にげうまメモ

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21/12/19 Weekly National Hunt / Jump racing

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*週刊障害競馬回顧 2021/12/12-2021/12/19

12/17(金)

Ascot (UK) Good to Soft (Soft in places)

Howden Kennel Gate Novices' Hurdle (G2) 1m7f152y (Replay)

1. Jonbon J: Aidan Coleman T: Nicky Henderson

Douvanの全弟のJonbonが重賞挑戦ということで話題になっていたが、そのJonbonが終始ハナを切ると、そのまま追いかけてきたColonel Mustard以下を抑えて快勝した。JonbonはこれでHurdleは2戦2勝、PTPやNHFも含めると4戦4勝とした。飛越を見ているとここでは運動能力の点で抜けていた印象がある。ただし、やや行きたがって走るようなところもあり、兄のDouvanがかなり操縦性に難のある馬であったことを考えると、あまり気性面での難しさを出して欲しくはないところ。レースとしてはかなり緩いものだが、ここでのパフォーマンスを見る限りでは少なくともNovice Hurdleにおいては一線級での活躍が期待できるだろう。アイルランドのColonel Mustardが2着。こちらは距離を伸ばした方がよさそうだ。NHFを含め5連勝で挑んできたKnappers Hill、前走Newburyの牝馬限定Listedを快勝してきたElle Est Belle、Hurdleは3連勝でSupreme Trial Novices' Hurdle (G2)を買ったI Like To Move Itと、この時期のNovice Hurdleとしては実績馬が集まっており、これらの一蹴したJonbonのパフォーマンスはなかなかに衝撃的なものである。

 

Howden Noel Novices' Chase (G2) 2m2f175y (Replay)

1. Pic D'Orhy J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

Gladiateur Allenがハナに行くも、第7障害を始め大きなミスを連発。第11障害辺りで前に出たPic D'OrhyがそのままUp The Straight以下を振り切ると、Faivoirに9馬身差をつけて快勝した。Pic D'OrhyはNovice Chaseはこれで2シーズン目で、昨年のこのレースは4着であった。今シーズンはFfos LasのC3でChase初勝利を挙げており、前走のNewburyのG2では軽快に先頭を走るも残り4障害地点で無念の落馬に終わっていた。この馬自身も何度か飛越には細かいミスがあったのだが、難易度の高いAscotのChaseコースにおいてこの馬の飛越が一番マトモであったという印象がある。ひとまず前走のNewburyでの走りから考えればこれくらい走っておかしくはないのだが。Faivoirは前半から引っかかったり大きなミスがあったりと、どうにもNovice馬らしいレース運びでの2着。ここまで障害競走では9勝と勝ち数だけは多いのだが、その実殆どが下級条件戦で、重賞クラスでの能力は未知数であった。今回はこれだけミスがありながらもPic D'Orhyに9馬身差の2着というのは収穫のある内容であったと言えるのではないだろうか。

 

12/18(土)

Ascot (UK) Good to Soft (Soft in places)

Long Walk Hurdle (G1) 3m97y (Replay)

1. Champ J: Jonjo O'Neill Jr. T: Nicky Henderson

事前に人気を集めると目されていたBuzzが故障で回避。レースはLisnagar Oscar、Ronald Pump、On The Blind Sideなどが前に行くも、途中からはRonald Pumpの単騎逃げの格好になる。残り2障害辺りからThyme Hillが抜け出すも、これを外から被せてきたChampがThyme Hillを抑えて勝利した。Paisley Parkが3着。

ChampはNovice HurdleではChallow Novices' Hurdle (G1)、Doom Bar Sefton Novices' Hurdle (G1)と2勝していたのだが、その後Chaseに転向し、RSA Chase (G1)を勝利。Novice卒業となった昨シーズンは大いに期待されていたものの、どうにも順調にレースに使うことが出来ず、結局何とかCheltenham Gold Cup (G1)に間に合わせたものの飛越もいまいちで早々に途中棄権に終わっていた。Hurdleは久しぶりの出走となったが、今回はややびっくりするくらいのパフォーマンスを見せた。ChaseではRSA Chase (G1)勝ちがあるとはいえ、飛越の部分で十分に加速がつかず、早々にやり合ってゴール前で完全に脚が上がったMinella IndoとAllahoを差し切ったという内容で、おそらく飛越の面からもChaseよりはHurdleの方が良いのだろう。この24ハロンHurdle路線はどうにも主役不在といったところで、この状況に風穴を開ける勝利であった。

