にげうまメモ

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20/09/13 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/09/07-09/13

9/7(月)

Craon (FR) Souple (3.5)

〇 Prix De La Sayette

Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant, en steeple-chase, ni reçu, cette année, une allocation de 15.000, ni reçu, depuis le 1er septembre de l'année dernière inclus, 20.000 (victoires et places). 4600m (Replay)

1. Butterfly Du Mou J: Olivier Jouin T: Pascal Journiac

好位から進めたButterfly Du Mouが最終障害を越えてAu Saut Du Litを振り切り勝利した。Butterfly Du Mouは実績的には昨年のPrix Anjou-Loire Challenge (Listed)にてAmazing Comedyの3着のある実績の馬で、さすがにここでは随所に力量上位の馬らしい技術の高さを感じさせる飛越が目立った。72kgの斤量を背負ってのこのパフォーマンスは完勝といっていいだろう。2018年以来の競馬となるAu Saut Du Litは先手を取って見せ場を作った。この馬の飛越技術もかなり高いものがあるようで、勝ち馬と双璧をなす高い飛越技術を見せていた。67kgと恵まれた条件であったとはいえ軽視していいレース内容ではないだろう。Compiegneでも実績のある馬だけに今後が楽しみな復帰戦であった。

 

9/9(水)

Auteuil (FR) Tres Souple (3.9)

〇 Prix Finot (Listed)

Haies Pour pouliches de 3 ans, n'ayant pas couru. 3600m (Replay)

1. Obeone J: Geoffery Re T: Mikael Mescam

2. Riviere D'Etel J: Jeremy Da Silva T: Yannick Fouin

3歳牝馬のHaies競走ということでわりと飛越や挙動の怪しい馬が多い。レースはややフリーダムに逃げたRiviere D'Etelをゴール直前でObeoneが捉えて勝利した。Obeone自身はこれがデビュー戦だが、飛越技術自体は3歳牝馬としては完成されたものを持っていた。兄弟にさほど活躍馬はいないようだが、直線だけで3着以下を20馬身千切ったスピードは注目に値するだろう。挙動が怪しいといえばむしろ2着のRiviere D'Etelで、飛越もどうにも無駄が多かったのだが、最後まで勝ち馬に食らいつく走りを見せた。こちらもさほど兄弟に活躍馬はいないようだが、どこまでやれるだろうか。兄弟にListed勝ちのあるAttila De Sivolaを持つHeva Roseも出ていたが、特に見せ場なく5着に終わった。

 

〇 Prix Henri Gleizes

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3500m (Replay)

1. General En Chef J: Jonathan Plouganou T: David Cottin

前半から元気よく逃げたGeneral En Chefがそのまま逃げ切り勝利した。General En ChefはこれでSteeplechaseは3連勝とした。関節の可動域というよりは筋肉の強さが際立っているタイプのようで、飛越技術に関してはここでは特段問題は見られなかった。道中から軽量のPacha Senamに散々絡まれながらも、最終障害を越えて再度加速を掛けたパフォーマンスはここでは一枚実力が上と考えていいだろう。HaiesではHaras D'Etreham (G2)勝ちのあるWant of a Nailは初のSteeplechaseであったが2着に入った。この馬はWestonneの産駒らしい関節の可動域の広さが際立っており、随所に驚異的な飛距離を有する飛越を見せていた。勝ち馬とは加速力の違いで2着に終わったが、今後が楽しみになるレースであった。

 

9/11(金

Egmont RC @ Hawera (NZ) Slow9

〇 BHL Feeds Hurdles MDN HDL 2900m (Replay)

1. Bak Da Master J: Michael Roustoby T: Jamie Richards

スタンド前で先頭を走っていたStratiusが落馬したりと色々あったレースだが、レースはゆるゆると逃げたBak Da Masterがそのまま勝利した。やや頭を下げた走法が特徴的なBak Da MasterはHurdleはこれが3戦目での勝ち上がりとなる。MDNクラスでは力上位であることはここ2戦からはっきりしており、内容的には順当なものだろう。これがHDL2戦目となるMizzenaは中段から押し上げて2着に入った。この馬も2戦目にして内容的には向上が見られており、次は確実に勝ち負けになると思われる。

