にげうまメモ

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21/12/24 第8回(2006)中山グランドジャンプ 海外からの参戦馬

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*第8回(2006)中山グランドジャンプ (Result)

〇 優勝馬:Karasi / カラジ (IRE) (Pedigree) (Racing Post) (racing.com)

騎手:Brett Scott 調教師:Eric Musgrove

第7回(2005)に引き続き、連覇を目指して来日。昨年に引き続きBrett Scott騎手とのコンビで挑みました。2006年は11歳となった同馬でしたが、わずか4歳のテイエムドラゴンをクビ差凌いで連覇を達成しました。同馬及び陣営に関する詳細は2005年の記事をご覧ください。

 

〇 9着 Merlos / マーロス (NZ) (Pedigree) (Racing.com)

騎手:Craig Durden 調教師:Eric Musgrove

ニュージーランド生産馬で、Karasiを管理するEric Musgrove調教師の管理馬です。長く平地を走っており、2002年にはC.B. Cox Stakes (G2)への出走歴もある馬ですが、2003年にHurdleデビュー。2004年にはHurdleを3勝して頭角を現し、2005年のYalumba Classic Hurdleで2着に入ると、その後はSteeplechaseに転向。いきなりSteeplechase初戦を勝利すると、その後はCrisp Steeplechase勝ちをはじめ、Australian Steeplechase、当時はFlemington競馬場で行われていたビクトリア州Grand National Steeplechaseで2着に入り、一躍オーストラリアSteeplechaseにおける中心的存在となりました。ただしその後のHiskens Steeplechaseは落馬に終わると、The ValleyでのDominant Steeplechaseも71kgの斤量が堪えた可能性はありますが、勝ち馬から14馬身離れた5着と敗れ、やや尻すぼみなシーズンに終わりました。そして2006年は平地競争を叩いて来日しましたが、残念ながら前哨戦のペガサスジャンプステークスも含め、結果を残すことはできませんでした。来日後もオーストラリアSteeplechaseへの出走を続けましたが、2006年のCrisp Steeplechaseでの3着が最高と、2005年のSteeplechase転向直後の勢いから考えると物足りない成績に終わったようです。おそらく2005年の春がこの馬にとってキャリアハイの状態だったのでしょう。ただし良馬場でのHurdle競走でも好成績を収めていた馬で、中山への適性自体はあったのかもしれませんね。Craig Durden騎手は元々パイロットになることを考えていたようですが、父親の勧めで騎手を志すことになったそうです*1。オーストラリアではチャンピオンジョッキーの座に輝くなど素晴らしい成績を残した障害騎手ですが、1994年~1996年にかけても来日しており、このときは6戦して3勝という素晴らしい成績を残しています。それ以外にもアイルランドやイギリスでの騎乗歴もあるそうです。現在はKathryn Durden厩舎でAssistant Trainerとして活動しているようです*2*3。Merlosの父*リズムは大種牡馬Mr Prospectorの産駒で、アメリカで競走馬生活を行った平地競争馬ですが、引退後に日本に輸出され種牡馬生活を送りました。ただしあまり目立った産駒の活躍はなかったようで、結局ニュージーランドへ売却、アメリカに拠点を移しオーストラリア・ニュージーランドへのシャトル種牡馬としての活動もあったようです。Merlosは*リズムのニュージーランドでの産駒ですね。*リズムは日本でも東京ハイジャンプ及び小倉サマージャンプを制したレガシーロックを送り出しており、日本障害競馬においても馴染みのある種牡馬と言えるでしょう。

 

〇 落馬 Fontera / フォンテラ (NZ) (Pedigree) (Loveracing.com)

騎手:Isaac Lupton 調教師:Kevin Myers

2005年に引き続き2年連続での参戦となりましたが、残念ながら2006年も2年連続で落馬に終わりました。詳細は2005年の記事をご覧ください。鞍上は2005年のCraig Thornton騎手ではなく、2006年はIsaac Lupton騎手とコンビを組んでいました。Isaac Lupton騎手はCounter PunchとのコンビでニュージーランドGrand National Steeplechaseを1997年及び1998年における連覇や*4、Great Northern Steeplechaseを3度勝利したニュージーランドの名馬Hypnotizeとのコンビ、ニュージーランドチャンピオン障害騎手のタイトルの3度の獲得*5、さらに近年でも2020/2021 Wanganui Jockey Club Awardの障害騎手部門を受賞するなど*6ニュージーランド障害競馬で卓越した実績を残している一流のベテラン障害騎手です。どうやら自身で馬の生産及び所有もしているようで*7、自身の生産した馬に騎乗する機会を楽しみにしたいところですが、残念ながら脚注の記事における競走馬についてはそのような見込みは今のところなさそうです。