Thyme Hillは実力通りの2着。11月に挑んだGrand Prix Automne (G1)はいくらなんでも初めてのフランスHaiesでG1というのは厳しすぎたといったところで、全体的に飛越の拙さが目立っており、Galop Marinから41馬身離れた5着に終わっているのだが、むしろ完走したことを褒めるべきだろう。安定感という意味では現状の24ハロンHurdleでは随一のものを誇っており、おそらくStayers' Hurdle (G1)でも勝ち負けを演じてくれるだろう。古豪Paisley Parkは極端にペースが上がるところがない展開が味方して、じわじわと伸びて3着に入った。馬場が悪ければもう少し着差を詰められるかもしれない。展開や条件次第ではまだ無視できない存在だろう。

その他。前走Long Distance Hurdle (G2)で穴をあけたThomas Darbyは例によって後方から進めるも、最後は遅れ4着。ロングスパート能力においては高いものを持っている馬で、さすがに前2頭のスピード能力が高すぎた感もあるのだが、この馬も展開次第では面白いことをやってのける可能性もありそうだ。FairyhousueのHatton's Grace Hurdle (G1)でHoneysuckleの2着に頑張ったRonald Pumpはどうにも引っかかって走るところが目立っており、前走16ハロン仕様のスピード馬Stormy Irelandのペースを積極的に追走した弊害が出てしまったかもしれない。2020年のStayers' Hurdle (G1)勝ち馬Lisnagar Oscarもいたのだが、勝負所から脱落し途中棄権に終わった。

 

Silver Cup Handicap Chase (Listed) 2m7f180y (Replay)

1. Annsam J: Adam Wedge T: Evan Williams

Storm Control、Annsam、Step Back、Cloth Capといった馬が前半から元気よく引っ張るも、この中で唯一先頭集団で踏ん張ったAnnsamがPhoenix Way、Jerrysbackの追い上げを凌いで勝利した。Listedクラスのハンデ戦だが、レースとしてはなかなかに出入りが激しく面白いものが展開されている。AnnsamはChaseはC3で11st0lbを背負って勝利した経験がある程度で、重賞は初勝利とした。どうにも前半から強気に引っ張った方がよさげなタイプのようで、特にスタート直後はかなりのハイペースで進行し、隊列が非常に長く伸びている。結果的にAnnsam以外の先行勢が壊滅しており、これを好位で追いかけた組もまた壊滅していることを考えると、このペースで進めて踏ん張ったパフォーマンスはなかなかに興味深いものだろう。

 

Betfair Exchange Trophy (G3) 1m7f152y (Replay)

1. Tritonic J: Adrian Heskin T: Alan King

Goshenが参戦して話題になっていたが、好位から進めるも徐々に後退して7着に大敗。勝ったのは4歳のTritonic。この馬自身は比較的平地競争の出走歴が長い馬で、HamiltonのListed競走でSubjectivistの2着もあるようだ。Juvenile Hurdle路線ではAdonis Juvenile Hurdle (G2)の勝利を挙げていたようだが、今回G3のハンデ戦で結果を出したことはこの馬に取って大きな前進だろう。種牡馬Sea The Moonにとってもなにかとペースが緩みがちなJuvenile Hurdleではなく、前半からある程度のペースで流れることが多いこのようなG3競走で勝ち馬を出したことは、自身の障害種牡馬としての適性をアピールするものでもある。ここまで一気の3連勝で挑んできたOnemorefortheroadが2着に入った。

 

その他

Chaos as first and second-placed horses are disqualified for taking WRONG course and third past post is named winner (The Sun)

12月14日のフランスPau競馬場のPrix Jean Lamaysouetteにおいて、1位及び2位に入線したElvis De Balme及びBeryl Baieが間違ったコースを走ったとして失格になった件。記事中にはレース終盤の問題のシーンの映像も掲載されている。なにかと複雑なコースが設定されているフランス障害競馬ではまれによくある出来事である。