 

〇 Ecolab Hurdles MDN HDL 2900m (Replay)

1. Master Courtsman J: Buddy Lammas T: Tony Corric

思いっきり出遅れたMaster Courtsmanであったが、スタンド前辺りから前目に取りつくと、そこから残り2障害辺りから先頭に立ちそのまま押し切り勝利した。Master CourtsmanはHDLは9戦目での勝ち上がりとした。どうにもゆるゆると走っていると飛越に粗が出るところがあるようで、ある程度加速を掛けて行った方が飛越は安定しているように見える。かなり道中長い脚を使いながらも最後まで脚色は衰えておらず、レース内容からは距離を伸ばした方がいいようなタイプに見える。好位から安定したレースを見せたVan Blancが2着に入った。MDNクラスであればすぐに勝ちあがれるだろう。イギリス産馬で平地では6勝と活躍したRichard or Yorkeはやや仕掛け遅れで3着に終わった。

 

9/12(土

Nancy (FR) Bon Souple (3.4)

〇 Prix Des Aubepines

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant pas, cette année, en steeple-chase, reçu une allocation de 9.000. 3800m (Replay)

1. Saint Goustan Blue J: James Reveley T: Dominique Bressou

終始先頭を走ったSaint Goustan Blueが快勝。Saint Goustan Blueは2018年のPrix La Haye Jousselin (G1)にてBipolaireの2着のある一流馬で、2019年の4月のPrix Ingre (G3)で落馬をしたのちはさほど順調には使えていなかったようだが、これが久々のSteeplechaseとなる。やや懸念された飛越は終始安定しており、さすがにここでは馬の性能自体が違ったようだ。能力はフランスSteeplechaseでは一線級であり、今秋の活躍を期待したい。2着には以前CheltenhamのCross Countryにも参戦したVicomte Du Seuilが入った。以前はCross Countryも視野に入れていたようだが、ここのところはほぼSteeplechaseのみを使っているようだ。

 

Auckland RC @ Ellerslie (NZ) Slow9

〇 Stella Artois Maiden Hurdle MDN HDL 2769m (Replay)

1. The Midnight Shift J: James Seivwright T: Paul Mirabelli

元気よく人気のThe Poormanzabeelが逃げるも、最終障害を越えて先頭に立ったThe Midnight Shiftが後続を突き放して勝利した。The Midnight Shiftは障害は3戦目であり、それなりに着は拾っていたのだがここでは人気の盲点になっていたようで、単勝は28.50倍と大荒れになった。経験馬らしいレース運びの巧さが目立ったが、比較的小柄な馬だけに今後背負う斤量には注意した方がよさそうだ。HDL2戦目のThe Poormanzabeelは積極的に運ぶも2着までで、前半から息の入らない展開で最後は苦しくなったようだ。

 

〇 Barfoot & Thompson Hurdle RST OPN HDL 3350m (Replay)

1. Magnanimous Man J: Aaron Kuru T: Craig and Shaun Phelan

最終コーナーを外から捲ったMagnanimous Manが後続に7馬身差をつける快勝。Magnanimous Man自身はこれでHDLはMDNから連勝とした。MDN勝ちの時点では若干メンバーに恵まれた感もあったのだが、このレースを見る限りではPJRに行っても面白い存在となるかもしれない。2着の牝馬SenassyはPJRクラスではやや苦しいところもあるのだが、さすがにRST OPNクラスであれば力は上位である。人気を背負っていたGrinnerは途中で落馬に終わった。

 

〇 Dunstan Feeds Maiden Steeplechase MDN STP 4150m (Replay)

