*障害競馬回顧 2020/02/03-09
通常記事は個人的な備忘録も兼ねたレース回顧として書いていたのだが、少々日常生活に余裕がなくなってきたのと、あまり備忘録として機能していないので仕様変更を行ってみるテスト。かえって手間が増えるようであれば戻すかもしれない。
2月頭のアイルランドのLeopardstown競馬場で行われるDublin Festivalが終わり、英愛障害競馬は本格的にCheltenham Festivalに向けた前哨戦のシーズンとなった。また、先日はGrand Nationalの出走馬発表が行われ、3連覇を狙うTiger Rollの登録があって話題を集めた。これからは春に行われる数々のイギリス・アイルランド障害競馬の祭典を待ちわびる日々となる。一方でフランスではPau競馬場のGrand Cross de Pauが終わり、ここのところ破竹の連勝を飾ってきたEasyslandがNet Ladyなどを抑えて貫禄の勝利を収めた。Easyslandの次走にはどうやらCheltennhamのGlenfarclas Cross Countryが挙がっているらしい。Easyslandは現時点でフランスCross Countryでは最強馬と考えられる存在であり、Glenfarclas Cross Countryには前述のTiger Rollの出走も想定され、二頭の対決が実現するとなると大きな注目を集めるだろう。同レースでは昨年はVelká Pardubickáの2着もあるフランスのCross Country SpecialistであるUrgent De GregainなどをTiger Rollが圧倒するレースを見せたのだが、今年はどうなるだろうか。
2/4(火)
Pau(FR)Collant (4.5)
〇 Prix Jules De Saint-Sauveur (Cross Country) 4100m 5 et 6 ans (Replay)
1. Uniketat J: Alain De Chitray T: H. Lageneste
DB Friendly Star J: Jonathan Plouganou T: David Cottin
人気のUniketatが2着に10馬身をつける勝利を挙げ、これでPauのCross Countryは3連勝とした。Cross Country自体は比較的経験の浅い馬で、ここまで4000メートルクラスのレースばかりを使っており、距離延長が今後の課題となるだろう。対抗角と思われていたFriendly Starは途中で逸走し、途中棄権に終わった。
2/6(木)
Huntingdon(UK)Good to Soft
〇 Sidney Banks Memorial Novices' Hurdle (Listed) 2m3f137y (Replay)
1. Shishkin J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson
残り2障害辺りから抜け出したShishkinがそのまま後続を突き放し圧勝。Supreme Novices' Hurdle (G1)の下馬評において高い評価を受けている馬で、Hurdleでは初戦こそ落馬に終わったが、その後は2戦とも楽勝している。ここでは馬の性能自体が違った印象。2着のShan BlueはWarwickのLeamington Novices' Hurdle (G2)の3着馬、4着のPacifyはこれがHurdle7戦目となり、Supreme Novices' Hurdle Trial (G2)の2着に入った実績のある経験馬ということを考えると、このShishkinのレースは高く評価せねばならないだろう。
Thurles(IRE)Yielding (Good to Yielding in places)
〇 Beginners Chase 2m43y (Replay)
1. Mitchouka J: Donal McInerney T: Gearoid O'loughlin
4. Max Dynamite J: Danny Mullins T: Willie Mullins
Mitchoukaが嬉しいChase初勝利を挙げた。元々はGordon Elliott厩舎でWinning Far Juvenile Hurdle (G3)勝ちのある馬だが、その後は長らく勝利から見放され、2018年に一度Chaseを使うも結果を残せずに終わっていた。これがGearoid O'loughlin厩舎への転厩初戦となる。近走はGordon Elliott厩舎にありがちな謎のハードスケジュールの影響かスランプ気味のようなレースを繰り返していたのだが、転厩で馬がリフレッシュされたことを望みたい。まだ6歳と若く、なんとかこれからもう一花咲かせてほしいところ。各国の主要平地競争にも参戦歴があり、日本人にもお馴染みのグレイトジャーニー産駒Max Dynamiteは10歳にしてChase2戦目であったが、いまいち良いところがなく4着に終わった。
2/7(金)
Bangor-On-Dee(UK)Soft
〇 Open Hunters' Chase (C6) 2m4f72y (Replay)
1. Bob And Co J: Mr David Maxwell T: Paul Nicholls
2. Ballynagour J: Mr Alex Edwards T: J W Stevenson
Swift CrusadorとBob And Coが後続を引き離して逃げるが、第8障害でSwift Crusadorが落馬。そのまま残ったBob And CoがBallynagourに大差をつけて快勝した。Bob And Coはフランス障害で長く走ってきた馬で、これがイギリス2戦目となる。9歳とフランス障害としてはそこそこの高齢馬だが、母国での成績を見る限り決して老け込んでいるわけでもなく、飛越技術は確かなものを持っており、ここからHunters' Chase路線での活躍が見込まれる。14歳馬Ballynagourは遡るとCheltenhamのByne Group Plate (G3)勝ちなど重賞クラスで活躍した馬で、そのキャリアハイは2015年に今は亡き名馬Silviniaco Contiを僅差まで追い詰めたBowl Chase (G1)だろう。2016年、2017年のGrand National (G3)にも出走した経歴もあるのだが、2017年のGrand National (G3)の時点ですでに大きく衰えが見られており、2020年の今になってはもはやかつて重賞戦線で活躍した面影は残っていない。J W Stevenson調教師の管理馬はBallynagour以外にはいないようで、今年の1月に行われた前走が694日ぶりのレースであったことを考えると、どちらかというと趣味的な意味合いでのレース参戦と推測される。
