にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

19/04/30 National Hunt Racing

*Punchestown Yielding

Herald Champion Novice Hurdle (G1) 2m100y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-04-30/punchestown/520800/herald-champion-novice-hurdle-grade-1

アイルランド障害競馬を締めくくるPunchestown Festival。昨年はアメリカ出張のせいでレース中に仕事をせねばならないとかいう事態であったのだが、今年は10連休のおかげで好きなだけレースを見ることが出来る。こうなったら毎週10連休でもいいぞ。ただし、どうにもレースが夜遅くてつらい。

例によってFelix Desjyが逃げる展開だが、番手から追走したKlassical Dreamが残り2障害辺りで一気に抜け出すと、そのままFelix Desjyを5馬身ほど突き放して勝利した。3着以下は大きく離れた。

Yielding表示だが雨が降り続いており、馬場は順調に悪化していたようだ。Klassical DreamはこれでHurdleは4戦4勝。フランスではPrix Cambaceres (G1)でMaster Dinoの4着がある素質馬で、つくづく英国Novice Chaseに挑戦を予定していたMaster Dinoの故障が悔やまれるのだが、Klassical Dream自身もSupreme Novices' Hurdle (G1)でのパフォーマンスがフロックではないことを見せつけた。Chanelle Pharma Novice Hurdle (G1)でAramonを抑えてきた瞬発力と、Felix Desjyが注文を付けて逃げる展開を追走するスピードの持続力を兼ね備えた馬で、文句なしに今年のこの路線のチャンピオンホースだろう。ただし案外ゴール前では脚が上がっており、トップスピードの持続力自体はやや物足りないものがあるかもしれない。

Top Novices' Hurdle (G1)にてAramonを抑えてきたFelix Desjyは自分のレースをした。Supreme Novices' Hurdle (G1)はちぐはぐな競馬で論外と考えた方がよさそうだが、平坦コースから坂の多いコース、というよりコース全体が何かしら傾斜が付いているような条件に変わってもパフォーマンスを維持できたことは評価できる内容だろう。Royal Bond Novice Hurdle (G1)の勝ち馬Quick Grabimはやや完敗で、Supreme Novices' Hurdle (G1)組とは初対戦であったがやや力の差を感じさせる負け方。イギリスのChampagne Platinumも完敗だろう。Future Champion Novice Hurdle (G1)の勝ち馬Aramonは全く伸びなかったが、どうにも守備範囲としては狭い類の馬かもしれない。

 

Boylesports Champion Chase (G1) 2m

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-04-30/punchestown/520801/boylesports-champion-chase-grade-1

Rachael BlackmoreのOrdinary Worldがやや主張して逃げるも、好位から進めたUn De Sceauxが第2障害辺りから先頭に。そのままMinと並んで後続を徐々に引き離していくと、やや手ごたえの悪くなったMinを突き放して4馬身差の快勝。2着にはMinが入った。3着以下は大きく離れた。

Un De SceauxはこれでG1は10勝目。どうにも同厩舎の馬との使い分けのためか20fを走ることもあり、Ryanair Chase (G1)をはじめ一応は実績を残しているのだが、本来は16fでその快速を生かした方が良さを発揮する馬である。今シーズンはいくら何でも相手が異次元すぎたTingle Creek Chase (G1)はともかくとして、Ryanair Chase (G1)では主張してハナに行ったFrodonを見る格好で慎重にレースを進めた結果、この馬の良さを発揮できずに5着に終わっていた。今シーズン3戦目と比較的フレッシュなこともあったが、それ以上にこの馬の得意な16fに戻った上に、スタート直後からOrdinary Worldが絡んでいったことでペースが上がったことが勝因だろう。馬場も雨のために若干渋っており、これもこの馬には味方した。やたらと起伏があるPunchestownのコースも得意としている。それにしても現時点で11歳というのが信じられないほど、積極的でパワフルな走りを見せる馬であり、12歳となる来シーズンもまた、16fでその快速ぶりを見てみたいところである。

前走のMelling Chase (JLT Chase) (G1)にて2着を20馬身ぶっちぎる圧勝を見せていたMinは2着まで。Un De Sceauxとは対照的に伸びやかな飛越を見せるタイプなのだが、どうにもここのところは気負って走るところが目立っており、Dublin Chase (G1)のような格下相手であれば格好はつけられるものの、一線級相手となるとやや最後はガス欠で終わることが多い。AintreeのJLT Chase (G1)のように先頭に行けばかなりリラックスして走ることができるようで、おそらくその前向きな気性とスピード能力から16fを使うことが多いようだが、あえてリラックスして走らせるためにも強力な先行馬がいない路線を使うということもまた選択肢として考えられるのではないだろうか。

 

Dooley Insurance Group Champion Novice Chase (G1) 3m120y

https://www.sportinglife.com/racing/results/2019-04-30/punchestown/520802/dooley-insurance-group-champion-novice-chase-grade-1

Drovers Lane、さらにはArticulumが逃げる展開だが、好位から進めたDelta Workが一頭余裕の手ごたえで出てくると、苦しくなった後続を尻目に持ったままで12馬身差の圧勝。2着にはDiscoramaが入った。

Delta WorkはこれでChaseに転向してからG1は3勝目とした。RSA Chase (G1)こそ下り坂を利して強烈な加速を掛けたTopofthegameに足元を掬われたが、完全にメンバーが落ちたここでは格の違いを見せつける勝利であった。Cheltenhamの競馬振りからさほどトップスピードの面では早くはないようだが、いくらなんでもここでは総合能力が上であったということだろう。National Hunt Challenge Cup (G2)にてLe Breuilの2着に入ったDiscoramaはしぶといレース運びで2着。いくら何でも勝ち馬とはスピード能力の点で違いがありすぎたようだが、この馬の持久力もまた注目すべきものがある。おそらくG1クラスでは厳しそうだが、超長距離戦では面白い存在となり得る一頭。5歳のA Plus TardはClose Brothers Novices' Handicap Chase (Listed)を16馬身差で圧勝してからのここであったが、さすがにDelta Workとは力差がありそうだ。