1. Southern Cool J: Shaun Fannin T: Niall Quinn

Ellerslie Hillの下り坂から先頭に立ったMesmerizeが逃げ込みを図るも、これを最終障害で捉えたSouthern Coolが勝利した。全体的にMDNにしてはややペースは流れているのだが、それでも最後まで脚が持つ辺り、やはり馬場は比較的軽いのだろう。Southern CoolはSTP初参戦で初勝利とした。HDLでは4戦して未勝利であった馬で、全体的に飛越は低く怪しい部分があったが、MDNクラスとしては許容範囲だろう。11歳のベテランMesmerizeはこれが7回目となるSTP2着で、いい加減どこかでいいことがあって欲しい。11歳とは思えないほどの元気のよい行きっぷりで、まだまだ馬は元気なのだろう。12歳のDrumgoldも途中までは先頭を走り3着に入った。途中で2年近い休養を挟んでいる馬で、STPの経験はこの中では比較的少ない。Trialでいいパフォーマンスを見せていたSino Heightsは途中から少しずつ位置を下げ6着に終わった。初のSTPであったが飛越は安定しており、次走に期待したい。

 

〇 Barfoot & Thompson Steeplechase RST OPN STP 4150m (Replay)

1. Magic Wonder J: Shaun Fannin T: Jo Rathbone

3. Wise Men Say J: Isaac Lupton T: Raymond Connors

前半から飛ばしたMagic Wonderがそのまま逃げ切り勝利した。Magic Wonderは8歳の牝馬で、STPはこれが3勝目となる。ここまで大きなタイトルはないのだが、今回はSlow9の良馬場でスピードに乗せた積極策が嵌ったようだが、この馬の新しい一面をみせるレースで、この戦術でどこまでやれるか楽しみである。Stand Doubleにて大きなミスのあったNapoleonは立て直して2着まで来た。本来このクラスであれば力上位の馬だが、今回は勝ち馬が少々走りすぎたといっていいだろう。Wise Men Sayは例によって最後復活して3着まで来た。この馬は不良馬場と超長距離戦を得意とするタイプであり、今日のような良馬場と短距離ではどうしようもない。

 

Nakayama / 中山 (JPN) Firm

〇 Maiden / 障害3歳以上未勝利 2880m

1. テイエムチェロキー J: 佐久間寛志 T: 杉山晴紀

前半から積極的に運んだテイエムチェロキーがそのまま逃げ切り勝利した。テイエムチェロキー自身は障害はこれで3戦目での勝ち上がりとした。スペシャルウィークの肌らしいやや胴長の馬体にトランセンドのパワーのある筋肉は平地ではやや鈍重すぎるきらいもあるのだが、やはり障害となると持続力とパワーのあるストライドを生み出すことが出来る有利な身体に早変わりする。初の中山の障害ながら飛越技術は安定していた。好位からダイシンクローバーが差を詰め2着。ルーラーシップ産駒のヒドゥンパラメータはこれが初障害であったが、全体的に飛越が拙く、勝負所で押し上げるもその後の飛越で脱落し5着に終わった。

 

9/13(日

Praha (CZE) Stav dráhy: 3.6 (dobrá)

14. ZLATÝ POHÁR ELEKTRIZACE ŽELEZNIC PRAHA a. s.

Proutky I.kat. - 4200 m, cena, 4letí a starší 360.000 Kč (Replay)

1. Capivari J: ž. Josef Bartoš T: Váňa ml. Josef

好位からレースを進めたCapivariがDragonを抑えて勝利した。人気のAnakingは先手を取って進めるも、最後交わされ3着に終わった。Capivari自身はさかのぼれば2016年にAuteuilでPrix Renaud Du Vivier (G1)を制した馬だが、その後は鳴かず飛ばずで2018年にはチェコに移籍している。イタリアSiepi / Steeplechaseでも目立った勝ち星はなかったのだが、久々の大舞台での勝ち鞍となった。当時のPrix Renaud Du Vivier (G1)の上位陣はDeviceの落馬に助けられた面もあり、最近アメリカに移籍したFootpadも含めどうにもあまり良いことがないのだが、これが何らかのきっかけになって欲しいところ。Dragonは未勝利馬ながら見せ場を作った。スロバキア又はチェコであればどこかは勝てるだろう。人気を背負ったAnakingは全体的にスムーズな展開だったのだが案外な結果で、そろそろ年齢的に単純なスピード勝負となると分が悪いのかもしれない。

