが悔やまれる結果となった。

 

Nakayama / 中山 (JPN) Good to Firm

The Nakayama Daishogai / 中山大障害 (G1) 4100m (Replay)

1. Meiner Grand / マイネルグロン (JPN) J: 石神深一 T: 青木孝

オジュウチョウサンの引退以降混戦が続く日本障害競馬の大一番。中山GJを圧勝したイロゴトシは不在であったが、一方で連覇を狙うニシノデイジーは出走馬に名を連ねていた。一方で3連勝で東京ハイジャンプを制したマイネルグロンが人気の中心、今年に入って重賞2勝を挙げたジューンベロシティも人気になっていた。先日引退を発表したベテラン平沢騎手は11歳馬マイネルレオーネに騎乗しての参戦となった。

レースは逃げると思われたビレッジイーグルが出遅れ、西谷騎手のジューンベロシティが先頭に出てくるも、ここから大江原騎手が主張して前に出ていく展開となる。早々に西谷騎手は引くが、逃げた馬を追いかけてニシノデイジーが好位に進出。逃げるビレッジイーグルにニシノデイジーが絡んでいき、後続を大きく引き離しての2頭のレースとなる。途中から先頭を奪ったニシノデイジーがそのまま軽快に引っ張るも、じわじわと追いかけたマイネルグロンが3コーナーを回る辺りで先頭に。そのままニシノデイジーを大きく引き離して勝利した。

ニシノデイジーは昨年のこのレースの覇者だが、どうにも今年に入ってはレースぶりから気性的な難しさを覗かせるレースが続いており、前走の東京ハイジャンプ (G2)も惨敗していた。一方で今回は逃げたビレッジイーグルに積極的に絡んでいき、途中からはこれを競り落とすレースを見せている。前2頭がやり合うようなレースであったが、結果的には無理のあるオーバーペースにはならず、むしろ前に行った組のステイヤー資質が目立つ結果となった。マイネルグロンはこれで4連勝となったが、早めに前の2頭が後続を引き離す展開を見据えて前を捕まえに行った石神騎手のペース判断の上手さが目立つ内容となった。平地ではさっぱりいいところはなかったようだが、とはいえ5歳馬がこれだけのステイヤー資質の高さを見せるレースができるというのは素晴らしいことで、新たなチャンピオンとして競馬界を引っ張って行って欲しいものである。同馬は近年の日本平地競馬で比較的高いステイヤー資質を示したゴールドシップの産駒であるが、オジュウチョウサンを輩出したステイゴールドの孫からこのような次なるチャンピオン候補が出てきたというのも喜ばしいことだろう。一方のここのところは難しさばかりを見せていたニシノデイジーは今回は気分よく運んでのレースで、まともに走ればこれくらいはやれるということかもしれない。いずれにせよ、このような馬を過度に抑えることなく、積極的かつ気分よく走らせた五十嵐騎手の騎乗が上手くいったという印象で、やはりチャンピオンホースとしては過度に抑えることなく自ら肉を切らせるようなレースを見せて欲しいところである。

京都ジャンプステークス (G3)を勝ったエコロデュエルは後方から唯一追い込んでの3着。とりあえず早々に競り潰されたビレッジイーグルは捉えたようだが、さすがに前が積極的に動いて行ったのに対して後手後手に回り続けたこの立ち回りではどうしようもないだろう。大江原騎手のビレッジイーグルは出遅れて万事休す。そこからやや無理をして前に行った上、ニシノデイジーに散々絡まれてのレースと本来であれば大崩れしてもおかしくないようなレースなのだが、とはいえ5度目のグランプリ挑戦となるこの馬にとっては最先着の4着で、これまでのレース運びを踏まえるとそれなりに考えるところがある。後続はさらに遅れての入線で、いくら前2頭がやややり合い気味に飛ばしたとはいえ、もう少し積極的なレースを見せて欲しかったというのが正直なところである。