Kempton(UK)Good to Soft (Soft in places)
〇 Maiden Open NH Flat (C5) 2m (Replay)
1. Flinteur Sacre J: Barry Geraghty T: Nicky Henderson
Sprinter Sacreの全弟がデビュー2戦目で初勝利を挙げた。Sprinter Sacreは2013年、2016年とQueen Mother Champion Chase (G1)を制し、2011-16年辺りにおける16f Chaseの最強馬として君臨した馬。全盛期の圧倒的な強さと、そのパフォーマンスを大きく落とす原因となった心臓のトラブルを乗り越えて復活を遂げた馬として、絶大な人気を誇っている。
2/8(土)
Newbury(UK)Good (Good to Soft in Places)
〇 Novices' Hurdle (C4) 2m69y (Replay)
1. Chantry House J: Barry Geraghty T: Nicky Henderson
〇 BBA Ireland Limited Opera Hat Mares Chase (Listed) 2m (Replay)
1. Cut The Mustard J: Paul Townend T: Willie Mullins
2. Tintangle J: Luke Dempsey T: Gordon Elliott
途中から先頭に立ったCut The Mustardがそのまま快勝。2着にはTintangleが入り、Coolmore N.H. Sires Capri Irish EBF Mares Novice Chase (G2)の結果がほぼそのまま再現される内容となった。Tintangleはスタート直後は軽快に先頭を走ったが、途中の障害手前でフラフラ走る場面があった。
〇 Maiden Hurdle 1m7f180y (Replay)
1. Entoucas J: Mark Walsh T: Joseph O'Brien
2018年の12月の未勝利戦で、その後のSupreme Novices' Hurdle (G1)を勝利するKlassical Dreamの僅差の2着があるEntoucasがようやくの勝利を挙げた。前々走の未勝利戦ではEnvoi Allen相手に完敗であり、さすがにG1クラスでいきなりどうこうということはなさそうだが、能力は確かであり今後が楽しみである。
京都(日本)良
〇 障害4歳以上未勝利 2910m
終始先頭を走ったタガノグルナがそのまま逃げ切り勝利。平地ではダートの長距離を中心に3勝クラスまで駒を進めた馬で、これが障害初戦となる。障害8戦目となるリボンナイトはまたしても勝てず2着まで。
2/9(日)
〇 Storm Ciara causes havoc as today's cards are wiped out in Britain and Ireland (Racing Post)
Storm Ciaraの影響で、日曜日に予定されていたイギリス・アイルランドの合計3開催(Exeter、Southwell、及びPunchestown)は全て中止となった。P.P Hogan Memorial Cross Country Steeplechaseなどを含むPunchestown開催は2/11(火)に行われる予定。
京都(日本)良
〇 障害4歳以上未勝利 2910m
1. ブルベアセロリ J: 植野貴也 T: 服部利之
2周目から先頭に立ったメイプルキングだが、直線を向いて一気に加速したブルベアセロリがこれを差し切り勝利した。ブルベアセロリは地方で7勝を上げた馬だが、中央の平地では全くいいところがなく、再転入2戦目で障害に転向している。同じく再転入組のメイプルキングは前走初障害で2着に入り人気を集めていたが、最後の平地のスピードで見劣った。なお、第一障害でひどい事故があったが、レース後第2頚椎骨折が判明したピエナキャプテンは落馬時の鞍ズレかなにかで馬が暴れたことによる二次災害と思われる。同地点を2周目に通る際にレース映像では上手く隠していてよくわからないのだが、先日中山において故障馬の対応で事故があったことを踏まえて、なにかJRA側で対応しているのだろうか。
その他
◎ A star is wonderfully reborn as Faugheen delights Dublin with his titanic win(Racing Post)
Flogas Novice Chase (G1)を勝利したFaugheenに関するRacing Postの記事。半ばポエムの域に達しているが、あちらの空気感を知るという意味でも一読の価値はあるように思う。
〇 愛国障害G1で12歳の高齢馬が復活優勝を果たす【合田直弘 世界の競馬】(netkeiba)
合田さんの記事はどうにも内容が表面的でいまいちなのだが、めずらしく今回は力を入れてアイルランド障害競馬の背景を踏まえつつFaugheenのことについて記述している。この人の情報収集能力は尊敬すべきものがあるので、いつもこれくらい詳しく記載してくれればいいのだが。
〇 Trainer Nicky Henderson hoping star Altior can get back to winning ways (Yorkshirpost)
1965 Christy Chase (G2)の敗戦に関するNicky Henderson師の弁明。
〇 Relive the thrills, spills, tears and cheers of the Dublin Racing Festival one week later (Horse Racing Ireland)
Dublin Festivalに関する振り返り。