にげうまメモ

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21/01/10 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2021/01/04-2021/01/10

1/9(土

Chepstow (UK) Soft

Coral Finale Juvenile Hurdle (G1) 2m11y (Replay)

1. Adagio J: Tom Scudamore T: David Pipe

例によって年始に移行されたChepstowのWelsh Grand Nationalの開催。前半からBannisterが積極的に飛ばす展開も、早々に後退し途中棄権。ここから抜け出してきたAdagioとNassalamだが、Adagioが人気のNassalamを抑えて勝利した。

Adagioはドイツ産馬でWiener Walzerの産駒だが、Wiener Walzerの産駒はここまでイギリス障害ではさほど走っているわけではなく、父系を遡ってもHail To Reason、Robertoに連なるアメリカ系統で、ややイギリス障害競馬としては珍しい出自である。Adagio自身これでHurdleは4戦3勝とした。JCB Triumph Trial (G2)ではDuffle Coatの2着に敗れていたが、その後のCheltenhamのC2戦ではHistoric Heart以下を抑えて快勝しており、ここではレース経験の面で一枚上手であった。下級条件戦を大勝して話題を集めたNassalamは2着に終わったが、ここまでの競争はいずれメンバー的にはかなりの格下であり、さらに着差が付きやすい重馬場であったことも考えると、むしろ強敵相手によく頑張ったものと捉えた方がいいだろう。

 

Welsh Grand National Handicap Chase (G3) 3m6f130y (Replay)

 1. Secret Reprieve J: Adam Wedge T: Evan Williams

前半からThe Two Amigos、Yala Enkiなどが引っ張る展開だが、残り5障害辺りから後続が接近。そこから抜け出してきたSecret ReprieveがThe Two Amigos以下を突き放して勝利した。

残り3障害辺りからの映像を見るとわかりやすいのだが、Secret Reprieveの腹帯が取れかかっており、Adam Wedge騎手がよくゴールまで持たせたものである。調教師のEvan Willaimsは地元の人で、嬉しい勝利となった。レースとしてはThe Two Amigosなどがゆったりとロングスパートをかけるような展開で、終盤にタイムロスが発生するような無茶なペースとはなっていない。Secret Reprieve自身は重賞は初参戦で、前走のWelsh Grand National Trial (C2)でThe Two Amigos以下を抑える快勝を挙げており、調子もよかったのだろう。10st1lbという軽量も味方した。そのWelsh Grand National Trial (C2)で2着に入ったThe Two Amigosがまたしても2着で、Trialと銘打っているもののあまりメンバーが集まらないレースのわりに今年はTrial組が好走する結果となった。トップハンデを背負ったYala Enkiは見せ場十分の3着で、11歳となった今年も元気いっぱいのようだ。

 

Kempton (UK) Good to Soft (Soft in places)

〇 Handicap Chase (C2) 3m (Replay)

1. Double Shuffle J: James Bowen T: Tom George

好位から抜け出したAmi Desboisがそのまま勝利するかと思われたが、最終障害でミス。これを利して前に出たDouble ShuffleがAmi Desboisを抑えて勝利した。Double Shuffleは実に2016年の12月以来の勝とした。キャリアハイの活躍としては2017年のKing George VI Chase (G1)でMight Biteの2着があるのだが、基本的にはC2辺りで善戦を続けるタイプの馬で、比較的Kemptonのコースは得意とはしているようだ。すでに11歳と年齢は重ねているが、馬自身は元気なようだ。同じく11歳のAmi Desboisが2着。人気のTwo For Goldは僅差の3着だが、やや飛越に怪しい部分があった。

 

Relkeel Hurdle (G2) 2m5f (Replay)

1. Mcfabulous J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

On The Blind Side辺りが引っ張る展開も、勝ったのは人気を背負ったMcfabulous。今シーズンはPersian War Novices' Hurdle (G2)を勝つなど元気なようだが、Long Distance Hurdle (G2)ではThyme Hill以下に肉薄できず3着に敗れていた。20fに戻して、メンバーも楽になっての仕切り直しといったところでの勝利だが、Cheltenham Festivalに向かうのであれば24fの克服が課題となるだろう。この中では比較的ベテランのOn The Blind Sideが逃げ粘り2着。元々素質を評価されていた評判馬だが、その後はあまり大きなレースでの活躍はない。Supreme Novices’ Hurdle (G1)にてKlassical Dreamの2着のあるThomas Darbyが3着で、その後は2020年のHolloway's Handicap Hurdle (G3)勝ちがあるくらいでG1への参戦はないのだが、ひとまずこの馬も元気なようだ。

 

Silviniaco Conti Chase (G2) 2m4f110y (Replay)

