にげうまメモ

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19/12/21 Japanese Racing

*Nakayama Firm

Nakayama Dai-Shogai (JG1) 4100m

残念ながら絶対的チャンピオンホースのオジュウチョウサンは不在であり、昨年の勝ち馬ニホンピロバロンをはじめ相次ぐ有力馬の引退もあったのだが、シングンマイケルやディライトフル、メイショウダッサイといった勢いのある上り馬に加え、シンキングダンサーやルペールノエルなどの常連も顔をそろえ、出走馬としては15頭という多頭数を集めることになった。日本障害競馬は他国よりも出走馬を多く集める傾向があるのだが、それでも日本程度の規模の障害競馬開催国と比較するとかなりの多頭数と言えよう。

レースは例によってディライトフルが飛ばす展開だが、やはり距離を気にしたのか大逃げの形にはならない。好位からシンキングダンサー、メドウラークなど大生垣を越えてブライトクォーツ、シングンマイケルなどが接近すると、最終障害を越えてシングンマイケルが先頭に。そのまま追いすがるブライトクォーツを抑えて勝利した。メイショウダッサイ、シンキングダンサー、ルペールノエルと続いた。6着にはメドウラークが入り、後続は大きく遅れた。

思いっきり寝過ごしたので今年は現地に行かなかったのだが、頑張って起きればよかったと後悔している。シングンマイケルはこれで東京ジャンプステークス東京ハイジャンプから3連勝とした。前走、前々走ともに飛越の上手さを生かしたロングスパートを仕掛けることで障害競馬「らしい」土俵に持ち込んで勝ち切っており、ここでも大生垣を越えたあたりからするすると馬群を縫って上がっていくことで、ここまで見せてきたこの馬の良さを生かす競馬に徹している。デビュー20年目の金子光希騎手の渾身の騎乗であった。勝ち方自体は派手ではないが、内容としてはこの馬の飛越技術の高さとスピードの持続力を感じさせるものであり、文句なしに新たな障害チャンピオンと判断できるものである。どうしてもオジュウチョウサン不在ということが念頭に置かれてしまうレースではあるのだが、レースとしては日本障害競馬のチャンピオンを決めるものとして素晴らしいものであった。また、父はシングンオペラというヨーロッパ障害競馬で猛威を振るうサドラーズウェルズの直系、さらに言えば祖父のオペラハウスはイギリス・アイルランドで障害専用種牡馬として大活躍を見せるKayf Taraの全兄弟である。母父にはトウカイテイオー、母系はアイルランドに通じる日本古来の血統と、日本競馬の中ではもはや亜流に近いようなものではあるのだが、このような出自の馬が平地競争とは全く異なるポテンシャルを生かして勝ち切ったレース内容を見れば、日本障害競馬もまた、単なる平地競馬で頭打ちになった馬の受け皿ではないことは一目瞭然である。

ブライトクォーツは比較的経験の少ない馬ではあるのだが、積極的な競馬で2着まで来た。勝ち馬との差はわずかであり、この馬もまた勝ちに等しい競馬を見せている。父Workforceは現在アイルランドで繋養されており、アイルランド障害競馬でどのような産駒を出すのか楽しみである。メイショウダッサイはわずかに踏み遅れて3着。シンキングダンサーは目標になったとの騎手の弁だが、好位を取ったまではいいもののそこからディライトフルを見ながら勝負所で動かなかったのは騎手のミスである。古豪ルペールノエルはやや位置取りが後ろ過ぎた。メドウラークは最後は脚が上がったようだが、できればハナに行って自身のリズムで飛越させた方が良さが活きるかもしれない。ディライトフルはさすがに距離が長かったようだ。