 

Wroclaw (POL) płotowy - elastyczny (3.7); przeszkodowy - elastyczny (3.3)

Wielka Partynicka Nagroda Totalizatora Sportowego 70000 zł

Międzynarodowa gonitwa z płotami dla 4-letnich i starszych koni. 4200m

1. Spasski J: Pavel Složil ml. T: Michał Borkowski

いわゆるHurdle競走としてはポーランド最大のものだが、今年は残念ながら国外からの強力な参戦馬もなく、国内の有力馬もさほど出走せず、やや全体的に寂しいメンバーとなった。レースはBailandoが逃げる展開も、途中から前に出たSpasskiがAnnie Reillyを抑えて勝利した。Spasski自身はかつてはポーランドダービーにも参戦した平地の活躍馬で、Hurdle自体はこれで3戦目とややキャリアは浅いものの、8月のNagroda 20000から連勝とした。7月の段階では72kgのトップハンデを背負ったTrimを相手に67kgを背負って完敗であったのだが、そこから飛越への慣れもありパフォーマンスを上げている。上述の通りさほどメンバーは揃っていなかったが、ポーランド調教馬としてこのタイトルに恥じない活躍を期待したい。チェコのAnnie Reillyが2着に入った。母国では下級条件戦で1勝を上げたのみの馬であり、さすがにこの辺りが好走するとなるとややレースレベルには疑問が残る。

 

Wielka Wrocławska Nagroda Prezydenta Wrocławia 200000 zł

Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. 5000m

1. Cosmic Magic J: Niklas Lovén T: Radim Bodlák 

2. Reki J: Pavel Složil ml. T: Hana Kabelková

Steeplechase競走としてはポーランド最大のもの。ただしポーランド調教馬の出走はNetto一頭のみで、その肝心のNettoが直前で取り消したことにより、出走馬10頭中10頭がチェコ調教馬で占めるという競走となった。レースはスタート直後は例によってゆっくりと進行するも、早々にLe GrandとLetegertoが競争中止。空馬となったLe Grandが再三に渡り馬群に絡んでくる。RekiとSztormが引っ張る展開となるも、最終障害を越えてこれに迫ったCosmic Magicが空馬の影響で進路をカットされながらも、ゴール手前で前に出て勝利した。

Cosmic Magicはこれで今年はWrowlawのSteeplechaseは3連勝とした。5歳牝馬とまだ若い馬だが、飛越はさすがに慣れており安定したものを見せていた。昨年のPardubice競馬場のCena Kudy z nudy – Cena ČASCH (Stcc NL)でも戦えるスピードを持った馬で、この狭いWrowlawのコースにおいて空馬のLe Grandに再三進路をカットされていたことを考えると、着差としてはわずかだが内容的には完勝だろう。連覇を狙ったRekiもさすがに見せ場を作った。今年はMeranoのCross CountryやGrande Steeplechase D'Europa (G1)に挑んで良いところがなかったのだが、やはりWrowlawのSteeplechaseは慣れている。元々はPardubice競馬場のCross Countryでも実績があり、上位2頭はPardubice競馬場でも楽しみがあるだろう。3着に入ったベテランSztormはやはりこのような小型の競馬場の方がいいようだが、勝負所からの加速力という点で全盛期と比べるとやや冴えない部分があった。4着のDallinaはもともとこのコースを主に使っていた馬だが、ここのところはPardubice競馬場のCross Countryを主に走っており、Wrowlawへの参戦自体は久しぶりになる。この馬はむしろ距離に目途をつけたことを喜ぶべきだろう。ベテランParetoは5着に入った。やはりここで上位争いをするのは実力的には厳しいようだが、例によって安定したレース運びを見せた。