1. Master Tommytucker J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

前半からやや掛かり気味に走ったMaster TommytuckerがそのままClondaw Castle以下を抑えて快勝とした。Master Tommytuckerはここまで大きなタイトルはなく重賞は初勝利とした。昨シーズンのKauto Star Novices' Chase (G1)、Pendil Novices' Chase (G2)でもいずれも軽快に走るも、残り4障害地点での無念の落馬に終わった経緯がある。飛越はやはり怪しいのだが、スムーズに走らせた時の破壊力は一級品で、今後の走りが楽しみな一頭だろう。人気を背負っていたImperial Auraは第2障害で早々に落馬に終わった。

 

Wincanton (UK) Soft (Good to Soft in places)

Dipper Novices' Chase (G2) 2m4f35y (Replay)

1. Messire Des Obeaux J: Darryl Jacob T: Alan King

3番手から進めたMessire Des ObeauxがProtektorat以下を退け快勝とした。Messire Des Obeauxは2016年のChallow Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬だが、その後1000日を越える休養を経て今年の2月に復帰していた。今シーズンはChaseを使いこれで2戦2勝。やはり身体能力の高さは目立っていたが、9歳と年齢を重ねていること、今回も3頭立てと楽なレースであったことを考えると、やはりここからG1級へのステップアップという意味では課題は残っているだろう。とにかくこの馬は無事に行ってほしいところ。前走C2を圧勝してきたProtektoratが4馬身差の2着に入った。

 

Nakayama / 中山 (JPN) Good to Firm

〇 新春ジャンプステークス 3200m

1. スマートアペックス J: 中村将之 T: 浅見秀一

好位から抜け出したスマートアペックスが7馬身差の快勝とした。スマートアペックス自身はこれで前走の中京のオープン戦から連勝とした。昨年の清秋ジャンプステークスでは2着に敗れており、全体的に飛越は低いのだが技術自体はしっかりとしており、中山のこのくらいのレースであれば対応可能と考えてよいのだろう。9歳となったマサハヤドリームが2着に入った。前走イルミネーションジャンプステークスを勝ってきたエンシュラウドも出走していたが、そもそもレースに馬自身の制御が出来ておらず、飛越もレース振りもどうにも安定せず水壕障害で落馬に終わった。右肩甲骨々折で予後不良とのことで、障害馬としての能力は高いものが期待されていただけに残念な結果となってしまった。飛越云々以前にあのような状態で障害競走に使おうという発想には疑問を感じる。

 

1/10(日

Cagnes-Sur-mer (FR) Collant (4.4)

〇 Grand Course De Haies De Cagnes (Listed)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 4300m (Replay)

2. Capivari J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

チェコ調教馬のCapivariが出走していたが、Tenerife Seaから2馬身半離れた2着に終わった。Capivari自身はさかのぼればフランスPrix Renaud Du Vivier (G1)勝ちのある馬だが、その後はやや低迷し、2018年からチェコに移籍している。イタリアSiepi及びSteeplechaseではG1クラスでの好走もある馬で、今年で9歳になるが今シーズンはPrahaのZlatý pohár (Proutky I.kat.)の勝利など調子はいいようだ。Tenerife Sea相手の2着であれば十分に誇れる内容だろう。Tenerife Seaは昨年のPrix Spumate (Listed)勝ちのある馬で、今年はやや復帰が遅れたものの、G3クラスであれば戦える能力を持っている。

 

Grand Prix De La Ville De Nice - Bernard Secly (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessu 4600m (Replay)

3. Sternkranz J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr

チェコ調教馬としてSternkranzが出走しており、後方からじわじわと脚を伸ばすも3着に終わった。Sternkranz自身イタリアではさほど実績はなく、今年はイタリアCross Countryを使っていた経緯もある。とはいえ昨年末にはCagnes-Sur-Merの下級条件戦で勝利したりとなかなかに力をつけているようで、今回はJosef Bartos騎手の好騎乗もあったが、今年気をつけた方がいい馬かもしれない。チェコ調教馬としては昨年末のPrix Du Comte De Nice (Listed)の2着のあるPiton Des Neigesも出ていたが、こちらは好位から進めるも早々に後退し途中棄権に終わった。勝ったのは71kgを背負ったBerjouで、このレースは昨年に引き続き連覇とした。

 

その他

Sandy Thomson reflects on Seeyouatmidnight and Ryan Mania’s comeback heroics (Yorkshire Post)

引退からのカムバックを果たしたという点で、先日のSeeyouatmidnightとRyan Maniaのコンビというのは一種のドラマなのかもしれない。調教師Sandy Thomsonのインタビューを中心とした記事。

Net Lady, championne de France de Cross 2019, entre au haras (France Sire)

フランスCross Countryで活躍した牝馬Net Ladyは引退するそうです。

Hereford clerk slams 'disrespectful' dog walkers as frost covers are ripped up (Racing Post)

この時期の競馬場は凍結防止のため馬場を覆うのだが、イヌを散歩させに来た人間がリードで繋がず自由に走らせた影響でこの覆いが破壊されたという残念なニュース。